衣服は日々の暮らしに欠かせない要素です。だからこそ消費活動も盛んであり、その結果さまざまな問題を抱えているのをご存知ですか?環境問題・労働問題・エネルギー問題など、その影響は多岐にわたります。そこで今回は、服を通じてSDGs達成に貢献する方法とサステナブルなブランド6選をご紹介します。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。服を通じて私たちにできることSDGs達成のため、服を通じて何ができるのでしょうか。今すぐできる7つの意識づけをご紹介します。買う前に本当に必要か考える流行り廃りの早いファッション業界では、似たような色やデザインでも細かな違いが施されており、その点が購買意欲を刺激します。ですが購入する前に、その製品を買うことで得られる機能は果たして必要なのか考えましょう。すでに持っている服で事足りるのではないか?など、その服を買う必要性についてチェックすることが大切です。1着1着を大切に着る着なくなった服や流行りでない服をすぐに捨てていませんか?その服はまだまだ着られる上に、服としての機能は損なわれていないかもしれません。頻繁な買い替えを提起するビジネススタイルが一般的なファッション業界ですが、その広告に乗らず、今ある服を長く使うことを考えてみると良いでしょう。環境に配慮しているブランドで購入する環境に配慮した経営が重視される昨今ですが、ファッション業界でもその波が起きています。サステナブルな経営や地球にやさしい製法で作る衣料品を新たなブランドとして展開する企業も増えており、そうした製品を選ぶことでさらなる環境配慮への投資が行われるでしょう。5Rを意識する5Rとは、Reduce:発生抑制・Reuse:再使用・Repair:修理・Refuse(拒否)・Recycle:再生利用の5つの単語の頭文字をとったものです。衣服を購入してから廃棄するまでに、その衣服がリユースできないか、リサイクルできないかなど、5Rの観点から一度考えてみることがSDGs達成への取り組みにつながります。素材やブランドの背景を調べる衣服に使われている素材はどこのものなのか、どうやって調達されたのか、考えてみることも大切です。またそのブランドが培ってきた歴史において、労働環境は適切だったのかもよく考える必要があります。持続可能なビジネスには持続可能な素材と適切な労働環境が必要不可欠ですから、そうしたポイントについても注目してみましょう。使わない服はリサイクルや寄付に出す使わない服はリサイクルに出しましょう。そのリサイクル製品を原材料に、新たな製品を生みだしているメーカーもあります。またいらない服は捨てるのではなく、新たな使い手を探してみると良いでしょう。現代ではスマホアプリなどを通じて簡単に寄付を行うこともできます。洗濯方法を見直す服と切っても切り離せないのが洗濯です。洗濯方法ひとつとっても、環境負荷に違いが出るのをご存知でしょうか。洗濯する回数そのものを減らすだけでも節水効果があります。また1kgのTシャツを洗濯すると、約300mgものマイクロプラスチックファイバーが排出されるというデータもあり、こまめな洗濯はそれだけで悪影響を及ぼしかねません。また植物由来の洗剤を選んだりと、洗剤や柔軟剤のチョイスも慎重に行いましょう。サステナブルファッションブランド6選SDGs達成に尽力するファッションブランドをご紹介します。新しい服を買う時の参考にされてみてはいかがでしょうか。UNIQLOUNIQLOではTHE POWER OF CLOTHINGと題して、服作りにおけるサステナビリティ活動を進めています。「シンプルで、上質で、長く使える性能を持ち、あらゆる人の暮らしを豊かにできる服」を販売することで、世界を良い方向へ変えていけるという思想を元に、地球に負荷をかけない服作りを推進しているのです。ペットボトルからの服作りやリサイクル活動による衣料支援、さらに全商品をリサイクル、リユースする取り組みである「RE.UNIQLO」を進めています。無印良品無印良品ではESG経営(環境:Environment、社会:Society、ガバナンス:Governanceの3つの要素を重視する経営)のトップランナーを目指しています。創業以来「素材の選択・工程の点検・包装の簡略化」の3つの視点で、社会や環境に配慮したものづくりを続けており、社会や人の役に立つ商品作りを展開。すべての商品・サービス・活動のサイクルにおいて地球環境の負荷を低減すること、またプラスチック製ショッピングバッグの廃止、マイバッグ持参の推進、パッケージ素材・陳列素材の見直しなども行っています。パタゴニアパタゴニアのフェアトレードプログラム(途上国との公平・公正な貿易)により、66000人もの労働者が支援を受けていることは大きな話題となりました。同社は「ファッション業界は世界で最も低賃金な労働者を抱えている」と自ら指摘しており、その支援に尽力。労働者の危険な就労環境・低賃金・長時間労働・雇用差別の解決を目指し、労働者とそのコミュニティにおよぼす影響を分析・管理するための社会的責任プログラムを構築しています。バナナリパブリックバナナリパブリックは創業当初から世界を旅して集めた古着をモダンアレンジするという、サステナブルな経営方法を選択してきた企業です。その考え方は現在も引き継がれており、生産者の福利厚生を実現しつつ、持続可能性をより高める活動に注力しています。製造過程における環境負荷の削減を徹底しつつ、着心地やデザイン性も同時に追求しており、今後は2023年までにすべてのコットンを持続可能な方法で調達することが同社の目標です。H&MH&Mではファッション業界におけるバイオダイバーシティの問題を指摘しています。これは「地球上に生息するさまざまな植物・動物・微生物などが生み出す多様な生態系の状態」を指す言葉ですが、それがファッション業界によって崩されているのです。これまで生み出してきた有害な化学物質・化石由来のエネルギー源・使い捨てパッケージを一新し、水・空気・土壌の保護につながるビジネスプランを構築し、2040 年までに温室効果ガスを大気から削減するという目標を掲げています。アシックスアシックスでは人々の心と体を健康にすることを使命に掲げています。同社のランニングシューズ製品において約90%がリサイクル材を利用しており、また全ての製造委託先と独自の管理体制を敷きつつ、従業員の労働環境保護も達成してきました。将来にわたってスポーツができる地球環境を守るため、サプライチェーンの見直しや製品開発における環境負荷の低減を常に模索しています。サステナブルファッションとはサステナブルファッションとは何なのか、またエシカルファッションとの違いは何なのか。服からSDGsを考えるためにもおさらいしておきましょう。エシカルファッションとの違いエシカルファッションとは倫理的・道徳的なファッションと呼ばれます。人や地球に優しいファッションを指す場合に用いられますね。主に考え方や行動を表す用語であり、そうした服を着ることである種の意思表示にもなりえるでしょう。一方でサステナブルファッションは「衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて将来にわたり持続可能である」といった構造的特徴を持つ衣類を指すものです。両者とも地球環境に配慮するという点で同じですが、違いを知っておくことで企業がどんな活動をしているのかより明確になるでしょう。ファッション業界がSDGsに注目する理由なぜここまでファッション業界がSDGsに注目するのでしょうか。その理由を大きく2つご紹介します。大量生産・大量消費問題SDGsの目標12では「つくる責任・つかう責任」が掲げられています。これは持続可能な消費と生産のために設定されており、生産者から最終消費者まで責任を持った行動を提起するものです。現代社会は大量生産・大量消費が行われており、この過程で大量の廃棄が同時に起きています。背景には利益最大化のために、生産数を減らすより廃棄した方がコストを抑えられるという経済的合理性がありました。今後はこの構造を変えながら、より無駄を減らして地球環境に寄与する生産・消費が求められています。消費エネルギーの問題環境省による発表で、ファッション業界は製造にかかるエネルギー使用量が高いと指摘されています。2018年には原材料の調達から製造に至るまでに21億トンのC02が排出されていたといい、これは世界全体の4%を占める排出量なのです。しかもその量は毎年2%ずつ増えていくという試算もあります。また流行り廃りの早い業界であることから製品のライフサイクルも短いため、環境にかかる負荷が大きいと国際的な問題になっているのです。SDGs活動に興味がある方は「Socialgoo」がおすすめSDGsに関する活動をもっと知りたいという方におすすめな「Socialgoo(ソシャグ)」。ソーシャルグッド(社会にとって良いサービスや活動)に特化したメディアであり、プロボノやSDGsへの取り組み事例など様々な情報を掲載中です。ぜひ会員登録をして他の記事もチェックしてみてくださいね!まとめ今回は服を通じてSDGs達成に貢献する方法と、サステナブルなブランド6選をご紹介しました。日々の暮らしを彩る身近な衣服にだからこそ、サステナブルな意識づけをしながらの社会貢献が求められています。服からSDGsを考えていきたいという方は、記事を参考に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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