「SDGs」 の記事一覧

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LGBTはSDGsとどんな関係があるの?LGBTQの意味や日本が抱える課題を探る

この記事では、LGBTについて、定義やSDGs目標との関連性、日本の現状がどうなっているかについてご紹介します!近年、LGBTという言葉を耳にすることが多くなってきました。LGBTとSDGsには、深い関わりがあることをご存じですか?ぜひこの記事を読んで、LGBTとSDGsとの関連性についても理解を深めてください。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。LGBTとはまず初めに、LGBTという言葉が何を表すのか確認しておきましょう。LGBTとは、セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の総称であり、「Lesbian(レズビアン)」「Gay(ゲイ)」「Bisexual(バイセクシャル)」「Transgender(トランスジェンダー)」の4つの英単語の頭文字を合わせたものです。ここでは、それぞれの言葉の意味について詳しく見ていきます。Lesbian(レズビアン)自分で認識する性が女性であり、恋愛感情や性愛感情が女性に向く人を指します。(女性同性愛者)Gay(ゲイ)自分で認識する性が男性であり、恋愛感情や性愛感情が男性に向く人を指します。(男性同性愛者)Bisexual(バイセクシャル)自分で認識する性別にかかわらず、恋愛感情や性愛感情が女性と男性の両性に向く人を指します。(両性愛者)Transgender(トランスジェンダー)生まれながら定められる生物学的な性と、自分で認識する性(性自認)が一致しない人を指します。LGBTQやLGBTQIA+の意味LGBTのほかにも、性の多様性を表すために、LGBTQやLGBTQIA+という言葉も使われます。LGBTQやLGBTQIA+は、LGBTに、“Q”、“I”、“A”、“+”を加えたものです。それぞれの意味を確認しましょう。“Q”:Queer(クィア)/Questioning(クエスチョニング)Queer(クィア)とは、LGBTに当てはまらない性的少数者や、全ての性的マイノリティを広く含む言葉として使用されます。Questioning(クエスチョニング)とは、自分自身の性的指向や性自認が定まっていない、もしくは意図的に定めていない人のことを指します。“I”:Intersex(インターセックス)Intersex(インターセックス)とは、内性器や外性器・染色体・ホルモンの状態などが、先天的に生物学上の性別とは異なっており、女性・男性の両方の特徴をもち合わせている人のことを指します。“A”:Asexual(アセクシャル)Asexual(アセクシャル)とは、どの性に対しても恋愛感情を抱かない人のことを指します。“+”+(プラス)は、特定のセクシュアリティを指すものではありません。セクシュアリティは多様であることを踏まえて、上述のLGBTQIAのどれにも当てはまらない人がいることを表しています。LGBTと関連性の高いSDGsSDGsは、Sustainable Development Goalsの略称で、持続可能でより良い世界を目指し、2015年の国連サミットで定められました。SDGsでは「誰1人取り残さない」ことを掲げ、全ての国が取り組むべき目標として定められています。男女差別をなくす取り組みは国際的にも注目を集めており、SDGsの17個の目標のうち、教育・ジェンダー平等・基本的人権の尊重などのトピックと関連づけられているのです。それでは、LGBTなどのセクシュアル・マイノリティ(性的少数者)との関連性が高いSDGsの目標を詳しくみていきましょう。目標4 質の高い教育をみんなに目標4では、「質の高い教育をみんなに」を掲げ、誰もが公平に質の高い教育を受けられることを目標としています。途上国の一部では女子への教育が軽視されている地域があり、先進国においてもジェンダーに配慮した教育施設が少ないのが現状です。全ての人が質の高い教育を受けることで、貧困や飢餓、ジェンダーといったあらゆる問題解決への糸口が開けるようになります。目標5 ジェンダー平等を実現しよう目標5では、「ジェンダー平等を実現しよう」を掲げ、社会的な男女差別の撤廃を目標としています。「男性はこうあるべき、女性はこうあるべき」のような、無意識に決めつけている性別の違いがジェンダーです。ジェンダー平等を実現することで、LGBTを含めた性差別がなくなり、全ての人が平等に活躍できる社会になります。目標8 働きがいも経済成長も目標8では、「働きがいも経済成長も」を掲げ、全ての人が公平な雇用で、働きがいをもって仕事ができる環境が目指されています。現状は、男女のキャリアに違いがあり、ジェンダー平等な雇用の機会が与えられているとは言い難い社会です。また、LGBTを理由に職場で差別されるケースもあり、深刻な社会問題となっています。目標10 人や国の不平等をなくそう目標10では、「人や国の不平等をなくそう」を掲げ、人と人、国と国の格差をなくすことを目標としています。そのためには、差別的な法律や政策を見直し、人々に平等な機会が与えられることが重要です。現在、同性婚が認められていない国は数多くあります。このことは、セクシュアル・マイノリティの人に対して平等に結婚の機会が与えられていないため、不平等であるといえるでしょう。LGBTの人々が日本で直面する課題男女の格差を国別に比較した「ジェンダーギャップ指数」によると、日本は146カ国中116位でした。(2022年現在)このことから、日本は世界的にみても男女の格差が生じていることがわかるでしょう。SDGsの目標にもなっているジェンダー平等を推進し、LGBTへの理解を促進するために、教育・仕事・医療において日本が抱えている課題をご紹介します。教育ジェンダー教育があまり行われてこなかった日本の学校では、LGBTへの理解不足によるいじめや差別が起こりやすいです。さらに、「女子はスカート、男子は学ラン」という指定の制服に精神的な苦痛を感じるLGBTの生徒もいます。性的マイノリティへ配慮した教育要領や、LGBTの生徒に対するサポート体制を整えることが重要です。仕事企業の採用面接中にLGBTであることを告げたところ、面接を中断されたり、内定を取り消されたりするという事例もあります。また、同性のパートナーやその子供が家族として認められず、扶養手当・家族手当・育児休暇などが受けられないこともあるのです。日本の企業では、ジェンダー差別や偏見が残っていることも多く、異性愛者前提の社内制度になっています。LGBTへの適切な理解と職場環境の改善により、全ての人が平等に働けるようになるでしょう。医療同性のパートナーが入院したときに病院から家族として認めてもらえず、面会ができなかったり、病気に関する詳細を教えてもらえなかったりすることがあります。また、「男性か、女性か」を問われること自体がトランスジェンダー当事者にとっては精神的な苦痛です。保険証の性別や診察に対する不安により、患者の足を医療から遠のかせ、症状を悪化させてしまうでしょう。LGBTの患者が安心して医療を受けられる環境づくりや法律の整備が求められています。ジェンダー平等への取り組みジェンダー平等のための取り組みとして、どのようなものがあるのでしょうか?国や企業などによる、さまざまな日本国内の取り組み事例を見ていきます。国の取り組みパワハラ防止法(労働施策総合推進法)は、セクシュアル・ハラスメントを含むパワーハラスメントを防止するための法律です。SOGIハラスメント(相手の性的指向や性自認に関する侮辱的な言動)や、アウティング(相手の性的指向や性自認を本人の許可なく暴露すること)もハラスメントと定義されています。企業にはこれらを防止する義務が法律で定められているのです。自治体の取り組み同性パートナーシップ証明制度は、同性のカップルに対して、「結婚に相当する関係」だと証明するために、自治体が証明書を発行する制度です。この制度は、東京都の渋谷区や世田谷区などで導入されており、病院で家族として扱われる、公営住宅への同居が認められるようになります。このような制度によって、LGBTの人々の権利を守ることが不可欠です。企業の取り組み国だけではなく、企業単位でもさまざまな取り組みが行われています。LGBTの人々が安心して働けるための企業の取り組みを見ていきましょう。パートナーシップ制度|任天堂株式会社任天堂株式会社は、2021年にパートナーシップ制度を導入しました。この制度は、婚姻関係に相当する同性パートナーがいる社員を、婚姻と等しく扱うものです。加えて、性的指向・性自認に関する差別的発言や、アウティングを明確に禁止しています。LGBT ALLY(アライ)の啓蒙活動|株式会社神戸製鋼所株式会社神戸製鋼所は、LGBT ALLY(LGBTなどの課題に対して自分事と捉え、主体的に行動する人)を増やす活動をしています。この活動に加え、ファミリーシップ制度の導入や社員研修の実施もおこなっています。その結果、LGBTQなどのセクシュアル・マイノリティへの取り組みを評価するPRIDE指標で、最上位の「ゴールド」を2年連続で受賞しています。私たちにできることジェンダー平等な社会を作るために一番大切なことは、性別に関係なく個人を尊重することです。家庭や職場などにおいて「女だから、男だから」と無意識に決めつけている行動を見直してみましょう。例えば、共働きの夫婦間で女性に家事の負担がかかっていたり、大きな仕事は男性がトップに立って指導するものと思い込んでいたりするかもしれません。また、LGBTなどの多様な性があることを学び、理解することも大切です。知識や理解がないと、「結婚しないの?」や「どのような異性が好き?」など、相手の性的指向を決めつける質問をしてしまうことがあります。自分の周りにもセクシュアル・マイノリティ(性的少数者)がいることを意識して行動しましょう。まとめこの記事ではLGBTとは何かについて確認し、SDGs目標との関連をご紹介しました。SDGs「目標5 ジェンダー平等を実現しよう」では、社会的な男女差別の撤廃を目指しており、LGBTに対する差別をなくすことも含まれます。さらに、日本でLGBTの人々が直面している課題から、私たちが取り組むべき内容を深掘りしました。全ての人々が安心して暮らせる差別のない社会を作るために、LGBTへの理解を深めて、個人を尊重する行動をとったり環境を整えたりすることが大切です。

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SDGs目標5の取り組み事例12選|ジェンダー平等に向けて学校・企業・公的機関ができることは?

みなさんは「ジェンダー平等」という言葉を聞いたことがありますか?ジェンダー平等を簡単に説明すると、性別による差別がない状態のことであり、これはSDGs(持続可能な開発目標)でも目指されています。現在のジェンダー平等の状況には問題があるため、改善に向けて取り組んでいかなければなりません。そこでこの記事では、ジェンダー平等に関して、日本・世界の課題やそれに対する学校・企業・社会それぞれの分野での取り組み事例についてご紹介します。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。SDGsはジェンダー平等を目指している!SDGsとジェンダー平等には密接な関係があります。女性の社会進出は当然の権利ですが、ジェンダーによる差別や偏見によって十分な機会を得られず、不平等な扱いを受けています。SDGsは世界中にある様々な課題を解決し、全ての人がより良い暮らしを送れる社会を目指しています。そのため、ジェンダー平等の実現はSDGsの達成に欠かせません。ジェンダー平等とは「ジェンダー」は、生物学的な性とは異なる文化的・社会的な性別のことで、社会に定着している先入観で決められた「男らしさ」や「女らしさ」を表します。ジェンダー平等とは、ジェンダーによる差別や偏見がなく、すべての人が平等に機会を得られ、同じように扱われることを意味します。そしてジェンダー平等は、社会や経済に多くのメリットをもたらします。例えば、女性も男性と同じように教育を受け、職業に就けるようになることで、人材の有効活用ができ、企業や経済の成長につながると言われています。また、女性が社会や政治に積極的に参加し、意見を発信することで、多様な価値観が尊重される社会となり、相互理解が深まります。その結果、偏見や差別が減り、社会全体が豊かになる可能性があります。ジェンダー平等は、個人や社会のためだけではなく、世界の持続可能な発展のためにも、非常に重要なテーマです。SDGsでは目標5でジェンダー平等を目指しているSDGs目標5は「ジェンダー平等を実現しよう」という目標です。具体的には、女性の地位向上や女性の権利保護、女性の社会進出の促進、女性と男性の平等な権利と機会の実現を目指しています。また、ジェンダー平等を実現するために、家庭内での家事の役割分担や、男性と女性の賃金格差の是正なども必要です。この目標の意義は、女性の人権・自由・権利を保護するだけでなく、女性が自らの能力を発揮し、社会で活躍できるようにすることです。またジェンダー平等は、男女格差だけでなく、LGBTQ+などセクシャルマイノリティの人々に対する差別や偏見の解消にもつながります。SDGs目標5の達成によって、より多様な人々が平等に活躍できる社会に近づくでしょう。ジェンダー平等の現在の状況は?ジェンダー平等を目指すためには、まず現在の状況と課題を把握することが重要です。そこでSDGsの観点から、ジェンダー平等の現状と課題を日本と世界に分けて紹介します。日本の状況日本では、ジェンダー平等に向けた取り組みが進んでいるものの、まだまだ課題が残っています。経済・教育・政治・健康の4分野で男女の格差を数値化している「ジェンダー・ギャップ指数」の総合順位で、日本は146か国中116位でした(2022年現在)。教育の分野では1位でしたが、政治分野では144位、経済分野では121位と低い順位となっており、政治や経済の分野では、いまだに女性の活躍が少ないとわかります。(出典:男女共同参画局)現在、政治や経済では男性が中心であり、いまだに女性の活躍は少ないと言えます。例えば政界では、衆議院議員463人のうち女性は46人で9.9%、参議院議員242人のうち女性は56人で23.1%、経済界でも上場企業の女性役員の割合は9.1%と低い状態です。(出典:衆議院)(出典:参議院)(出典:男女共同参画局)また、出産・育児の時に女性が休職や退職をした後、育児と両立しづらい労働条件のせいで復職したくても復職できないことがあります。そのため、職場での待遇やキャリアアップにおいて男女で差が生じており、女性の平均賃金が男性の約75%にとどまっていることにも影響しているでしょう。さらに、男性の育休取得率は年々増加しているものの、2021年度で13.97%と女性の85.1%と比べるとまだ低い状態で、女性の復職を難しくしている要因の一つと言えます。(出典:厚生労働省)この差をなくすために、休職後に復帰しやすい制度、育児休暇を男女関係なく取得できる環境を作ることが必要でしょう。政府や企業が積極的に取り組むことで、社会全体の意識が変わっていくことが期待されています。世界の状況世界のジェンダー平等の現状は、国や地域によって異なりますが、おおむね次のような課題があります。女性の教育機会の不平等女性が男性と同様の教育を受けられないことで、将来の社会進出の機会が奪われ、男女で格差が生まれている国もいまだに多くあります。労働市場における女性の待遇の不平等女性は、男性と同じ仕事をしているにもかかわらず、同じ賃金を得られない場合があります。アメリカでは、フルタイムで働く女性の賃金は、同じ労働条件で働く男性と比べて83.1%と低くなっています。(出典:独立行政法人日本貿易振興機構)また、女性が管理職・役職に就くことが難しい場合もあり、キャリアアップにおいても男性と差が生まれています。女性の健康や出産に対するケア体制の不十分女性には、健康上のリスクや出産に伴う負担があるため、適切な医療やケアが必要です。しかし、そのようなサービスが不十分であるため、女性の健康や出産に関する権利が侵害されている地域もあります。SDGsでは、こうしたジェンダー平等の課題に対して理解し、社会全体で取り組んでいくことが求められています。ジェンダー平等への取り組みをご紹介!ジェンダー平等を推進するために、世界各国で様々な取り組みが行われています。ここでは、学校・企業・社会における取り組み事例を日本と世界にわけて紹介します。日本の取り組み事例学校様々な学校で行われている取り組みを項目ごとにご紹介します。ジェンダーレス制服の導入(画像出典:ジェンダーレス制服|トンボ学生服)ジェンダーレス制服とは、性別によるデザインの差を減らし、性別に関係なく着用できるようにすることで、性の多様性に対応する制服のことです。ジェンダーレス制服は、組み合わせを自由化する方法と性差を感じさせないデザインの制服を導入する方法の2つに大きく分かれます。近年増えている方法は、女子のスラックス制服の採用です。ジェンダーに配慮できるうえに、防寒対策や自転車通学用としても利用しやすいことから、学校の先生や女子生徒からも好評のようです。他には、男女共通デザインのブレザー、身体のシルエットが強調されないスラックスなどを採用する学校もあります。学校生活での性別による区別を減らす昔から学校では「男子は君付け、女子はさん付け」と呼称を分けていたり、名簿が男女別になっていることがあります。近年では、先生が生徒に対して必ず「さん付け」で呼ぶことを決めたり、名簿を統一している学校が増えています。また、ランドセルの色も「男の子なら黒」「女の子なら赤」といった分け方は減り、カラーバリエーションが増えたため、子どもが好きな色を選ぶようになっています。このように、性別を基準にしてわけることが減ってきているのです。企業ここでは、ジェンダー平等に向けて取り組んでいる企業を2社ご紹介します。積水ハウス株式会社積水ハウスは、ジェンダー平等を推進するために、女性社員が働きやすい職場を目指したり、性の多様性を尊重したりするなど、様々な取り組みを行っています。例えば、女性社員のキャリア形成や管理職登用を促進するため、研修やメンタリング制度、育児休業・時短勤務などの制度を設けています。さらに同社が行う賃貸事業では、入居申込書類や電子申込フォーム、賃貸借契約書などにおいて、性別欄を削除したり、パートナーの選択肢を設けたりするなどの工夫をしています。これらの書式は、性の多様性に配慮したものであり、セクシャルマイノリティの人々が家を借りやすいようになっています。また、日本におけるLGBT平等法の制定を支持するキャンペーン「ビジネスによるLGBT平等サポート宣言」に賛同しました。これら男女平等への取り組みや性の多様性への配慮が評価され、同社は2022年に「ブルームバーグ男女平等指数(Bloomberg Gender-Equality Index)」において2年連続で優れた企業として選ばれました。この指数は、ジェンダー分野で優れた企業を投資家に紹介するために作られたもので、2022年には世界で418社(うち日本企業12社)が選出されました。(出典:積水ハウス株式会社)楽天グループ株式会社 楽天は、女性社員のキャリア支援や育児・介護支援、セクシャルマイノリティの従業員のサポートをすることで、ジェンダー平等の文化づくりに努めています。育児・介護支援の具体例として、社内託児所の整備、フレックスタイム制や時短勤務、妊娠・育児・介護・怪我・病気を理由とした在宅勤務制度などがあります。そして、2016年からは社内規定で同性パートナーも配偶者とし、慶弔休暇・見舞金といった福利厚生が受けられるようになっています。また楽天は、積水ハウスと同じく「ビジネスによるLGBT平等サポート宣言」にも賛同しています。同社の取り組みが評価され、2021年にセクシャルマイノリティの当事者が働きやすい職場を示す指標である「Work with Pride」で「ゴールド」を6年連続で受賞しました。(出典:楽天グループ株式会社 )社会ここでは、日本の官公庁や自治体で実施されているジェンダー平等の事例を紹介します。内閣府男女共同参画局による法整備内閣府男女共同参画局は、男女共同参画社会の実現に向けて、法制度や施策の策定・推進・評価を行っています。例えば「男女雇用機会均等法」や「女性活躍推進法」などの法律を整備することで、女性の活躍促進や男女不平等の是正に取り組んでいます。また、女性の活躍の「見える化」や男性の家事・育児への参加を呼びかけ、誰もが生きがいをもてる社会づくりを目指しています。自治体による同性パートナーの宣誓・証明制度この制度では、戸籍上同性であるカップルがパートナーとの関係を自治体に届け出ることで、自治体から独自の証明書が発行されます。この制度を利用すると、公営住宅に家族として2人で入居できるようになったり、病院での付き添いや救急車の同乗などが可能になったりします。2015年に東京都渋谷区と世田谷区から始まり、現在では300を超える自治体に広がっています。世界の取り組み事例ここでは日本以外の国で行われている取り組み事例を学校・企業・社会それぞれの分野ごとにいくつか紹介します。学校スウェーデンスウェーデンには、ジェンダー平等を重視する幼児教育施設があります。例えば、絵本やおとぎ話を使うときには、男女の固定観念にとらわれないようにしています。物語の内容は審査をして、同性カップルを登場させるなど筋書きを変更することもあります。また、おもちゃの種類による遊ぶ場所のきまりはなく、男女が一緒に遊べる環境をつくっています。さらに、先生は子どもたちに「彼」や「彼女」といった性別を示す代名詞ではなく、「hen」という中立的な代名詞を使って呼んでいます。これらの取り組みは、子どもたちが自分の性別や性的指向に関係なく、自由に自分らしく生きるように支援することを目的としています。カナダカナダのオンタリオ州では、学校教育において、性別や性的指向への理解を深め、差別や偏見をなくすことを目的とする、ジェンダー・セクシュアリティ教育を義務化しています。2015年から保健体育の授業で導入され、小学校から高校までの間で、性的同意などの性教育の内容から性的指向や性同一性などの多様性に関する内容まで幅広く学んでいます。このカリキュラムは、子どもたちが現代社会における性の問題やリスクに対処するために必要だと考えられました。カリキュラムでは、子どもたちの年齢や発達段階に応じて、適切な内容や方法でジェンダー・セクシュアリティ教育を行うことが求められています。ジェンダー平等やジェンダー多様性に対して若い世代が学ぶことで、自己や他者への理解につなげられます。企業マイクロソフト(Microsoft)社(アメリカ)アメリカのマイクロソフト社は、ジェンダーの多様性を認め、採用・昇進・報酬などの分野でさまざまな施策を実施し、社内のジェンダー平等に関するデータや報告書を毎年公開しています。2022年度の報告書によると、アメリカ国内のマイクロソフト社に勤務する男性の賃金を1.000ドルとしたとき、女性の賃金は1.007ドルでした。(出典:ダイバーシティ&インクルージョンレポート|マイクロソフト社)さらに同社は、女性の教育にも力を入れており、アメリカの大学や専門学校へ進学する女性向けに奨学生を募集しています。また、最新テクノロジーを無料で体験し学習できる、DigiGirlz Campという数日間のキャンプイベントを実施しています。ロレアル(L'Oréal)社(フランス)フランスの化粧品メーカーであるロレアル社は、女性管理職の比率を増やすために、積極的な採用や教育研修、充実した子育て支援策などを行っています。同社の女性比率は、全従業員の69%、取締役会の58%、執行委員会の26%、重要ポジションの54%、国際ブランドディレクターの59%となっています(2020年現在)。(出典:L'Oréal Group)このような取り組みが評価され、2023年3月には、Equileap社のジェンダー平等ランキングでフランス国内で1位、世界で11位に選ばれました。(出典:L'Oréal finance)また、セクシャルマイノリティのコミュニティを支援しており、性自認に基づく差別を拒否することを明記した従業員の人権方針があります。社会アイスランドアイスランドでは、男女の同一労働同一賃金を義務付けており、25人以上の従業員がいる企業や組織は、監査団体によって男女同一賃金であることが証明される必要があります。証明がない場合は1日につき50,000 アイスランド・クローナ(約48,000円)の罰金が課せられます。このような取り組みにより、女性に対する不当な給与格差の解消を目指しています。(出典:Equal Pay Legislation in Iceland|Radnica)インドインドでは、女性の地位向上を目指し、村落に「自助グループ(Self Help Group)」が設置されています。これは、女性が集まる自助グループが、金融機関と協力して貯蓄や融資などの金融活動を行い、経済的に自立することで、女性の社会進出を支援する制度です。グループの貯蓄は、メンバーが突然病気になったときなどに使われる緊急基金としても機能しており、不安を減らすことで生活の安定にも貢献しています。この取り組みによって女性の貧困状態をなくすことで、ジェンダー平等を目指しています。SDGs活動に興味がある方は「Socialgoo」がおすすめここまでSDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の課題や取り組みについてご紹介しました。この記事をきっかけに、SDGsについて興味を持たれた方には「Socialgoo」がおすすめです!ソーシャルグッド(社会にとって良いサービスや活動)に特化したメディアであり、取り組み事例などSDGsにまつわる様々な情報を発信しています。ぜひ他の記事もチェックしてみてくださいね!まとめジェンダー平等の実現は、社会や経済に大きなメリットがあると分かっています。SDGsでは目標5でジェンダー平等を目指しており、課題を解決するために様々な分野で取り組みが進められています。学校・企業が取り組むだけではなく、私たち個人でも取り組めることがあります。例えば、ジェンダーによる偏見に注意を払うことや家事や子育てなどの分担を平等にすることなどです。ジェンダー平等は、私たち一人ひとりの意識と行動によって実現されるため、ジェンダー平等の重要性を再確認し、自分にできることを考えてみましょう。

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SDGsと関連するカーボンニュートラルとは?取り組み事例も解説

近年、地球温暖化の深刻化や異常気象の頻発化を受け、私たちが目指す目標として「カーボンニュートラル」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。ですが、カーボンニュートラルが具体的に何を指しているのかわからないと感じる方も多いのではないでしょうか。実はカーボンニュートラルの実現には、SDGsが目指す持続可能な社会と大きな関連があるのです。この記事では、カーボンニュートラルとSDGsの関連や実際の取り組みについてわかりやすくご紹介します。カーボンニュートラルとは?カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることです。「カーボン」は炭素、「ニュートラル」は均衡・中立を意味し、ここで言う「カーボン」は炭素が含まれる二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスを指しています。カーボンニュートラルの実現のためには、温室効果ガスの排出量を削減し、そして吸収作用を高める必要があります。カーボンニュートラル実施への背景カーボンニュートラル実施が勧められる背景には、深刻な地球温暖化があります。地球温暖化の原因は、二酸化炭素・メタン・一酸化炭素・フロンガスなどの温室効果ガスです。この中でも二酸化炭素は最も地球温暖化への影響が大きいのですが、人間の生活や経済活動によってその排出量は大幅に増加してしまいました。石炭・石油のような化石燃料の消費が増加したのに対し、大気中の二酸化炭素を吸収できる森林が減ってしまったため、大気中の二酸化炭素濃度が増加しているのです。温室効果ガスが地球の周りに溜まって濃度が高まると、太陽から地球に届いた熱が宇宙へ戻らず気温が上昇するため、地球温暖化につながります。温暖化は気候変動や猛暑のリスクを高め、農林水産業や自然生態系から日常生活まで幅広く悪影響を与えてしまうのです。このような危機を止めるためには、温室効果ガスの排出量をゼロにするカーボンニュートラル実現に向けた取り組みが不可欠です。SDGs17の目標の中で何番に関連してる?最近話題になることが多い「SDGs」をご存知ですか?SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。将来世代のニーズを損なうことなく今の世代のニーズを満たすために、格差・経済・環境など複数の問題にまたがって17の目標を掲げています。カーボンニュートラルはそのうち4つの目標と密接に関連しているのです。目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」SDGs目標7では、誰もが平等に、安定してエネルギーを使える状況にすることや、再生可能エネルギーの割合を大きくすることを目的としています。再生可能エネルギーは、太陽光や風力・水力・バイオマスといった自然の力から生み出されるエネルギーで、発電時に二酸化炭素を排出しません。カーボンニュートラルを実現するためには、再生可能エネルギーを活用しつつ従来のエネルギー供給のあり方を見直す必要があります。これにより目標7の達成にも貢献できるのです。目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」目標9では、技術革新で産業の発展を推進することを目指しています。日本では、2020年度のCO2排出量のうち37パーセントが産業部門からの排出でした。産業のあり方を見直すことで、全体的なCO2排出量を大幅に減らすことができるのです。目標9では詳細な方針として、「クリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大」が挙げられています。産業発展を推進すると同時に、開発や製造の過程における温室効果ガスの排出量削減を進める必要があります。目標12「つくる責任つかう責任」目標12が目指すのは、持続可能な生産消費形態の確保や資源の使い過ぎの防止です。食品ロスの削減が取り組みとしてあげられることが多い目標ですが、エネルギーも重要な資源の一つとして持続可能な利用が求められています。例えば、石油・石炭・天然ガスなどのエネルギーは無限に使うことができないので、使い過ぎを防ぐ、または無限に使うことができるエネルギーで代用する必要があります。エネルギーの生産・利用に責任を持つことは、カーボンニュートラル実現への取り組みと重なるのです。目標13「気候変動に具体的な対策を」目標13では、温室効果ガスを削減して気候変動・地球温暖化の解決に取り組むことが目的とされています。カーボンニュートラルと最も密接に関わる項目であるといえます。2015年のパリ協定において、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より低く、できれば1.5℃までに抑えようという目標が掲げられました。地球温暖化を防止するためには、温室効果ガスをゼロにするカーボンニュートラルの取り組みが不可欠です。カーボンニュートラル実現への取り組みカーボンニュートラル実現のためには何をすればいいのか、具体的な取り組みを見ていきましょう。再生可能エネルギーの活用再生可能エネルギーには、太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスなどがあります。化石燃料とは異なり温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることが特徴です。これほどのメリットがある再生可能エネルギーですが、欧州と比較すると普及が遅れているのが現状です。電力を安定して供給できない、コストパフォーマンスが悪いなどのデメリットがあるためだと考えられています。特に発電にかかるコストは欧州と比較して2倍ほど高いのです。 経済産業省は2020年の再生可能エネルギーの電源比率である19.8%を、2030年には36-38%まで高めることを目標にしています。まずはこれらの課題の解決方法を探しつつ、政府や企業が率先して導入拡大を進める必要があります。省エネルギーの推進省エネルギーとは、限りあるエネルギー資源を効率よく使うことです。略して省エネと呼ばれています。エネルギーの使用を削減することで、日本政府が掲げる「2030年までに温室効果ガスを2013年度比で46%削減する」という目標に大いに貢献することができます。日本では1979年に「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(省エネ法)が制定されて以来、企業や工場でエネルギー使用量の削減が進められてきました。家庭単位でも省エネ化により世帯別のエネルギー消費量は2010年代に入って減少していましたが、コロナ禍に入った2020年以降は上昇しているのが現状です。家庭における二酸化炭素排出量を見ると、約半分を電気が占めており、個人で省エネを進めるためには電気の使い方を見直すと良いです。節電するだけで推進することができる身近な取り組みなので、できるところから始めてみましょう。ゼロエミッションの推進ゼロエミッションとは、廃棄物の排出(エミッション)を最終的にゼロにするという考え方です。具体的には、ある産業の廃棄物を別の産業が有効的に再利用することで、廃棄物の埋め立て処分量をゼロにするというものです。ゼロエミッションは温室効果ガス排出量を実質ゼロにするという意味でも使われ、再生可能エネルギー・原子力発電は温室効果ガスを排出しないゼロエミッション電源と呼ばれてきました。ですが原子力発電は、安全性や放射性廃棄物の危険性といった問題から持続可能とはいえません。そこで、可能な限り原発への依存度を低減しつつ、再生可能エネルギーの供給量を増やすことが必要です。カーボンオフセットの推進カーボンオフセットとは、自分自身が排出した温室効果ガスの排出量を、別の取り組みで相殺(オフセット)することです。再生可能エネルギーの活用や省エネ活動などはカーボンニュートラルへの有力な近道ですが、CO2のような温室効果ガスには努力してもどうしても削減できない排出量がありますね。そこで、温室効果ガスの排出削減や吸収量の増加を支援することで、自ら排出してしまった分の温室効果ガスを埋め合わせることがカーボンオフセットです。まずは自らの温室効果ガスの排出を認識し、他の企業が開発する高効率機器や再生可能エネルギーの導入によってこれを埋め合わせることで、カーボンオフセットを推進することができます。森林の二酸化炭素の吸収量を増やすプロジェクトの実施や、そうした活動への投資もカーボンオフセット推進のための取り組みです。カーボンリサイクルの推進カーボンリサイクルとは、温室効果ガスの中でも特にCO2を炭素資源と捉え、有効利用することです。二酸化炭素排出が避けられない場合、別の取り組みで相殺(オフセット)するだけでなく、資源として再利用する技術開発が進められています。具体的には、二酸化炭素を植物に供給・ドライアイスに活用などして直接利用したり、合成燃料・コンクリートのような別の物質に変換したりする方法があります。そのために、工場や火力発電所で発生する気体からCO2を分離したり、別の物質に合成する技術の開発が進められています。カーボンニュートラル実現への企業の取り組みトヨタ自動車(画像:実質的にカーボンニュートラルを実現するクルマ、販売開始!)トヨタ自動車は、事業活動による環境負担の軽減を目的とする「トヨタ環境チャレンジ2050」を2015年に発表しました。このチャレンジの一環として、トヨタはカーボンニュートラル実現のために「新車CO2ゼロチャレンジ」に取り組んでいます。具体的な目標は、新車開発において、2050年に販売される新車の走行時のCO2排出量を2010年比で90%削減するというものです。さらに、グローバルに展開する生産工場で、CO2の排出量が少ない生産技術の開発・導入拡大に取り組んでいます。今後新設する工場では、自動車生産1台を製造するのに排出するCO2量を、2030年に2001年比で3分の1にすることがこの取り組みの目標です。スターバックス(画像:スターバックスが掲げる、コーヒーに関する環境目標)コーヒーチェーン店のスターバックスは2020年、CO2・水・廃棄物のフットプリント(環境に与える負荷)を半減させるという目標を発表しました。そのために、スターバックスは世界30カ国のコーヒー農家と協力し、各農園の土壌に合わせてコーヒー豆生産で排出されるCO2を削減しています。例えば、それぞれの土地の気候に合わせたコーヒー豆の品種を開発することで、ビニールハウスの温度調整など電力が必要な栽培技術をカットしているのです。また、コーヒー生産国の森林の保全・復元プログラムに投資して、植林と農作物の栽培を同じ土地で行う混農林業に取り組んでいます。CO2排出を削減するだけでなく、森林による吸収を助けているのです。ダイキン(画像:ダイキンが「EUの環境規制」に見る大チャンス)ダイキンはエアコンの環境負荷を抑えるため、2019年を基準として2030年のCO2排出量を50%以下に、さらに2050年には実質排出ゼロを目指しています。そのためにダイキンは以下の空調技術を取り入れています。・インバータ技術室温に合わせて室外機のモーターの回転速度を変える技術です。室温を継続して一定に保つことができる上に、 50%以上の省エネ効果があります。・低温暖化冷媒エアコンの室外機と室内機を循環して熱を運ぶガスのことです。従来のガスと比較してオゾン層への影響が低いため、環境への負荷を減らすことができます。・ヒートポンプ技術大気中から熱を集め、少ない電力で暖房に活用する技術です。化石燃料を燃やすことで熱を得る暖房と比べて、CO2の排出を大きく削減できることが特徴です。ダイキンはこれらの技術を他のエアコンメーカーにも普及することで、世界的なCO2排出量の削減に貢献しています。様々な分野の企業が、自社製品の開発・製造の過程で排出されるCO2の削減に取り組んでいることがわかりましたね。まとめ今回はカーボンニュートラルとSDGsはどのように関連するのか、実際の取り組みにはどのようなものがあるのかご紹介しました。カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを行うことで、SDGs達成にも貢献できることがわかりましたね。実際の企業の取り組みを参考にしつつ、再生可能エネルギーの活用や省エネ化などを意識してカーボンニュートラルに取り組んでみましょう。

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SDGs 17の目標を英語で学ぼう!読み方や問題・解決策を徹底解説

世界共通の目標である「SDGs」は、外国人との会話に出てきたり、様々な英語の試験に使われたりと、英語で使用される機会も多くあります。また、SDGsの原文内には、世界の様々な問題を考える際に必要な英単語がたくさん含まれています。そのため、SDGsについて英語で学んでおけば、英会話・英作文などで役に立つこと間違いありません。SDGsの17個の目標の英語原文を読みながら、問題点や解決策を一緒に学んでいきましょう。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。SDGsの英訳・意味とは?まずはじめに、SDGsとは何かについて英訳をしながら確認していきましょう。Sustainable Development GoalsSDGsは Sustainable Development Goals の頭文字をとったもので、〈サステナブル・デベロップメント・ゴールズ〉と読みます。それぞれ、sustainable は「持続可能な」、 development は「開発」「発達」、goals は「目標」という意味です。これらのことから、SDGsは「持続可能な開発目標」を意味します。・意味|SDGsとは「持続可能な開発目標」そもそもSDGsの「持続可能な開発」とは「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」のことで、国際連合にて定義づけされています。こういった開発を実現するために、世界全体で達成すべき17個の目標を定めたものがSDGsなのです。また、SDGsは「誰一人取り残さない(leave no one behind)」社会を掲げています。このことから、現代やこの先の未来、誰もが犠牲にならずに生きられる社会をつくるための目標がSDGsだと言えます。・別称|海外では「グローバルゴールズ」と呼ばれる場合もあるSDGsは、先進国・発展途上国ともに、すべての国が取り組むべき課題だとされており、「世界的なさま」「包括的なさま」を表す global を用いて「グローバルゴールズ」と呼ばれることもあります。SDGsの目標17原文で英語を学ぼうここからは17個の目標別に、英語原文を通してSDGsを見ていきます。Goal1.No Poverty1つ目の目標は “No poverty” 〈ノー・ポヴァティ〉「貧困をなくそう」です。 “poverty” は「貧しさ」「貧困」という名詞です。「貧しい」という形容詞 “poor” も合わせて覚えておきましょう。この目標は「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」ことを方針として掲げています。以下で具体的に見ていきましょう。・Goal1の問題“More than 70 million people still live in extreme poverty.”「いまだ7000万人以上の人々が極度の貧困状態の中で生きている。」“million” は「100万」を意味するので、“70 million” は「7000万」ということになります。世界にはまだまだ苦しい生活をしている人がたくさんいます。貧困状態から、個人の力だけで抜け出すのは非常に困難なため、国際社会全体で問題に取り組む必要があるのです。【その他の和訳】・“still”:「まだ」「いまだ」・“extreme”:「極度の」「極端な」・Goal1の解決策“Donate what you don’t use.”「使わないものは寄付する」私たちにできることのひとつが寄付です。1人1人の量は少なくとも、多くの人が寄付をすることで貧困に苦しむ人々を救う大きな力になります。身の回りの使わなくなったものを探し、寄付することから始めてみましょう!【その他の和訳】・“donate”:「寄付する」「寄贈する」Goal 2. Zero Hunger2つ目の目標は “Zero Hunger” 〈ゼロ・ハンガー〉「飢餓をゼロに」です。“hunger” は、「空腹な」という形容詞 “hungry” を名詞化したもので、「飢え」「空腹感」という意味を持ちます。一緒に覚えておくのがおすすめです。この目標は「飢餓に終止符を打ち、食料の安全確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する」ことを方針としています。以下で詳しく見ていきましょう。・Goal2の問題“A third of the world’s food is wasted, yet 821 million people are undernourished.”「世界の食料の3分の1が廃棄されているにもかかわらず、8億2100万人が栄養不良に陥っている。」栄養不足の人が多いことは、とても深刻な問題となっています。また、栄養不足となっている人々がいる一方で、多くのフードロスが起こっているというのも、格差問題を表していると言えるでしょう。【その他の和訳】・“waste”:「無駄にする」・“undernourished”:「栄養不良の」・Goal2の解決策“Waste less food and support local farmers.”「食べ物を無駄にせず、地元の農家を支援する。」私たちにできる解決策のひとつは、フードロスをなくすことです。フードロスは、生産にも廃棄にもエネルギーを使うものの、最終的には何にもならないという非常にもったいない行為です。適切な分だけを購入・消費することで、まんべんなくすべての人に食料がいきわたるよう気遣いましょう。ほかにも、地産地消を意識することで、地元の農家さんの持続可能な農業運営に貢献できます。Goal 3. Good Health and Well-Being3つ目の目標は “Good Health and Well-Being”〈グッド・ヘルス・アンド・ウェルビーイング〉「すべての人に健康と福祉を」です。“well-being” は「幸福」「健康」という意味で、身体的・精神的・社会的に満たされている状態をさします。「幸福」という意味を持つ類義語に “happiness”・“welfare”・“pleasure” などがありますが、 “well-being” には個人の内面に根ざした「持続的な幸福」というニュアンスがあります。この目標は「あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」ことを方針としています。それでは具体的に見ていきましょう。・Goal3の問題“As of May 2022, more than 80 per cent of people had received at least one dose of a vaccine in high-income countries but the proportion is only about 17 per cent in low-income countries.”「2022年5月現在、高所得国では80%以上の人がワクチンを1回以上接種しているが、低所得国ではその割合は17%程度にとどまっている。」健康を維持するために必要なワクチンを例にしていますが、国ごとに接種率が異なっています。この状況はSDGsの「誰一人取り残さない」という方針にも沿っておらず、誰もが摂取できるように仕組みを整えていく必要があります。【その他の和訳】・“dose”:「接種」・“vaccine”:「ワクチン」・Goal3の解決策“Vaccinate your family.”「家族でワクチンを打つ。」私たちにできることは、まず身近な人からワクチンを摂取するよう促すことです。この意識が世界中に広まり仕組みが整備されれば、すべての人がワクチンを摂取できるようになり、その他の健康福祉についても全員が享受できるようになるでしょう。Goal 4. Quality Education4つ目の目標は “Quality Education”〈クオリティ・エデュケーション〉「質の高い教育をみんなに」です。“quality” は「高品質の」という形容詞です。「品質」そのものを表す名詞として用いられることもあります。この目標は「すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ことを方針として掲げています。それでは以下で詳しく見ていきます。・Goal4の問題“617 million children and adolescents lack minimum proficiency in reading and mathematics.”「6億1700万人の子供と若者が、最低限の読解力と数学の能力に欠けている。」教育を受けられていない子供の多くは、貧困の家庭で育っています。貧困の中で親の仕事を手伝い教育を受けられず、結果として安定した職に就けないため貧困から抜け出せないというサイクルにいるのです。このサイクルを打破するには、質の高い教育を受けることが必要不可欠ですが、個人の力だけで解決するのは難しい問題です。そのため、国際社会全体で教育の機会を創出する必要があります。【その他の和訳】・“adolescents”:「青少年」「若者」・“proficiency”:「習熟度」「熟達」・Goal4の解決策“Help educate the children in your community.”「地域の子どもたちの教育に貢献する。」1人1人にできる解決策としては、地域の子供たちの教育活動に積極的に関わっていくことです。難しいことは教えられずとも、一緒に本を読んだり、簡単なお金の計算をしたりするなど、子供とのコミュニケーションの中で基本的な能力を伸ばすことが問題解決に繋がります。Goal 5. Gender Equality5つ目の目標は “Gender Equality”〈ジェンダー・イクオリティ〉「ジェンダー平等を実現しよう」です。“gender” は「性」「性別」という名詞です。生物学的な性を表す “sex” とは違い、社会的な性別を表します。“equality” は「平等」という名詞で、これを形容詞にしたものが「平等な」という意味の “equal” です。この目標では「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」が方針として示されています。以下で詳しく見ていきましょう。・Goal5の問題“1 in 3 women has experienced physical and/or sexual violence.”「女性の3人に1人が身体的・性的暴力を受けた経験がある。」1 in 3 で「3人に1人」「3人の中の1人」という意味です。Goal5の問題では、多くの女性が性的な差別を受けていることが分かります。性別に関係なく、すべての人が幸せに生きられる社会を構築していく必要があるのです。【その他の和訳】・“experience”:「経験する」・“violence”:「暴力」・Goal5の解決策“Empower women and girls and ensure their equal rights.”「女性と女児に力を与え、その平等な権利を確保する。」男女間で格差のある慣行が続いていたり、女性に不利なルールなども存在したりします。そういった慣行やルールを是正し、性別によらず平等な権利を保証することが解決に繋がるでしょう。【その他の和訳】・“empower”:「力を与える」「権限を付与する」・“ensure”:「保証する」「確保する」Goal 6. Clean Water and Sanitation6つ目の目標は “Clean Water and Sanitation”〈クリーン・ウォーター・アンド・サニテーション〉「安全な水とトイレを世界中に」です。“sanitation” は公衆衛生という名詞です。目標6では、「すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する」という方針のもと、公衆衛生をはじめとして、水に関わる幅広い目標が定められています。・Goal6の問題“Water scarcity affects more than 40% of the world’s population.”「水不足は、世界人口の40%以上に影響を及ぼしている。」深刻な水不足に苦しむ地域はたくさんあります。清潔な水が得られないことで、病気にかかる人も多くいるのが現状です。健康的に生活するには清潔な水が必要不可欠だということが分かります。【その他の和訳】・“scarcity”:「欠乏」「不足」・“population”:「人口」・Goal6の解決策“Avoid wasting water.” 「水の無駄遣いをしない。」私たちにできることは、無駄遣いを減らすことです。水道から出てくる水も、有限で貴重な資源だということを意識しましょう。【その他の和訳】・“avoid”:「避ける」「防ぐ」Goal 7. Affordable and Clean Energy7つ目の目標は “Affordable and Clean Energy”〈アフォーダブル・アンド・クリーン・エナジー〉「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」です。“affordable” は「手ごろな」「入手できる」という形容詞で、誰にでも手が届くというニュアンスを持ちます。“clean energy” というのは、エネルギーを作り出すときに環境に負荷がかからない「きれいな」エネルギーのことを指しています。この目標は「すべての人に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」ことを方針としています。以下、具体的に見ていきましょう。・Goal7の問題“Three billion people still lack clean cooking fuels and technologies.”「今も30億人の人々にクリーンな調理用燃料や技術が不足している。」“billion” は「10億」を意味するので、“three billion” は「30億」を表します。必要な分のクリーンエネルギーがたくさんの人々に届けられていないことは、とても重要な問題と言えます。また持続可能な開発のための再生可能エネルギーの生産も、まだまだ足りていないのが現状です。【その他の和訳】・“fuels”:「燃料」・Goal7の解決策“Use only energy-efficient appliances and light bulbs.”「エネルギー効率の良い電化製品や電球のみを使用する。」私たちにできることは、エネルギーを効率よく使うことです。効率の良い電化製品や電球を使うことで、その分のエネルギーを他の人に届けることができます。身の回りの電化製品を見直してみましょう!【その他の和訳】・“appliance”:「電化製品」Goal 8. Decent Work and Economic Growth8つ目の目標は “Decent Work and Economic Growth”〈ディセント・ワーク・アンド・エコノミック・グロウス〉「働きがいも経済成長も」です。“decent” は「よい」「適切な」という形容詞です。“Decent Work” には仕事を単なる労働としてでなく、人間としての生活を守るためのものという意味合いが含まれています。この目標では「すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディセント・ワークを推進する」ことが方針とされています。以下で詳しく見ていきましょう。・Goal8の問題“One fifth of young people are not in education, employment or training.”「若者の5分の1は、教育、雇用、訓練のいずれにも携わっていない。」“one fifth” は「5分の1」を表します。このように数字+序数(何番目かを表す数字)で分数を表すことができ、例えば “two thirds” では「3分の2」という意味になります。 世界の中の5人に1人が仕事に就けていないということがGoal8の問題によって分かります。これからの未来をつくっていく若者がその力を存分に発揮できていないと、持続可能な社会をつくっていくことは不可能です。働く場所や環境を整えていく必要があると言えます。【その他の和訳】・“employment”:「雇用」・Goal8の解決策“Create job opportunities for youth.”「若者の雇用機会を創出する。」若者が働きたいと思う環境を整備することが必要です。例えば、フレキシブルな働き方を許容したり賃金のシステムを見直したりと、これまでの環境を見直して新たな仕事形態を模索していくことが求められます。【その他の和訳】・“opportunities”:「機会」Goal 9. Industry, Innovation and Infrastructure9つ目の目標は “Industry, Innovation and Infrastructure”〈インダストリー・イノベーション・アンド・インフラストラクチャー〉「産業と技術革新の基盤を作ろう」です。“industry” は「産業」、“innovation” は「技術革新」、そして “infrastracture” は「社会基盤」という意味を持ちます。この目標は「強靱なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業を推進するとともに、技術革新の拡大を図る」ことを方針に定めています。以下、具体的に見ていきます。・Goal9の問題“Roads, water, sanitation and electricity remain scarce in many developing countries.”「道路、水、衛生設備、電気は、多くの途上国で依然として不足している。」産業を発展させるには、その基礎となるインフラを整備することが最低条件です。しかし多くの途上国ではこのインフラが整備されておらず、そのために産業も発達させることができていません。【その他の和訳】・“remain”:「依然として」「とどまる」・“developing countries”:「発展途上国」・Goal9の解決策“Fund projects that provide basic infrastructure.”「基本的な社会基盤を提供するプロジェクトに資金を提供する。」“fund” も “provide” も提供するという意味を持ちますが、“fund” は投資的な意味合いを持ち、“provide” はものやサービスを提供するという意味です。 インフラの整備不足を解決するためには、基礎となる資金を提供していく必要があります。結果として産業が発達すれば、資金を提供した側も取引先が増えることでメリットに繋がるのです。資金提供をすることで、お互いに持続可能な産業形態を構築することが出来ます。Goal 10. Reduced Inequalities10個目の目標は “Reduced Inequalities”〈リデューストゥ・インイクオリティーズ〉「人や国の不平等をなくそう」です。“reduce” は「減らす」という動詞です。“inequalities” は、目標5で紹介した “equality” に否定を表す接頭語の “in” を加えて「不平等」という意味になります。“equality” と合わせて覚えておきましょう。この目標は「国内および国家間の格差を是正する」ことを方針としています。以下で詳しく見ていきます。・Goal10の問題“The poorest 40% of the population earn less than 25% of global income.”「最貧困層の40%は、世界所得の25%以下しか得ていない。」世界の4割の人々の所得を足しても、世界全体の所得の4分の1にしかなりません。これは一部の高所得の人たちが、世界所得の大部分を占めていることも意味します。一部の人が富を独占するのでなく、世界中の人々が幸せに生活できるぐらいの富を共有できるように努力する必要があります。【その他の和訳】・“earn”:「稼ぐ」・“income”:「収入」・Goal10の解決策“Support the marginalized and disadvantaged.”「社会から疎外され、不利な立場に置かれた人々を支援する。」生まれながらに不遇な環境の中にいたり、障害を持っていたりするなど、社会の中で不利な立場に置かれている人は多くいます。どんな人でも平等に生活が出来るよう、精神的な面や金銭的な面で支援の輪を広げることが、平等な世界をつくるための第一歩になります。【その他の和訳】・“marginalized”:「社会的に無視された」・“disadvantaged”:「(社会的に)恵まれない」「不利な条件に置かれた」Goal 11. Sustainable Cities and Communities11個目の目標は “Sustainable Cities and Communities”〈サステナブル・シティーズ・アンド・コミュニティーズ〉「住み続けられるまちづくりを」です。“cities” は「都市」、“communities” は「地域社会」という意味になります。都市開発の面だけでなく地域社会という面からも、持続可能なまちづくりを考えていく必要があります。この目標は「都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靱かつ持続可能にする」ことを方針としています。以下で見ていきましょう。・Goal11の問題“9 out of 10 urban residents breathe polluted air.”「都市に住む10人のうち9人は、汚染された空気を吸っている。」“9 out of 10” は「10人中9人」を表しています。“A out of B” で「BのなかのA」と言う意味になるため覚えておきましょう!自動車から出る排気ガスなどにより、都市の空気は汚れています。このままでは健康を害し、その都市で持続可能な生活を送ることは不可能です。持続的に都市を発展させるためにも、都市環境について考える必要があります。・Goal11の解決策“Bike, walk, or use public transportation.”「自転車、徒歩、または公共交通機関を利用する。」自動車から出る排気ガスは空気汚染の原因のひとつです。代わりに自転車や公共交通機関を利用することで、都市環境を守ることができます。移動手段を徒歩にすることで自身の健康増進にもなるため、自分も周りも持続可能な生活を送ることができます。【その他の和訳】・“public transportation”:「公共交通機関」Goal 12. Responsible Consumption and Production12個目の目標は “Responsible Consumption and Production”〈レスポンシブル・コンサンプション・アンド・プロダクション〉「つくる責任 つかう責任」です。“consumption” は「消費」、“production” は「生産」を意味する名詞です。なじみのある関連語句として、“consumer”「消費者」があります。この目標は「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」ことを方針として掲げています。以下で詳しく見ていきましょう。・Goal12の問題“By 2050, the equivalent of almost three planets could be required to sustain current life styles.”「2050年までに、現在の生活スタイルを維持するために、ほぼ惑星3個分のエネルギーが必要となる可能性がある。」現代の生活では、地球だけでは足りないほどの大量のエネルギーを消費してしまうということです。これでは持続可能な社会とはいえません。早急に、「大量生産・大量消費」のような生活スタイルを見直す必要があります。【その他の和訳】・“equivalent”:「同じ」「相当する」・“require”:「必要とする」・“current”:「現在の」・Goal12の解決策“Recycle paper, plastic, glass, and aluminium.”「紙、プラスチック、ガラス、アルミをリサイクルする。」解決策の1つとして、資源のリサイクルが挙げられます。有限な資源をすぐに廃棄せずに繰り返し使うことで、持続可能な生産・消費に繋がります。その他にも不要な分はつくらない「リデュース」、繰り返し使う「リユース」など、資源を無駄にしない取り組みが必要となってきます。Goal 13. Climate Action13個目の目標は “Climate Action”〈クライメート・アクション〉「気候変動に具体的な対策を」です。“climate” は「気候」という名詞です。“climate change”「気候変動」という単語もよく使うので覚えておくといいでしょう。この目標は「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」ことを方針として掲げています。以下で詳しく見ていきましょう。・Goal13の問題“Global emissions of carbon dioxide (CO2) have increased by almost 50% since 1990.”「世界の二酸化炭素(CO2)排出量は、1990年からほぼ50%増加している」気候変動の主な要因とされている二酸化炭素ですが、現在も増加を続けています。このままではさらに二酸化炭素排出量が増え、地球温暖化をはじめとする様々な気候変動を止めることが出来ません。早急に具体的な対策をとることが求められています。【その他の和訳】・“emission”:「排出量」「放出」・“increase”:「増加する」・Goal13の解決策“Act now to stop global warming.”「地球温暖化を食い止めるために、今すぐ行動する。」多くの人が地球温暖化について知っていても、具体的に行動に移している人はまだまだ少ないのが現状です。具体的に行動すると言っても、これまでに紹介してきた持続可能な社会への取り組みが、そのまま地球温暖化を食い止める行動になります。「リサイクルをする」「自転車や公共交通機関を使う」など、小さな行動でもまず行動に移すことが重要です。【その他の和訳】・“global warming”:「地球温暖化」Goal 14. Life Below Water14個目の目標は “Life Below Water”〈ライフ・ビロウ・ウォーター〉「海の豊かさを守ろう」です。“below” は「~の下」などという意味合いを持つ前置詞です。直訳すると「水面下の命」というのが、「海の豊かさを守ろう」と意訳されています。この目標は「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」ことを方針としています。以下で詳しく見ていきましょう。・Goal14の問題“Continuing ocean acidification and rising ocean temperatures are threatening marine species and negatively affecting marine ecosystem services.”「海洋酸性化の進行と海水温の上昇は、海洋生物種を脅かし、海洋生態系サービスに悪影響を及ぼしている。」プラスチックの流入問題などもあり、2009年から2018年の間には、世界で約14%のサンゴ礁が失われました。海は世界の年間二酸化炭素排出量の約4分の1を吸収し、気候変動の緩和とその影響の軽減に必要不可欠なものでもあります。そのため、海の保全は持続可能な社会の実現に向けて重要な意味を持つのです。【その他の和訳】・“temperature”:「温度」・“marine ecosystem service”:「海洋生態系サービス」・Goal14の解決策“Choose certified ocean-friendly products”「海に優しい認定製品を選ぶ」天然水産物を示す「MSC認証」や養殖水産物を示す「ASC認証」など、海にやさしく持続可能な生産物であることを保証する制度があります。こうした認証制度を指針にして製品を選ぶことで製品の需要が増え、結果として持続可能性を意識した製品が多く生産されるようになります。私たちの製品選びが、海を守ることに繋がっていくのです。【その他の和訳】・“certified”:「保証された」「公認の」Goal 15. Life On Land15個目の目標は “Life On Land”〈ライフ・オン・ランド〉「陸の豊かさも守ろう」です。目標14と同様「陸上の命」が「陸の豊かさを守ろう」というように意訳されています。この目標は「陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る」ことを方針としています。以下、詳しく見ていきます。・Goal15の問題“Forest cover fell from 31.9  per cent of total land area in 2000 to 31.2 per cent in 2020, a net loss of almost 100  million hectares.”「森林被覆は2000年の総面積の31.9%から2020年には31.2%に減少し、ほぼ1億ヘクタールの純減となる。」世界では急激に森林の数が減少し、代わりに土地の砂漠化や荒廃が進んでいます。森林は二酸化炭素を吸収し地球温暖化を軽減する役割を果たすだけでなく、持続可能な世界を実現するための生物多様性を保証する場でもあるため、森林の保全は必要不可欠なのです。【その他の和訳】・“forest”:「森林」・“net loss”:「純損失」・Goal15の解決策“Plant a tree and help protect the environment.”「木を植えて、環境保護に貢献する。」森林を守っていくには、まず失われた木を植えるのが解決に繋がります。植林活動に力を入れる企業も増えてきています。一般の人でも参加できる植林活動も多く行われているため、参加してみるのもいいでしょう。【その他の和訳】・“environment”:「環境」Goal 16. Peace, Justice and Strong Institutions16個目の目標は “Peace, Justice and Strong Institutions”〈ピース・ジャスティス・アンド・ストロング・インスティテューションズ〉「平和と公正をすべての人に」です。“institution” は「制度」「機構」という名詞です。原文の直訳では「平和、正義、そして強力な制度」となりますが、日本語では意訳されており、平和と公正をすべての人に提供するための強力な制度について考える必要があります。この目標は「持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、全ての人に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する」ことを方針としています。以下で詳しく見ていきましょう。・Goal16の問題“In 2018, the number of people fleeing war, persecution and conflict exceeded 70 million.”「2018年、戦争や迫害、紛争から逃れた人々の数は7000万人を超えた。」戦争や紛争で苦しい生活を余儀なくされる人はたくさんいます。多くは法整備が整っていない地域であったり、人権について保証されていない地域で起こっているため、まずはその整備を整えることが重要です。・Goal16の解決策“Stand up for human rights.”「人権を守るために立ち上がる。」人権は誰にも保証されるべきものですが、人権が守られていない地域も多くあります。人権を守るために1人1人が声を上げることで大きな力となり、政府や市民社会が動くきっかけになるのです。【その他の和訳】・“human rights”:「人権」Goal 17. Partnerships for the Goals17個目の目標は “Partnerships for the Goals”〈パートナーシップス・フォア・ザ・ゴールズ〉「パートナーシップで目標を達成しよう」です。この目標は「持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」ことを方針に掲げています。以下で詳しく見ていきましょう。・Goal17の問題“The share of total SDG investment that went to least developed countries decreased from 19 per cent in 2020 to 15 per cent in 2021.”「SDGsの投資総額に占める後発開発途上国への投資の割合は、2020年の19%から2021年には15%へと減少した。」持続可能な社会をつくるためには途上国の発展が重要になり、そのためには先進国などの投資が必要不可欠です。しかし、現状ではその支援が減少しています。【その他の和訳】・“investment”:「投資」・Goal17の解決策“Join/create a group in your local community that seeks to mobilize action on the implementation of the SDGs.”「地域社会でSDGsの実施に向けた行動を喚起するグループに参加したり、グループをつくったりする。」個人がSDGsへの意識を高め世の中に発信していくことで、SDGsに積極的になるべきだという世論が形成されます。結果、政府がSDGsに向けた投資を増やす可能性を高めることができるのです。他にも、こうした行動が周りに伝播して、多くの人がSDGsに取り組むきっかけになります。【その他の和訳】・“mobilize”:「動員する」・“implementation”:「実施」「履行」SDGsを詳しく学べる「Socialgoo」がおすすめここまで英語でSDGsについて学んできましたが、「この目標ってどういうこと?」「具体的ににどんな取り組みがあるの?」と思った方もいらっしゃるかと思います。本サイト「Socialgoo」では、SDGsの細かい内容や具体的な取り組みなどを、様々な記事を通して発信しています。SDGsについてもっと知りたいと興味を持たれた方は、ぜひ「Socialgoo」をチェックしてみてくださいね!まとめ本記事ではSDGsの17個の目標を、英語の原文を通して学んできました。世界で共通認識されているからこそ、SDGsは話題にもなりやすく、英語で触れる機会も多くなります。SDGsを知るため、そしてグローバルな視点で物事を考えるための英語力を養うため、SDGsを英語の原文を通して学んでみるのはいかがでしょうか。【参考サイト】・日本SDGs協会・Home | Sustainable Development ・Home - United Nations Sustainable Development

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SDGs目標12「つくる責任・つかう責任」とは?私たちにできることも解説

持続可能な世界を実現するために採択されたSDGsには17の目標と169個のターゲットがあります。その中で今回ご紹介するのは「目標12 つくる責任つかう責任」と11個のターゲットです。目標12を通じて、大量生産と大量消費が繰り返し行われている今の地球で私たちにできることは何かを考える必要があります。この記事では、地球を守るために私達ができる身近な取り組みもご紹介します!この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。SDGsの目標12「つくる責任・つかう責任」とは?SDGsにある17の目標の12「つくる責任・つかう責任」では、地球の限りある資源を守るために私達にできることを考えます。世界の人口は増え続けている中で、廃棄物の量を少しでも減らすために世界が取り組んでいること・私達にできることをご紹介します。目標12を構成する11のターゲット持続可能な生産・消費の形態を確保することが「つくる責任 つかう責任」の目指す姿です。目標12を達成するために立てられた、11個のターゲットをご紹介します。(画像:SDGs 17の目標)では、この11個のターゲットに基づき、具体的にどのようなことをすればよいのでしょうか。例えば、先進国がリーダーとなって途上国の開発の状況や対応力を考えながらすべての国が行動すること生産者からお店への流れの中で、食料が捨てられたり、失ったりする量を減らすこと。人の健康や自然環境に与える悪い影響をできる限り少なくするために、大気・水・土壌へ化学物質やごみが出されることを減らすこと。様々な企業や会社に、持続可能な取り組みや、会社の成果を報告する定期的なレポートに持続可能性についての情報を含めるように勧めること。国の政策や優先されることに従って国や自治体がものやサービスを買うときには、それが持続可能な形で行われるようすすめること。補助金や税金制度の見直しをすること。などが挙げられます。この11個のターゲットは、目標12について考えていく上で非常に重要です。このターゲットの内容を踏まえて、以下では目標12について考えていきましょう。目標12が必要な理由人類は私たちの生活を豊かにするために開発を進めてきましたが、それと同時に地球に大きな負担をかけ続けて来ました。1970年代以降、地球の生態系が1年間に生み出すことが出来る資源の量より、人類全体が1年間暮らしていくために消費する資源の量のほうが多い状態です。現在、人類全体の生活を支えるには、地球が1.75個必要だとも言われています。(Global Footprint Networkより)危機的状況に陥っている地球を100年、200年先にもより良い状態で残せるように私たちは努力しなければなりません。そのために、目標12「つくる責任 つかう責任」を通してわたした達にできることを考え、取り組む必要があります。現在も起きている食料問題現在、世界的に食品ロスが深刻です。食品ロスとは、本来食べることが出来るのに、捨てられてしまう食品のことを指します。実は、世界で生産されている食料のうち約40%は処分され、その量は25億トンにも及んでいるのです。しかし、これだけの廃棄が行われているにも関わらず世界では10人に1人が飢餓に苦しみ、先進国と発展途上国との間で食のギャップが起きています。また、将来的には先進国・発展途上国の両方で食料不足が発生すると言われているのです。現在も人口は増え続けており、「世界人口推計2022版」 によると今後は、約85億人(2030年)→97億人(2050年)→約104億人(2080年)と増加し続けるとの推計が発表されています。人口の増加により、世界的な貧困・飢餓・栄養不良の増加が危惧されるため、世界全体で食糧・飼料・バイオ燃料の増産が必要であるとの推計を国連は発表しています。天然資源問題現在の生活を続けていくと、地球の天然資源のほとんどが100年以内に尽きてしまいます。私たちが普段利用するスマートフォンや、車・家電製品を作るために必要な資源が尽きてしまうことは非常に深刻な問題です。天然資源は物質ごとに分類されますが、ここでは水・土地・鉱物・森林の4つの観点から現在抱えている問題点を見ていきたいと思います。水資源日本には豊富な水源があるため、安全に管理された飲み水を得ることができます。しかし、世界では20億の人々が管理された水を利用することができていません。日本では十分に利用できる水資源がありますが、年平均気温がこの100年間で約1.30℃の割合で上昇していたり、異常少雨・異常多雨により河川の流れの変動が起きやすくなり、たびたび渇水も発生したりしています。これが原因で、水道水の断水・減圧給水などが起き、私たちの生活に影響が出ているのです。また、工業用水の不足で、農作物の成長不良・枯などの被害も発生し、特に、近年では渇水が頻発しています。そのため、各地で安定的な水資源の供給ができず、今後さらにその被害は増えると懸念されています。土壌資源世界の土壌資源は減少し続け、2050年には、1人当たりの耕作可能地が1960年の4分の1になると予測されています。土壌劣化の原因には、温暖化・塩害・人口増加などが関係ありますが、実は、今地球上にある土壌資源のうち33%はすでに劣化しているとの発表もあります。土壌資源の劣化・減少は、飢餓や貧困に苦しむ約8億人の人々に多大な影響を与えてしまいます。森林資源日本は世界有数の森林大国であり、森林面積は国土面積の3分の2にも当たります。ですが、豊富な森林資源は紙・建築材料など幅広く使用されるため伐採により一時期は森林の減少が問題視されました。森林資源を消費するだけでは、いずれ枯渇してしまうという問題が浮き彫りになり、天然の森林の保全・人工林の拡大が行われてきました。現在では日本国内の森林面積のうち半分が人工林となっているのです。鉱物資源日本は鉱物資源のほとんどを日本国内で獲得することができないため、ベースメタル・レアメタルなどの鉱物資源のほぼすべてを輸入に頼っています。そのうち、中南米やアフリカなどの政治リスクがある国から鉱物を産出・輸入しており、世界情勢と鉱物資源によっては安定的な供給を確保できない可能性があるのです。それに備えて、レアメタルの再利用や備蓄を行っています。※ベースメタル・・・銅・鉛・亜鉛・鉄・スズ・ボーキサイト(アルミニウム)※レアメタル・・・チリウム・マグネシウム・チタン・クロム・マンガン・コバルト・ニッケル・レアアースなどサーキュラーエコノミーへの転換が望まれる サーキュラーエコノミーとは「循環型社会」のことです。経済活動の中で廃棄されてきた製品や原材料などを「資源」として考え、リサイクル・再利用を行い、資源を循環させる新しい経済システムです。このシステムにより、廃棄物を最小限に抑え、新しい資源の利用も最小限にすることができます。このシステムは、持続可能な経済・産業への転換を可能とする経済形態として注目が集まっています。では、なぜサーキュラーエコノミーへの転換が必要なのでしょうか。人口も増え、1人あたりの豊かさも増えれば、その生活を維持するために必要な資源の量も増加します。しかし、その資源を生み出す地球は1つしかありません。現在の資源の使い方を見直さずにい続けると、いつか限りある資源は枯渇してしまいます。地球を残すために、サーキュラーエコノミーへの転換はとても重要です。目標12に対する取り組み事例過剰な生産・消費・廃棄活動によって生じる「資源の使いすぎ」の問題を解決するために目標12は掲げられました。この問題を解決するために、日本や世界が取り組んでいる具体的な事例をご紹介します。日本の取り組み事例・ファーストリテイリンググループ(画像:GU Sustainability / THE POWER OF CLOTHING)ユニクロ・GUを運営するファーストリテイリンググループでは、服のリサイクルに力をいれています。購入者が不要になった洋服を店舗のリサイクルボックスで回収し、服を必要としている人々に届ける「全世界リサイクル」を導入しているのです。再使用できない服は、燃料やダウンの素材に加工・リサイクルして活用しています。この企業は、ファッション業界の先駆けとして、SDGsの目標12の達成にむけて積極的に取り組んでいます。・株式会社セブン&アイホールディングス(画像:GREEN CHALLENGE 2050)セブンイレブン・イトーヨーカドーを運営するセブン&アイホールディングスでは2019年5月に環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」を定めました。この宣言では、以下のような取り組みを行っています。プラスチック対策(店頭でのペットボトル回収を行い、資源を循環させる)食品ロス対策(消費者が必要な分だけ購入できるよう、バラ売りや小分けパックを導入する)食品リサイクル対策(販売期限の近い商品にポイントを付与することで購入を促す。)これらの取り組みはサプライチェーン全体の最適化と食品ロス削減の取り組みが高く評価されており、経済産業省の「サプライチェーン イノベーション大賞 2020」において優秀賞と特別賞を受賞しています。世界の取り組み事例AppleiPhoneやiPadなどでよく知られるApple社は、世界のデジタルライフを牽引するアメリカのテクノロジー企業です。Appleでは地球から採掘される素材を減らすために、リサイクル活動に力を入れています。例えば、ユーザーが使い終わったiPhoneをはじめとする同社製品を回収し、リサイクル素材や再生利用可能な資源のみを使って製品を作る、循環型サプライチェーンモデル「クローズドループ」を採用しています。このようにAppleでは、一度使ったら終わりではなく、循環型のループを継続させていき、最終的には製品の長寿化を目指しているのです。LEGO(画像:LEGO)デンマークのおもちゃメーカーであるLEGOでは、2030年までに自社のブロック商品を持続可能な素材に代替えするという目標を発表しました。例えば、サトウキビ由来のポリエチレン製レゴブロック「ツリーハウス」を販売したり、使用済みペットボトルを再利用したレゴブロックの試作品を発表したりと、サステナブルを強く意識した商品開発に取り組んでいます。また、不要になった使用済みブロックの寄付・再利用を行うためのプログラム「LEGO Replay」をアメリカ限定で実施しています。さらには、手元にあるレゴブロックを捨てずに、教育団体を通じて寄付を行い使いたい子どもたちの手に送料無料で譲ることが出来る制度も実施しているのです。デンマークのおもちゃメーカーであるLEGOでは、2030年までに自社のブロック商品を持続可能な素材に代替えするという目標を発表しました。例えば、サトウキビ由来のポリエチレン製レゴブロック「ツリーハウス」を販売したり、使用済みペットボトルを再利用したレゴブロックの試作品を発表したりと、サステナブルを強く意識した商品開発に取り組んでいます。また、不要になった使用済みブロックの寄付・再利用を行うためのプログラム「LEGO Replay」をアメリカ限定で実施しています。さらには、手元にあるレゴブロックを捨てずに、教育団体を通じて寄付を行い使いたい子どもたちの手に送料無料で譲ることが出来る制度も実施しているのです。目標12達成に向けて私たちにできること地球全体が目標12の達成のために取り組んでいます。一方で、私たちの私生活の中で目標達成のために出来ることは何でしょうか。7つに分けてご紹介します。1.賞味期限と消費期限の違いを知る賞味期限と消費期限の具体的な違いはすでにご存知でしょうか?加工食品(一部を除く)には必ず、消費期限か賞味期限のどちらかが表示されています。この2つはそれぞれ意味は少し違いますが、食品を安全においしく食べることが出来る期限を表しています。賞味期限賞味期限は、品質が変わらずに美味しく食べることが出来る期間のことです。しかし、この期限を過ぎてしまっても、すぐに食べられなくなるわけではありません。色・におい・味などを確かめて、異常がなければ食べることができます。この賞味期限は、袋や容器を開封していない状態での期限なので、一度開封してしまった食品は期限に関係なく早めに消費しましょう。消費期限消費期限は、安全に食べられる期間のことです。主に、お弁当・サンドイッチ・生麺・ケーキなどの、いたみやすい食品に表示されています。この表示をよく確認し、この期限を過ぎたら食べないようにしましょう。この2つの期限を意識して、期限の近い・短いものから積極的に消費・購入をすることで食品ロスを少しづつ減らしていくことができます。2.食材を買いすぎず、買ったら使い切る値段が普段より安く売られていたり、普段なかなか売っていないものが売られているのを見つけたりするとついつい買いすぎてしまうことがあります。しかし、使い切れない量の買い物は食品ロスにつながってしまう可能性が高いです。使い切れない量は買わない、買ったら使い切る。これを忘れずに、買い物をし、消費をしましょう。3.本当に必要なものだけを買う衣服は、ファッション大量廃棄問題として深刻な社会問題です。そこで、最近注目されているのが「洋服のサブスク」です。(画像:air Closet)例えば、「air Closet」では月額料金でスタイリストが選ぶ洋服をレンタルすることができます。また、就活時にしか使わないリクルートスーツのレンタルなどができるサービスも注目されています。食品であれば、買い物に行く前に冷蔵庫の中身を確認しましょう。必要なものだけを買い、余分な買い物を防ぐことができます。4.購入先を検討する商品を購入する際に、2つ意識したいことがあります。1つは認証マークです。FSC認証やMSC認証などの、適切な管理体制のもとで調達されたことが証明されている商品を選んでみましょう。これによって、その取組をしている事業者や団体を間接的に応援することができます。2つ目は地産地消です。スーパーなどで食品を購入する際は、地元の出荷者さんの商品を積極的に購入してみませんか?地産地消は、地元の農業の活性化や農産物を運ぶ距離が短くなるので、エネルギーとCO2排出量の削減に繋がります。環境・生産者・消費者・地域経済にメリットがある地産地消を日々の買い物で意識してみましょう5.自然素材のものを購入する自然素材のものを購入することで、環境を守ることに貢献できます。植物・動物などの再生可能な資源から作られているので、持続的に使うことができます。また、使用後に廃棄したとしても、燃やした際に発生する二酸化炭素は大気中に戻るだけなので、地球温暖化の原因となる二酸化炭素が発生することはありません。また、限りある化石資源を使わないため、化石資源を節約することができます。6.マイバッグ・マイボトルを使う捨てるものを減らすために、直結して貢献できるのがマイバッグ・マイボトルを使うことです。レジ袋やペットボトルによるプラスチックごみの海洋汚染は、非常に深刻で大きな問題です。さらにプラスチックごみを焼却する際には温室効果ガスが発生してしまいます。使い捨ては便利な反面、環境に大きな悪影響をもたらしています。自分のお気に入りのマイバッグ・マイボトルを使って、愛着を持ちながらSDGsの目標達成に貢献してみませんか?7.エシカル消費を心がける商品が作られる過程に配慮して商品を購入・消費することをエシカル消費といいます。では、具体的にエシカル消費とは何をすればいいのでしょうか。販売されている商品の生産過程では、人権侵害・児童労働・環境破壊など、これらの問題を経ているかもしれません。そこで、エコマーク・国際フェアトレード認証ラベルのある商品を積極的に購入することがエシカル消費につながります。どのマークにどんな意味があるのか調べてみて、お買い物の際に意識してみましょう。SDGsを詳しく学べる「Socialgoo」がおすすめSDGsに関する活動をもっと知りたいという方におすすめな「Socialgoo(ソシャグ)」。ソーシャルグッド(社会にとって良いサービスや活動)に特化したメディアであり、プロボノやSDGsへの取り組み事例など様々な情報を掲載中です。ぜひ会員登録をして他の記事もチェックしてみてください!まとめSDGs目標12の達成のために私たちにできることは何か、具体的にご紹介してきました。日々の買い物には、環境を守ることに繋がる機会がたくさんあります。買う時に一瞬でも、「この商品は環境にダメージを与えていないかな」「本当に今買わないといけないものなのかな」と考えるようになるだけでも、大きな一歩です。ぜひ、日々のお買い物を、自分にも環境にもいい有意義なものにしてみてはいかがでしょうか?

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ペーパーレスでSDGsに貢献!関連するゴールや取り組み事例もご紹介!

この記事では、SDGsとペーパーレスの関連性や、ペーパーレス実現に向けた取り組みについてご紹介します。近年、テレワークの普及やクラウドサービスの発達に伴い、企業においてペーパーレスが注目を集めています。ですが、ペーパーレスに取り組んだところで、どんな恩恵があるのか疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか?実はペーパーレス化を推進することで、SDGsに貢献することができるのです。ペーパーレスによってSDGsに最大限貢献するためには、メリット・デメリットと具体的な進め方を把握しておく必要があります。ペーパーレスに興味がある方も、既に取り組んでいる方も、ぜひこの記事を参考にペーパーレスについて理解を深めましょう。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。ペーパーレスとSDGsの関係SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。持続可能とは、将来世代のニーズを損なうことなく今の世代のニーズを満たすことを指します。SDGsにはいくつかの目標があり、例えば自然環境の保全、経済問題への対策などです。SDGs達成のための取り組みはたくさんありますが、身近な試みとしてペーパーレスの実現があります。ペーパーレスとは実際に何をすることなのか掘り下げていきましょう。ペーパーレスとは?ペーパーレスとは、紙媒体をデジタル化して保存・活用することです。ビジネスでは、紙で運用していた書類・文書を電子化することを指します。近年では、クラウドサービス・電子契約サービス・勤怠管理システムなど、ペーパーレスを支援するサービスが提供されています。身近な例では、切符の代わりに交通系ICカードを利用することや、紙の本の代わりに電子書籍を読むこともペーパーレスに当たります。ペーパーレスとSDGsの関連目標SDGsでは持続可能な開発を進めるため、様々な分野にまたがって17の目標が掲げられています。ペーパーレスがどの目標と関連するのか見ていきましょう。目標12「つくる責任 つかう責任」SDGsの目標12では、資源の使いすぎとゴミの増加を防止すること、持続可能な方法で生産・消費することを目指しています。具体的には、天然資源の持続的な管理と効率的な利用の達成、廃棄物の大幅な削減などの目標があります。紙を作るためには大量の植物の繊維が必要になるため、ペーパーレスに取り組むことで天然資源の利用を削減することができます。また、使い終わった紙の資料をシュレッダーにかけてそのまま廃棄することはゴミの増加につながってしまいますが、ペーパーレスによって紙ゴミをなくすこともできるのです。目標13「気候変動に具体的な対策を」SDGsの目標13では、地球温暖化による気候変動の影響を軽減することを目指しています。日本で2020年度に排出された二酸化炭素排出量は10億4,400万トンにものぼり、国別で比較すると世界で5番目に排出量が多い国となっています。紙を作るには原材料となる樹木を伐採する必要があります。これは二酸化炭素を吸収できる森林の破壊でもあり、森林が減った分、吸収されない二酸化炭素が増えてしまうのです。さらに、紙の廃棄には焼却が必要になるため、紙を利用すればするほどCO2排出量の増加を促すことになります。目標15「陸の豊かさも守ろう」SDGsの目標15では、森林のような陸上の資源の持続可能な利用を目指しています。日本では地方の森林伐採がもたらす生態系の破壊や、林業の担い手の高齢化による森林管理者の減少が問題になっています。ペーパーレスによって紙の使用量が減少すれば、それだけ森林を伐採する必要がなくなるため、陸の環境保全につながるのです。ペーパーレスのメリット5選ペーパーレスはSDGsと大いに関連がある取り組みであることがわかりましたね。実際にペーパーレスを実践することになったとき、企業にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。業務効率化紙の資料や精算書を作成・閲覧するときの手間や時間はペーパーレスによって削減できます。業務を効率化することで以下のようなメリットがあります。・大量の書類の印刷や面倒な整理の時間を省くことができる・キーワード検索で書類から必要な情報を瞬時に探し出せる・校正ツールによって誤字・脱字や変換ミスをチェックし、簡単に修正できるコスト削減紙を使用しないことで、印刷や郵送にかかる費用を削減することができます。労務管理システムなどの提供を行うアマノ株式会社の調査によると、従業員100人の企業では紙の印刷代だけで年間40万円程度かかる計算です。ペーパーレスによるコストダウンは想像以上に大きくなるかもしれません。以下はペーパーレスによって削減できる主なコストです。・印刷代・印刷機のトナー代・用紙代・印刷機のメンテナンス費用・書類や精算書の郵送費用・紙の保管スペースにかかる費用多様な働き方への対応新型コロナウイルス感染症の流行によってリモート出勤が当たり前になりましたね。それまで書類での情報共有や印鑑を使った承認を行なっていた場合、書類を直接手渡しできないことに困った方も多いのではないでしょうか?書類を電子化することでクラウドにファイルを保存することでいつでもどこでも閲覧できるため、情報共有を容易にできるのです。また、「電子印鑑」による承認や電子契約サービスを導入すれば、実物の印鑑がなくても承認・決済が行えるようになります。ペーパーレスはテレワークの推進に不可欠な取り組みであると言えます。いつでもどこでも書類にアクセスしたり編集したりできるため、働き方の多様化にもつながるのです。セキュリティの強化ペーパーレスによってセキュリティも強化されます。従来の紙の書類を保護するためには、わざわざ鍵付きのキャビネットを購入したり保管庫に鍵をかけたりと物理的なセキュリティ対策が求められました。一方で書類を電子化すると、パスワードやアクセス権を設けることで部外者の閲覧や改ざんのリスクを防ぐことができます。うっかり置き忘れて情報が漏洩してしまう心配もありません。企業イメージの向上近年、企業は利益の追求ばかりでなく、企業の活動が社会に与える影響に責任を持つべきであるとする考え方が主流になってきています。ここまでに紹介した通り、ペーパーレスはSDGsとも関連があります。ペーパーレスに取り組むことで、SDGsに対する意識の高さをアピールすることができるのです。環境問題やサステナビリティに積極的に取り組む企業として、イメージの向上につながります。ペーパーレスのデメリット4選ペーパーレスにはSDGsに貢献するだけでなく、企業にとって様々なメリットがあることをご紹介してきました。ですが、ペーパーレスの推進はメリットばかりではありません。ペーパーレスを効率的に進めるには、デメリットも理解し対策を設けることが必要です。資料全体の把握が難しい会議に必要な書類を電子化されたもので見せるときに、資料全体の把握が難しく不便さを感じるかもしれません。PCや会議室のスクリーンで映す画面のサイズによっては資料が見づらくなる可能性があります。例えば、PCの画面より大きいサイズの資料をデータ化したとき、原寸大で全体を表示することは不可能です。大きな画面の全体像を一度に映せなかったり、複数のファイルを見たいときには一々画面を切り替えたりファイルを探したりする必要もあります。導入コストがかかるメリットとしてコスト削減をご紹介しましたが、ペーパーレスを実現するためにも導入コストが必要になります。電子データを利用するためには、ファイルの管理や共有のためのシステムを作り、厳重なセキュリティをかける必要があります。サーバーやソフトウェア、膨大な容量が必要になるならクラウドストレージを随時購入しなければなりません。従来紙の書類を使用していた場合や取引先が紙を使っている場合は、スキャン機器の購入も不可欠です。資料全体の把握しにくいというデメリットをカバーするためには、ディスプレイをたくさん入手する必要があります。システム障害や機器故障の影響を受ける電子化されたデータには、経年劣化や災害による消失の恐れはありません。ですが電子データを保存する電子機器も、何らかの原因で故障したりシステム障害を受けたりする可能性は大いにあります。データを管理するPCがウイルスに感染すると、最悪の場合データが全て消えたり漏洩してしまうかもしれません。ペーパーレスのための電子化が進んでいるほど、これらの影響は大きくなります。ITスキルが求められる電子書類を共有するためには、社員全員がその閲覧方法や編集方法を把握している必要があります。ですが人によってはサーバーやソフトウェアの使い方がわからず、一から関連するITスキルを身につけなければなりません。ITリテラシーが高い社員や専門家が使い方を教える必要がありますが、分からないことを逐一解決するには教える側にも教えられ側にもストレスになるでしょう。誰にでも利用できるツールを導入することにしても費用がかかります。ITスキルを社員が身につけるためにも手間と時間や費用がかかることはペーパーレスのデメリットであると言えます。ペーパーレスを実現するためのポイント3選ペーパーレスを実現するためには、デメリットへの対策を練りつつメリットを最大限活かす必要があります。ここからは、ペーパーレスの進め方のポイントをご紹介します。ペーパーレスについての理解を深めるペーパーレス実現のためには、メリットを正しく広める必要があります。初期投資や導入の手間などペーパーレスに対してネガティブなイメージを持つ人も多いでしょう。費用や手間に見合った効果や、長期的に見たコストダウンがどれくらいになるのか割り出してみることをおすすめします。特に経営陣に理解してもらうことは不可欠なので、働き方の多様化や企業イメージの向上といった企業全体が受ける恩恵をアピールしましょう。もちろん、他人にメリットを教えるためには、発信する側もペーパーレスの効果について理解を深めましょう。段階的に進めるペーパーレスの導入を一気に進めてしまうと、対応する側の負担が大きくなり、ペーパーレスへの意識が低くなって費用対効果を見込めない可能性があります。電子データに移行したい書類を洗い出し、試しに会議の資料など特定の書類を電子データへ移行してみると良いです。複数の社員に、ペーパーレスへの取り組みを始めていることや、使いやすさをアピールできるでしょう。また、試行的に進める中で改善点や自社にあった進め方を見つけることができるでしょう。導入だけで終わらないよう、ゴールを定めて段階的にペーパーレスを進めることをおすすめします。使いやすいツールを導入するペーパーレスのためにはクラウドストレージや電子契約システムなどのツールの導入が不可欠です。ITに馴染みのない企業ほど、機能的な良さより使いやすさを重視したツールを導入する必要があります。段階的に進める中で、ペーパーレスに必要なITスキルの普及度を確認する必要があります。ペーパーレスの普及に伴い、様々な企業がサービスをペーパーレスに役に立つサービスを展開しているので、企業に合ったツールを選びましょう。ペーパーレスに取り組む企業の事例紹介ペーパーレス推進のポイントが分かっても、どうやって進めるかイメージするのは難しいかもしれません。実際にペーパーレスに取り組んでいる企業と得られた効果の事例を見ていきましょう。ぺんてる株式会社文具メーカーのぺんてる株式会社では、以前は毎週の経営会議と毎月の取締役会ですべて紙の資料を使用していました。会議の時間を短縮するために資料のペーパーレスを試みたところ、半日かかることもあった会議時間は1.5時間以内に収まるようになりました。資料をiPadなどの端末で閲覧できるようにすると、資料を事前に配布できるようになったため、参加者が会議前に読み込んでおくことが可能になったのです。情報共有がスムーズになる、また事前準備の作業負担が軽減されるという効果もありました。株式会社野村総合研究所情報サービス企業である野村総合研究所では、単に紙の使用をなくすのではなく、紙に囚われない働き方を実現する「ノンペーパー化」の取り組みを進めています。具体的には不要な書類を破棄し、机の上からキャビネットまで整理整頓することで、一人当たりの文書保存量は61%、共有キャビネットは69%も削減することができました。また、紙を使用することによる煩雑さをなくすため、会議にプロジェクターやスクリーンを取り入れています。さらに、分かりやすい電子データの保存フォルダを作成することで、社員の誰もが容易にアクセスできるようになりました。長野県長野市ペーパーレスに取り組んでいるのは企業だけではありません。長野市では、ペーパーレスの推進による省力化・省コスト化に取り組んでいます。例えば、ペーパーレス会議のためのシステムを導入するなど、ICT(情報通信技術)の活用によってペーパーレスを進めています。このシステムには、多機能なものほど操作が複雑であるという理由から、シンプルで操作性の高いものが選ばれました。会議の出席者分のノートパソコンを使用する必要がありましたが、一般的なPCでも利用できるシステムを導入したために莫大なコストはかかりませんでした。ペーパーレスの進め方や得られる効果に具体的なイメージがついたのではないでしょうか。ペーパーレスの良さを広め、実際に取り組むには発信する側の理解が不可欠です。まずはペーパーレスやSDGsや業務にもたらす効果を把握し、何から始めればいいのか考えてみましょう。SDGs活動に興味がある方は「Socialgoo」がおすすめペーパーレスのようなSDGsに関する活動をもっと知りたいという方には「Socialgoo(ソシャグ)」がおすすめです。ソーシャルグッド(社会にとって良いサービスや活動)のために、SDGsに関する情報や企業の取り組みをたくさんご紹介しています。ぜひ会員登録をして他の記事もチェックしてみてください!まとめペーパーレスとSDGsの関係性やペーパーレスのメリット・デメリット、実現のための進め方などをご紹介してきました。ペーパーレスを始めることで、SDGsに貢献できるだけでなく、日々の業務にもメリットがあることがわかりましたね。ペーパーレスについて曖昧なイメージしかなかった方も、SDGsという観点での重要性や、業務効率改善のための必要性を理解できたのではないでしょうか。ぜひこの記事を参考にペーパーレスを検討してみてください!

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SDGsをわかりやすく解説!17の目標の意味を簡単にまとめる

みなさんも一度はネットやニュースで見聞きしたことがあるかもしれないのが、SDGsという言葉。単語自体はなんとなく知っていても、中身はちょっと難しそうと思っている方も多いのではないでしょうか。難しそうに見えるSDGsですが、中身は生活と強く結びついていて、SDGsについて知れば知るほど、みなさんの身近なところにもSDGsが関わっていることがわかります。まずはSDGsとは何なのか、小学生や中学生のみなさんにも理解してもらえるように、わかりやすくご説明します!この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。SDGsをわかりやすく説明すると?SDGsは「エスディージーズ」と読み、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」のことを表しています。簡単に言うと「いま課題となっている環境問題や社会問題を解決して、みんながこれからずっとより良い暮らしをできるようにしよう」と目指すことです。では、SDGsはなぜここまで広まったのでしょうか。その背景を解説します。SDGsが広まった背景SDGsが広まった背景には、次の三つのことが考えられます。国連で決められた先進国も発展途上国も共通の目標であるSDGsに取り組むことに大きな経済効果があることがわかった1.国連で決められた2015年の国連サミットで、2030年までに持続可能な社会を作ることを目標にした「2030アジェンダ」がつくられました。国連の全ての加盟国がこの計画に賛成して、一緒に実現していこうと決めたのです。2.先進国も発展途上国も共通の目標であるSDGsが世界的に話題となっているのは、国連に加盟している全ての国がSDGsを目標としているためです。「全部の国が目標にするのは当然じゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はSDGsの前身のMDGsは発展途上国の開発を進めるための目標でした。そのため、MDGsは飢餓や感染症への対策などで一定の成果をあげましたが、先進国は援助をする側だったため大きな注目がありませんでした。一方でSDGsは、発展途上国だけではなく、先進国にも課題があるとし、どの国も取り組める目標であるため、世界的に広まっているのです。3.SDGsに取り組むことに大きな経済効果があることがわかった先ほどご説明したように、確かにどの国も取り組むべき課題があったのですが、初めのうちはあまり注目されていませんでした。しかし、2017年に開催された「ダボス会議」という政治や経済のトップリーダーが集まる会議で「SDGsに取り組むと経済に良い効果がある」と発表されたのです。具体的には、12兆ドルを超える経済価値と、3億8,000万人の雇用創出が見込まれるとのことでした。この発表を聞いた経済界は、SDGsに関心を持つようになり、今では様々な企業がSDGsに取り組んでいます。SDGsの「持続可能」とは先ほど、SDGsとは「持続可能な開発目標」であるとご紹介しましたが、そもそも「持続可能」とは何でしょうか?「持続可能」とは、みんなが必要なものを無駄遣いせずに必要な分だけ使い、将来の人々に限りある資源を残せるように取り組みを続けていくことです。みんなが無理なく、将来のことを考えていれば、「持続可能な社会」を目指すことができます。「持続可能な社会」だと、次のようなメリットがあります。地球環境が良い状態で保たれる地球全体で貧困や飢餓が解消されるエネルギーを節約するので、コストの節約や二酸化炭素の削減ができる清潔な水や空気、美しい自然環境が保たれるため、心身ともに健康に暮らせるこうしたメリットを享受するためには、長い期間をかけて取り組んでいかなければなりません。そのため、無理なくできることからはじめようとする姿勢が大事なのです。SDGsにおける目標とターゲットの意味(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン|国際連合広報センター)SDGsには「17の目標」と「169のターゲット(具体目標)」があります。目標は、貧困・飢餓・教育の格差・環境問題・平和で公正な社会など、世界中にあるさまざまな問題の解決を目指して決められています。ターゲットは、この17の目標をより具体的にしたものです。それぞれのターゲットを達成することで、目標に近づけるとされています。SDGs「17の目標」をわかりやすく解説これから、SDGsの「17の目標」を一つひとつご紹介します。目標1.貧困をなくそう(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン|国際連合広報センター)貧困は様々な場所でたくさんの形がありますが、大きく分類すると二種類にわけられます。それは、1日2.15ドル未満で暮らさなければならず、必要なものも買えない状態の「絶対的貧困」と、その地域の他の人と比較して貧しい状態である「相対的貧困」です。また、金銭的な貧困だけではなく、教育や医療などのサービスを受けられないことも貧困の一つになっています。これらの貧困を世界中から全てなくし、全ての人が健康に生活できる状態を目指しています。目標1「貧困をなくそう」について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてみてくださいね!SDGs目標1「貧困をなくそう」の取り組み事例と私たちにできること|socialgoo目標2.飢餓をゼロに(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン|国際連合広報センター)発展途上国では多くの人が飢餓に苦しんでおり、誰もが栄養のある食事をとれるようにすることが課題となっています。そのためには、単に食物の生産量を増やすだけではなく、食料を安全かつ安定的に届ける方法を考えることが不可欠です。また、生態系を守り、気候変動や災害に強く、環境に配慮した農法を行うことが重要です。このような持続可能な農業を目指すことで、飢餓をなくそうとしています。目標3.すべての人に健康と福祉を(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン|国際連合広報センター)すべての人が健康で幸せな生活を送れるように、衛生環境を整えたり、病気を予防したり、治療や介護などの健康サービスが受けられるようにしたりする必要があります。また、交通事故による死傷者を半減させること、化学物質や大気・水・土壌の汚染のせいで起きる病気を減らすことなどを目指しています。環境と福祉の点から、誰もが良い生活を送れるようにすることが目標です。目標4.質の高い教育をみんなに(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン|国際連合広報センター)世界には家庭の事情で働かなければならなかったり、紛争地域に住んでいたりして、学校に通えない子どもたちが多くいます。また、性別や民族によって教育を受ける権利が制限されている地域もあります。さらに、一度社会に出た人が新しい知識やスキルを身につけるために、いつでも学びたいことを学び直せるようにすることも大切です。全ての世代の人々が、どこでも質の高い教育を受けられるように目指しています。目標5.ジェンダー平等を実現しよう(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン|国際連合広報センター)世界には教育や福祉、職業などで性別による差別が多くあり、それをなくすために「ジェンダー平等を達成し、全ての女性及び女児のエンパワーメントを行う」という目標が掲げられています。「ジェンダー」とは、社会的に決められた「男らしさ」や「女らしさ」のことで、生物学的な性とは異なるものです。また「エンパワーメント」とは、個人が本来持つ能力を最大限引き出すことという意味です。性別ごとにある固定観念にとらわれることなく、女性が自分の力を最大限発揮できるような社会を目指すことで、ジェンダー平等に近づき、社会全体がよりよくなるとされています。目標6.安全な水とトイレを世界中に(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン|国際連合広報センター)誰もが安全な水を使えるように、世界のどこでも上下水道や排水処理施設、ごみ処理設備が整っている状態を目指しています。海水から真水を作る技術など、限られた水資源を効率よく使うシステムを作ることも必要です。またトイレについては、女性や子ども、弱い立場にある人が安全に使えるよう求められています。安全な水を安定して供給できるように確保し、衛生状態を管理することが目標です。目標7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン|国際連合広報センター)世界中の全ての人が電気やガスなどのエネルギーを安く手に入れられることを第一の目標としています。そのためには、少ないエネルギーでたくさんの電気やガスを手に入れるための技術を発展させることが必要です。また、将来も安定してエネルギーを手に入れられるように、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを増やすことも目標となっています。目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてみてくださいね!SDGs目標7への取り組み9選【個人・企業別】現状と課題、5つのターゲットも解説|socialgoo目標8.働きがいも経済成長も(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン|国際連合広報センター)経済を成長させることと、誰もが働きがいのある仕事を持ち、人間らしい生活を送ることの両方が達成できる社会を目指しています。経済成長によって一部の地域や一部の人々だけが利益を得るのではなく、社会全体に経済発展の恩恵が分配されることが必要です。そうなっていくことで、仕事がなく貧困に苦しむ人を減らし、みんなが働きがいをもって働けるようになるのです。目標9.産業と技術革命の基盤をつくろう(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン|国際連合広報センター)安全に生活するために必要なインフラを、誰もが使え、質が高く、災害に強いような形で整備することが目標になっています。インフラには、道や発電所、インターネットなどが含まれ、これらが産業の基盤となっているのです。また、小さな企業でも資金調達できるように、金融サービスを利用しやすくすることが求められています。技術開発を支えるために、国から企業へ資金を提供することも重要となっています。目標10.人や国の不平等をなくそう(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン|国際連合広報センター)国と国の間の不平等や、国内の不平等をなくすことが目標です。国際的な決まりを定める場で途上国の発言を増やしたり、貿易で途上国に対して特別な待遇をすることが求められています。それぞれの国の中では、低所得者の所得をより早いペースで上げていくことや、年齢、性別、宗教、民族などのあらゆる理由で差別をしないことが目指されています。目標11.住み続けられるまちづくりを(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン|国際連合広報センター)全ての人がインフラの整った安全な住まいを持ち、スラムの状況が改善され、利用しやすい交通手段や公園などの公共スペースがある状態をつくることを目指しています。大気汚染やごみ処理に注意を払い、都市の環境を改善し、災害に強いまちづくりをすることが必要です。そして、文化遺産や自然遺産を守り、保つ努力をすることも求められています。安心安全でかつ、文化的にもよいまちを維持することが大切です。目標12.つくる責任・つかう責任(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン|国際連合広報センター)資源を節約したり、廃棄物を削減したりして、持続可能な消費と生産を行うことが目的です。捨てられてしまう食品の量を半分に減らすこと、化学物質や廃棄物を環境に害を与えないように管理すること、リサイクルやリユースを促進することが目指されています。つくる側の責任として、大企業や多国籍企業が持続可能な取り組みについて情報公開することや、国がものやサービスを買うときには持続可能な形を選ぶことが求められています。つかう側の責任として、一人ひとりが、持続可能な開発について関心を持ち、情報を持つようにすることも必要です。目標12「つくる責任・つかう責任」について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてみてくださいね!SDGs目標12「つくる責任・つかう責任」とは?私たちにできることも解説|socialgoo目標13.気候変動に具体的な対策を(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン|国際連合広報センター)地球温暖化を防ぐために、温室効果ガスの排出量を減らし、自然環境を保全する取り組みを進めることを目指します。自然災害が起きたときに立ち直れるように、全ての国で防災と気候変動への対策に取り組む必要があります。とくに、防災意識を高めるために国民に防災教育をしたり、気候変動を緩やかにするための取り組みの啓発をしたりすることが重要です。目標14.海の豊かさを守ろう(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン|国際連合広報センター)海に住む生き物や海の資源を守り、海の環境を保全することを目指します。人間の活動による海の環境破壊をなくすため、魚を取りすぎないように漁業の方法を改善したり、海に悪影響を与える物質が流れるのを防いだりすることが必要です。農薬や洗剤が海に流れることで、これらに含まれる窒素やリンが増えてしまうのが「富栄養化」です。富栄養化の状態になるとプランクトンが増えすぎてしまい、魚が酸素不足で生きられなくなってしまうため、生物多様性を守るには富栄養化を防がなければなりません。目標15.陸の豊かさも守ろう(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン|国際連合広報センター)陸地に生息する生物や森林、水源などを保全するために、森林伐採や土地の乱開発を抑制し、自然の保護を目指します。生態系がもたらす自然の恵みを持続可能な形で利用することや、森林の管理、砂漠化した土地・土壌の回復によって、自然の豊かさを取り戻し、保つことができます。また、生態系を守るために、絶滅危惧種を保護したり、密猟や違法な取引をなくしたり、生態系に影響を与える外来種の侵入を防いだりすることが必要です。目標16.平和と公正をすべての人に(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン|国際連合広報センター)世界中で平和を実現するために、子どもに対する虐待や搾取を含めたあらゆる暴力の防止、汚職やわいろの解消などを目指します。誰もが司法を利用できるようにし、国の制度を公正なものにすることで、争いを公正な司法の判断で解決できるようになるのです。また、ものごとを決める際には、あらゆる人々の立場を代表する人たちによって話し合うべきで、取り残される人がいないようにすることが求められています。目標17.パートナーシップで目標を達成しよう(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン|国際連合広報センター)国際協力や民間企業の参加、技術移転などを通じて、今までご紹介した全ての持続可能な開発目標の達成を目指します。全ての国がSDGsの目標を達成するために予算を設定し、先進国は政府開発援助(ODA)などの途上国向けの資金や技術の援助をするように求められています。また、SDGsの目標がどれくらい達成しているかを測るため、データを集めて統計を取ることも必要となっています。持続可能な開発目標を達成するためには、国際的な協力が欠かせません。SDGsの達成度ここまでご紹介した17の目標は、どのくらい達成されているのでしょうか?ここで、SDGsの達成度を公開している報告書である「持続可能な開発レポート(Sustainable Development Report 2022)」を参考に、世界・日本の現状と課題についてご説明します。世界の現状と課題世界のSDGsの達成度は、2019年までは上がっていましたが、2020年以降は停滞しています。それは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行やロシアのウクライナ侵攻によって、世界中の経済が落ち込み、平和や安全の問題が起きているからです。そのため、貧困や経済成長、環境問題への取り組みが進まず、全てのSDGsの課題に影響しています。日本の現状と課題日本の達成度は世界163カ国中19番目と決して低くはなく、アジアでは一番高い達成度になっています。とくに達成できているのが以下の3つの目標です。目標4 質の高い教育をみんなに目標9 産業と技術革命の基盤をつくろう目標16 平和と公正をすべての人に一方で、以下の6つの目標には深刻な課題があるとされています。目標5 ジェンダー平等を実現しよう目標12 つくる責任・つかう責任目標13 気候変動に具体的な対策を目標14 海の豊かさを守ろう目標15 陸の豊かさも守ろう目標17 パートナーシップで目標を達成しようこれらの目標に向けて国や企業、そして私たち一人ひとりが意識して取り組むことが必要になります。私たちの生活と深く関わるSDGsSDGsは、貧困や環境問題、教育や健康など私たちの生活に深く関わる問題を解決しようと目指しています。SDGsを達成するためには、国や企業、そして私たち一人ひとりが協力して行動することが必要です。そのために、SDGsを理解し、自分たちに何ができるか考えることが大切です。日本政府の施策日本政府は2016年に「SDGs推進本部」を設置し、国内でSDGsを推進していくことと、国際的に貢献することの両方に取り組んでいます。また政府は「SDGs アクションプラン」を毎年定めており、最新版の「SDGs アクションプラン 2022」では以下の8つの重点課題が記載されています。人間(People)あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現健康・長寿の達成繁栄(Prosperity)成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション地球(Planet)持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会生物多様性、森林、海洋等の環境の保全平和(Peace)平和と安全・安心社会の実現パートナーシップ(Partnership)SDGs 実施推進の体制と手段この8つの重点課題は「2030 アジェンダ」に掲げられている5つの「P」(People(人間)、Prosperity(繁栄)、Planet(地球)、Peace(平和)、 Partnership(パートナーシップ))に基づいています。さらにSDGs推進本部は「ジャパンSDGsアワード」を実施しており、SDGs達成に向けて優れた取り組みを行っている企業や団体を表彰しています。企業のSDGsへの取り組みSDGsの取り組みを実践している代表的な企業を2社ご紹介します。阪急阪神ホールディングス株式会社(出典:SDGsトレイン 未来のゆめ・まち号 フォトギャラリー|阪急阪神ホールディングス株式会社)大阪・京都・神戸などを結ぶ阪急電鉄と阪神電気鉄道では、2019年5月から日本で初めてのSDGsがテーマの列車である「SDGsトレイン 未来のゆめ・まち号」を運行しています。車両の外装に加え、SDGsの解説や国・自治体・市民団体・企業などの取り組みを紹介する約165種の車内ポスターなどを使い、列車全体でSDGsを紹介しています。また、「SDGsトレイン」は最新の省エネ車両を使っているうえ、実質100%再生エネルギーで運行されています。2020年9月からは東急グループとも協業し、「SDGsトレイン」の取り組みは関西から関東へと広がっています。この取り組みが評価され、阪急阪神ホールディングス株式会社は、第4回ジャパンSDGsアワードのSDGsパートナーシップ賞(特別賞)に選ばれています。株式会社セブン‐イレブン・ジャパンコンビニ大手「セブン-イレブン」では、食品ロスを削減し、食品リサイクルを推進するために、次のような取り組みをしています。納品期限の見直し一般的に、各店舗への納品期限は、製造から賞味期限までの期間の三分の一に設定されていますが、セブン-イレブンでは2014年からこれを二分の一に変更しています。これによって、各店舗に納入される前に廃棄されてしまう商品を減らせるのです。「てまえどり」を呼び掛ける店内ポップ「てまえどり」とは、購入してすぐに食べる場合には手前にある販売期限が迫った商品を選ぶことです。そうすることで、販売期限が過ぎた商品を減らせるため、食品ロスを削減できます。セブン-イレブンでは、「てまえどり」を消費者に呼びかけるためにオリジナルのポップを設置しています。「エシカルプロジェクト」(出典:お客様の消費行動の変化で加速するエシカル消費|株式会社セブン&アイ・ホールディングス)販売期限が迫った対象商品を電子マネーnanacoで購入すると、税抜販売価格の5%分のボーナスポイントが付与されます。対象の商品にはこのことが記載されている「エシカルシール」が貼られており、消費者である私たちにもわかりやすい仕組みになっています。販売期限の近い商品から積極的に購入してもらうことで、食品ロスの削減を目指しています。個人ができること私たち一人ひとりが日常生活の中で出来ることの一つに「エシカル消費」があります。「エシカル(ethical)」とは「倫理的な」という意味で、「エシカル消費」は「倫理的な消費」つまり、人・社会・地域・環境に配慮した消費行動を意味しています。レジ袋を買わずに持ってきたマイバッグを使うことや、リサイクル素材を使用した商品を買うこと、地元の商品を買うこと(地産地消)がエシカル消費の例です。「企業のSDGsへの取り組み」でご紹介した、セブン-イレブンで行われているような取り組みを知り、それに協力していくことでもエシカル消費に貢献できます。日々の行動を少し変えるだけでSDGsに貢献できるため、気軽に挑戦してみてはいかがでしょうか。SDGs活動に興味がある方は「Socialgoo」がおすすめここまでSDGsについてわかりやすく解説し、私たちができることについてもご紹介しました。この記事をきっかけに、SDGsについて興味を持たれた方には「Socialgoo」がおすすめです!ソーシャルグッド(社会にとって良いサービスや活動)に特化したメディアであり、プロボノやSDGsへの取り組み事例など様々な情報を掲載中です。ぜひ他の記事もチェックしてみてくださいね!まとめSDGsについて、言葉の意味や17の目標、取り組み事例をわかりやすくご説明してきました。SDGsは、いま世界で課題となっていることを解決して、より良い暮らしをずっと送れるようにするための目標です。世界、日本にある様々な課題について、私たち一人ひとりがSDGsを通して理解し、取り組んでいくことが不可欠です。SDGsについてさらに理解を深め、無理なくできることに取り組んでみてください。

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化粧業界が目指すSDGsゴールとは【10年後・30年後別】メーカーやブランドの取り組み例を紹介

化粧業界が目指すSDGsゴールとは【10年後・30年後別】メーカーやブランドの取り組み例を紹介化粧品業界に関連のある、SDGsのゴールをわかりやすく掲載!現在・30年後・100年後に分け、化粧品業界のSDGsへの取り組みやビジョンをわかりやすくご紹介します。アメリカ・中国に次ぐ化粧品大国「日本」。日本製は品質が良く安全性も高いため、海外でも大変人気があります。環境への配慮が求められている「化粧品業界」は、リユースできる容器の開発などのSDGsへの取り組みが行われているのです。有名メーカーやブランドで取り組んでいる内容もピックアップしているため、ぜひチェックしておきましょう!この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。化粧品業界に関連するSDGsゴールとは?化粧品業界に関連しているSDGsのゴールには、いったいどんな内容があるのかをわかりやすくご紹介します。製造~廃棄まで関連ゴールは「4つ」化粧品開発後、わたしたちユーザーの手元に製品が渡り、廃棄されるまでの流れのなかで、4つの関連するSDGsのゴールがあります。4つのゴールとはどんな内容なのかをこちらで確認してみましょう!5.ジェンダー平等を実現(画像: SDGs 17の目標 | unicef)化粧品業界は、日本のジェンダーギャップを縮めることに大きく貢献していることをご存知でしたか?多様性が求められる今、男性も女性もメイクを楽しめる製品の開発が進んでいます。12.つくる責任 つかう責任(画像::SDGs 17の目標 | unicef)消費財である化粧品は、必ずゴミが出ます。廃棄物の量を少しでも減らすために、化粧品をつくる人もつかう人も、商品を通して環境のことを考える必要があり、「脱炭素」「循環型社会」の実現を目指さなければなりません。14.海の豊かさを守ろう(画像: SDGs 17の目標 | unicef)海洋汚染は環境問題のなかでも特に深刻な問題です。使用済みの化粧品類をポイ捨てした場合、海へとシャンプーのプラスチック容器やビニール製のパッケージが流れ出てしまい、近い将来には、海の中は魚よりもゴミの量が多くなると言われています。海洋ゴミの中で最も多いプラスチックゴミを減らすために、化粧品業界ではどんなことができるかを考えます。15.陸の豊かさも守ろう(画像: SDGs 17の目標 | unicef)年〜2020年の30年間の間に日本の国土面積の約5倍に相当する森林が減少しています。そこで、森林を守るための取り組みの例として、・パッケージやパンフレットに使用する紙は環境へ優しいFSC認証紙を使用する。・オーガニック原料を使用し、土の中の微生物を化学肥料の被害から守る。上記のように森林や土の中を守れば、生き物の生態系と多様性を守ることに繋がります。【現在】化粧品業界が取り組むSDGsの内容商品選択や企業選択において重視されるようになり、SDGsに関連するゴールをもとに、業界内では環境に配慮した商品開発・取り組みがすでに進んでいます。こちらでは、化粧品業界が現在取り組んでいるSDGsの内容をまとめているので、ぜひどんな部分に力をいれているのかをチェックしておきましょう!開発1|容器・パッケージの環境配慮化粧品は消費財であるため、いつか必ず廃棄されます。そこで企業は、商品が廃棄される時に環境に与える負荷を考え、環境に配慮したパッケージの開発を盛んに進めています。詰め替え・付け替えを前提として開発・推進企業は、「リデュース」「リユース」「リサイクル」の3Rの視点から、プラスチック使用量の削減を目指しています。よって、プラスチック容器を減らす「詰め替え」、容器自体の環境負荷を抑えた「付け替え」商品の開発へ取り組んでいるのです。スマートホルダーなど新型容器(画像:【特長】「スマートホルダー」とはどんな製品なの?|花王)新たに開発された「スマートホルダー」は、詰替え用のシャンプー・ボディーソープを専用容器に取り付ける商品です。スマートホルダーは「詰め替えが楽」「最後まで無駄なく使い切れる」などの点でユーザーから絶賛されています。開発2|容器・原料を植物由来の素材を使用化粧品の容器や原料に、植物由来の成分を使うことで、機能に優れながらも環境への負担が少ない商品の実用化を進めています。植物由来プラスチック配合のパッケージを使用することで、環境負荷の高い新品の石油由来バージンプラスチックの使用量を削減することができます。回収|使用済みプラスチック容器をリサイクル(画像:資生堂、イオンにて化粧品の使用済み容器回収を開始|資生堂)化粧品業界は、使用済みプラスチック容器のリサイクルに積極的に取り組んでいます。例えば、使用済みプラスチックフィルムの回収・リサイクルの実証実験化粧品を取り扱う店舗で、プラスチック容器の店頭回収  など循環したプラスチックの流れの確立に取り組んでいます。活動|ジェンダー平等・女性活躍支援化粧品業界では、女性活躍の推進の一環として育児休業や育児時間制度を導入する取り組みが行われています。さらに、最近では管理職を目指す女性社員のための研修も実施。女性だけでなく男性でも手に取りやすい、ジェンダーレス・ジェンダーフリーの商品開発・発売を進めています。【10年後】化粧業界が取り組むSDGsのビジョン例2021年に日本の化粧品産業の発展を目指し、産学官が連携して「化粧品産業ビジョン」を策定しました。地球環境の変化に対応するため、10年後までに化粧業界が取り組むべきことを3つご紹介しているのでぜひチェックしておきましょう。1.環境に配慮した製品の普及プラスチックには、大きなデメリットが2つあります。1つ目は、廃棄するとき土に埋めても分解されずに残り続けること。燃やして処分しようとしても、二酸化炭素が発生し酸性雨や地球温暖化の原因となってしまいます。2つ目は、プラスチックを使用すると限りある資源である石油を消費してしまうことです。そこで、化粧品業界は環境に配慮した取り組みを公表することで、脱炭素社会を目指します。例えば、「炭素の足跡」とも言われるカーボンフットプリントを公表し、排出するCO2の量を「見える化」するツールが注目されています。また、プラスチック利用量の削減を具体的な目標として掲げています。2.エシカル消費の拡大エシカル消費には、「道徳上の消費行動」という意味があります。商品の高級感やブランド力、ネームバリュー、ブランド力などにとらわれず、地球環境に配慮することが求められています。そんなエシカル消費の目印となるのは、次のような認証マークです。エコマーク:商品の生産~処分まで環境保護商品と認められたマーク有機JASマーク:農薬や化学肥料に頼らずに生産されたマーク国際フェアトレード認証ラベル:国際フェアトレード基準を満たした商品のマークFSC認証マーク:持続可能な森林管理のもとで採られた木材を使用しているマークNATURE認証マーク:ナチュラル及びオーガニック成分が配合されたマークレインフォレスト・アライアンス認証:農園の環境や、土壌・水を含めた天然資源、生態系や生物多様性などを守っている農園のマーク3.「動物実験代替法」の確立動物実験は商品開発のために、化粧品分野を中心に研究開発が広まりました。しかし、動物福祉の観点から反対の声が多く、動物実験で安全性を確かめた商品でも、人が使用した時に薬害が起こることは度々起きてしまうことが問題になっています。医師・研究者などの専門家からも動物実験の過ちが指摘されているなか、「動物実験代替法」の確立を進めています。また、欧米では動物実験の行われていない化粧品には、ウサギのマークがついた「クルエルティフリー」認証をつける取り組みがされているのです。【30年後】化粧業界が取り組むSDGsのビジョン例 「化粧品産業ビジョン」では30年後に予想される世界の変化を挙げています。脱炭素を実現する循環型社会の到来「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて、日本は「2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロ」を表明しました。具体的には、プラスチック資源循環の取り組み「3R+Renewable※」があります。※Renewableとは、「再生可能な資源に替えること」を意味します。身近な例として、プラスチック製のパッケージなどをバイオマスプラスチック製に変えています。※日本では、2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入することが目標として定められています。科学によるエビデンスの重要度の拡大「日本の商品は高品質」というイメージを維持し続けるためにも、品質の高さを科学的・客観的なデータで示せるように、エビデンスの重要度が拡大しています。また、競合のメーカーやブランドとの差別化を図るために、研究開発を継続的に実施することが必要です。 そのためにも、エビデンスを正確かつ具体的に示すことで、説得力を強めることができるのです。SDGsへ取り組む化粧品メーカー例SDGs達成のために取り組む化粧品メーカーをご紹介します。コーセー(画像:グッドデザイン賞 雪肌精クリアウェルネス|GOOD DESIGN AWARD)KOSÉ(コーセー)は、人々や地球環境の未来をよりよいものにするために、「コーセー サステナビリティプラン」を決定しました。商品の容器にはバイオマスプラスチック・ガラス・アルミを積極的に使用し、プラスチック使用量の削減を実現しています。そして、環境にやさしい素材を使用した「雪肌精クリアウェルネスシリーズ」は2021年度にグッドデザイン賞を受賞しました。花王(画像:プラスチック容器の完全リサイクル化をめざして|花王)洗剤やシャンプーの詰め替え用パックを開発した「花王(Kao)」。そんな花王は新たに、薄いフィルムに空気を入れ、浮き輪のようにふくらませることでボトルのように使える新型容器を開発しました。フィルムボトルは100%リサイクルすることができ、プラスチック使用量を約50%も削減することができる、環境に優しい画期的なボトルとなっています。POLA(画像:未来に、次世代に環境をつなぐアクション|POLA)スキンケアアイテム、メイクアップアイテムおよび美容に関連する商品を展開しているメーカー「POLA(ポーラ)」。「未来に、次世代に環境をつなぐアクション」をテーマに、ショッピングバッグの原則廃止やデジタル化で環境負荷を減らすなどの取り組みを行っています。SDGsへ取り組む化粧品ブランド例SDGsに取り組む具体的な化粧品ブランドをご紹介します。LUSH(画像: 店舗一覧|LUSH)LUSH(ラッシュ)は、スキンケア・ヘアケア商品や、石鹸・バスボムなどのバスグッズが人気のブランドです。「地球に共存するすべてのものをハッピーにしたい」「エシカルバイイングポリシー」を理念に掲げるLUSHは、SDGsに積極的に取り組んでいます。最も象徴的なのは、商品を梱包しないで裸の状態で販売している部分。容器レス・ラベルレス商品をLUSHでは「ネイキッド」と呼んでおり、プラスチック使用量の削減に大きく貢献しているのです。ロクシタン(画像: L'OCCITANE)「豊かな自然そのもの」を理想と掲げ、原材料の生産段階から環境や生産者のことを考えている企業、L'OCCITANE(ロクシタン)。地産での原材料調達に努め、運送時の環境汚染を最小限にし、地域ビジネス、女性の自立の支援に取組んでいます。2025年までに1000種類の植物を保護することを目標としており、現在までに350種の保護を実現。商品に使用する自然由来の成分はおよそ200種類にも及び、その1/4がオーガニックの認証を受けています。KIEHL’S(画像: 内容詳細|KIEHL’S)科学・ハーブの知識をもとに天然由来成分を配合した、スキンケア商品を展開するKIEHL’S(キールズ)。「スキンケアからアースケアをはじめよう。」をフレーズに、独自の循環型エコシステムを確立しました。具体的には、リサイクルパッケージ商品の製造や、空き容器の回収などを行い、キールズは限りある資源を守るために紙製ショッピングバッグを有料化。さらに、エコバッグを使用した際のお買い物1回につき10円が、森林保全団体の「more trees」に寄付する取り組みを行っています。イヴ・サンローラン(画像:OURIKA COMMUNITY GARDENS | IVES SAINT LAURENT)YVES SAINT LAURENT(イヴ・サンローラン)では、SDGs活動として、女性支援・地球環境への配慮・肌への安全性の3つを掲げています。特に力を入れているのは、モロッコに立ち上げた自社庭園「ウリカ コミュニティ ガーデン」。200種以上の植物を育てながら、化粧品に使う植物原料の研究を行い、現地の方に教わった伝統的な農法やソーラーシステムの導入などで、地球環境に配慮した無農薬での植物栽培に取り組んでいます。SDGsを詳しく学べる「Socialgoo」がおすすめSDGsに関する活動をもっと知りたいという方におすすめな「Socialgoo(ソシャグ)」。ソーシャルグッド(社会にとって良いサービスや活動)に特化したメディアであり、プロボノやSDGsへの取り組み事例など様々な情報を掲載中です。ぜひ会員登録をして他の記事もチェックしてみてください!まとめ今回は化粧品を通じてSDGs達成に貢献する方法と、サステナブルなメーカーとブランドをご紹介しました。私達の生活に必要な化粧品だからこそ、サステナブルな意識を持ちながらSDGs達成に貢献することが求められています。まずは化粧品からSDGsについて考えていきたい方は、記事を参考に取り組んでみてはいかがでしょうか?

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【最新版】SDGsランキングと日本の課題とは?|日本国内の取り組みについて

こちらの記事では、SDGs達成度ランキングに見る日本の課題や、国内で行われている取り組みについてご紹介します。日本では政府や企業がSDGs達成のための取り組みを進めていますが、ジェンダー格差や環境破壊について多くの課題が残されているのが現状です。SDGsが目指す持続可能な社会を作るためには、私たち一人ひとりが日本の抱える課題について知る必要があります。ぜひこちらの記事を参考に、日本におけるSDGs達成の現状を把握し、私たち一人ひとりができる取り組みについて理解を深めましょう!この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。2022年版世界のSDGs達成度ランキングで日本は「19位」持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が公表した、2022年のSDGs達成度ランキングにおいて、日本は世界163カ国中19位でした。アジア諸国では1位となっています。このランキングではSDGsの達成度を100点満点中のスコアで示しており、2年連続トップのフィンランドが86.5点、日本は79.6点でした。アジアの中では高い評価を受けた日本でしたが、スコアで見るとヨーロッパ諸国に大きく差をつけられています。ここでは、SDGs達成度ランキングにおける日本の順位の推移と評価から、日本の課題を探っていきましょう。日本のSDGsランキングの推移SDGs達成度ランキングにおける日本の順位、そして達成度を示すスコアの推移は以下の通りです。2016年:18位(75点)2017年:11位(80.2点)2018年:15位(78.5点)2019年:15位(78.9点)2020年:17位(79.1点)2021年:18位(79.8点)2022年:19位(79.6点)2018年以降、日本の順位は低下し、スコアも最高点を更新できずにいることがわかります。この順位とスコアから見えてくる日本の課題は、2022年度時点でSDGs達成度について他国より遅れが出始めているということです。また、スコアが停滞している原因として、国内のSDGsへの取り組みが進んでいないということが考えられます。SDGsランキングにおける日本の評価SDGsでは持続可能な開発のために、経済・差別・環境など21世紀の世界が背負う課題について、17の目標を掲げています。SDGsランキングでは17の各目標について、「達成済み」「課題が残る」「重要な課題がある」「深刻な課題がある」の4段階で評価されました。それでは、日本の各目標の評価状況を確認してみましょう。【達成済み】目標4:質の高い教育をみんなに目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう目標16:平和と公正をすべての人に【課題が残る】目標1:貧困をなくそう目標3:すべての人に健康と福祉を目標6:安全な水とトイレを世界中に目標8:働きがいも 経済成長も目標11:住み続けられるまちづくりを【重要な課題がある】目標2:飢餓をゼロに目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに目標10:人や国の不平等をなくそう【深刻な課題がある】目標5:ジェンダー平等を実現しよう目標12:つくる責任 つかう責任目標13:気候変動に具体的な対策を目標14:海の豊かさを守ろう目標15:陸の豊かさも守ろう目標17:パートナーシップで目標を達成しよう2021年の調査で「深刻な課題」とされる目標は5つでしたが、2022年では、新たに「目標12:つくる責任 つかう責任」が「深刻な課題」に引き下げられました。また、2021年から引き続き、ジェンダー平等や環境関連の目標が「深刻な課題」のままとなっています。この評価から、日本が2023年度以降に優先的に解決するべき課題は、性別による差別や気候変動に与える影響、資源の使いすぎであることが見えてきました。日本の課題となっている6つのSDGs目標日本で「深刻な課題がある」と評価された6つの目標について、具体的な内容と日本の現状を見ていきましょう。目標5:ジェンダー平等を実現しよう目標5では、すべての人が性別に関わらず能力を最大限発揮できる社会を目指しています。日本で特に問題視されているのは、政治・経済面での男女格差です。2022年の日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中116位であり、企業の管理職や国会議員に占める女性割合の低さが低評価につながったと考えられます。目標12:つくる責任 つかう責任目標12では、資源の使いすぎとゴミの増加を防ぐことで、持続可能な生産と消費を目指しています。日本では食品ロスが特に大きな問題で、2022年には522万トンもの食品が廃棄されました。また、産業廃棄物のリサイクル率が他の先進諸国と比べて大きく下回っている問題もあります。目標13:気候変動に具体的な対策を目標13では、地球温暖化による気候変動の影響を軽減し、また気候変動による災害から復興する力を備えることを目指しています。2020年の日本の温室効果ガス排出量は11億5,000万トンで、世界ワースト5位でした。環境省によると新型コロナの感染拡大で排出量は減少しましたが、経済活動の回復とともに再び高まると見込まれています。目標14:海の豊かさを守ろう目標14では、水質の向上や海の生態系を保護するため、海洋汚染を防ぎ、海洋資源を持続的に開発することを目指しています。日本では、プラスチックなどの廃棄物による海洋汚染が問題視されています。環境省の調査によると、海洋ゴミの約3分の2が、漁具・発泡スチロール・ペットボトルなどのプラスチックであることがわかりました。目標15:陸の豊かさも守ろう目標15では、陸上の生態系の保護、また森林のような資源の持続可能な利用を目指しています。日本では地方の森林伐採がもたらす生態系の破壊が問題になっています。さらに林業の担い手の高齢化により、定期的に森林を管理できる人が減っているのが現状です。目標17:パートナーシップで目標を達成しよう目標17では、SDGsの実施手段を世界中でシェアし、国・政府・企業・自治体・個人の間におけるパートナーシップの強化を目指しています。株式会社アスマーク調べによると、日本ではSDGsに対する認知度がアメリカ・中国に比べ高いものの、情報収集や関連企業の応援には消極的という結果が出ました。企業は様々なSDGsの取り組みを実施していますが、政府との連携が不十分であるために情報が行き渡っていないと考えられます。日本国内におけるSDGsの課題解決に向けた取り組み日本の課題となっているSDGs目標を達成するために、政府・企業でどのような取り組みが行われているのか見てみましょう。政府のSDGs推進本部が策定した、SDGs実施のために政府や企業などが行う取り組みの具体的な方針をまとめた「SDGsアクションプラン」を参考に、取り組みをご紹介します。ジェンダー問題に対する取り組み「目標5:ジェンダー平等を実現しよう」達成に向けた取り組みを見ていきましょう。アクションプランでは、女性の積極的な登用・「生理の貧困」への支援・女性デジタル人材の育成など、女性の活躍をサポートする方針を取り決めています。厚生労働省厚生労働省は2016年に「女性活躍推進法」を施行しました。女性活躍推進法は、労働者数が301人以上の事業主に対して、採用者に占める女性比率や勤続年数の男女差を把握し公表するよう義務付けています。また2019年の法改正により、2022年からは、労働者数が101〜300人以内の事業主も対象となりました。日本IBM株式会社日本IBM株式会社は、女性の活躍を推進するため、1998年に女性社員を中心に「Japan Women’s Council(JWC)」を発足しました。JWCはこれまでに、以下のような取り決めを実行しました。・役員・理事以上の部門長は、後任候補に必ず女性を含める・女性管理職育成プログラムを実施する2018年時点でIBMの管理職の女性比率は14%であり、2024年末までにこの比率を22%にするという目標を掲げています。 持続可能な生産・消費に関する取り組み「目標12:つくる責任 つかう責任」達成に向けた取り組みを見ていきましょう。アクションプランでは持続可能な生産・消費を促進し、「食品ロス量を2030年までに489 万トンまで低減する」という具体的な方針を掲げています。消費者庁消費者庁は「食品ロスの削減の推進に関する法律(食品ロス削減推進法)」を2019年に施行しました。この法律は食品ロスを減らすために、国・地方公共団体・事業者・消費者の役割を規定しています。政府はこれに基づき、消費者や事業者に向けて食品ロスの現状を記したリーフレットの作成・配布に努めています。また、消費者庁は料理レシピサービス「クックパッド」に消費者庁専用ページを開設し、「食品ロス削減レシピ」の募集・提供に取り組んでいます。株式会社セブン&アイ・ホールディングス株式会社セブン&アイ・ホールディングスでは、食品廃棄物削減のためにバラ売りや量り売りを実施しています。顧客が必要な分だけを購入できるようにすることで、食品ロスの削減につながります。また、イトーヨーカドー・ヨークベニマルの店頭にペットボトル自動回収機を設置し、廃棄物のリサイクル率向上に貢献しています。気候変動や自然環境への取り組みアクションプランでは、環境問題に関わる次の3つの目標について、以下の方針を掲げています。・「目標13:気候変動に具体的な対策を」について2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること)を達成する、クリーンエネルギー分野に大胆な投資を行う ・「目標14:海の豊かさを守ろう」廃棄物を処理する過程でプラスチックゴミを回収することやリサイクルの徹底、海洋生分解性プラスチック(海の中で微生物が二酸化炭素と水に分解できるプラスチック)の開発・「目標15:陸の豊かさも守ろう」地方公共団体や森林所有者等が行う森林の整備や、植林・間伐に必要となる森林内の作業道の整備に対する支援環境省環境問題への取り組みとして、環境省は「地球温暖化対策計画」を2021年に閣議決定しました。具体的な取り組みとして、電気自動車などの次世代自動車の普及や、LEDなどの省エネにつながる機器の普及を挙げています。また、温室効果ガス削減の進捗管理を厳格に行い、3年ごとに計画の見直しを検討するとしています。株式会社SUSTAINABLE JAPAN株式会社SUSTAINABLE JAPANは海洋汚染を防ぐため、海洋浮遊ゴミ回収機「SEABIN(シービン)」の普及を進めています。「SEABIN」は海水を取り入れて機械の中で濾過し、マイクロプラスチックなどの海洋ゴミを一度の稼働で20キロも回収することができます。アート引越センター株式会社アート引越センター株式会社は、手書きの見積書をタブレットを使用して電子化することで、「ペーパーレス化」を進めています。また、燃費が良いクリーンディーゼル車の利用で、CO2排出削減を目指しています。パートナーシップに関する取り組み最後に「目標17:パートナーシップで目標を達成しよう」に向けた取り組みについてです。アクションプランでは、有識者・民間企業・国際機関などの関係者が集まるSDGs推進円卓会議を中心に、国内外のあらゆる関係者との連携を目指しています。また、国民一人ひとりがSDGsを自分ごととして捉えられるよう、政府と民間の連携を深めSDGsの認知度を高めることを目標にしています。公益財団法人 日本ユニセフ協会ユニセフは日本政府と連携して、公平性を掲げ格差の是正に取り組んでいます。政府はユニセフの要望で、SDGs実施指針にユニセフが重視する「子どもの貧困の削減」や「子どもに対する暴力の根絶」を含めました。関西大学関西大学は様々な企業や自治体と連携して、幅広いSDGsの目標に取り組む「関西大学SDGsパートナー制度」を制定しました。NPO法人Blue Earth Projectなどがこの制度に登録し、エコ啓発のイベントの共同開催などを通してSDGsの認知度拡大に努めています。目標達成のために私たち一人ひとりができること政府・企業が日本のSDGsの課題に対してどのような対策を実施しているかご紹介しましたが、目標を達成するためには私たち一人ひとりの行動も重要です。ここからは、個人ができる具体的な取り組みを見ていきましょう。SDGsへの理解を深めるこの記事でご紹介した政府や企業の取り組みはほんの一部に過ぎません。まずはアクションプランで政府が掲げる具体的なSDGsの方針を確認し、国内で行われている取り組みについて調べましょう。さらに、SDGsに取り組む企業や団体はSNSで活動を発信している場合もあり、個人でできる取り組みの参考になります。「いいね」やTwitter上の「リツイート」でこうした活動をシェアすることは、企業や団体への支援にもつながります。地域に貢献する地域社会に貢献することもSDGsの有用な取り組みの一つです。個人ができる身近な取り組みとして、ゴミ拾いがあります。街中で見かけるポイ捨てされたゴミは、街の環境悪化につながり、放置すると水路や河川を通じて海に流出することもあります。私たちがポイ捨てされたゴミを回収することで、「目標14:海の豊かさを守ろう」や「目標11:住み続けられるまちづくりを」の達成に貢献することができるのです。また、ポイ捨てされるゴミにはペットボトルや缶もあります。これらを収集してリサイクルにつなげることで、「目標12:つくる責任 つかう責任」を進めることもできるのです。ボランティア団体やNPO法人を支援するSDGsに関連する活動をしているボランティア団体やNPO法人は日本にたくさんあります。「子ども食堂」は地域や自治体が中心となり、子供たちに無料または安価で食事を提供する活動です。地域の子ども食堂に食材や調理器具、調味料などを寄付をすることで、「目標12:つくる責任 つかう責任」の課題解決に繋がります。また、NPO法人エコキャップ推進委員会はプラスチックゴミ削減のため、50,000社を超える企業・団体からペットボトルのキャップを集め、リサイクル製品に変えています。SDGsが掲げる、資源の持続可能な利用と海洋汚染の防止という二つの目標達成に尽力しているのです。こうした活動に参加することが難しい場合は、寄付という支援の形もあります。現在様々なボランティア団体やNPO法人がSDGsに関わる活動を展開し、個人ができる支援を公開しているので、気になる活動があるかチェックしてみましょう。SDGs活動に興味がある方は「Socialgoo」がおすすめSDGsに関する活動をもっと知りたいという方には「Socialgoo(ソシャグ)」がおすすめです。Socialgooは参加型メディアであり、ボランティア活動や地域貢献の情報共有ができます。日本が抱える課題やその解決のための取り組みについても紹介されているので、記事を参考にSDGsに関する理解を深め、個人でできる活動を探してみましょう。ぜひ会員登録をして他の記事もチェックしてみてください!まとめ2022年のSDGsランキングと達成度の評価から、日本にはいまだ深刻な課題が残されていることがわかりました。政府や関連団体はこの課題を解決するために、多くの取り組みを実行しています。私たちもSDGsの目標達成のため、日本の現状を把握し、個人ができる取り組みを実践していきましょう!

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【2022年SDGs達成度】ランキング上位国と日本の取り組み事例も紹介!

近年テレビ番組などでもよく見かけるようになったSDGsですが、日本ではどのような取り組みが行われているのでしょうか?そして、そもそも日本ではどのくらいの目標が達成できているのか気になりますよね。そこでこの記事では、世界のSDGs達成度ランキングを取り上げ、ランキング上位の国々の取り組みや、気になる日本の取り組み事例をご紹介します。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。2022年の日本は世界で19位!SDGs達成度ランキングとは?SDGs達成度ランキングとは、各国のSDGsの取り組みを100点満点で点数化し、ランキング化したものです。ランキングは、国際的な研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」が作成した「持続可能な開発報告書(Sustainable Development Report)」で発表されています。2022年度版のランキングでは、日本の順位は世界163カ国中19位、アジアでは1位でした。世界163カ国中19位と聞くと、それほど悪くはない気がしますよね。では、日本以外で上位にランクインしたのはどの国なのでしょうか?次の「達成度ランキング1〜20位」で20位までにランクインした国をご紹介します。達成度ランキング1~20位2022年度版SDGs達成度ランキング1〜20位は以下の国々です。1位 フィンランド2位 デンマーク3位 スウェーデン4位 ノルウェー5位 オーストリア6位 ドイツ7位 フランス8位 スイス9位 アイルランド10位 エストニア11位 英国12位 ポーランド13位 チェコ14位 ラトビア15位 スロベニア16位 スペイン17位 オランダ18位 ベルギー19位 日本20位 ポルトガル実は20位までにランクインしているのは、日本を除くとヨーロッパの国々だけです。このことから、ヨーロッパの国々はSDGsに高い関心を持ち、行動に移していることがわかります。とくに1〜4位に北欧の国々がランクインしたのは、北欧ではSDGsの取り組みが率先して行われているためだと考えられます。後ほど、「達成度ランキング上位の国の取り組み事例」でこれらの国々の先進的な取り組みをご紹介します。これまでの日本のランキング推移日本のランキングの推移は以下の通りです。2016年:18位2017年:11位2018年:15位2019年:15位2020年:17位2021年:18位2022年:19位日本の順位は近年下がり続けています。その理由は、いまだに多くの「深刻な課題」が残されているからです。日本が抱える「深刻な課題」について、詳しくは「日本は6つの目標に『深刻な課題』|目標別の対策事例」でご紹介します。世界全体の達成状況世界全体のSDGsの達成状況はどうなっているのでしょうか?世界各国の達成度の平均点を見てみると、2019年までは進展していたのですが、実は2020年以降は66点で停滞しているのです。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって経済が停滞しているため、貧困や経済成長が課題となっていたり、環境問題への取り組み具合が遅れていたりしています。また、ロシアによるウクライナ侵攻などの軍事衝突によって、安全保障やエネルギー価格の上昇なども懸念されており、さらに平和や格差問題に取り組むことが課題となるでしょう。世界全体でSDGsの達成状況が停滞しているなか、ランキング上位の国々はどのようなことに取り組んでいるのか、次にご紹介します。達成度ランキング上位の国の取り組み事例1位:フィンランド「世界一幸せな国」としても知られているフィンランドではこのような取組みが行われています。・SDGsスタートアップへの資金提供フィンランドでは、SDGsスタートアップがたくさんあります。SDGsスタートアップとは、SDGsに配慮した技術を活かそうとしている新興企業のことです。SDGsスタートアップがたくさん生まれる背景には、フィンランド政府直営の研究所「フィンランド技術研究センター(VTT)」があります。VTTが投資したり、研究機器を貸し出したりすることで、SDGsスタートアップが活発になっているのです。・レスポンシブルツーリズム(出典:Visit Finland)レスポンシブルツーリズムとは、「責任ある観光」と訳され、「観光に携わる人はその土地の環境や文化に与える影響に対して責任を持つべきだ」という考えです。国が定めた基準に則り、サステナブルな取り組みをしているホテルや旅行会社には「サステナブル・トラベル・フィンランド」という認証が与えられます。この認証があるかどうかで観光客の行動が変わるため、観光業界は環境や文化の保全に積極的に取り組んでいます。2位:デンマークデンマークは食のSDGsに力を入れています。・オーガニックフードの普及デンマークでは、オーガニックフードが学校給食でも使われるほどに広く普及しています。オーガニックフードは、強い農薬や化学肥料を使用しないため、土壌や河川に対する環境負荷が低いことが特徴です。・食品ロスの削減デンマークでは、食品ロスの削減に向けて、様々なサービスがあります。例えば、余った食品を専用のアプリからリーズナブルに提供するサービスや、他の店では廃棄される、パッケージ破損・賞味期限切れなどの食品のみを扱うスーパーがあります。3位:スウェーデン環境にも人にも優しい国を目指しているのが、スウェーデンです。・女性の社会進出のための法整備スウェーデンでは、例えば大臣の半数が女性であるなど、政治や企業の場で女性が多く活躍しています。また、育児休暇を取得した後も元の職場に復帰できるように法律に定められているため、女性の社会進出がしやすくなっています。他にも、父親のみしか使用できない育児休暇が90日分あるなど、男性の子育て支援にも国として取り組んでおり、男性の育休取得率は約8割に迫っています。(出典:内閣府)これらの取り組みにより、母親だけに任せることなく、育児をすることができる環境が整っています。・ゴミの再利用スウェーデンで出されるゴミの99%がリサイクルされたり発電に使われたりしています。ゴミがきちんと再利用されるとわかっているからこそ、積極的なゴミの分別にもつながっています。4位:ノルウェーノルウェーは環境に優しい街づくりを目指しています。・電気自動車の普及実は、ノルウェーの新車販売数に占める電気自動車の割合は2022年には79.3%にもなっています。同年の日本の1.4%と比べると、とても高い割合です。ノルウェーでは、電気自動車に対する税制上の優遇を行うなど、国として電気自動車を普及させようと取り組んでいることが、高い割合となっている理由のひとつです。(出典:ノルウェー|欧州代替燃料観測所|EU)(出典:燃料別販売台数(乗用車)|一般社団法人 日本自動車販売協会連合会)・「カーフリー」政策首都オスロでは都市部への車の出入りを制限する「カーフリー」政策が行われています。市内を走る車が少ない分、歩行者天国が多く、自転車専用レーンの整備もすすめられています。このような取り組みが評価され、オスロ市は環境改善に取り組む都市として、「欧州グリーン首都賞」を2019年に受賞しています。5位:オーストリアオーストリアは脱炭素政策が積極的に行われています。・再生可能エネルギーの使用オーストリア政府は以下の目標をかかげています。2040年までに温室効果ガス排出実質ゼロ2030年までに国内で生産される電力をすべて再生可能エネルギーで賄う実際に、全発電量のうち再生可能エネルギーが占める割合は、すでに80%近くに達しているのです。アルプス山脈やドナウ川など、水資源に恵まれているため、水力発電の割合が大きく、総発電量の60%となっています。水力発電を重視した政策が長年行われてきた結果、オーストリアは脱炭素先進国となったのです。(出典:2021年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報)|特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所)日本は3つの目標が「達成済み」|目標別の取り組み事例日本は、目標4・9・16の3つが「達成済み」とされています。これら3つの目標に関連のある、企業や団体の取り組み事例を紹介していきます。目標4「質の高い教育をみんなに」・株式会社リクルートリクルートが提供する「スタディサプリ」は、「教育環境格差の解消」をミッションに掲げています。場所や環境を選ばないオンラインでの学習サービスが広まることで、どこにいても高品質な教育を受けることができます。・SMBC 日興証券株式会社SMBC 日興証券は、各世代のニーズに応じた金融経済教育を行っています。金融経済教育の提供を通して、正しい資産形成、さらには健全な資本市場の実現に貢献していくことを目標としています。目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」・NTTインフラネット株式会社NTTインフラネットは、浸水情報をリアルタイムで知らせる浸水検知システム(GAIA FITS®︎)を提供しています。このシステムによって、現地に直接調査をしに行かなくても、浸水状況をリアルタイムで把握できるようになります。・長野県伊那市(出典:伊那市)長野県伊那市では、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しています。例えば、「ぐるっとタクシー」というサービスでは、乗合タクシーを使いたい住民が出発地と目的地を指定すると、そこまでの経路をAIが自動で計算し、配車します。この乗合タクシーが、免許証を返納し、移動手段がなくなってしまった高齢者の移動手段として生活を支えています。このほかにも、モバイルクリニックや、ドローン、自動運転等のテクノロジーを活用することで、誰もが幸福な生活を送ることができる「しあわせのまち」を目指しています。目標16「平和と公正をすべての人に」・株式会社飯島産業ユニフォームや制服の企画・製造を行う飯島産業は、「フェアトレード」に取り組んでいます。フェアトレードとは、途上国で作られる原料や製品を適正な価格で購入し、途上国に住む人の生活改善や自立を目指す公平・公正な貿易のことです。飯島産業は国際フェアトレード認証コットンを使用したユニフォームを供給しています。・日本航空株式会社(JALグループ)JALグループは2019年に「JALグループ人権方針」を制定しました。また人権への想いとして、ホームページに以下の文章を掲載しています。JALグループは、事業活動を通して、すべての人権が尊重され、安心して活躍できる社会の実現を目指しています。(出典:人権の尊重|サステナビリティ|日本航空株式会社)航空機内での人身取引の防止に努めているほか、ハラスメントや長時間労働のない職場に向けて取り組んでいます。日本は6つの目標に「深刻な課題」|目標別の対策事例「達成済み」とされた目標がある一方、以下の6つの目標は、日本が抱える「深刻な課題」とされています。これらの目標に対して、達成に向けてどのような取り組みが行われているのか、ご紹介します。目標5「ジェンダー平等を実現しよう」・エスビー食品株式会社エスビー食品は、人材の多様化を推進するために「S&Bポジティブアクション」を制定しました。その中では、労働時間の是正のために平均総実労働時間の目標が定められていたり、ジェンダー平等のために女性管理職比率や女性採用比率の改善などが定められたりしています。産休・育休取得者対象セミナーや事業所内保育園の設置など、育児と仕事の両立を支援する取り組みも多くあります。人材の多様化のために、誰もが働きやすい環境づくりを目指しているのです。(出典:組織の人材多様化推進|サステナビリティ|エスビー食品株式会社)・アクセンチュア株式会社アクセンチュアでは、ジェンダー平等を目指して、男性育休ロールモデルを社内報で取り上げたり、女性社員のキャリア意識向上のための研修をしたりしています。また、2006年に女性社員が最大限の能力を発揮して活躍できるようにするために、所属や役職を越えた組織である「Japan Women's Initiatives(JWI)」が発足しました。これらの取り組みの結果、2021年に日経WOMAN「女性が活躍する会社Best100」で総合1位を受賞しました。(出典:平等の文化のある職場環境を目指して|インクルージョン&ダイバーシティ|アクセンチュア株式会社)目標12「つくる責任 つかう責任」・株式会社ファーストリテイリングユニクロなどを運営するファーストリテイリンググループは、「服のチカラを、社会のチカラに。」をビジョンに、商品のリユース・リサイクル活動をしています。まだ着られる服は世界の難民・国内避難民などへ寄贈しています。着られなくなった服は、新しい服の原材料や、固形燃料などの産業用資材にリサイクルしています。(出典:サステナビリティ|株式会社ファーストリテイリング)・株式会社コークッキング株式会社コークッキングが運営するTABETEは、飲食店で余ってしまった食品を消費者である「食べ手」につなげるサービスです。売れ残りの食品は廃棄されることが多いですが、TABETEで呼びかけて買ってもらうことで、食品ロスを減らせます。TABETEでは値引きをしている飲食店もあるので、消費者もお得に食べられます。つくる側もつかう側もメリットを感じながら、SDGsに貢献できるサービスです。目標13「気候変動に具体的な対策を」・パナソニック ホールディングス株式会社(出典:パナソニックホールディングス株式会社)パナソニックは、2050年までに「創るエネルギー」が「使うエネルギー」を超えることを目標にしています。具体的には、脱炭素エネルギーの普及のため、3種類の電池を組み合わせた自家発電の実証に取り組んでいます。また使うエネルギーの削減のため、商品の省エネ性能の向上にも取り組んでいます。・ダイキン工業株式会社ダイキン工業は、オゾン層の破壊や地球温暖化を防ぐために、次世代冷媒の実用化を推進しています。冷媒とは、エアコンや冷蔵庫などに使われている、熱を運ぶガスです。かつて使われていた「HCFC」や「HFC」という冷媒はオゾン層の破壊や地球温暖化の原因になっていました。ダイキン工業はこれらの代わりに低温暖化冷媒である「R32」を採用し、地球温暖化防止に取り組んでいます。目標14「海の豊かさを守ろう」・株式会社商船三井商船三井は海洋汚染防止のため、船舶の廃棄物や不要な油を船内で分別・処理しています。またプラスチックごみを陸に持ち帰ることを徹底しており、海中のマイクロプラスチック(微小なプラスチック粒子)も、船舶に装置を搭載して回収しています。・シャボン玉石けん株式会社シャボン玉石けんは、企業理念として「健康な体ときれいな水を守る」を掲げており、無添加せっけんを製造しています。一般的な石けんには、合成界面活性剤や香料・着色料などの添加物が入っていることが多いです。しかし同社の無添加石けんは、排水として海や川に流れ出ても、微生物や魚のエサになる環境にやさしい石けんです。目標15「陸の豊かさも守ろう」・住友林業株式会社(出典:住友林業株式会社)住友林業は、高層建築への木材活用に取り組んでいます。実は国産材の供給量は、木の年間成長量の20〜25%に留まっており、森林資源の余剰分が年々増加しています。同社は、高さ350mの木造超高層建築物を2041年に実現する「構想W350計画」を2018年にまとめました。この計画では、同社の木造住宅の約8,000棟分に相当する、185,000㎥もの木材を使用します。木材を適切な量だけ使うことで、森林の状態をよくすることができます。そのためには、木材を高層建築にも活用していくことが求められています。(出典:街を森にかえる環境木化都市の実現へ木造超高層建築の開発構想W350計画始動|住友林業株式会社)・株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所ソニーコンピュータサイエンス研究所は、砂漠化が進んだ土地を回復させ、農地にする取り組みをしています。この取り組みでは、種と苗以外一切持ち込まず、植物の特性を生かして生態系をつくっていく「協生農法」という方法を実践しています。2015年から、アフリカのブルキナファソにある砂漠化した土地で協生農法を導入したところ、1年間で砂漠化を逆転させ、森林生態系の回復に成功しました。目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」・博報堂DYグループ×JANIC博報堂DYグループとJANIC(特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター)は、身の回りにあるお願いにSDGsに関する「ひとこと」を加えた、「ひとこと多い張り紙」を作成しました。例えば、目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」を題材にした張り紙には、「電気の使えない生活に想いを馳せながら 退室時には消灯してください」というメッセージが書かれています。(出典:ひとこと多い張り紙|SDGs理解促進ツール|JANIC)「ひとこと多い張り紙」は、SDGs理解促進ツールとして利用してもらえるように、JANICのホームページにて無償で公開されています。・ヤマハ株式会社ヤマハは、器楽演奏体験を提供する「スクールプロジェクト」をインドで実施しています。インドは人口が多く市場としても大きいですが、実は公教育のカリキュラムに音楽教育がありません。同社はプロジェクトを通して、インドの子どもたちが音楽にたくさん触れられるように取り組んでいます。SDGs活動に興味がある方は「Socialgoo」がおすすめSDGsに関する活動をもっと知りたいという方におすすめな「Socialgoo(ソシャグ)」。ソーシャルグッド(社会にとって良いサービスや活動)に特化したメディアであり、プロボノやSDGsへの取り組み事例など様々な情報を掲載中です。ぜひ会員登録をして他の記事もチェックしてみてくださいね!まとめ日本のSDGs達成度ランキングは19位でした。ランキング上位の国では、政府・企業・国民が力を合わせている取り組みが多く、皆で手を取り合って達成を目指すことが大切と言えそうです。また取り組みに直接参加しなくても、SDGsに取り組んでいる企業・団体の商品やサービスを積極的に選ぶことでも、SDGsに貢献できます。より多くの方がSDGsに関心をもち、購入や参加によってSDGsに取り組むことが、達成度ランキングの順位を上げるためには必要そうです。

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SDGs目標1「貧困をなくそう」とは?取り組み事例と私たちにできることをご紹介!

日本ではおよそ6人に1人が「貧困」状態にあると知っていますか?SDGsでは「誰一人取り残さない」という原則があるにもかかわらず、今の社会では格差が開いており、この原則からかけ離れた状態になっています。日本でも問題となっている貧困や格差をどのようになくしていくのか、一緒に考えていきましょう。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。SDGs目標1「貧困をなくそう」とは?SDGs目標1「貧困をなくそう」には「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」という目標が掲げられています。貧困は「発展途上国」と呼ばれている地域だけではなく、先進国にもあります。貧困には金銭的な貧しさのイメージがあるかもしれませんが、それだけではなく、教育や医療などのサービスが受けられていない、公正な権利がないといったことも含まれています。SDGsはこれら全ての貧困に終止符を打つことを目標としています。SDGs目標1で設定されている7つのターゲットSDGs目標1「貧困をなくそう」の7つのターゲットは次の通りです。1.12030 年までに、現在 1 日 1.25 ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。1.22030 年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。1.3各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。1.42030 年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。1.52030 年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。1.aあらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。1.b貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。(出典:外務省「持続可能な開発のための2030アジェンダ(仮訳)」)世界的には「1日1.25ドル未満で生活する人々」と具体的に定義された貧困を終わらせ、各国ではその国ごとの貧困層を半減させることが目指されています。ちなみに、この目標ができたときには1日1.25ドルだった基準が、物価変動によって、2015年10月には1日1.90ドル、2022年9月には1日2.15ドルに変更されています。また、目的を達成するために、必要な支援や保護を受けられるようにすること、経済的資源について平等な権利を与えること、災害時の脆弱性を軽減させることが求められています。貧困問題に対する世界や日本の取り組みこれらの目標に対して、実際にどのような取り組みが行われているのでしょうか?世界や日本の取り組みを見ていきましょう。世界の取り組み・グラミン銀行のマイクロファイナンスバングラデシュにあるグラミン銀行は、貧困層を対象にした比較的低金利の無担保融資(マイクロファイナンス)を行っています。通常の銀行だと、ある程度の資産がなければ融資を受けることができません。資産がほとんどない状態では、地主などから高い金利でお金を借りるしかなく、その利子のせいでさらに貧困になってしまうという悪循環に陥ってしまっていました。しかし、グラミン銀行は返済能力があるかわからない貧困層、特に女性に融資を行いました。定期的に銀行員が顧客のもとに赴き、融資や貯蓄の手続きをするだけではなく、顧客の生活も改善させていました。その結果、借金の返済が促されるため、グラミン銀行は利益を上げることに成功しました。グラミン銀行はバングラデシュの貧困層の生活を改善させるとともに、企業としても成功したのです。日本の取り組み・株式会社ジモティー誰かがいらなくなったものを、無料あるいは低価格でもらうことができるサービスで有名なジモティー。ジモティーのユーザー調査によると、日本のひとり親世帯の約45%(約65万世帯)が利用しているそうです。この調査結果を受けて、2020年にはひとり親家庭へ使っていないものを譲った方に対して、ギフト券を配布する「ひとり親家庭応援キャンペーン」を実施しました。また、2018年にはひとり親家庭を優先に物品の受け渡し会を開催しています。子どもたちの貧困をなくすことを目指し、ひとり親に対する支援を続けているのです。(出典:スタッフブログ|ジモティー)貧困に対して個人でできること先ほどご紹介した取り組みは、企業の取り組みでした。では、私たち一人ひとりが貧困に対して何ができるか考えていきましょう。貧困についての現状を知る貧困に対して何かしたい!と思っても、貧困の現状がわからないと何をすればよいか悩みますよね。何か行動を起こす前に、まずは貧困の現状を知るところから始めると良いでしょう。この記事でも後ほど、貧困について解説し、貧困問題の現状をご紹介するのでぜひご覧ください。支援団体への寄付や募金行動に移しやすい取り組みは、寄付や募金でしょう。しかし、支援団体がたくさんありすぎて、どこに寄付したらよいのかわからない方もいるのではないでしょうか?そこで、寄付や募金を行う支援団体の選び方をご紹介します。どんなひとを支援したいか一口に支援団体といっても、団体ごとによって目的とする支援先が変わります。例えば、難民を助ける会(AAR Japan)であれば世界中の難民の支援、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンであれば国内外の子どもたちの支援を主要目的としています。みなさんが支援したい人に支援をしてくれる団体を探してみましょう。今までの活動実績が公開されているか集められた寄付金や募金を、どのように使っているかが一番気になりますよね。公式ホームページやパンフレットなどで、具体的な活動報告が見られるところに寄付するとよいでしょう。特定非営利活動法人(NPO法人)や公益法人などの法人格を取得しているか最後に、その支援団体が法人格を取得しているかどうかを確認してみましょう。なぜ法人だと安心かというと、法人には明確な会計を行う義務があるからです。NPO法人は情報公開が前提でかつ認証も必要であり、公益法人も国が定める基準を満たした法人だけに認められるので、とくに安心出来ると思います。国際的に認められた特定非営利活動法人はNGOと呼ばれることもあります。ちなみに、例に挙げたAAR Japanは特定非営利活動法人(NGO)、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは公益社団法人です。これら3つの判断材料を頭に入れながら、みなさんの目的に合う支援先を見つけてみましょう。ボランティアに参加金銭的な支援だけではなく、自分で直接サポートしたいと考えている方には、ボランティアがおすすめです。実は、NPO法人の4割以上が後継者不足を課題としており、6割以上が人材確保や教育を課題としているのです。また、企業との共同事業や、専門家が自らの知識を活かしてボランティア活動を行う「プロボノ」が求められていることからも、専門的な能力を持つ人が足りないことがわかります。とはいえ、求められている分野は広報・IT・マーケティングなどであり、特殊な専門性が必要なのではなく、これらの分野で経験のある人が求められているようです。そのほかにも事務作業や現地での支援活動などもあるため、ボランティアをやってみたいという気持ちがあれば、ぜひチャレンジしてみてくださいね。(出典:令和2年度 特定非営利活動法人に関する実態調査|内閣府)フェアトレード商品の購入実は、みなさんがお買い物をするときにフェアトレード商品を買うだけでも、遠く離れた発展途上国の貧困に対して、取り組みが出来るのです。フェアトレードとは、直訳すると「公平・公正な貿易」で、発展途上国でつくられる原料や製品の生産者や労働者の労働環境・賃金を保障した貿易のことです。生産者に正当な対価が支払われることで、発展途上国の人々の貧困をなくそうとしている取り組みです。このフェアトレードの基準が守られて製造され、認証を受けた製品には「国際フェアトレード認証ラベル」が付いています。おもにチョコレート・コーヒー・果物・コットン製品などに付いているので、ぜひ探してみてください!「貧困」には2つの意味がある実は「貧困」には「絶対的貧困」と「相対的貧困」という二種類の貧困があります。絶対的貧困絶対的貧困とは、地域に関係なく、最低限の生活水準が維持されていない状態です。医療や教育等のサービスが受けられていないことが多く、必要な食料品や衣服等が買えないほどに所得が低い状態にあるのです。世界銀行は、2022年10月時点で「1日あたり2.15ドル」を判断基準とし、それ以下の所得の人々を絶対的貧困者としています。相対的貧困相対的貧困とは、その地域の大多数の人々と比較して貧しい状態のことです。可処分所得の中央値の半分以下の所得の人々のことを相対的貧困者と定義しています。地域内での所得水準と比較しているため、相対的貧困率はその地域の格差を表していると言えます。日本と世界の貧困問題の現状「絶対的貧困」と「相対的貧困」の違いがわかったところで、日本と世界の貧困問題をご紹介します。日本の貧困問題日本は相対的貧困率が高く、2018年時点で15.7%、つまり、およそ6人に1人が相対的貧困なのです。とくに高齢者やひとり親世帯に多いとされており、高齢者の治療費や介護費、子どもの学費などを払うことが難しくなっていることが問題です。日本では子どもの貧困が深刻で、大学などの高等教育への進学をあきらめたり、非行や暴力をしたり、虐待を受けたりする子どももいます。また、習い事をしたり、文化施設を見学したりできないことで、経験の格差も広がっています。(出典:相対的貧困率|データブック国際労働比較2022|労働政策研究・研修機構)世界の貧困問題国連開発計画が導入した「多次元貧困指数 (MPI)」は、健康・教育・生活水準という多次元の貧困を表しています。多次元貧困層が多いのは、サハラ以南のアフリカと南アジアで、全体の84.5%がこの2地域に存在することから、貧困には地域の偏りがあることがわかります。また、この2地域のなかでも国ごとに貧困率が異なっており、地域内でも格差が大きくあることがわかっています。さらに、ジェンダーによる格差も問題となっており、例えば南アジアのアフガニスタンでは、学校に行けない女子の割合が44.0%と、男子の24.8%に対し高い数値となっています。このように、金銭面だけではない多次元の貧困が問題となっているのです。(出典:2019年グローバル多次元貧困指数|国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所公式サイト)貧困が起こる主な原因とは?では、なぜ貧困は起きてしまうのでしょうか?貧困が起きる主な原因をご紹介します。食料が届かない発展途上国では、食料があっても、適切に保管したり、長期保存のための加工技術が十分でなかったり、適切に運ぶための手段がなかったりして、食料が届かないことがあります。また、需要が大きい国に食料が流れてしまい、供給されないこともあります。十分な教育を受けられない発展途上国では、労働力として使われていたり、学校が遠くにあったり、紛争地帯だったりして、教育が受けられていない子どもが多くいます。また、ジェンダーや民族による格差もあり、国内での教育格差につながっているのです。その結果識字率が低下したり、定職につけなかったりして、貧困に陥ってしまいます。紛争や内戦紛争地域に留まって巻き込まれた人々も、そこから逃れるために難民になった人々も、生活用品が不足したり職を失ったりして生活水準が下がり、貧困に陥ってしまいます。紛争や内戦の状態では暴力が横行し、衛生状態や医療環境が悪くなり、安全ではなくなってしまうのです。自然災害地震や台風、サイクロンなどの自然災害が起きると、経済損失が発生し貧困に陥ってしまうのです。例えば、干ばつによって農作物が育たなくなったり、地震によって建物が倒壊し、住まいや仕事場がなくなったりすることもあります。親が失業してしまった家庭では子どもが労働力として使われ、教育が受けられなくなることもあるなど、自然災害のせいで別の貧困の原因を引き起こしてしまいます。まとめSDGsの目標1「貧困をなくそう」は、あらゆる場所であらゆる形態の貧困をなくすことを目標にしています。世界には健康・教育・食料などが十分でないところも多くあり、絶対的貧困の状態でなくても、生活に困っている人がたくさんいます。そして、日本では相対的貧困率が高いことが問題となっています。このような現状を理解し、みなさんができることから取り組むことで、貧困を抱える人々の支援につながり、世界から貧困をなくすことに近づくのではないでしょうか。

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SDGsと動物はどんな関係がある?目標別の取り組みは?

持続可能な社会を目指してSDGsが世界中で取り組まれるようになり、私たちの身の回りでもSDGsが身近なものとなってきました。その中でも、ペットや家畜などといった「動物」と関わる目標が存在するのはご存知ですか?SDGsという言葉は知っていても、動物との関連については意外と知らないという方も多いと思います。そこで本記事では、SDGsと動物の関係や動物に関わる目標ごとの取り組みをご紹介していきます。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。SDGsと動物の関係性SDGs(Sustainable Development  Goals)とは2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」で、今も未来も満足できるような社会を実現するために、17の目標を掲げています。以下では、このSDGsと動物との間にどのような関係があるかについて解説していきます。アニマルウェルフェア動物とSDGsの関係の中で覚えておきたい用語に、アニマルウェルフェア(動物福祉)という考え方があります。アニマルウェルフェアとは、「動物の生活とその死に関わる環境と関連する動物の身体的・心的状態」と定義される考え方のことです。(出典:農林水産省)分かりやすくいうと、「動物が生まれてから死ぬまで、心身ともに健康的で幸福な生活を送れるようにしよう」ということを意味します。この考え方はペット・実験動物・家畜などの全ての動物に適用されますが、特にSDGsと関わりが深いのは畜産分野です。家畜の生育環境を整備することで持続的な畜産経営につながり、品質の良い畜産物の供給や働く人の労働環境の改善にもつながります。このようにアニマルウェルフェアの考え方を取り入れることで、SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」や目標12「つくる責任 つかう責任」などの実現に貢献できるのです。生物多様性生物多様性の面でも、動物とSDGsには深い関わりがあります。現在の地球環境は多くの生物の関わり合いによって形成されており、生物多様性を守ることが、持続可能な社会のために必須です。しかし現在、日本では3716種もの生物が絶滅危惧種に指定されているなど、その生物多様性が失われつつあります。(出典:環境省)このような背景から、SDGsでは目標14「海の豊かさを守ろう」や目標15「陸の豊かさも守ろう」という目標のもと、生物やそれを取り巻く環境を守る取り組みを推進しています。動物と関係あるSDGsの目標別取り組み事例ここまでは動物とSDGsにどのような関係があるのかを解説してきました。ここからはSDGsの目標別に、動物に関する企業の取り組み事例をご紹介します。目標12「つくる責任 つかう責任」(出典:JAたじま)アニマルウェルフェアの観点では、イオンの「平飼いたまご」が挙げられます。現在、私たちがスーパーなどで購入する卵の多くは「ケージ式」で育てられた鶏から生産されていますが、この「平飼いたまご」は自由に動き回れる「平飼い」で育てられた鶏から生産されています。鶏の生活の質を保証しているのはもちろん、実際に美味しいという声も多く寄せられていました。生物多様性の観点からは、JAたじまの「コウノトリを育むお米」が挙げられます。コウノトリは田んぼのドジョウやカエルなどをエサに生活しますが、農薬の使用などによってそのエサがいなくなり、一時期は絶滅危惧種になるほど激減しました。そこでJAたじまのある兵庫県豊岡市は、無農薬栽培で田んぼの生物多様性を守り、コウノトリが暮らせる環境の中で米を生産しています。また、コウノトリの人工巣塔を作ったり、田んぼに水がない時期にもエサを捕まえられるように湿地やビオトープを作ったりもしています。これらの活動は、地域住民とNPO、大学などの協力のもとで取り組まれています。どちらも動物や環境に配慮した生産方法で、「つくる責任」を果たしていると言えそうです。目標14「海の豊かさを守ろう」(出典:『海を守る選択!』サステナブル・シーフードを社員食堂から拡げる - サステナビリティ - パナソニック ホールディングス)この目標に関わるものとして、パナソニックの「サステナブル・シーフード」という取り組みがあります。これは、資源管理や環境・社会にも配慮した持続可能な方法で生産された水産物「サステナブル・シーフード」を、社員食堂に継続的に導入するものです。具体的には、「MSC認証」や「ASC認証」を取得した水産物を使用しています。「MSC認証」は天然水産物、「ASC認証」は養殖水産物を対象とし、持続可能な生産物であることを示すラベルです。持続可能な方法で生産された水産物を選択することは、結果的に海の豊かさを守ることに繋がります。目標15「陸の豊かさも守ろう」(出典:生物多様性の保全 | 環境保全への取り組み | 株式会社クボタ)この取り組み事例として、農業のトータルソリューションカンパニーであるクボタの「生物多様性の保全」が挙げられます。クボタは、企業活動におけるほぼ全ての工程において環境への影響を評価し、それが最小限になるような取り組みを行なっています。他にも、事業所内の緑化活動や植樹活動など、生物多様性の保全のために幅広い活動を行っているのが特徴です。目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」この目標と関わる取り組みとしては、横浜銀行の「〈はまぎん〉SDGs動物愛護私募債」が挙げられます。これは、私募債の発行金額の0.1%を動物愛護事業に寄付するというものです。この寄付金は、飼育放棄などによって不遇な環境で生活している犬や猫の飼育環境を改善するなど、ペットと人が暮らしやすい持続可能な地域づくりに役立てられます。また、多くの企業と関わりのある銀行でSDGsの取り組みを行うことで、SDGsの輪が広がっていくことも期待されます。SDGs達成のために私たちができることここまでは、動物に関わるSDGsの企業の取り組みについてご紹介してきました。しかし、企業だけでなく個人としてもできる取り組みはたくさんあります。ここからはSDGs達成に向けて私たち1人1人にできる身近な取り組み事例をご紹介します。地産地消を意識するその地域でとれたものをその地域で消費することは、その土地の陸資源・海洋資源を守ることにつながります。逆に地域外への出荷を増やそうとすると、森林伐採や乱獲などの弊害が生まれかねません。私たちが地産地消を心がけることで、こうした弊害を起こさないことにつながるのです。アニマルウェルフェアを意識した消費活動をする上でご紹介した「平飼いたまご」のように、アニマルウェルフェアを意識して生産された製品は増えてきています。私たちがそうした製品を積極的に選ぶことで需要が増加し、結果として多くの企業や農家がアニマルウェルフェアを意識した生産をすることにつながります。商品選択の1つの基準として、アニマルウェルフェアに配慮した製品かどうかを意識してみるのはいかがでしょうか。環境保全活動や殺処分を減らす取り組みに参加する現在では、個人でも参加できるような環境保全活動などがたくさんあります。植樹活動やゴミ拾いなどは生物が暮らす環境を整備する重要な取り組みですし、犬や猫などの預かりボランティアなども殺処分を減らす取り組みの1つです。活動への参加は自身の経験にもなるほか、新たな気づきや発見もあるため、ぜひ積極的に参加してみてください。SDGs活動に興味がある方は「Socialgoo」がおすすめここまで動物が関わるSDGsについての取り組みをご紹介してきましたが、他にも取り組むべき目標、そして私たちにできることはたくさんあります。「他にはどんな目標があるの?」「取り組み事例をもっと知りたい!」とSDGsに興味を持たれた方は、本サイト「Socialgoo」がおすすめです。「Socialgoo」では、SDGsの内容や具体的な取り組みなど、SDGsに関わる様々な記事を発信しています。SDGsについてもっと知りたいと興味を持たれた方は、ぜひ「Socialgoo」をチェックしてみてくださいね!まとめ本記事では動物とSDGsの関わりや、その具体的な取り組み事例についてご紹介してきました。日本は他の国と比べても、アニマルウェルフェアへの取り組みなどが遅れていると言われています。そうした全体の意識を変えるには、私たち1人1人の取り組みが必要不可欠です。今回ご紹介した取り組み事例を参考にしながら、動物に関わるSDGsにもぜひ取り組んでみてください。

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