国連が発表している「ナマケモノにもできるアクション・ガイド」をご存じですか?SDGs達成への取り組みは、実は誰でも簡単にできるものもたくさんあります。SDGsの目標は国際社会全体が協力して取り組むべき課題だとされていますから、ご自身ができるものがあるのか、ぜひチェックしてみましょう。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。私たちにできるSDGsの取り組み14選SDGsの活動は専門的なスキルを必要とするものだけではありません。今すぐできる取り組みの中から、今回は厳選して14の項目をご紹介します。節電・節水そもそも電気と水は密接に関係しています。例えば水の処理場や各家庭への水の供給には電力が欠かせません。つまり節水すれば社会全体の節電につながるというわけですね。使わない家電のプラグを抜く、節水ノズルに切り替えるなど、誰でもできる取り組みで効果もわかりやすいので、ぜひ実践してみましょう。SNSに投稿されたSDGs活動にいいね・シェア社会課題解決において「認知度の低さ」が障壁になっているケースは少なくありません。そこで認知度を高めるためにSNSを利用しましょう。近年SNSは個々人の情報を共有するだけでなく、検索ツールとしても機能しています。社会に警鐘を鳴らすため、社会問題や課題を広めるため、SDGsの活動を世界中にシェアしましょう。SDGsを周りの人に広めるこの記事を読んでいるということは、あなた自身はすでにSDGsへご興味があるのでしょう。しかしあなたの家族・友人・同僚は、持続可能な社会に向けて何か問題意識を持っているでしょうか。SDGsを実現するためには社会全体の協力が必要です。あなたの知識を周囲にシェアすることも、忘れないようにしましょう。紙の無駄遣いを減らすつい多めに取ってしまうティッシュやペーパータオル。少しの書き損じで捨ててしまうメモ用紙。こうした行いは紙資源のムダ使いです。再生紙は多くの産業で使われるようになりました。ですが、再利用技術を高めても利用者が必要以上に消費しては意味がありません。家庭ではなるべく紙媒体の使用頻度を減らしたり、企業では紙媒体にかかるコストを周知したりすることで、ムダ使いを防げます。なるべく公共交通機関を利用する自家用車ではなく公共交通機関を利用すれば、CO2削減につながります。また、地方都市では公共交通機関の利用比率を増やすことで、自動車を持たない高齢者や学生も暮らしやすい持続可能な社会につながります。公共事業の収益が増えれば財政を支える大きな基盤となり、地方活性化も期待できるでしょう。家事や育児の分担SDGsには「ジェンダー平等を実現しよう」というゴールが掲げられています。これは男女の格差を無くそうというテーマですが、特に日本では女性に家事・育児を押し付ける考えが一般的でした。女性の社会進出を支え、また男性の家庭参加を促すためにも、家事や育児の分担は積極的に進めましょう。食べ残しを減らす2020年の食品ロス量が過去最少を記録したことが、最近話題になりましたね。農水省・環境省は食品ロスの取り組みを進めるため、ロス量の測定を2012年から行ってきました。その結果が着実に出てきているようです。本来は食べられるにもかかわらず廃棄される食品を減らすため、食べ残しをしないように努めましょう。エアコンの温度設定環境省によれば、環境省は、省エネルギーを目指すために、夏場で28度、冬場で20度の室温になるようエアコンの温度設定をすることを推奨しています。実は設定を1度変えるだけで消費電力が抑えられるのです。夏は設定温度を1℃高くすると消費電力が13%削減、冬は設定温度を1℃下げると消費電力を10%削減できます。エアコンに頼りきらず、衣服の調整で快適に過ごせるように工夫してみましょう。マイバッグ・マイボトルを使うプラスチックフリーを推進するためにレジ袋が有料となり、マイバッグを持ち運ぶ人が増えました。またマイボトルを持ち運ぶことで購入した飲み物に割引が行われるなど、容器としてのプラスチック削減の取り組みも進んでいます。マイバッグ・マイボトルを持つことで、環境にもお財布にも優しい生活が実現できるでしょう。地元の食材を購入地元の食材を地元で消費することを「地産地消」といいます。SDGsでは海・陸の豊かさを守ることもゴールに設定されており、地産地消で地場の産業を守りつつ、動植物の乱獲・伐採を防げるのです。また遠方との輸出入では多くのエネルギーが消費され排気ガスも排出されます。地産地消による最低限の輸送ならば、エネルギー消費・排気ガスも最低限に抑えられるでしょう。リサイクルショップで購入大量生産・大量消費が当たり前の現代社会において、新品で買ったものをすぐに捨ててしまう行動が問題視されています。例えばファッションアイテムには流行り廃りがあるため、シーズンごとに新しい物を揃えるという人も少なくありません。こうしたサイクルを変えるため、リサイクルショップを利用しましょう。不要なものは売り、必要な物をリサイクル品から買うことで、ゴミを減らし節約も可能です。フェアトレード商品・認証マーク入り商品の購入フェアトレードとは途上国で作られた製品や農作物を適正価格で取引し、生産者の生活を改善することを目指すものです。SDGsには貧困・飢餓をなくすこと、経済成長の促進、平和と公正を世界に広げることなどが掲げられており、フェアトレードによって多くの目標が実現に向かうとされます。例えば途上国の収入安定化は貧困からの脱却につながりますよね。フェアトレード商品を選ぶことで、普段の買い物からSDGsに貢献できるでしょう。使わないものを寄付する使わなくなった子どものランドセル、昔着ていた服など、家庭には不用品が溜まっていきます。それらを捨てるのではなく、積極的に寄付しましょう。不用品を寄付することで廃棄にかかるエネルギーやコストを削減し、また恵まれない人々への支援にもなります。持続可能なエネルギーを使う持続可能なエネルギーとは、太陽光・風力・地熱といった自然界に常に存在するエネルギーです。枯渇せず・どこにでも存在し・CO2を排出しないという点から、環境に優しいエネルギーという特徴があります。世界ではエネルギーの多くを有限な資源に頼っており、資源を巡る争いが絶えません。こうした資源から持続可能なエネルギーへの転換が求められているのです。「ナマケモノにもできるアクション・ガイド」を国連が公開ここまでご紹介した「身近なできること」以外にも、国連では手軽な取り組みを紹介しています。それが冒頭でご紹介した「ナマケモノにもできるアクション・ガイド」です。簡単なものから4段階で紹介していますから、取り組めそうなものをチョイスしてみてください。レベル1:ソファに寝たままできることなるべく労力を使わずに社会貢献したいという方は、レベル1の「その場から動かずにできる取り組み」で社会に貢献しましょう。・使わない家電は電気を切ろう・支払いはオンラインで済ませよう・SDGsの取り組みはいいね&シェアしよう・周囲にSDGsの取り組みを伝えよう・紙の代わりにデジタルを活用しよう・不要な照明は消しておこう・SDGsに取り組む企業を応援しよう・オンラインのいじめは報告しよう・自分の活動を世界にシェアしようレベル2:家にいてもできること社会貢献のために外出するのは億劫だという方は、レベル2の「家の中からできる手軽な取り組み」で社会に貢献しましょう。・髪の毛や服は自然乾燥させよう・お風呂はなるべくシャワーで済ませよう・お肉や魚は食べすぎないようにしよう・食べきれないものは捨てずに冷凍しよう・生ゴミは堆肥にして再利用しよう・紙・プラスチック・ガラス・アルミをリサイクルしよう・簡易包装の商品を買おう・窓やドアの隙間は塞いでおこう・エアコン温度は冬低め夏高めに設定しよう・電化製品は省エネなものに切り替えよう・ソーラーパネルを家に取り付けよう・すすぎに使う水を減らそうレベル3:家の外でできることさらに社会の役に立ちたいという意識を持った方は、レベル3の「家の外でできる簡単な取り組み」にトライしてみましょう。・地元の商品を買おう・規格外の商品を選ぼう・サステナブルシーフード(環境へ影響が少ない水産物)を食べよう・マイボトルを持ち歩いて値引きしてもらおう・マイバッグを持参してレジ袋は断ろう・紙ナプキンは必要な分だけ使おう・新品よりも中古品を選ぼう・不要なものは寄付しよう・国や地方の政治に参加しようレベル4:職場でできること社会貢献に慣れてきたら、レベル4の「周囲を巻き込んで行う取り組み」を始めてみましょう。・労働者の権利を行使しよう・若者の相談に乗ろう・女性の待遇を改善しよう・社内のエアコンは省エネなものにしよう・災害に負けないインフラに投資しよう・差別に対して声をあげよう・公共交通機関や自転車を使おう・まずは一週間、持続可能な暮らし方について学び、実践しよう・会社にSDGsへの積極的な参加を求めよう・日々の業務を見直してみよう・労働にまつわる権利そもそもSDGsとは?SDGsとは「Sustainable Development Goals」を略したもの。つまり、「持続可能な開発目標」です。2015年9月の国連サミットで採択され、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた17の目標を指しています。ではそれぞれの目標がどんなものなのか、次から見ていきましょう。SDGsで掲げられている17の目標目標1.貧困をなくそう・世界からあらゆる形の貧困をなくすため、貧しく弱い人を守る社会の仕組みを作る目標2.飢餓をゼロに・誰もが栄養のある食料を手にできるように、環境を守りながら農業を推進する目標3.すべての人に健康と福祉を・誰もが健康で幸せな生活を送れるように、十分な医療サービスを提供する目標4.質の高い教育をみんなに・誰もが公平で良い教育を受けられるように、一生涯学習できる機会を広める目標5.ジェンダー平等を実現しよう・男女平等を実現するため、すべての女性の能力を伸ばして可能性を広げる目標6.安全な水とトイレを世界中に・誰もが安全な水とトイレを利用できるように、安全に管理できる仕組みを作る目標7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに・誰もが安く安全なエネルギーを使えるように、持続可能なエネルギーの開発を進める目標8.働きがいも経済成長も・誰もが安定した生活ができるように、働く人の権利を守りながら経済成長を進める目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう・災害に強いインフラを整備するため、新しい技術を開発して産業化を進める目標10.人や国の不平等をなくそう・誰もが能力を高めて平等な機会を持てるように、格差を減らす制度設計を進める目標11.住み続けられるまちづくりを・誰もが安全に暮らせるように、災害に強く持続可能な都市や地域を作る目標12.つくる責任つかう責任・地球の環境と人々の健康を守るため、持続可能な生産と消費の活動を行う目標13.気候変動に具体的な対策を・自然災害や気候変動に対応できるように、復興や対策が可能な仕組みを備える目標14.海の豊かさを守ろう・海や沿岸の生態系を守るため、環境汚染を防いで持続可能な管理や保護を行う目標15.陸の豊かさも守ろう・陸上と内陸の淡水地域の生態系を守るため、森林の減少を抑えて土地と土壌を保護する目標16.平和と公正をすべての人に・誰もが法や制度で守られるように、司法を活用し、基本的な自由の侵害を防ぐ目標17.パートナーシップで目標を達成しよう・世界中の人々が助け合い、国際的な支援や途上国への投資を進める日本のSDGs達成状況2022年に発表された日本のSDGs達成状況は、全世界163カ国中で19位。欧米諸国が上位を占める中、アジアではトップの成績です。2016年から統計が開始されたこのランキングでは、SDGsの達成度に応じてスコアが公開されています。日本は2016年時点で75点をマークし、2022年には79.6点と得点を上げてきました。しかしながら日本にも課題は山積みです。目標5(ジェンダー平等を実現しよう)目標10(人や国の不平等をなくそう)目標12(つくる責任つかう責任)目標13(気候変動に具体的な対策を)目標14(海の豊かさを守ろう)目標15(陸の豊かさも守ろう)これらの項目については進捗度が低いため、取り組みの強化が求められています。SDGs活動に興味がある方は「Socialgoo」がおすすめSDGsに関する活動をもっと知りたいという方におすすめな「Socialgoo(ソシャグ)」。ソーシャルグッド(社会にとって良いサービスや活動)に特化したメディアであり、プロボノやSDGsへの取り組み事例など様々な情報を掲載中です。ぜひ会員登録をして他の記事もチェックしてみてくださいね!まとめSDGsの目標を達成するため、私たちにできることをご紹介しました。どんな目標があるのかを理解して、求められる行動を選ぶことをお勧めします。まずは特別なスキルを必要としない、手軽な取り組みから始めてみましょう。
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