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サーキュラーエコノミーとは?取り組み事例や3原則、3Rとの違いもわかりやすく解説!

みなさんは「サーキュラーエコノミー」をご存知ですか?「循環型経済」とも訳されるこの言葉ですが、簡単には想像しにくいものです。そこでこの記事では、サーキュラーエコノミーについて、わかりやすく解説します。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。サーキュラーエコノミーってなに?サーキュラーエコノミー(Circular Economy)とは、資源やエネルギーを無駄にせず繰り返し使うことで、環境にやさしい経済活動を行うことです。現在の経済システムは、基本的には大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とした直線的な経済(リニアエコノミー)です。リニアエコノミーでは、気候変動や環境汚染といったさまざまな問題を引き起こしていると考えられるため、新しい経済システムが模索されています。そこで目指されているのが、サーキュラーエコノミーなのです。(出典:環境白書第2節 循環経済への移行|環境省)サーキュラーエコノミーの3原則サーキュラーエコノミーでは、製品やサービスを作るとき・使うとき・捨てるときに以下の3つの原則に従います。廃棄物や汚染を生み出さないこと製品や素材を(高い価値の状態のまま)流通・循環させ続けること自然を再生させること廃棄物や汚染を生み出さないこと現在、私たちは地球から原材料を取り出し、それらから製品を作り、最終的には廃棄物として捨てています。しかし、地球上の資源は有限であるため、このシステムは長期的には機能しません。なぜなら、今の市場に出回っている多くの製品は使い捨て用に設計されており、資源を使い果たしてしまう恐れがあるからです。そのため、この問題を解決するには、製品やサービスのデザインを考え直すことから始めなければならないのです。そこでサーキュラーエコノミーを前提として製品を設計すると、消費者はメンテナンス・シェアリング・リユース・リサイクルなどがしやすくなり、製品を循環させることができます。このように、廃棄物を生み出さないような製品の開発が求められています。製品や素材を(高い価値の状態のまま)流通・循環させ続けること高い価値のまま循環させることとは、必要ではなくなったものを再び製品として使ったり、それが製品として使用できなくなった場合には部品や原材料として使ったりすることです。このように、できる限り価値を維持したままで再利用することが重視されています。そうすることで、使用する資源の量を減らせるのです。自然を再生させること本来、自然は自己再生するものですが、人間が資源を使いすぎているため、自然が破壊されています。廃棄物を減らし、資源の使用を減らすことで、自然の回復を目指すことができます。また、生ごみを肥料に変えることのできるコンポストを使用することで、土壌を再生することもできます。このように、私たちの経済を直線状から円形状に変えることで、自然を再生できるのです。サーキュラーエコノミーの概念図「バタフライ・ダイアグラム」ここで、サーキュラーエコノミーを理解するために、エレン・マッカーサー財団が提唱した概念図「バタフライ・ダイアグラム」を見てみましょう。(出典:サーキュラーエコノミーとは?|一般社団法人サーキュラーエコノミー・ジャパン)この図は、資源や製品が生物的なサイクルと技術的なサイクルに分かれて流れる様子を示しています。生物的なサイクルとは、使用した後に自然に返す資源のサイクルのことです。技術的なサイクルとは、修理・リユース・リサイクルなど、製品や資源をできる限り長く使えるようにするサイクルのことです。どちらのサイクルも環境負荷の小さい、内側の円の取り組みから始めるべきとされています。それぞれのサイクルについて、内側の円から順に見てみましょう。生物的なサイクルカスケードリサイクル資源の価値を段階的に下げながら、複数の用途に利用すること。例えば、木材を建築材料から家具、紙チップ、堆肥として利用することが挙げられます。バイオケミカル原料植物や動物由来の有機物を化学的に加工して、製品やエネルギーに利用すること。例えば、バイオプラスチックやバイオディーゼル燃料などが挙げられます。バイオマス利用生物由来の廃棄物を発酵や燃焼などでエネルギーに変換すること。例えば、バイオガスやバイオエタノールなどが挙げられます。技術的なサイクルメンテナンス製品の寿命を延ばすために、定期的に修理や点検を行うこと。シェア製品の所有者がメーカーであり、必要な時だけ利用者に貸し出すこと。例えば、カーシェアリングやレンタルサービスなどが挙げられます。リユース/再配分使用しなくなった製品を他の人に譲渡したり、寄付したりすること。例えば、フリーマーケットやオンラインマーケットプレイスなどが挙げられます。修理改修/再製造製品を部品レベルで分解し、修理や改良を行って新たな製品に作り直すこと。リサイクル製品を原料レベルで分解し、新たな製品の材料として再利用すること。資源や製品の性質に合わせて、これらの手法を選んで循環させることが大事です。サーキュラーエコノミーと3R・SDGs・シェアリングエコノミーとの違いや関連性は?ここまで、三原則や「バタフライ・ダイアグラム」を用いながらその意味をご説明してきました。しかし、サーキュラーエコノミーは概念が広く、その内容や目的の理解が難しいかもしれません。そこでこの章では、サーキュラーエコノミーと3R・SDGs・シェアリングエコノミーとの違いや関連性について詳しくご紹介します。3Rとの違い3Rとは、リデュース(Reduce|減らす)・リユース(Reuse|再利用する)・リサイクル(Recycle|再資源化する)の略で、廃棄物削減によって環境にやさしい社会を目指すものです。しかし3Rだけでは、資源やエネルギーの循環を完全に実現することはできません。なぜなら、3Rは主に製品の使用後の段階に焦点を当てており、製品の設計・製造・流通などの前段階や、製品の性能・品質・価値などの要素については考慮していないからです。サーキュラーエコノミーは、3Rよりも広い考え方で、資源や製品の流れ全体を調整して無駄を減らすことを目指しています。この考え方では、製品の製造から使用、そして廃棄までの全ての過程で、資源とエネルギーを効率的に使い、循環することが重要です。そして製品の性能・品質・価値も大切にし、製品を長く使えるようなデザインにしたり、製品をサービスとして提供する方法も取り入れています。つまり3Rはサーキュラーエコノミーの一部であり、サーキュラーエコノミーは3Rだけではなく、デザインやビジネスモデルなどの変革をする必要があるのです。SDGsとの関連性SDGsとは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略で、国連が掲げた2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットのことです。SDGsは、貧困・飢餓・健康・教育・ジェンダー・エネルギー・気候変動・平和など、人類が直面する様々な課題に取り組むためのものです。サーキュラーエコノミーは、資源の効率的な利用や廃棄物の削減、新たな価値の創出などを通じて、経済的・社会的・環境的な持続可能性を高められます。したがって、サーキュラーエコノミーはSDGsの達成に関連性があるのです。SDGsについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。【徹底解説】SDGsとは?わかりやすく背景や現状、17の目標ごとの意味をご紹介します!サーキュラーエコノミーは、SDGsの17の目標のうち、特に以下の3つの目標に関係しています。以上のように、サーキュラーエコノミーはSDGsの目標達成に貢献しているのです。シェアリングエコノミーとの関連性シェアリングエコノミーとは、資産やサービスを共有・貸し借り・売買することで効率的に利用できる、サーキュラーエコノミーの一つの手法です。サーキュラーエコノミーでは、資源や製品を循環させて、経済成長と環境負荷低減を両立することが求められています。これはまさに製品を高い価値の状態のまま流通・循環させ続けるというシェアリングエコノミーの考え方であり、使わなくなったら他の人に譲ったり寄付したりできます。また、シェアリングサービスを利用することで製品を所有する必要がなくなり、使わなくなった時のことを考えなくても良いようになります。サーキュラーエコノミーのメリットやデメリットは?サーキュラーエコノミーには、多くのメリットがありますが、デメリットや課題もあります。メリットサーキュラーエコノミーのメリットには、以下のようなものがあります。■資源の節約サーキュラーエコノミーでは、資源や製品を循環させることで、新たな資源の採取や製品の製造を減らせます。これにより、資源の枯渇や環境への負荷を軽減できます。また、リユースやカーシェアリングなどのシェアリングエコノミーによって、製品を新たに購入する必要がなく使いたいときに使えます。これにより、製品の購入コストや所有コストの削減につながるため、経済的な効率性や競争力を高められるのです。■新たなビジネスチャンスになるサーキュラーエコノミーでは、製品やサービスのデザインやビジネスモデルを変革することで、新たな価値を創出できます。従来の「リニアエコノミー」から「サーキュラーエコノミー」への移行を目指すことで、製品やサービスの提供方法・収益源などが変わります。例えば、以下のようなビジネスを行えます。以上のように、サーキュラーエコノミーでは、製品やサービスのデザインやビジネスモデルを変革することで、新たなビジネスチャンスにつながることが期待されます。■商品やサービスの付加価値向上サーキュラーエコノミーでは、商品やサービスの付加価値を高めることができます。付加価値とは、商品やサービスが持つ品質や性能、機能やデザインなどの要素によって、消費者に与える満足度や信頼性などの価値です。サーキュラーエコノミーでは、以下のような方法で、商品やサービスの付加価値を向上させることができます。製品の寿命を延ばすサーキュラーエコノミーでは、製品を長く使えるようにすることが重要です。これは、製品の品質や耐久性を高めることで、消費者に安心感や信頼感を与えることにつながります。また製品が壊れても修理しやすいような設計にすることで、修理のコストを減らせます。環境への配慮や社会的責任を示すサーキュラーエコノミーでは、環境への配慮や社会的責任も重要な要素です。これは、商品やサービスが環境に優しいかどうかや、社会的な問題に対してどのような姿勢を示しているかなどによって、消費者に印象や評価を与えることです。これによって、商品やサービスの魅力を高められるでしょう。以上のように、サーキュラーエコノミーでは、商品やサービスの付加価値を高めることができます。また、商品やサービスの付加価値が向上することによって商品やサービスの需要や収益性が高まったり、ブランドイメージがよくなるなど、メーカーにもメリットがあります。デメリットサーキュラーエコノミーには、以下のようなデメリットもあります。■コストの増加寿命が長く、循環しやすい製品を作ろうとすると、コストがかかってしまいます。その結果、価格が上がってしまうため、消費者にその価値をわかってもらえるように宣伝をしなければなりません。また、製品や材料の回収や再利用においても、コストに加え手間がかかる場合があります。■品質・デザインの向上や変更が難しいサーキュラーエコノミーでは、製品の寿命を延ばしたり、再利用や再生を容易にするために、製品の品質やデザインに制約が生じる場合があります。そのため品質やデザインが時代遅れになり、消費者のニーズに応えにくくなってしまう恐れがあります。また、製品の寿命が延びることで、製品の更新や改良が抑制され技術的な進歩や競争力の低下を招いてしまうかもしれません。消費者に向けて魅力的で、環境に優しい新製品を出すことも必要です。サーキュラーエコノミーに関する行政の取り組み事例サーキュラーエコノミーを推進するために、日本や世界で行われている政策や事業を紹介します。日本■「サーキュラービジネス主流化促進事業」の補助金|東京都東京都は「2050年CO2排出実質ゼロ」に貢献する「ゼロエミッション東京」の実現に向けて、サーキュラービジネス主流化促進事業の補助金申請を受け付けています。この事業では、プラスチックごみや食品ロスの削減に効果があり、都民の行動変容並びにサーキュラーエコノミーの実現に資する機器及びシステムを導入する事業者等に対して、補助金を支給します。詳しくは東京都のホームページを確認してください。■「サーキュラーエコノミー型ビジネス創出事業費補助金」|埼玉県埼玉県は、資源の循環利用と県内産業の成長を目的に、サーキュラーエコノミー型ビジネスの創出に係る経費を助成する補助金を令和5年度に新設しました。補助対象者は、中小企業、大学、研究機関で、申請者に県内中小企業を1者以上含むことが条件です。補助対象事業は、県内のサーキュラーエコノミー型ビジネスの創出に係る事業で、プラスチックごみや食品ロスの削減など、環境問題の解決に貢献する事業が想定されます。詳しくは埼玉県のホームページを確認してください。世界■「循環型経済行動計画」|EUEUは、サーキュラーエコノミーへの移行を加速させる新たな「循環型経済行動計画(Circular Economy Action Plan)」を2020年3月11日に採択しました。新行動計画では製品とデザインに重点を置き、消費者の「修理する権利(Right to Repair)」を強化することで、EU域内のサーキュラーエコノミーへの移行を加速させるのが狙いとなっています。具体的には、以下のような施策が提案されています。製品設計の改善:長期間の使用・再利用・修理・リサイクルが容易な製品設計を義務化リサイクル素材の活用:バージン素材の代わりにできるかぎりリサイクル素材を活用使い捨て製品の制限:使い捨て製品や売れ残りの耐久財の廃棄などを制限消費者の権利確保:消費者に製品を修理する権利を確保重点セクターの対策:電子機器とICT・バッテリーと車・包装・プラスチック・テキスタイル・建築・食の7分野について、それぞれ具体的な行動計画を提示法律の改正:充電機器・包装・車・電子機器の有害物質に関する法律を改正し、廃棄物削減に取り組む二次原材料の市場創出:拡大生産者責任(EPR)やリサイクル材の使用義務化など高品質な二次原材料の市場の創出に取り組むこの行動計画は、各国の法律や規制を制定する上での上位文書となるため、EU各国はサーキュラーエコノミーに向けてさらに取り組むこととなるでしょう。サーキュラーエコノミーに取り組む企業の取り組み事例企業も、サーキュラーエコノミーのビジネスチャンスやコスト削減に期待して取り組みを進めています。ここでは、国内外の企業の事例を紹介します。日本の企業■RE.UNIQLO|ユニクロユニクロは、お客様のもとで不要になったユニクロの服を回収し、新しい価値を与えて次へと生かすお客様参加型の取り組み「RE.UNIQLO」を行っています。ユニクロの服を再びユニクロの服へと生まれ変わらせることで、商品のライフサイクルを通じて余分な廃棄物・CO2排出量・資源使用量を削減していきます。RE.UNIQLOで取り組む服から服へのリサイクル第1弾となる「ダウンリサイクルプロジェクト」では、お客様から回収した62万着のダウン商品のダウンとフェザーを100%使用した「リサイクル ダウンジャケット」を発売しています。ユニクロはRE.UNIQLOを通じて、賛同いただくお客様とともに、より環境と社会に良いブランドとなっていくことを目指しています。■黒川温泉一帯地域コンポストプロジェクト黒川温泉は、熊本県阿蘇郡南小国町にある温泉地で、自然環境と調和した景観づくりや露天風呂めぐりが人気です。この地では、地熱や水、草原、森林など自然からの恵みを大切にしながら、環境負荷を軽減する取り組みを進めています。その一つが、旅館の生ゴミを利用した堆肥事業です。この堆肥事業は「黒川温泉一帯地域コンポストプロジェクト」という名前で、2020年9月から始まりました。このプロジェクトでは、旅館から出る生ゴミをコンポスト機で完熟堆肥にし、地元の農家さんに提供しています。農家さんは、この堆肥を使って美味しい野菜を育て、その野菜を旅館で提供しています。このようにして、廃棄されてしまう食品から野菜へという「循環」が実現されています。このプロジェクトは、サステナアワード2020で「環境省環境経済課長賞」を受賞するなど高い評価を得ています。■本だったノート|バリューブックス「本だったノート」は、古紙回収に回るはずだった本からできたノートです。このノートは、株式会社バリューブックスが手がけたサーキュラーエコノミーの取り組みの一つです。同社は、オンラインを中心として全国から本の買取・販売を行っていますが、その中で買い取れなかった本を再利用する方法を考えました。その結果、本だった紙と廃インクを使ってノートを作るというアイデアが生まれました。「本だったノート」は、本だった紙に残った文字のかけらや廃インクで作られたグラデーションが特徴的です。世界の企業■LoopLoopとは、使い捨ての容器やパッケージをリユース可能なものに変えて、繰り返し利用することで、プラスチックの削減や環境保護に貢献するショッピングプラットフォームです。Loopは、世界各国のメーカーや小売店と協力して、日用品や食品などの様々な製品カテゴリーにおいてリユースの効果を最大化することを目指しています。Loopの仕組みは、次の図のようになっています。(画像出典:ゼロ・ウェイスト「Loop」取り扱い店舗|イオン)消費者は、Loopのウェブサイトや参加する小売店で、リユース容器に入った商品を購入します。商品には容器を返却すると返ってくる預り金が含まれています。消費者は商品を使い終わったら、容器をLoopの返却ボックスに入れることで、容器代がLoop専用アプリに返金されます。返却された容器は洗浄・補充した後に再利用されます。Loopは、日本では2020年5月からイオンと提携してサービスを開始しました。Loopは「捨てる」という概念を変える、循環型ショッピングプラットフォームです。消費者が日常的に参加できる便利でシンプルなリユースの取り組みを実現することで、環境や社会に良い影響を与えています。■UltraBOOST DNA LOOP|アディダスアディダスは2020年に、UltraBOOST DNA LOOPという再生可能な素材で作られたランニングシューズを発表しました。この靴は「再生されるために作られた(Made to be Remade)」プロジェクトの一環で、リサイクル素材を使用する循環型製造モデルを生み出すことを目的としています。UltraBOOST DNA LOOPは、接着剤を使用せず一種類の素材のみで設計されています。各パーツは100%再利用可能なTPUから作られており、糸に紡がれ、編まれ、成形され、BOOSTミッドソールにきれいに融合されます。これにより、UltraBOOST DNA LOOPが最初の寿命を終えて私たちに戻されると、洗浄され、ペレット状に粉砕され、溶かされて新しいシューズの部品の材料となります。アディダスは、2024年までに全製品でバージンプラスチックを使わないことを目指しています。ソーシャルグッドに興味のある方は「Socialgoo」がおすすめソーシャルグッドとは、社会的な課題や問題を解決することで、社会に良い影響を与えることです。環境や教育、健康や人権など、さまざまな分野でソーシャルグッドな取り組みが行われています。ソーシャルグッドに興味のある方は、当サイト「Socialgoo」がおすすめです。「Socialgoo」では、ソーシャルグッドに関する情報やSDGsの取り組み事例などを多数紹介しています。環境負荷の少ない資源の利用・資源の循環に取り組む会社に関する記事はこちら地域資源を活用し循環する社会の実現を|株式会社サーキュライフの環境負荷低減への取り組みご紹介資源の節約・リサイクルができる素材を開発した会社に関する記事はこちら日本発のサステナビリティ革命の実現を目指して|株式会社TBMのサステナビリティへの取り組み紹介ぜひチェックしてみてくださいね!まとめサーキュラーエコノミーは、私たちの暮らしや社会に大きな影響を与える可能性があります。サーキュラーエコノミーとは何か、どのようなメリットやデメリットがあるか、どのような取り組みが行われているかを知ることで、理解や関心を深めることができます。みなさんの身近なところで、サーキュラーエコノミーの取り組みがどのように行われているか調べてみてはいかがでしょうか。

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SDGsの問題点を徹底解説!国や企業の取り組み事例もご紹介!

SDGs(持続可能な開発目標)は、国際的な枠組みであり、持続可能な世界を実現するためのガイドラインです。SDGsには、貧困撲滅・教育の普及・クリーンエネルギーの推進など、17の具体的な目標が含まれています。しかし、SDGsにはいくつかの問題点が存在します。例えば、コストがかかるものがある・国や地域の状況を反映できていない、などが挙げられるのです。この記事では、SDGsの問題点とその解決策について探ります。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。SDGsとはSDGs(持続可能な開発目標)とは、世界の取り組みであり、経済・社会・環境の課題に対処し、持続可能な未来を実現するための具体的な目標を設定しています。SDGsについてもっと知りたい方は以下の記事も読んでみてくださいね。SDGsをわかりやすく解説!17の目標の意味を簡単にまとめるSDGsの問題点とは?SDGsには、いくつかの問題点が存在します。例えば、目標のスケールが壮大である・数値目標が定められていないものがある・国や地域の状況が反映できていないなどが挙げられます。これらの問題点によって、SDGsへの取り組み方が不明確になる可能性があります。そこで、問題点を理解し、SDGsを促進するための解決策を見つける必要があります。ここからは、SDGsの問題点について詳しくご説明します。目標のスケールが壮大であるSDGsの問題点として、目標のスケールが壮大であることが挙げられます。例えば、目標2「飢餓をゼロに」・目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」・目標13「気候変動に具体的な対策を」などがあります。これらの目標は、スケールが壮大であり、個人や企業では取り組みにくいという課題があります。数値目標が定められていない目標があるSDGsには、数値目標が定められていない目標があるという問題もあります。以下に具体例を挙げながら、説明します。例えば、目標4「質の高い教育をみんなに」は重要な目標ですが、具体的な数値目標が欠けています。どのような基準で「質の高い教育」と定義し、どのような指標で測定するのかが明確にされていません。このため、教育の質を測るための一貫した評価や比較が困難になります。同様に、目標11「住み続けられるまちづくりを」も数値目標がありません。都市の持続可能性や住みやすさは主観的な要素も含んでおり、そもそも数値化が難しいという課題があります。目標の達成度を評価するためには、明確な数値目標や指標が必要ですが、現状ではその基準が不明確です。このように、SDGsの数値目標が欠けていることで、目標の進捗状況の評価や比較が困難になる可能性があります。各目標に取り組むためには、明確な基準や指標の設定、統一的なデータ収集方法の確立などが求められます。コストがかかるSDGsの目標のなかには、必要な投資や資金調達が膨大であり、コストがかかるものがあります。以下に具体例を挙げながら、SDGsへの取り組みに伴うコストの問題点を説明します。例えば、目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」では、クリーンで持続可能なエネルギーへの移行が求められます。しかし、再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の向上には高額な投資が必要です。とくに途上国や貧困地域では、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーへのアクセスのためのコスト負担が大きく、実現が困難といえます。同様に、目標4「質の高い教育をみんなに」では、教育の普及や質の向上が目標とされています。しかし、教育施設の整備や教師の育成、教育資源の提供には膨大な費用がかかります。とくに経済的に困難な地域では、社会的弱者が教育を受けやすくする環境づくりには、資金面での課題が存在します。このように、SDGsへの取り組みには多額のコストが伴うため、資金調達や財源の確保が重要な課題となります。SDGsの目標を達成するためには、政府・国際機関・民間企業・市民社会など、複数の関係者が協力して資金を提供する必要があります。また、コストがかかるという課題に対処するために、資金調達の多様化や効果的な資金の使途確保が求められます。国や地域の違いが反映されていないSDGsは、世界共通の目標や指標を採用しており、地域の特性や課題に十分に対応できていないという問題があります。以下に具体例を挙げながら、説明します。例えば、目標8「働きがいも経済成長も」では、働きがいの向上と持続的な経済成長を目指しています。しかし、各国や地域の経済的な状況や労働市場の特性は異なるため、同じ目標を設定することは適切ではありません。地域の特性に合わせた目標設定をすることが必要です。同様に、目標11「住み続けられるまちづくりを」も地域の違いを反映できていないという問題があります。都市の発展や住環境の改善には、地域の特性や文化、人口密度などの要素を考慮する必要があります。しかし、SDGsでは、地域ごとの違いを十分に考慮していないと指摘されています。このように、SDGsは国や地域の違いを反映できていないという問題があります。地域ごとに異なる社会経済的な課題や環境の状況に対応するためには、各国が、地域固有の目標や指標を設定し、適切なアクションプランを策定する必要があり、負担が大きくなります。SDGsウォッシュにつながりやすいSDGsが世界的に掲げられたことで、新たにSDGsウォッシュという問題が起きています。SDGsウォッシュとは、企業や組織が、実態が伴っていないのに、SDGsへの取り組みを行っているように見せかけることです。企業の単なるイメージアップなどPRのために、企業や組織がSDGsを掲げることがあります。SDGsウォッシュの問題は、持続可能性への誠実な取り組みや実際の成果の評価を困難にします。企業や組織がSDGsに関連する取り組みを行う際には、透明性と説明責任が重要です。具体的な行動計画や成果の報告、第三者による独立した検証などが求められます。どのように解決する?SDGsには、ここまで述べてきたように、以下のような問題点があります。目標が壮大である数値目標が設定されていない目標があるコストがかかるSDGsウォッシュに繋がる国や地域の違いが反映されていないそこで、これらの問題に対して適切な解決策を見つけることが重要です。ここからは、SDGsの問題点に対する具体的な解決策を提案します。目標を具体化するSDGsの問題点へのアプローチの一つは、「目標を具体化する」ことです。具体的な目標設定は、SDGsの目標達成に向けた戦略的な行動計画や評価の基準を明確化し、進捗を把握するための重要な手段となります。例えば、目標7(エネルギーをみんなに、そしてクリーンに)の具体化には、再生可能エネルギーの割合を〇〇%増やす・エネルギー効率を〇〇%向上させるなどの具体的な目標を設定できます。これにより、各国や関係者が目標に向けた具体的な施策や投資を計画し、進捗を評価する際の基準となります。国や地域に合わせた目標にするさらに、国や地域に合わせた目標設定が重要です。SDGsは普遍的な目標を掲げているため、地域ごとの特性や課題を考慮した具体的な目標設定が求められます。それぞれの国や地域は独自の社会経済的な状況や環境の課題を抱えており、それに応じた目標設定が必要です。例えば、目標3(すべての人に健康と福祉を)では、健康や福祉へのアクセスに障害がないことを目指しています。しかし、各国や地域は異なる健康課題や保健システムの現状を抱えています。このため、国ごとに特定の健康問題に焦点を当てた目標設定を行うことが必要です。これにより、国や地域がそれぞれの優先事項に沿った健康政策や施策を実施し、健康格差の縮小や疾病予防に向けた具体的な取り組みをすることが可能となります。地域に合わせた目標設定は、関係者の関与と協力を促進する上でも重要です。このように国や地域が現状に合った目標設定をすることで、取り組みの方向性を共有し、地域の特性や課題に即した戦略的な取り組みを実施できます。SDGsへの理解を深める3つ目に、SDGsへの理解を深めることが重要です。SDGsに対する理解度が低い場合、目標達成に向けた具体的な行動が実行できない可能性があります。SDGsへの理解を深めることは、関係者の取り組みをより効果的にする上でも重要です。組織や企業・政府・市民社会など、関係者はSDGsの目標や原則を理解し、それに基づき、SDGsを達成するための具体的な戦略や施策を策定する必要があります。SDGsへの深い理解は、取り組みの方向性や優先事項の明確化に役立ちます。共通の目標を理解し、その重要性を共有することで、異なる分野での連携やパートナーシップが築かれます。SDGsへの理解が深まることで、関係者はより効果的な協力体制を構築し、持続可能な未来の実現に向けた取り組みを加速できます。SDGsへの理解を深めるためには、情報の提供や教育、意識啓発活動が重要です。関係者に対してSDGsの意義や目標の具体的な内容を伝えることで、理解度を向上させられます。例えば、企業や学校などの各コミュニティで研修を実施することが挙げられます。さらに、個人レベルでは、ワークショップなどに積極的に参加することが効果的です。問題点を解決している取り組み事例をご紹介!SDGsの問題点を解決するためには、具体的な取り組みが求められます。そこで、世界中で様々な国や企業がSDGsの問題点の解決に積極的に取り組んでいます。ここからは、問題点を解決できている取り組み事例を、国と企業に分けてご紹介します。まずは、国をご紹介します。国フィンランドフィンランドの首都ヘルシンキ市では、飲食店や商業施設に対して環境への配慮や社会的責任の取り組みを評価し、スコア化する「Think Sustainably」というシステムを導入しています。このThink Sustainablyでは、観光客や市民向けにサステイナブルな取り組みを実施しているレストラン、ショッピング、宿泊施設などの情報を見ることができます。この取り組みは、ヘルシンキの飲食店や商業施設がより環境に配慮した運営を行うことを促し、持続可能な開発への取り組みをすることにつながります。このシステムは、SDGsへの取り組みを推進する上で優れた事例とされています。これにより、市民や企業の持続可能な選択を促進し、環境や社会への影響を最小限に抑えることが可能になります。スウェーデンスウェーデンは、グローバル開発において重要な役割を果たすために、Swedish Policy for Global Developmentを策定しました。この政策は、スウェーデンがSDGsの実現に向けて取り組む方針と行動を明確化するために作られました。この政策では、スウェーデンの政府、民間企業、市民社会が協力し、国内外での取り組みを推進しています。スウェーデンは、ODA(政府開発援助)の増額や開発途上国とのパートナーシップの強化、持続可能なビジネスモデルの促進など、さまざまな手段を通じてグローバル開発に貢献しています。Swedish Policy for Global Development では、具体的な目標や戦略を策定し、スウェーデンは開発途上国の教育、健康、ジェンダー平等、持続可能なエネルギーなどの領域において積極的な支援を行っています。このように、スウェーデンでは国内外でのグローバル開発に取り組む姿勢と方針を明確化し、持続可能な未来の実現に向けた具体的な行動を推進しています。この政策に基づき、スウェーデンは国際的な協力やパートナーシップを通じて持続可能な開発の実現に貢献しています。次に、日本の企業の取り組みをご紹介します。企業日立製作所日立製作所は、SDGsへの取り組みを推進するためにオンライン研修プログラムを展開しています。このプログラムは、従業員がSDGsの重要性を理解し、ビジネス活動においてSDGsの実現に積極的に貢献できるようにサポートすることを目的としています。日立製作所のSDGsオンライン研修では、従業員に対してSDGsの基本的な概念や背景についての知識を提供します。また、各SDGs目標に関する具体的な事例や取り組みについても学習することができます。これにより、従業員はSDGsの目標や意義を深く理解し、日立製作所がSDGsに向けた取り組みをどのように推進しているかを把握することができます。加えて、従業員は、学んだ知識やスキルを日常業務に活かすことで、持続可能な社会の実現に向けた貢献を実現することができます。サントリーサントリーは、自社の事業活動がSDGsに貢献するための数値目標を設定しています。例えば、サントリーは2030年までに温室効果ガス排出量を50%削減するという具体的な目標を掲げています。具体的な数値目標を設定することで、サントリーが持続可能性の実現に向けた取り組みを透明化し、継続的な改善を追求することに繋がっています。サントリーは進捗状況を定期的に報告し、持続可能性に関する情報を広く共有し、顧客との信頼関係を構築しています。具体的な数値目標の設定と取り組みにより、サントリーは環境保護や社会的な課題の解決に向けた努力を積極的に推進しています。サントリーのように具体的な数値目標を設定することによって、SDGsに取り組みやすくなります。まとめSDGsには、目標のスケールが壮大である・各地域の現状を反映できていない、などの課題があります。しかし、国や企業は具体的な数値目標を設定することや重複を避ける取り組みを行うことで解決に取り組んでいます。私たちは、SDGsの問題点を理解した上で、持続可能な未来を築くたSDGsに取り組むことが重要です。

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建築業界はSDGsにどう取り組むべき?メリットや取り組み事例も紹介

昨今話題にのぼることも多いSDGsですが、あらゆる業種でこのSDGsへの取り組みが求められるようになってきました。人々の暮らしに大きく関わる建築業界も、SDGsに取り組み、環境への負荷軽減や社会の発展に貢献することが期待されています。そこで本記事では、建築業界がSDGsに取り組むメリットや関連するSDGsの目標について解説し、さらに実際に行われている取り組み事例を具体的にご紹介します。建築業界が持続可能な社会の実現に果たす役割とその重要性を探りながら、具体的な取り組みを紐解いていきましょう。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。SDGsとは?そもそもSDGsとは、「Sustainable Development Goals」の頭文字を取ったもので、「持続可能な開発目標」を意味します。現在も未来も、誰もが幸せに暮らせる世界を作るための目標です。詳しくはこちらの記事で解説しています。SDGsをわかりやすく解説!17の目標の意味を簡単にまとめる 建築業界がSDGsに取り組むメリット持続可能な社会に向けた目標であるSDGsですが、建築業界がSDGsに取り組むメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?以下では、建築業界がSDGsに取り組むことで得られるメリットを3つご紹介します。企業イメージの向上SDGsに取り組むことで、企業イメージを高める効果が期待できます。カウネットの調査によると、約7割の人が「企業のSDGsに対する取り組みを知ると、その企業の好感度が上がる」と回答しています。こうした人々が新たな顧客になるかもしれません。また、「SDGsに関する企業の意識調査(2022年)|帝国データバンク」の企業の声では、「子供食堂や木工物のふるさと納税、環境保全活動のために自治体と木製コンポストの普及を進めるなど、産官学で取り組みを進めている。その結果企業のイメージが向上、地元からの受注増に繋がっている(木造建築工事)」という声もありました。さらに最近では、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)を考慮した「ESG投資」をする投資家が増えています。SDGsに取り組むことで、こうした投資家からのイメージも向上させることができるでしょう。このように、SDGsへの取り組みがステークホルダー全体からの企業イメージ向上に繋がります。人材を確保しやすい上記のように企業イメージが向上すると、人材も集まりやすくなります。株式会社学情の就活生に対するアンケート結果によると、半数以上の学生が「就職活動で、企業のSDGsに関する取り組みを意識している」と回答しています。また、7割弱の学生が「企業がSDGsに取り組んでいることを知ると、志望度が上がる」と回答しました。このように、就職活動をする学生の多くが、企業のSDGsへの取り組みを志望動機の1つにしている事がわかります。経営方針の明確化SDGsへの取り組みは、経営方針の策定や見直しにも繋がります。例えば「目標11 住み続けられるまちづくりを」を基準にすることで、「耐久性に優れた建造物を売りにする」「地域に根づいた事業を展開する」など、明確な経営方針を立てることができます。また、「SDGsに関する企業の意識調査(2022年)|帝国データバンク」において、SDGsに取り組んだ際の効果として「経営方針の明確化」と回答した割合は、「企業イメージの向上」「従業員のモチベーションの向上」に次いで3番目でした。SDGsに取り組んだ際の効果として、経営方針の明確化が実感しやすいということです。さらに、同調査では、次のような企業の声もありました。「大企業は企業イメージの向上といった効果を強く期待できるが、中小企業の場合は経営方針を建てるうえでベクトルが明確化されるので非常に有用だと思う(木族建築工事)」SDGsに取り組むことで、こうした多くのメリットを得ることができます。建築業界と関係の深いSDGs目標は?目標ごとにできることも紹介!ここまでは、建築業界がSDGsに取り組むメリットを紹介しました。では実際に取り組むとき、SDGsのどんな目標に取り組めばよいのでしょうか?ここからは、建築業界と関連の深いSDGsの目標と、その目標に対してどんな事ができるのかを解説していきます。とくに関係が深い目標は5つ!建築業界と関係が深い目標は、以下の5つです。目標7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう目標11 住み続けられるまちづくりを目標12 つくる責任 つかう責任目標15 陸の豊かさを守ろうこれらの各目標について、建築業界との関連や、具体的にできることを詳しく見ていきます。目標7 エネルギーをみんなに そしてクリーンにこの目標は「すべての人に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」ことを方針としています。建築業界では、建設時に使用するエネルギーの削減や、建物自体のエネルギー効率を高めることで貢献できます。具体例は以下のとおりです。室内の温度管理がしやすい建材の使用日光を取り入れることで電力使用量を減らす建物の設計廃棄する建材の削減目標9  産業と技術革新の基盤をつくろうこの目標は「強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る」ことを方針としています。建築業界では、災害に強い建物の設計や、生産工程に関わる技術の開発を進めることで貢献できます。具体例は以下の通りです。土砂崩れなどを防止する工事の施工地震発生時にも強いインフラの整備・改良持続可能な建築を実現する技術の刷新目標11 住み続けられるまちづくりをこの目標は「都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靱かつ持続可能にする」ことを方針としています。建築業界では、電力などのエネルギーを自給自足できる建物の設計や、住みやすい都市設計・住宅設計をすることで貢献できます。具体例は以下の通りです。太陽光や雨水を利用した、エネルギーの自給自足が可能な建物の設計子供や高齢者でも過ごしやすいユニバーサルデザインの導入建物およびその周辺の緑化目標12 つくる責任 つかう責任この目標は「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」ことを方針としています。建築業界では、古くなった建物のメンテナンスや再利用、維持しやすい建物の設計をすることで目標に貢献できます。具体例は以下の通りです。永続的に住み続けられる強度の高い住宅の建設リフォーム・リノベーション・古民家再生建物の継続的なメンテナンス目標15 陸の豊かさを守ろうこの目標は「陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る」ことを方針としています。建築業界では、建築に使う木材の見直しや、建設地となる場所の自然をできるだけ失わない工夫をすることで貢献できます。具体例は以下の通りです。適切に伐採された木材・地元の木材の使用建設地の緑化撤去の最小化ビオトープの整備SDGsに関する建築ガイドもチェック!ここまで建築業界と関係の深い目標をピックアップしてご紹介しましたが、これ以外の目標に関しても取り組めることはあります。そこで、SDGsの全ての目標に関して、建築業界の取り組み事例を紹介している「建築ガイド」をご紹介します。建築ガイドは、各目標に取り組む世界各国の事例を複数取り上げ、どのようなことができるのかを紹介するものです。例えば「目標3 すべての人に健康と福祉を」では、住宅デザインを改善することでマラリアなどの疾患を防いだタンザニアの事例が紹介されています。思いがけない事例が活かせたり、新たな視点の獲得につながる可能性もあるので、気になる目標から一読してみるのもいいかもしれません。建築業界の取り組み事例ここまでは、関係の深い目標ごとに建築業界ができることを解説しました。では実際、現存の企業はどのような取り組みをしているのでしょうか?ここからは、建築業界の企業5つを取り上げ、その企業が実際に行っている取り組み事例をご紹介していきます。清水建設|ecoBCP・ecoLCP清水建設は、「ecoBCP」「ecoLCP」という独自のまちづくりを推進しています。eco は「自然エネルギーを活用・共有」、そしてBCP(Business Continuity Plan)は「非常時に事業を継続」、LCP(Life Continuity Plan)は「生活を維持」という意味を持ちます。この視点から、快適で災害に強く、人と環境とのつながりを実感できるコミュニティづくりに取り組んでいるのです。このecoBCPの観点で建設された都立多摩・小児総合医療センターは、省エネ・節電を図る仕組みが整っており、環境に配慮した施設になっています。また、非常時になると免震構造や分散型電源によって重要負荷を守る仕組みを備え、災害拠点病院としても機能しています。その他、清水建設のSDGsに関する取り組みは公式サイトをご覧ください。大和ハウス工業|家事シェアハウス大和ハウス工業は、建築業の知識を用いて「家事シェアハウス」の取り組みを提案・発信しています。サイトでは、負担がかかりがちな妻だけでなく、家族全員で家事をシェアするための工夫が紹介されています。例えば、帰宅時の脱ぎっぱなし・置きっぱなしを片付ける「名もなき家事」の負担を減らすため、一人ひとりがそのときに片付けられるような導線づくりがあります。部屋の間取り図などを見せながら、収納スペースの工夫を紹介するなど、建築業界ならではの視点で提案されているのが特徴です。これは「目標5 ジェンダー平等を実現しよう」や「目標8 働きがいも経済成長も」に該当する取り組みになっています。他の目標に対しても様々な取り組みを行っているので、気になる方は公式サイトもご覧ください。LIXIL|CO2削減製品LIXILは、CO2削減につながる様々な製品を開発しています。窓や浴槽、住宅工法やソーラーパネルなども扱い、「断熱」「日射遮蔽」「節湯」「節水/節電」「節電」「調湿」「創エネ」の7つの機能を通じて、CO2の削減を目指します。公式サイトによると、新築住宅でまとめてLIXIL製品を組み合わせれば、年間約4,352kgのCO2排出削減につながるとのことです。このほかにも、「グローバルな衛生課題の解決」「水の保全と環境保護」「多様性の尊重」を軸としたLIXILの取り組みは様々あるので、気になる方は公式サイトをご覧ください。鹿島建設|安全・安心を支える防災技術・サービスの提供鹿島建設は、SDGsへの取り組みの1つとして「安全・安心を支える防災技術・サービスの提供」を掲げています。災害の際には、建築周辺分野の技術力を活かした「リスク評価」「対策立案」「対策工事」「運用支援」などのサービスを企業に提供します。こうした情報によって、災害時にも各企業が事業を継続できるよう支援するのが目的です。また、災害復旧は建設会社の使命だとして、緊急時における適材適所の人員配置や資機材の調達などを行い、一刻も早い復旧工事の完遂を目指しています。鹿島建設のその他の取り組みは、こちらのサイトリンクからご覧になれます。新和建設|豊かな森を守る愛知・岐阜を拠点とする新和建設は、SDGsへの取り組みの一環として、豊かな森を守るための様々な取り組みを行っています。例えば、輸入木材の増加で国内の山林の手入れが行き届かなくなっている現状を踏まえ、100%国産材にこだわり、中でも地元の銘木「東濃桧」を多く使用しています。木材の地産地消によって、その山林の林業活性化を促すだけでなく、その土地ならではの生物を守ることにも貢献しているのです。また新和建設は、違法伐採を排除するための「クリーンウッド法」登録事業者でもあります。そこで、持続可能な森林経営を阻害する違法伐採の対策を行い、合法伐採木材を使用しています。建材に多くの木材を使用する、建築業界ならではの取り組みと言えるでしょう。SDGsをもっと知るにはソシャグがおすすめ!ここまではSDGsと建築業界について解説してきました。そこから発展して、「各目標について詳しく知りたい!」「国内や世界の取組状況はどんな感じ?」など、SDGsについて興味を持たれた方は当サイト「Socialgoo(ソシャグ)」がおすすめです!日本の課題について知りたい方はこちら!【最新版】SDGsランキングと日本の課題とは?|日本国内の取り組みについて 建築業にも関わりの深い、空き家リノベーションの取り組みについて紹介しています!空き家のリノベーションで生活困窮者をゼロに|合同会社Renovate Japanの貧困と差別への取り組みご紹介 ソシャグでは、SDGs関連の記事をはじめとして、「ソーシャルグッド」な情報を多く発信しています。ぜひのぞいてみてくださいね!まとめ本記事では、建築業界がSDGsに取り組む理由や関連性の高い目標の紹介、そして実際に行われている取り組みを紹介してきました。人々の生活に欠かせない「衣食住」の「住」を担う建築業は、持続可能で住みよい社会を目指すSDGsと深い関わりがあります。建築業界がSDGsに取り組むことで、多くの人の生活に貢献できるのです。この記事をきっかけに、ぜひSDGsに取り組んでみてくださいね。

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SDGsの目的とは?5つのPの意味と企業が取り組む目的をわかりやすく解説!

みなさんはSDGsの目的について知っていますか?ニュースなどでもSDGsについて紹介されることが増えてきましたが、SDGsの内容や目的はなかなかわかりにくいものです。そこでこの記事では、SDGsが策定された目的や企業が積極的にSDGsに取り組む目的をわかりやすく解説します。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。そもそもSDGsとは?(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン|国際連合広報センター)SDGsは、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略称です。貧困・飢餓・気候変動など、世界が直面する様々な課題を解決するために、2030年までに達成するべき17の目標と169のターゲットが定められています。以下の記事でそれぞれの目標について詳しく紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。SDGsをわかりやすく解説!17の目標の意味を簡単にまとめるSDGsが生まれた背景実はSDGsが成立する前に、MDGs(ミレニアム開発目標)という目標がありました。MDGsは2000年に国連で採択された、8つの目標と21のターゲットからなるものです。2015年までに、開発途上国における貧困・教育・健康などに関する問題を解決することを目的としていました。日本も目標達成に向けて、政府開発援助(ODA)などを通じて積極的に貢献してきました。(出典:ミレニアム開発目標報告2015|国連WFP)MDGsでは2015年が目標の達成期限でしたが、その結果はどうだったのでしょうか?国連ミレニアム開発目標報告2015によると、MDGsでは2015年時点で以下の成果があげられました。開発途上国で極度の貧困で暮らす人々の割合が1990年の47%から14%に減少した全世界で飢餓に苦しむ人々の割合が1990年から半減した開発地域における小学校の純就学率が2000年の83%から91%に上昇した過去20年で、世界174カ国のうち約90%の女性が政治に参加できるようになった世界における5歳未満の幼児死亡率が1990年より半分以下に減少した世界の妊産婦死亡率が1990年より45%減少したHIV感染者数や結核死亡者数が2000年より約40%減少した安全な飲料水を利用できる人々の割合が1990年の76%から91%に上昇したインターネット普及率が2000年の7%から43%に上昇したこのように、MDGsは多くの成果を上げましたが、すべての目標を達成できたわけではありません。2015年に期限が切れたとき、まだ解決すべき課題が残っていました。以下にその課題を紹介します。約8億人が極度の貧困の中で生活し、飢餓に苦しんでいる最貧困層家庭の子どもは、最富裕層家庭の子どもに比べて、学校に通えない可能性が4倍になっている。毎日約16,000人の子どもたちが、5歳の誕生日を迎える前に命を落としている女性の差別や貧困が残っている国会議員に占める女性の割合は5人に1人にとどまっている。世界の3人に1人(24億人)が未だに改善されていない衛生施設を使用している。9億4,600万人が未だに屋外排泄を行っている環境問題や気候変動への対策は不十分であり、森林面積や生物多様性は減少し続けている紛争の影響で、2014年末において約6,000万人が家を出なければならなかった上記のようなMDGsでは解決できなかった課題に対処するために、SDGsが生まれたのです。SDGsの目的は何?SDGsの目的は、MDGsで残された課題を解決するとともに、より包摂的で持続可能な開発を実現することです。そのために、SDGsは以下の2つを理念として掲げています。経済・社会・環境のバランスを保つ誰一人取り残さない「経済・社会・環境のバランスを保つ」とは、人間の活動が地球の自然や生物に悪影響を与えないようにすることです。経済や社会の発展は人間の幸せに必要ですが、それが環境を破壊したり汚染したりすると、地球全体の生命に危機をもたらします。今の人間が豊かで幸せに暮らすことは大切ですが、それが未来の人間や地球に迷惑をかけることになってはいけません。今の人間も未来の人間も大切にするために、経済や社会の発展は地球環境に配慮して行われるべきなのです。「誰一人取り残さない」とは、誰も置き去りにしない、公正で包摂的な世界を目指すことです。とくに貧困に苦しむ人々や脆弱な立場にある人々に対しては、より多くの注意や支援が必要です。そのためSDGsは、貧困・飢餓・健康・教育・ジェンダー平等など、人間の尊厳や権利に関する目標も掲げています。では、具体的にはSDGsの目的は何なのでしょうか。SDGsには17個の目標と169個のターゲットがありますが、それらを「5つのP」に整理すると目的が理解しやすくなります。5つのPとは、SDGsが目指す以下の5つの分野を表しています。人間(People)繁栄(Prosperity)地球(Planet)平和(Peace)連帯(Partnership)この記事では、5つのPについてそれぞれ解説していきます。人間(People)‐あらゆる貧困をなくすSDGsが「人間」の分野で目指しているのは、すべての人々が尊厳と権利を持ち、平等に扱われ、潜在能力を発揮できることです。貧困や飢餓は人間の基本的な権利や幸せを奪うものです。そのために、経済的な困窮だけでなく、教育・食料・水の不足や健康の不十分さなども含めたあらゆる貧困をなくすことが重要です。「人間」の分野に関連するSDGsの目標は以下の6つです。目標1:貧困をなくそう目標2:飢餓をゼロに目標3:すべての人に健康と福祉を目標4:質の高い教育をみんなに目標5:ジェンダー平等を実現しよう目標6:安全な水とトイレを世界中に繁栄(Prosperity)‐豊かな社会を目指すSDGsが目指す「繁栄」とは、経済的な豊かさだけでなく、精神的な充実感や幸福感など人間の幸せも含めた概念です。SDGsでは、自然と共存した形で経済や技術が進歩し、すべての人々が幸せに暮らせる世界を目指しています。そのためには、消費や生産の仕方を見直して持続可能な方法にしたり、国や地域ごとの不平等をなくしたりすることが重要です。「繁栄」の分野に関連するSDGsの目標は以下の6つです。目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに目標8:働きがいも経済成長も目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう目標10:人や国の不平等をなくそう目標11:住み続けられるまちづくりを目標12:つくる責任つかう責任地球(Planet)‐地球環境を守るSDGsが「地球」の分野で目指しているのは、人間の活動が地球の資源や生態系に与える影響に配慮し、自然環境を守ることです。そのため、絶滅の危機にある動物や植物、地球温暖化などの気候変動、失われる森や海などの様々な問題に関心を持ち、対処することが重要です。「地球」の分野に関連するSDGsの目標は以下の3つです。目標13:気候変動に具体的な対策を目標14:海の豊かさを守ろう目標15:陸の豊かさも守ろう平和(Peace)‐平和な世界を目指すSDGsが目指す「平和」とは、戦争や暴力だけでなく、不正や差別などの社会の不平等もない状態です。SDGsでは、すべての人々が安全・公正な社会で安心して暮らせることを目指しています。また、平和がなければ持続可能な開発はできず、持続可能な開発がなければ平和も保てないというように、持続可能な開発と平和は相互に関係しあっています。そのため、法整備や人権の尊重、紛争の予防・解決などの取り組みが重要となっています。「平和」の分野に関連するSDGsの目標は、目標16の「平和と公正をすべての人に」です。連帯(Partnership)‐パートナーシップを維持・推進するSDGsが目指す「連帯」とは、国・地域・企業・個人などがみんなで協力して目標に向かうことです。SDGsの目標を達成し、すべての人が幸せに暮らせるようにするには、国際的な協力が重要です。「誰一人取り残さない」というSDGsの理念を目指すために、貧困に苦しむ人や脆弱な立場にある人に焦点を当てて協力する必要があります。SDGsは、すべての関係者が一致団結して協力しなければ成功しないのです。「連帯」の分野に関連するSDGsの目標は、目標17の「パートナーシップで目標を達成しよう」です。企業がSDGsに取り組む目的企業がSDGsに取り組む目的は、社会的な責任を果たすとともに、経営的なメリットを得ることです。例えば、以下のようなメリットがあります。SDGsに沿った商品やサービスを提供することで、新たな市場や顧客を開拓できるSDGsに沿った経営方針や活動を行うことで、社会的な信頼や評価を高められるSDGsに沿った消費や生産を実践することで、コスト削減や効率化を図れる働き方改革を行うことで、従業員のモチベーションや生産性を向上させられるこのように、SDGsに取り組むことは、企業の持続可能な成長や競争力向上につながります。では、具体的に企業はどのようにSDGsに取り組むべきでしょうか。以下の記事では、SDGsへの取り組み方やそれぞれの目標ごとの事例を紹介しています。SDGsを会社に導入する方法とは?メリットや取り組み事例も一挙紹介!ぜひチェックしてみてください。SDGsに興味がある方は「Socialgoo」がおすすめSDGsに興味がある方は、当サイト「Socialgoo」がおすすめです。Socialgooでは、SDGsに関する最新の情報や事例などを発信しています。SDGsの内容をもっと深く知りたい方や、自分でSDGsに取り組みたい方に役立つコンテンツが満載です。SDGsに取り組むメリットについて知りたい方はこちらをチェック!【企業・個人別】SDGsの取り組みで得られるメリット11選|デメリットやリスクなどを徹底解説日本の現状や、気になるSDGs達成度ランキングについてはこちらでご紹介!【2022年SDGs達成度】ランキング上位国と日本の取り組み事例も紹介!SDGsに関心がある方は、ぜひSocialgooをチェックしてみてくださいね!まとめこの記事では、SDGsの目的についてわかりやすく解説しました。SDGsの目的は、経済・社会・環境のバランスを保ち、誰一人取り残さずに、豊かでより良い社会を目指すことです。SDGsの目標達成に向けて、私たち一人ひとりにできることがたくさんあります。SDGsに取り組むことは、社会や環境に貢献するだけでなく、個人や企業の利益にもなることが多いです。SDGsの目的を忘れずに、より良い社会を目指して行動していきましょう。

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SDGsバッジのメリットを徹底解説!デメリットや購入方法も知って積極的に導入しよう

次の画像にあるバッジを身につけている政治家や著名人を見かけたことはありますか?この「SDGsバッジ」は、SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)のロゴマークをバッジにしたものです。近年SDGsへの関心が高まるにつれ、誰でも簡単に身につけられるアイテムとしてSDGsバッジが浸透しつつあります。こちらの記事ではそんなSDGsバッジをつけるメリットや注意するべきデメリット、購入方法をご紹介します!SDGsバッジに興味がある方や購入を考えている方はぜひチェックしてみてください。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。SDGsバッジとは?SDGsのロゴマークは「SDGsカラーホイール」として知られていて、17の目標を異なるカラーで表現しています。例えば目標の14番目、「海の豊かさを守ろう」というゴールであれば青色です。SDGsバッジは、その名の通りSDGsのロゴマークをモチーフにした丸い形のピンバッジです。SDGsバッジは企業が社員に着用を奨励している場合も多いですが、実は誰でも購入して身につけることができます。国連本部の公式オンラインショップではSDGsバッジ10個セットを35ドルで購入できます。日本の企業や通販サイトで購入する場合の相場価格は、1個600円から1500円ほどです。購入方法は後ほど詳しく説明するので、ぜひチェックしてみてください。SDGsバッジをつけるメリット多くの政治家や著名人がSDGsバッジをつけているのを見て、その目的が気になった方も多いのではないでしょうか。SDGsバッジをつけることで企業や個人がどのような効果を得られるのか、メリットを4つご紹介します。SDGsへの取り組みをアピールできるSDGsバッジをつけることで、SDGsを重視していることが一目でわかるようになります。簡単につけることができて他人の目を惹きやすいので、アピール効果は非常に高いです。周囲の人々や他の企業から注目を集め、持続可能な社会の実現に力を入れているというポジティブな印象を持ってもらえるでしょう。特に企業は、SDGsへの積極的な取り組みを明確に示すことで、社会的責任を果たすために行動していると高い評価を得ることができます。異業種交流をきっかけにビジネスチャンスが生まれる異業種のビジネスパートナーや関係者とのコミュニケーションにおいて、SDGsバッジは共通の話題や価値観を共有するきっかけになります。相手がSDGsに興味を持っていれば、たとえその相手が異なる仕事や分野で働く人でもSDGsの話題で盛り上がるのではないでしょうか。また、社会貢献を目指すという同じ価値観を持っていたら、協力しやすくなるでしょう。SDGsに興味をもってもらうきっかけをつくれる目を惹きやすいデザインのSDGsバッジは、SDGsについて詳しくない人にも興味を持ってもらえます。カラフルでおしゃれなので子どもや若い人からも注目されるかもしれません。SDGsバッジが気になった人が、SDGsについて聞いたり調べたりすることで詳しくなることもあるでしょう。さりげなくファッションに取り入れるだけで、SDGsを浸透させられるのです。SDGsへの意識が高まるSDGsバッジは他人へのアピールだけでなく、自分自身の意識向上にも効果を持ちます。SDGsバッジを日常的につけることで自然とSDGsを意識することが増え、行動につながるでしょう。また、企業全体でSDGsバッジをつける場合、社員同士の一体感が高まり社会貢献への意識向上につながるというメリットもあります。SDGsバッジをつけるデメリットSDGsバッジの着用にはメリットだけでなくデメリットもあります。ここでご紹介するデメリットを理解した上で、正しくSDGsバッジを利用しましょう。「SDGsウォッシュ」に注意が必要SDGsウォッシュとは、SDGsに対して取り組んでいるように見せて、実態が伴わないという意味です。「トレンドだから」「注目を集められるから」という理由でSDGsバッジをつける方もいるかもしれません。ですが、SDGsバッジをつけていても「SDGsについて詳しくない」「環境へ悪影響を与えている」などSDGsに対する意識が低ければ、SDGsウォッシュだと批判されるでしょう。SDGsバッジをつけるときは、前提として実際にSDGsに取り組んでいることが重要です。また、なぜSDGsバッジをつけているのか聞かれたときに答えられるよう、理由を明確にしておきましょう。他人にどう説明するか考えることで、SDGsバッジをつける目的や自分が行っている取り組みを再確認できます。バッジを周囲に強制する人もいるSDGsバッジは、個人の意思や価値観に基づいて着用するべきです。ですが、組織や上司などからの指示によって、仕方なくSDGsバッジを着用している方もいるかもしれません。このような状況では、SDGs自体に対する抵抗感や不快感が生まれる可能性もあります。企業全体としてSDGsに取り組む姿勢を見せても、社員の方々がSDGsに興味を持てなければ、まさにSDGsウォッシュにつながってしまいます。SDGsに対する意識は人それぞれなので、個人の意見や価値観を尊重しましょう。SDGsバッジはどこで購入できる?国連本部のオンラインショップ(画像:UNITED NATIONS BOOKSHOP)ニューヨークの国際連合本部にあるギフトショップで、公式のSDGsバッジを入手できます。実際に行く機会がない方は国際連合の公式サイト、国連開発計画(UNDP)の公式サイトからも購入できます。公式のものを購入したい方はこちらからの入手がおすすめですが、どちらのサイトも英語表記なので注意しましょう。国連本部のサイトでは10個セット$35.00、国連開発計画のサイトでは2個セット$7.99からの販売です。ローカルプランニング(画像:SDGsバッジのご紹介 | オーダーメイドのピンバッジ)有限会社ローカルプランニングは公式サイトでSDGsバッジの販売を行っています。(価格は要見積もり)2017年に国際協力機構(JICA)から依頼を受けてバッジの製作を行い、現在までに20万個の作成実績を有しています。バッジの形・サイズ・留め具の種類についてオーダーメイドで注文することができます。50個からの注文になるので、企業単位で購入したい方はチェックしてみましょう。通販サイトAmazonや楽天市場など、ネット通販を利用する方になじみ深い大手通販サイトでもSDGsバッジを購入することができます。1つ500円代から購入できるので、個人で入手したい方はチェックしてみてください。・Amazonでチェック・楽天市場でチェックまとめSDGsバッジは誰でも簡単に取り入れられるアイテムで、自分自身の取り組みのアピールや他人・他企業との交流につなげることができます。SDGsバッジをつけることで多くのメリットがありますが、この記事でご紹介したように、着用にあたって注意しなければならない点もあります。SDGsバッジをつけただけで満足せず、SDGsの達成に向けて主体的に取り組んでいきましょう。

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SDGsを会社に導入する方法とは?メリットや取り組み事例も一挙紹介!

会社がSDGsに取り組むことにはとても大きなメリットがあり、現在では多くの会社がSDGsに取り組んでいます。では、会社はどのようにしてSDGsに取り組んでいるのでしょうか?この記事では、SDGsを会社に導入する方法とそのメリット、SDGsに取り組む会社の事例を目標別にご紹介します。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。SDGsとは?(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン|国際連合広報センター)SDGsとは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略で、2015年に国連で採択された目標です。2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットで構成されており、環境や社会の課題を解決し、全ての人が平等に幸せに暮らせる世界を目指しています。SDGsについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。SDGsの意味や背景、各目標の内容や進捗状況など、わかりやすく紹介しています。SDGsをわかりやすく解説!17の目標の意味を簡単にまとめる会社がSDGsに取り組むメリットとは?SDGsに取り組むことは、会社にとって大きなメリットがあります。ここでは、主なメリットを4つご紹介します。コスト削減や業務効率化につながるSDGsの取り組みの中には、エネルギーや資源の節約・廃棄物の削減・循環型経済の推進といった、コスト削減や業務効率化につながるものが多くあります。例えば、再生可能エネルギーの活用やデジタル化によって、電気代や紙代を減らしたり、業務プロセスを改善したりできます。これらの取り組みは、環境や社会に優しいだけではなく、会社の収益性や競争力を高める効果も期待できます。投資家の注目を集められるSDGsに取り組むことで、投資家から良い評価を得られる可能性が高まります。近年、ESG(環境・社会・ガバナンス)という観点から企業を評価する投資方法が注目されています。ESG投資は、企業の財務的なパフォーマンスだけでなく、環境や社会への貢献度・経営体制の健全性なども重視する投資です。ESG投資は、世界的なトレンドであり、日本でも急速に拡大しています。SDGsはESGと密接に関係しており、SDGsに取り組むことはESGへの取り組みとしても認められます。またSDGsに取り組む目的で資金を必要とする場合、資金用途が限定された債券である「SDGs債」を発行することで、資金を調達しやすくなります。一般の債券とは異なり、SDGs債はSDGsの取り組みに直結した金融商品であるため、投資家の注目を集められるでしょう。したがって、SDGsに取り組むことは、投資家からの信頼や支持を得られ、資金調達が容易になったり、株価が上昇したりする可能性があります。新たな市場や顧客層を開拓できるSDGsに取り組むことは、新たな市場や顧客層を開拓するチャンスでもあります。SDGsは世界共通の目標であり、多くの国や地域で課題解決に向けた動きが活発化しています。その中で、自社の技術やサービスを活用して課題解決に貢献することで、新規事業や海外展開の機会を掴めます。また、SDGsに関心が高い消費者や若者など、新たな顧客を獲得できるかもしれません。SDGsは、消費者ニーズや市場動向に合った事業を展開するための、有効な指標でもあります。従業員のモチベーションが上がるSDGsに取り組むことは、従業員のモチベーションを高める効果もあります。自分が関わる事業がSDGsに関係していると、社会的意義がわかりやすくなります。その結果、従業員は自分の仕事に対して誇りや達成感を覚えるかもしれません。また、SDGsには目標8「働きがいも経済成長も」があるため、この目標に沿って働き方改革に取り組むことで、従業員が働きやすくなるでしょう。さらに、SDGsに取り組んでいることを公表することで優秀な人材の確保がしやすくなるかもしれません。実はある調査では、学生の半数以上が「就職活動において企業のSDGsに関する取り組みを意識している」と回答しています。また、66.1%の学生が「企業がSDGsに取り組んでいることを知ると、志望度が上がる」と回答しています。このようにSDGsに取り組むことには、人材確保や育成、離職率の低下など、人事面でのメリットがあります。SDGsを会社に導入するには?SDGsを会社に導入するには、どのような方法があるのでしょうか?参考になるものとして「SDGコンパス(SDGsの企業行動指針)」という、国連などの国際的な団体が協力して作成した資料があります。この資料では、企業がSDGsへの貢献度を高めるために必要な、以下の5つのステップが紹介されています。SDGsを理解する優先課題を決定する目標を設定する経営へ統合する報告とコミュニケーションを行うこの記事では、このステップに沿って、SDGsを会社に導入する方法を詳しく解説していきます。SDGsを経営戦略に取り入れたい方はぜひ参考にしてください。SDGコンパスの資料は以下のサイトから無料でダウンロードできます。Download the SDG Compass Guide|SDGs Compass1. SDGsを理解するSDGsを会社に導入するには、まずSDGsが何を意味し、どのような目標やターゲットがあるのか理解することが必要です。SDGsを理解するには、資料を読んだりインターネットで調べたりする方法もあります。しかし、もっと効果的な方法は、SDGs研修を受けることです。SDGs研修では、SDGsの意義や内容・進捗状況などをわかりやすく学べるほか、自社の事業とSDGsの関係性を分析したり、自分の役割や責任を考えたりできます。SDGs研修に興味がある方は、以下の記事をご覧ください。SDGs研修のメリット・内容・選び方などについて詳しく紹介しています。SDGs研修のメリットや実施方法を徹底解説!研修内容からおすすめの研修サービスまで紹介!2. 優先課題を決定するSDGsを理解したら、次に自社が取り組むべき優先課題を決定することが重要です。SDGsは17の目標と169のターゲットがありますが、すべてに対応することは現実的ではありません。また、すべてに対応しようとすると、効果が弱まり、方向性が分散してしまいます。そこで、自社の事業や業界と関連性が高く、影響力や貢献度が大きい目標やターゲットを選ぶことが必要です。優先課題を決定する方法としては、以下のようなものがあります。・SDGsマトリクスを作成する・バリューチェーンのマッピングをする・ステークホルダーと協働するSDGsマトリクスを作成する(出典:「SDGs経営/ESG投資の現状と課題」|経済産業省)SDGsマトリクスとは、自社の事業や業界とSDGsの関係性を分析するための表です。縦軸にESG重要課題、横軸にSDGsの17の目標を配置します。この例では7つの中核主題に「ISO26000」の規格が用いられており、それに基づいて事業に沿ったESG重要課題を決めています。そして関連するSDGs目標には白丸、とくに関連するSDGs目標には黒丸を記すことで、どのSDGs目標がより重要かわかるのです。バリューチェーンのマッピングをする(出典:SDG Compass SDGsの行動指針|SDGs Compass)バリューチェーンとは、企業の事業活動を価値創造のための一連の流れとして捉える考え方です。バリューチェーンを分析することで自社の強みや課題を見つけられ、強みを伸ばしたり、課題を解決したりする方法を考えられます。そしてその課題解決に向けて、SDGsに沿った形で自社の課題を解決することで、自社の利益を出しつつSDGsに貢献できます。ステークホルダーと協働するステークホルダーとは、自社に関係する人や組織のことで、顧客・従業員・取引先・投資家などのことを指します。ステークホルダーのニーズ・期待・課題・意見などを聞き、自社が取り組むべき優先課題を決めることで、より良い取り組みにつながるでしょう。優先課題を決定することは、SDGsへの取り組みの方向性や戦略を策定するための基礎となるため、必ず行いましょう。3. 目標を設定する優先課題を決定したら、次に目標の設定が必要です。目標とは、SDGsへの取り組みで自社が達成したい具体的な数値や期限のことです。また目標を設定することで、SDGsへの取り組みの進捗や成果を測ることができます。目標を設定する方法としては、以下のようなものがあります。・KPI(主要業績評価指標)とベースラインを設定する・アウトサイド・イン・アプローチで考える・SMART原則に従って設定するKPI(主要業績評価指標)とベースラインを設定するKPIは、業務が順調に進んでいるかを計るための定量的な指標です。大きな目標を達成するために、どのような事をどの程度行えばよいか具体的に決めることで、SDGsの取り組みが行いやすくなります。SDGsコンパスの例では、たとえば「カーボンニュートラルを達成する」という目標は曖昧で、いつまでに何をすればよいかわかりません。「2030年までに自社工場の二酸化炭素排出量を半減させる」というKPIを設定することで、達成度を定量的に表せます。また、KPIにはベースラインを設定しなければなりません。上記のKPIでは、いつの時点と比較して半減させるのかわからず、不明瞭なままになってしまいます。「2030年までに自社工場の二酸化炭素排出量を2020年度より半減させる」や「この5年で自社工場の二酸化炭素排出量を半減させる」といったKPIにすると良いでしょう。アウトサイド・イン・アプローチで考える(出典:SDG Compass SDGsの行動指針|SDGs Compass)アウトサイド・イン・アプローチとは、世界的・社会的ニーズに応えられるように目標を考えることです。その反対がインサイド・アウト・アプローチで、自社の現状・過去の業績・競合他社の動向を見ながら目標を考えることです。アウトサイド・イン・アプローチのほうが、よりSDGs達成に貢献できるため、世界的な課題を見ながら目標を考えられるようにしましょう。SMART原則に従って設定するSMART原則とは、達成可能な目標を設定するための、5つの要素をまとめたものです。それぞれ、Specific(明確)・Measurable(測定可能)・Achievable(達成可能)・Relevant(関連性の高い)・Time-bound(期限のある)の頭文字をとったものです。 この原則に従って、目標を具体的かつ現実的に設定しましょう。目標を設定することは、SDGsへの取り組みの実行力や信頼性を高めることにもなります。自社に合った方法で目標を設定しましょう。4. 経営へ統合する(実践する)目標を設定したら、次に経営へ統合する必要があります。「経営へ統合する」とは、目標を業務に反映させること、つまり実践に移すということです。経営へ統合することで、SDGsへの取り組みを全社的に推進し、目標の達成に向けて実行できます。経営へ統合する方法としては、以下のようなものがあります。・目標を社内に定着させる・すべての部門に役割を与える・パートナーシップに取り組む目標を社内に定着させる経営者や役員などの上層部から従業員へ、目標や方針を伝える必要があります。たとえばある目標について、部門や個人が大きく貢献した際には特別報償を与えるなど、全社員で目標達成を目指せるような制度を作ることが大切です。すべての部門に役割を与えるSDGsに取り組みやすそうな部門だけに役割を与えていては、全社でSDGsに取り組む風土が整えられません。SDGsを専門とする部門から、各目標について主導権を握るべき部門に権限を委任させ、それぞれの部門が主体的に行動する必要があります。パートナーシップに取り組むSDGsの目標を達成するためには、社内で取り組むだけではなく、サプライヤーなどの社外関係者とも協力して取り組む事が求められます。SDGsコンパスでは、パートナーシップに取り組むべき理由を以下のように説明しています。2014 年に実施されたある調査によれば、調査対象となった3万8,000人の企業の役員・管理職およびオピニオンリーダーのうち、90%が持続可能性の課題は企業単独では効果的に対処することはできないと回答した。(出典:SDG Compass SDGsの行動指針|SDGs Compass)このように単独では解決できない課題が多いため、社外とのパートナーシップを結び、一緒にSDGs目標の達成を目指していきましょう。そのためには、目標や取り組みを公表することが大切になります。経営へ統合することは、SDGsへの取り組みの持続性や効果を高めることにもなるため、積極的に推進していきましょう。5. 報告とコミュニケーションを行う(投資家や従業員に説明する)経営へ統合したら、次に報告とコミュニケーションを行うことが必要です。「報告とコミュニケーション」とは、自社がSDGsにどのように取り組んでいるかを、投資家・従業員・顧客・社会全体などのステークホルダーに伝えることです。報告とコミュニケーションを行うことで、SDGsへの取り組みの透明性や信頼性を高められます。報告とコミュニケーションを行う方法としては、以下のようなものがあります。・サステナビリティレポートや統合報告書を作成する・ウェブサイトやSNSなどを活用するサステナビリティレポートや統合報告書を作成するサステナビリティレポートや統合報告書とは、自社の財務情報だけでなく、環境や社会への影響や貢献なども含めた総合的な報告書です。サステナビリティレポートや統合報告書を作成することで、自社のSDGsへの取り組みの内容・成果・課題・展望などを投資家や社会全体に示せます。ウェブサイトやSNSなどを活用するウェブサイトやSNSなどを活用することで、自社のSDGsへの取り組みの様子や、事例・イベント・キャンペーンなどを社外に伝えられます。ウェブサイトやSNSなどでは、サステナビリティレポートや統合報告書よりも気軽に情報を見られるため、企業のイメージアップに最適です。報告とコミュニケーションは、SDGsへの取り組みの価値や影響力を高めることにもなるため、活動内容を適切に伝えるようにしましょう。【目標別】SDGsに取り組む会社の事例をご紹介!ここまで、SDGsを会社に導入するメリットや方法をご紹介しましたが、実際にはどのような会社がSDGsに取り組んでいるのでしょうか?ここでは、SDGsの17の目標ごとに、日本の会社の事例を1社ずつご紹介します。それぞれの会社がどのようにSDGsに貢献しているか、どのような効果や成果を得ているかを見ていきましょう。目標1.貧困をなくそう目標1が目指しているのは、貧困や飢餓、不平等などの根本的な原因を解決し、全ての人が基本的な生活水準を保てるようにすることです。この目標に取り組んでいる会社の一例として、UCC上島珈琲株式会社があります。UCC上島珈琲株式会社は、コーヒー豆の生産国であるベトナムやインドネシアなど7か国で、「UCC品質コンテスト」というコーヒー豆のコンテストを実施しています。これは最高のコーヒー豆を表彰することを一番の目的としているのではなく、生産者のモチベーションを高めて、取り扱うコーヒー豆全体の品質向上を目指しています。コーヒー豆の品質が上がれば、生産者の収入が上がり、生活水準の向上にもつながります。またUCCにとっても、高品質な豆が安定的に調達できるようになるため、双方にメリットがあるのです。同社は、自社の事業とSDGsの目標1を結びつけて、コーヒー豆の生産者の生活水準向上に貢献しています。(出典:UCC品質コンテスト|UCC上島珈琲株式会社)目標2.飢餓をゼロに目標2では、全ての人が十分な食料を得られるようにし、飢餓や栄養不足をなくすことを目指しています。この目標に取り組んでいる会社の一例として、日本マクドナルドホールディングスがあります。日本マクドナルドホールディングスは、持続可能な食材調達に取り組んでいます。例えば「フィレオフィッシュ」に使用する白身魚は、MSC認証を取得した天然のスケトウダラです。MSC認証は「海のエコラベル」とも呼ばれ、持続可能な漁業で獲られた水産物であることを証明するものです。またパティに使われる牛の飼育が、アニマルウェルフェア(動物福祉)に配慮して行われるよう、生産者をサポートしています。このように同社は、持続可能な食材調達に取り組むことで、飢餓をゼロに近づけようとしています。(出典:マクドナルドとSDGs|日本マクドナルドホールディングス)目標3.すべての人に健康と福祉を目標3では、全ての人が健康で生き生きと暮らせるようにし、感染症や病気、母子の健康などの課題を解決することを目指しています。この目標に取り組んでいる会社の一例として、ヤクルトグループがあります。ヤクルトグループは、乳酸菌飲料の製造と販売をすることで、人々の健康と福祉に貢献しています。創業時から「予防医学」を志し、乳酸菌シロタ株を生み出した創業者の代田稔の精神を受け継ぎ、予防医学や健康維持の研究、製品開発を行っています。同社は、自社の事業そのものがSDGs目標3に貢献していると考えています。(出典:SDGsへの貢献|ヤクルトグループ)目標4.質の高い教育をみんなに目標4では、全ての人が平等に質の高い教育を受けられるようにし、学習機会やスキルを拡大することを目指しています。この目標に取り組んでいる会社の一例として、東京ガスがあります。東京ガスは、専任の社員が各学校に出向いて、エネルギーに関する教育や体験学習の機会を提供するため、以下5つの「出前授業プログラム」を実施しています。・社会科・総合の授業向け「安心安全ガスの防災」「ガスの歴史とくらしの変化」「都市ガスが家に届くまで」・理科・総合の授業向け「燃料電池ってなんだろう?」・家庭科・総合の授業向け「はじめよう!エコ・クッキング」同社は自社の事業とSDGsの目標4を結びつけ、エネルギーに関する理解や関心を深める授業を行うことで、教育と学習に貢献しています。(出典:未来を担う子どもたちの学びのために◆SDGs4:学校教育支援の取り組み|東京ガス)目標5.ジェンダー平等を実現しよう目標5が目指していることは、男女の平等・女性の権利や能力の向上を促進することです。この目標に取り組んでいる会社の一例として、化粧品メーカーのコーセーがあります。コーセーは、「女性と地球にスマイルを増やしたい」という理念に基づき、一般社団法人バンク・フォー・スマイルズが運営する「コスメバンクプロジェクト」に参画しています。このプロジェクトでは、貧困や雇用の悪化に苦しむ女性に化粧品を無償で提供し、自信と希望を与える活動を行っています。さらに、当プロジェクトを利用する女性の就労活動のサポートのために、メイクアップセミナーも開催しています。同社は、化粧品を通じて社会に向けた女性活躍への支援を行っています。(出典:取り組み1:ジェンダーダイバーシティ(女性活躍・LGBTQ+、男女共同参画)|コーセー)目標6.安全な水とトイレを世界中に目標6が目指していることは、安全で清潔な水や衛生設備を全ての人が利用できるようにし、水資源の持続的な管理を行えるようにすることです。この目標に取り組んでいる会社の一例として、ヤマハ発動機株式会社があります。ヤマハ発動機株式会社は、小型浄水装置「ヤマハクリーンウォーターシステム」をアフリカやアジアの新興国を中心に14カ国で42基設置しています。「ヤマハクリーンウォーターシステム」は、自然界の水浄化機能を利用したシンプルな構造で、電力や凝集剤を必要とせず、住民による自主運営が可能です。これにより、水に関する衛生・健康・教育・ビジネス・自治などの面で、人々の暮らしにポジティブな変化をもたらしています。同社は、国内外の様々な機関と連携して、この小型浄水装置の導入を進めています。(出典:クリーンウォーターシステム|ヤマハ発動機株式会社)目標7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに目標7では、安価で信頼できる再生可能エネルギーを全ての人が利用できるようにし、エネルギーの効率や持続性を向上させることを目指しています。この目標に取り組んでいる会社の一例として、再生可能エネルギーを活用した電力供給を行う、株式会社未来電力があります。株式会社未来電力は、大分県宇佐市でバイオガス発電を行っており、発電時の二酸化炭素量の削減を目指しています。県内を中心とした焼酎メーカー・⾷品メーカーから廃棄される焼酎カスや食品加工後の残りを発酵させてメタンガスを発生させ、そのガスでタービンを回し発電します。ガスを取り出した後に残る消化液は、液肥や固形肥料にして再利用することで循環型農業に貢献しています。同社はこれらの取り組みによって、エネルギー供給をよりクリーンなものにしています。(出典:SDGsへの取り組み|株式会社未来電力)目標8.働きがいも経済成長も目標8では、全ての人が適正な労働条件で安定して働けるようにし、経済の成長や生産性を高めることを目指しています。この目標に取り組んでいる会社の一例として、日本郵政株式会社があります。日本郵政株式会社は、従業員のキャリアパスに応じた育成や自己啓発の支援を行っています。また、ダイバーシティマネジメントを推進し、女性や障がい者の活躍を促進しています。さらに、健康経営にも力を入れ、従業員とその家族の健康を守るための施策を実施しています。同社は、働きやすく働きがいのある職場環境を整備し、社会に貢献する企業を目指しています。(出典:SDGs達成に向けた取り組み|日本郵政株式会社)目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう目標9では、産業やインフラ、イノベーションの発展を促進し、経済の多様化や持続可能性を高めることを目指しています。この目標に取り組んでいる会社の一例として、Sky株式会社があります。Sky株式会社は、サイバー攻撃や情報漏洩などのリスクに対抗するため、IT機器の管理とセキュリティを強化するシステムを提供しています。自社開発の商品を用いて、クライアントPCの運用管理や端末の仮想化、名刺情報の活用などを支援し、組織のIT環境を安全で効率的なものにしています。Sky株式会社は組織のIT環境を守ることで、産業と技術革新の基盤づくりに貢献しています。(出典:SDGsへの取り組み|Sky株式会社)目標10.人や国の不平等をなくそう目標10は、人種や性別、年齢や障害などの違いによる差別や不平等をなくし、全ての人が公平に機会や資源を享受できるようにすることです。この目標に取り組んでいる事業の一例として、「久遠チョコレート」があります。「久遠チョコレート」は、チョコレートを通じて障がい者の社会参加と自立を支援する「全国夢のチョコレートプロジェクト」を展開しています。全国の障がい者事業所と協力して、高品質なチョコレートを製造・販売し、所得アップや就労機会の創出に貢献しています。また、愛知県豊橋市には「QUONチョコレート豊橋SDGsラボ」を設置し、持続可能な社会に向けた取り組みを行っています。この活動は、第2回ジャパンSDGsアワードにて内閣官房長官賞を受賞するなど、高い評価を得ています。「久遠チョコレート」は、チョコレートの魅力とパワーを伝えるとともに、障がい者の社会参加と自立に向けて取り組んでいます。(出典:QUONチョコレート×SDGs|久遠チョコレート)目標11.住み続けられるまちづくりを目標11が目指していることは、全ての人が安全で快適に暮らせる都市やコミュニティを作り、災害や気候変動などのリスクに対応できるようにすることです。この目標に取り組んでいる会社の一例として、積水化学工業株式会社があります。積水化学工業株式会社は、暮らしの安全性と災害耐性強化に取り組んでいます。地震に強い高性能ポリエチレン水道管や火災に強い耐火材「フィブロック」などの製品を開発・提供し、水インフラや建築物の被害を軽減、早期復旧を支援しています。同社は、災害前の準備と発生後の早期復旧の両面から、暮らしの安全性を高める製品・技術を提供しています。(出典:豊かで安心な暮らしのために|積水化学工業株式会社)目標12.つくる責任・つかう責任目標12では、資源・エネルギーの生産と消費を効率的かつ持続可能にし、廃棄物や汚染を減らすことを目指しています。この目標に取り組んでいるサービスの一例として、ファッションレンタルサービスの「shareCloset(シェアクローゼット)」があります。「shareCloset」は、着なくなった洋服を再生して、次の人に届ける取り組みです。実は、日本国内の服の廃棄量は年間30億着以上と言われており、この問題に対処するためのサービスとなっています。回収された洋服の状態に応じて、シェアリングに回したり、リサイクルしたりしています。こうして洋服の無駄を減らし、ファッションとの新しい出会いを創出しています。出典:shareCloset目標13.気候変動に具体的な対策を目標13が目指していることは、気候変動の影響を軽減し、適応力を高めるようにすることです。この目標に取り組んでいる会社の一例として、プリンターやプロジェクターなどを製造している、セイコーエプソン株式会社があります。同社は乾式オフィス製紙機「PaperLab(ペーパーラボ)」を開発しています。「PaperLab」は、使用済みのコピー用紙や印刷物を繊維化することで、再生紙にする製品です。この製品では、紙の原料である木材資源の消費や廃棄物の発生を減らせます。また、再生紙の生産にともなう水やエネルギーの使用量も大幅に削減できるのです。これによって、気候変動による森林破壊や水不足などの問題に対処できます。会社にPaperLabを導入することで、資源の節約に貢献できるでしょう。(出典:乾式オフィス製紙機PaperLab|セイコーエプソン株式会社)目標14.海の豊かさを守ろう目標14が目指していることは、海の生物多様性や資源を保護し、持続可能な利用や管理を行えるようにすることです。この目標に取り組んでいる会社の一例として、自動車やオートバイ、船外機などを製造する、スズキ株式会社があります。スズキ株式会社は、海洋プラスチックごみ問題に取り組む「スズキクリーンオーシャンプロジェクト」を行っています。このプロジェクトでは、船外機に取り付け可能なマイクロプラスチック回収装置を開発し、世界初の走行するだけで水面付近のマイクロプラスチックを回収する仕組みを提供しています。また水辺の清掃活動や、船外機・部品の梱包資材のプラスチック削減なども行っています。同社は「THE ULTIMATE OUTBOARD MOTOR (究極の船外機)」を目指して、世界中のパートナーとともに海をキレイにしています。(出典:スズキ、世界初の船外機用マイクロプラスチック回収装置を開発|スズキ株式会社)目標15.陸の豊かさも守ろう目標15が目指していることは、森林・湿地・山岳などの陸の生態系や生物多様性を保護し、持続可能な利用や管理を可能にすることです。この目標に取り組んでいる会社の一例として、紙などの製品を提供する株式会社イムラがあります。株式会社イムラは、森林資源の適正な利用・管理だけでなく、森林環境の保全・再生、そして環境に優しい素材や製品の開発・普及を行っています。たとえば、相模原工場では東京都町田市のボランティア団体と協力し、ホタルや絶滅危惧種のホシザクラを守る活動を支援しています。また、製品の一部に間伐材を利用しており、2021年度には2017年度の約3.3倍の使用量となっています。これによって、木材資源の節約や適切な森林環境の形成につながっています。(出典:SDGsへの取り組み|株式会社イムラ)(出典:その他の取り組み|株式会社イムラ)目標16.平和と公正をすべての人に目標16では、暴力・テロ・汚職などのない平和な社会を実現し、全ての人の人権や法の支配を保障することを目指しています。この目標に取り組んでいる会社の一例として、IT機器のリユースやリサイクルを行う、株式会社ゲットイットがあります。IT機器に必要な資源であるレアメタルの採掘や生産には、人権侵害や環境汚染などの問題が起こることがあるのです。たとえば、レアメタルを巡った紛争で子どもたちが徴兵されたり、女性が被害にあったりしています。この問題に対処するために、株式会社ゲットイットはIT機器のリユースやリサイクルを促進することが必要だと考えています。また同社は紛争鉱物問題の解決のため、NPO等と連携して、子どもたちの徴兵防止や紛争被害女性の支援に取り組んでいます。(出典:企業 × NPO 連携強化:コンゴ民主共和国における「紛争鉱物問題」に対し、生活再建・生計向上のための各種プログラムを支援へ|株式会社ゲットイット)目標17.パートナーシップで目標を達成しよう目標17では、国・地域・組織・個人などの多様な主体が協力して、SDGsの達成に向けて資源や技術、知識などを共有することを目指しています。この目標に取り組んでいる会社の一例として、銀行など金融サービスを提供している、東京きらぼしフィナンシャルグループがあります。東京きらぼしフィナンシャルグループは、東京都の「東京グリーンボンド」や川崎市の「川崎グリーンボンド」などの債券に投資しています。これらの債券は、気候変動の緩和や適応に資する環境事業に資金を提供するものであり、同行は、SDGsに関するESG投資等を積極的に行っています。ESG投資を通じて、地域経済と地域社会の持続的な発展に貢献しています。(出典:地域連携・産学連携に関する活動|東京きらぼしフィナンシャルグループ)SDGsに興味がある方は「Socialgoo」がおすすめこの記事では、SDGsを会社に導入する方法やメリット、目標別の会社の事例をご紹介しました。SDGsについて「さらに詳しく知りたい!」と興味をもたれた方は、当サイト「Socialgoo」をチェックしてみてください!「Socialgoo」では、SDGsの各目標の内容や取り組み事例などをわかりやすく解説しています。会社だけではなく、私たち一人一人にもSDGsに取り組むメリットがあります。詳しく知りたい方はこちら!【企業・個人別】SDGsの取り組みで得られるメリット11選|デメリットやリスクなどを徹底解説企業の取り組み・私たちができることについて詳しく知りたい方はこちらをチェック!企業のSDGs取り組み事例10選|個人でできる身近な例もご紹介これらの情報を参考にして、自社のSDGsへの取り組みを考えてみてくださいね!まとめこの記事では、SDGsを会社に導入する方法とそのメリット、目標別の会社の事例をご紹介しました。SDGsに取り組むことは、環境や社会だけでなく、自社にもプラスになります。SDGsを理解し、他社の事例を参考にしながら、自社に合った形でSDGsに取り組んでいきましょう!

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SDGs研修のメリットや実施方法を徹底解説!研修内容からおすすめの研修サービスまで紹介!

企業がSDGsに取り組むことには、社会貢献だけでなく、ビジネスチャンスや従業員のモチベーション向上などのメリットがたくさんあります。そのためには、SDGsに関する知識やスキルを社員につけさせることを目的として、企業は研修を行う必要があります。この記事では、SDGs研修のメリットや実施方法から、研修を行う理由・目的・種類・内容・研修サービスの選び方まで分かりやすく解説します。ぜひこの記事を読んでSDGs研修を検討してみてください。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。SDGsとは?(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン|国際連合広報センター)SDGs(持続可能な開発目標)とは、2030年までに貧困や不平等、気候変動などのグローバルな課題を解決し、持続可能な社会を作るための国際目標です。SDGsは2015年に国連で採択され、17の目標と169のターゲットで構成されています。SDGsについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。SDGsの意味や背景、各目標の内容などをわかりやすく紹介しています。SDGsをわかりやすく解説!17の目標の意味を簡単にまとめる企業がSDGs研修を行うべき理由とは?企業がSDGsに貢献することは消費者や投資家に求められており、SDGsに取り組むことは企業の喫緊の課題となっています。しかし、SDGsの重要性を分かっていても、取り組めていない企業があるのも現状でしょう。そこで企業がSDGs研修を実施し、社員にSDGsについての知識や思考方法を身につけてもらうことで、組織全体としてSDGsを実践できるようにするのです。次の章では、SDGs研修のメリットについて詳しく説明します。SDGs研修のメリットSDGs研修のメリットは、自社の事業や製品とSDGsの関連性を考えることで、コスト削減やイノベーションへの手がかりが見つかることです。また、企業イメージの向上・社会的貢献の実現・従業員の意識改革や行動変容など、さまざまな効果があります。以下では、それぞれのメリットについて詳しく説明します。企業イメージの向上と社会貢献の実現SDGsに貢献している企業は、社会的な信頼や評価を得ることができるため、積極的に取り組む必要があります。ただし、SDGsについてよく知らないまま、自社の利益のためにSDGsに取り組んでいるように宣伝すると「SDGsウォッシュ」につながるため、注意しなければなりません。SDGsウォッシュとは、実態が伴わないにもかかわらず、SDGsを実践しているかのように見せかけることです。近年の消費者や投資家は、SDGs視点で企業やブランドを選択する傾向が強まっているため、SDGsウォッシュをしていると信頼がなくなってしまいます。以上より、SDGsについて研修を行い、正しく理解してから実践することで、企業イメージの向上や社会貢献の実現につながります。SDGs達成への取り組みがビジネスチャンスになるSDGsは社会にとって良いことであるのと同時にビジネスチャンスでもあります。2017年のダボス会議では、企業がSDGsに取り組むことで大きな経済効果があると報告されました。具体的には、SDGs達成によってもたらされる経済価値は2030年までに少なくとも12兆ドル、また創出される雇用は約3億8,000万人にも及ぶと推計されています。つまり、SDGsは世界共通の新しい価値観であり、社会課題を解決する商品やサービスは需要が高まる可能性があるのです。また、資源やエネルギーの効率的な利用によって、コスト削減や利益率向上につながります。SDGs研修を行い、自社の事業や取り組みがどのようにSDGs達成に寄与できるかを見直すことで、新たなビジネスチャンスや競争力強化のきっかけにつながります。従業員の意識改革と行動変容SDGsでは、資源・エネルギー・環境だけでなく、「人」についても持続可能であるようにすべきだとされています。たとえば、SDGsの8番目の目標には「働きがいも経済成長も」と掲げられています。これは、働く人々の人権や労働条件を改善し、安全で安定した雇用を確保し、生産性や技能を高めることを意味します。SDGs研修を行うことで、働きがいや人間らしい職場について、企業幹部や社員が意識しやすくなると考えられます。これによって、職場環境が改善され、仕事の質の向上・離職率の低下・優秀な人材の獲得などにもつながるでしょう。このように、SDGs研修を行うことによってさまざまなメリットが得られます。それでは、SDGs研修とはどのようなものなのでしょうか?SDGs研修って何?SDGs研修では、SDGsの基礎知識や重要性を学ぶだけでなく、自分たちの業種や組織とSDGsの関連性を見つけたり、具体的な取り組みや施策を考えたりできます。ここでは、SDGs研修の目的・種類・内容についてわかりやすくご紹介します。研修の目的 SDGs研修で達成できることには、以下が挙げられます。SDGsについての理解を深めるSDGsへの関心や関与を高めるSDGsと自社の関係性を考えるSDGsに貢献するビジネスアイデアを生み出すSDGs研修では、自社の事業がどういう社会課題に関わっているか、どういう価値や影響を生み出しているかを考えることができます。また、他の参加者と意見交換やディスカッションをすることで、多様な視点や知識を得ることができます。これらは、自社の事業や活動をSDGsに沿って改善したり、新しい可能性を見出したりするために役立ちます。研修の種類 研修の種類は、オンラインかオフラインかの大きく2つに分けられたうえで、それぞれに講義形式・ワークショップ形式・ゲーム形式の研修があります。オンラインとオフラインSDGs研修は、オンラインとオフラインのどちらで行うかによっても、特徴や効果が異なります。オンライン研修は、録画されたビデオ教材やオンライン会議ツールなどを利用して、自宅や職場から参加できるものです 。ビデオ教材で基礎を学ぶものから、オンライン会議ツールを使ったワークショップ形式のものまで様々な研修があります。場所を指定する必要がなく、ビデオ教材であれば時間も問わずに実施できるため、コストや手間を節約できるメリットがあります。一方、オフライン研修は、講師と参加者が会場に集まって行うものです。講師とのコミュニケーションがとりやすく、参加者が直接顔を合わせて学べるため、集中力やモチベーションを高められます。また、実際に手を動かしたり、話し合ったりすることで、SDGsの理解をより深められます。講義形式・ワークショップ形式・ゲーム形式SDGs研修は、講義形式・ワークショップ形式・ゲーム形式などの学習方法の違いによっても、特徴や効果が異なります。講義形式は、SDGsの基礎知識や事例などを効率的に学ぶことができる方法です。講師からの説明を聞いたり、動画や資料を見たりすることで、SDGsに関する幅広い情報を得られます。講義形式では、参加者の理解度確認やアンケートなどのフィードバックを行うことで、より効果的な学習につなげられます。ワークショップ形式は、参加者が主体的に考えたり話し合ったりすることで、SDGsに関する深い理解や関心を持つことができる方法です。グループワークやディスカッションなどの活動を通して、自社の事業とSDGsとの関連性を見出したり、具体的なアクションプランを立てたりできます。ワークショップでは、参加者同士のコミュニケーションや協働を促進することで、より効果的な学習につなげることができます。ゲーム形式は、参加者が楽しみながらSDGsに関する知識やスキルを身につけられる方法です。カードゲームやボードゲームなどのゲームを通して、SDGsの17のゴールや169のターゲットなどを知るだけでなく、世界の将来を考えるうえで必要な思考力を養えます。またゲーム形式を取ることで、参加者の興味やモチベーションを高められ、より効果的な学習につなげることができます。研修の内容先ほどご紹介したようにSDGs研修では、SDGsに関する基礎知識や事例紹介の講義だけでなく、実践的なワークショップやゲームも行います。これからそれぞれの形式ごとに、研修でどのようなことが行われるのか詳しく説明します。講義形式講義形式では、SDGsの概要や背景、目標やターゲット、重要性や意義などを説明します。また、SDGsに取り組んでいる企業や団体の事例も紹介します。講義形式では、以下のようなプログラム項目がよく行われます。SDGsとは何かSDGsが生まれた経緯と国際的な動向SDGsの17の目標と169のターゲットの内容と関連性SDGsに取り組むメリットと課題SDGsに取り組む企業や団体の事例紹介SDGsに取り組むためのフレームワークやツールの紹介ワークショップ形式 ワークショップ形式では、SDGsに関連する課題や解決策を自分たちで考えたり、他の参加者と協力したりすることで、SDGsへの理解や関心を深めます。ワークショップ形式では、以下のようなプログラム項目がよく行われます。自分たちの業種や組織とSDGsの関連性を見つけるSDGsに貢献するビジネスのアイデアを生み出すSDGsに取り組むための目標や計画を考えるゲーム形式 ゲーム形式では、SDGsに関連する課題や解決策を遊びながら学んだり、他の参加者と競争したりすることで、SDGsへの理解や関心を深めます。ここでは、SDGsが学べる代表的なゲームをご紹介します。「SDGsアウトサイドインカードゲーム」このゲームでは、SDGsに関連した新規事業を創り出し、その事業を大きくする方法を考えます。アウトサイドインとは、社会課題やニーズから事業を考えるアプローチのことで、企業の成長やイノベーションにつながります。このゲームを行うことで、以下の3つの目的を達成できます。1.「社会課題の解決を起点にしたビジネス創出」を意味する「アウトサイドイン」について学ぶ。2.世界が直面している課題に、自社がどのように貢献できるのか知る。3.自社の強みを知り、それらを組み合わせて新たな事業を生み出す力を身につける。「2030 SDGs」 カードゲーム参加者それぞれに決められたゴールに向かって活動したときに、2030年にはどのような世界になっているのかシミュレーションするカードゲームです。このゲームで決められるゴールは人々の価値観を意味しており、異なる価値観を持つ人々が自分のゴールのために動くことで世界が変わっていきます。世界の変化をこのゲームによって体験することで、経済・環境・社会がつながっている事を実感できます。「SDGs de 地方創生」地方創生に向けてSDGsの取り組みを行うことで、将来どのような町になっているかを考えるカードゲームです。一人ひとりの行動が町の未来を変える事がわかり、町をより良くするためにどのように行動するべきか考えられます。また、これらのゲームを進行するには公認ファシリテーター資格が必要です。外部の研修サービスを利用するか、自社の社員が資格を取得する必要があります。事前に考えておくべきことSDGs研修を実施するにあたって、事前に考えておくべきことがあります。ここでは、「研修の目的を決める」、「研修の種類と内容を決める」、「外部の研修サービスを利用するか、社内研修にするか」という3つの考えるべきポイントについて説明します。研修の目的を決めるあなたの会社でSDGs研修を行う目的は何でしょうか?SDGsについての理解を深めるだけでなく、自分たちの事業や活動とSDGsの関連性を見つけたり、具体的な取り組みや施策を考えたりすることも目的になるでしょう。研修の目的によって、以下のように研修の内容や方法も変わってきます。SDGsについての基礎知識や重要性を学びたい場合は、講義形式やゲーム形式の研修が適しています。SDGsについてある程度知っており、ビジネスに生かす方法を学びたい場合は、ワークショップ形式の研修が適しています。このように研修の目的を明確にすることで、研修の効果を高められるでしょう。研修の種類と内容を決める研修の目的・予算・実施期間を考慮して、研修の種類と内容を決める必要があります。全社員に対して、低予算・短期間でSDGsの基礎知識を習得させたい場合はオンライン講義形式の研修を導入すると良いでしょう。一方で、役職員に対してSDGsの活用方法を考えられる能力を身につけさせたい場合にはワークショップ形式の研修を導入すると良いでしょう。この場合は、一か所に集合できるのであればオフライン、そうではなく全国各地から参加者が集まる場合にはビデオ会議ツールを用いたオンライン研修というように選べます。また、人数がそれほど多くなく、予算も十分にある場合にはオフラインでゲーム形式の研修を行うこともできます。ゲーム形式にすることで、楽しみながらSDGsの基礎知識を学び、思考方法を身につけられます。外部の研修サービスを利用するか、社内研修にするか最後に考えるべきことは、外部の研修サービスを利用するか、社内で研修を開発するかということです。それぞれにメリット・デメリットがあるので、比較しましょう。外部の研修サービスを利用する場合外部の研修サービスでは、専門的な知識や経験を持った講師やファシリテーターが研修を実施するため、質の高い研修を受けられます。また、その研修サービスのオリジナル教材が提供されることもあり、費用が掛かる分、サービスが充実しています。社内で研修を開発する場合社内で研修を開発する場合は、自分たちで資料や教材を準備したり、講師やファシリテーター役を務めたりします。コストは抑えられますが、手間がかかるうえに、研修の質を保つ必要があるため、SDGsに詳しい社員がいる場合に限られるかもしれません。外部の研修サービスの選び方SDGs研修を外部の研修サービスに依頼する場合は、研修サービスの選び方がとても重要となります。自社で研修を開発する場合にも、これらの点を考慮しておくとより良い研修になるでしょう。以下では、予算・対応人数・所要時間を確認すること、目的が達成できるかどうかを判断すること、開催形式から選ぶことという3つのポイントについて説明します。予算・対応人数・所要時間を確認する SDGs研修を行うにあたって、予算・対応人数・所要時間を見積もる必要があります。それぞれについて、影響や調整方法などを考えてみましょう。予算外部の研修サービスの費用には、講師・ファシリテーターの料金や教材の費用などが含まれています。費用が予算内に収まっているか、内容に見合っているかを考慮し、比較する必要があります。自社で開発する場合は、資料や教材の作成などにかかる人件費や経費などを考慮します。予算が少ない場合は、無料でダウンロードできる教材やゲームを活用したり、オンラインで開催したりすることで節約できます。対応人数研修に参加する人数が対応人数を超えていないかを確認する必要があります。対応人数より多い場合は、研修サービスを行う企業・団体と連絡を取り、グループ分けをしたり、複数回に分けて開催したりする等の対応をすることで対処できます。その場合には予算を超えていないか再度確認することも必要です。所要時間研修の所要時間は、研修の内容や目的によって変わります。所要時間が少ない場合は、SDGsの基礎知識や重要性を学ぶだけに留め、後日復習をすることで対応できます。所要時間が多い場合は、ワークショップ形式の研修をしたり、ゲーム形式の研修をしたりできます。目的と所要時間が不釣り合いでないか、しっかりと確認しましょう。目的が達成できるか外部の研修サービスに依頼する場合でも、自社で開発する場合でも、目的が達成できるかどうかを判断する方法やポイントがあります。外部の研修サービスが提供する研修プログラムが、自社の研修目的に合っているかどうかは、以下の方法で判断できます。研修プログラムの内容や方法を事前に確認する研修プログラムの効果や評判を事前に確認する研修プログラムのカスタマイズやアフターフォローが可能かどうかを確認する自社で開発する研修プログラムで、研修目的が達成できるかは、以下の方法で判断できます。研修目的と照らし合わせて、研修プログラムの内容や方法を設計する研修プログラムの効果予測や評価基準を事前に設定し、実施後に検証する研修プログラムの改善点や反省点を見直し、改良できるか考える開催形式から選ぶ SDGs研修は、オンラインやオフラインという開催形式を選べ、それぞれにメリットやデメリットがあります。また、実現可能かどうかや学習に適しているかも考慮しなければなりません。オンラインオンラインは、インターネットやビデオ会議システムなどを利用して、自宅や職場から参加できる形式です。移動時間がかからないことがメリットとなる一方で、通信障害や音声・画像品質の低下などの技術的問題が起きやすいというデメリットとなります。講義動画を視聴するだけのものであればメリットが多く導入しやすいですが、参加者同士で話し合う講座だとデメリットが気になるかもしれません。オフラインオフラインは、実際に会場に集まって参加する形式です。参加者同士のコミュニケーションや協力がしやすいことがメリットとなる一方で、移動時間がかかることや、オンラインよりも日程調整が難しいことがデメリットとなります。会場の収容人数や講師が対応できる人数が、参加者人数と合うか確認することも重要です。ハイブリッドハイブリッドは、オンラインとオフラインを組み合わせた形式です。まずはオンラインビデオの講義を視聴し基礎知識を学び、その後に実際に会場に集まり、ワークショップを実施する研修が多いようです。オンラインとオフライン双方のメリットを最大限に生かせますが、対応できるサービスを探す必要があります。また、基礎から発展までを網羅する研修が多いため、長期間になること、費用が高くなりやすいことを考慮しなければなりません。実際の研修プログラム例を紹介!SDGs研修を行うにあたって、参考になる研修プログラムの例を紹介します。オンライン、オフライン、ハイブリッドという開催形式ごとに、達成できる目的、内容、特徴を説明します。オンライン一般社団法人イマココラボのオンライン研修一般社団法人イマココラボが提供するオンライン研修には、「SDGsの動画を通じて行うオンデマンドクラス」と「SDGsオンラインワークショップ」があります。「SDGsの動画を通じて行うオンデマンドクラス」では、SDGsの講義を見た後で小グループに分かれて対話することで、理解を深められます。また単に講義を見るだけではないうえに、講座全体が90分で終わるため、モチベーションを維持でき、集中しやすい事もメリットです。「SDGsオンラインワークショップ」では、自分たちの事業や活動とSDGsの関連性を見つけたり、具体的な取り組みや施策を考えたりできます。ワークショップ形式とはいえ、初めに短時間の講義があり、必要な知識をおさらいしておけるため、効果的な研修となるでしょう。SDGsの「なぜ」を学ぶことによって、参加者の意識が変わることを目指しており、組織の良さにもつながる研修と言えます。出典:一般社団法人イマココラボ「実践からつくられたEラーニング SDGs Eラーニング」一般社団法人SDGsアントレプレナーズの「実践からつくられたEラーニング SDGs Eラーニング」では、SDGsを基礎から学べるオンライン講義が提供されています。SDGsとは何か、なぜ企業にとって重要なのかといったところから学べ、応用・発展のコースに進むことによって理解のみならずビジネスへの活用にもつなげられます。さらに、復習用スクリプトや確認テストもあるため、その場限りの知識にならないところが特徴的と言えます。多言語に対応しているため、海外にも広く展開している企業でも利用できます。出典:実践からつくられたEラーニング SDGs Eラーニング|一般社団法人SDGsアントレプレナーズオフライン株式会社Dropの「SDGs基礎研修」「SDGs実践研修」株式会社Dropの「SDGs基礎研修」では、SDGsの目標などの基礎知識を学んだうえで、企業のSDGsの取り組みの重要性や取り組み方を90分で学べます。公開会場に行くのではなく、講師が自社まで来てくれるため、社員の負担を少なくできます。SDGsの基礎を学ぶ際には、前向きにとらえられるように講義を工夫し、わかりやすく説明しています。「SDGs基礎研修」でSDGsの基礎知識を習得できた後は、「SDGs実践研修」でSDGsとビジネストレンドの関係や、経営戦略を学ぶことで、企業活動につなげられます。出典:SDGs基礎研修|株式会社Dropハイブリッド株式会社グローバルイノベーションズの「SDGs企業研修」株式会社グローバルイノベーションズの「SDGs企業研修」では、個別のビジネスシーンに直結する、専門的な講座を提供しています。たとえば「サステナビリティ経営戦略実践講座」や「SDGs実践統合報告書制作ディレクター養成講座」といった講座が対面で開催されています。事前に配信される動画を見て基礎知識を補い、対面授業の際により専門的なことを学ぶことができます。対面授業では講義だけではなくワークショップも実施されるため、学んだことをすぐに利用できます。資料も豊富なため、SDGsを経営戦略に取り入れるにはどうしたらよいかと考えている企業におすすめです。出典:Start SDGs|株式会社グローバルイノベーションズSDGsに興味がある方は「Socialgoo」がおすすめこの記事をきっかけに、SDGsについて興味を持たれた方には「Socialgoo」がおすすめです!ソーシャルグッド(社会にとって良いサービスや活動)に特化したメディアであり、取り組み事例などSDGsにまつわる様々な情報を発信しています。ぜひ他の記事もチェックしてみてくださいね!まとめSDGs研修は、社会貢献とビジネス価値の向上につながる、企業にとって重要な取り組みです。企業イメージの向上や従業員の意識改革、新たなビジネスチャンスの創出など、多くのメリットがあります。研修の目的・種類・内容・外部の研修サービスの選び方を考慮し、自社に最適なSDGs研修プログラムを導入しましょう。

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SDGsに取り組むブランド10選|アパレル業界の課題とサステナブルファッションのメリットをご紹介!

SDGs(持続可能な開発目標)に取り組むことが求められる現代社会において、アパレル業界でもSDGs達成に向けた活動が注目されています。ファッション業界が直面する課題解決のために進められているのが、「サステナブルファッション」という取り組みです。この記事では、サステナブルファッションとは何か、アパレルブランドはSDGsに対してどのように取り組んでいるのかを紹介します!さらに、アパレル業界が抱える課題や、服を通じて個人ができることについても考えていきましょう。持続可能な未来を目指すために、ぜひこの記事を参考にしてください。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。SDGsとは?SDGsは、国連が2015年に採択した17の「持続可能な開発目標」のことです。経済・社会・環境などの分野における世界的な課題を、2030年までに解決するための指針を意味します。詳しくは以下の記事でご紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。「SDGsをわかりやすく解説!17の目標の意味を簡単にまとめる」SDGs視点で考えるファッション業界の課題とは近年ファッション業界では、ファストファッションの流行によって価格競争が過熱し、労働環境問題や廃棄物による環境汚染、供給過剰などが問題視されるようになりました。こうした背景から、国連貿易開発会議(UNCTAD)では、ファッション産業を石油産業に続いて世界で第2位の汚染産業とみなしています。これらの問題は環境問題に取り組むSDGsと密接に関連しているのです。ここではファッション業界と関連するSDGsの目標について説明します。目標8: 働きがいも経済成長もSDGsの目標8は、経済成長の促進と同時に、働きがいと安定した雇用の提供を目指しています。ファッション業界は、労働者の低賃金・過酷な労働環境・児童労働などの目標8に直結した問題を抱えています。例えば低価格な衣服を大量に販売するファストファッションは、生産コストを抑えるために、途上国の工場で不当労働を強いることがあります。ファッション業界がSDGsに貢献するためには、賃金や労働環境の改善、人権に配慮したサプライチェーンの確立が必要です。具体的には、安全で衛生的な労働環境を提供するための投資を行い、労働者のスキルアップや福利厚生の改善などに取り組むことが求められます。目標12: つくる責任 つかう責任SDGsの目標12は、持続可能な生産と消費の実現を目指しています。つまり、製品の生産・消費において環境負荷を軽減し、資源の有効活用の促進が目的です。ファッション業界の問題としては、大量生産・大量消費のために資源の消費が激しく、環境への負荷が大きいことが挙げられます。大量生産の結果、売れ残った在庫の多くが処分され、廃棄物の増加も問題視されています。ファッション業界が「つくる責任 つかう責任」を果たすためには、持続可能な生産・消費の実現が必要です。具体的には、環境に配慮した「サステナブル素材」の開発・利用が挙げられます。化学薬品や過剰なエネルギーを使用しないオーガニックコットンなどの素材をつかうことで、廃棄物や二酸化炭素の排出量を少なくできるのです。目標13: 気候変動に具体的な対策をSDGsの目標13は、温暖化や自然災害などの気候変動に関して、具体的な対策を講じることを目的としています。これまでの製造プロセスでは、繊維の生産から製品の配送・販売まで、多くの段階で温室効果ガスを排出しています。国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、ファッション業界が排出する二酸化炭素の排出量は国際航空業界と海運業界を足したものよりも多いのです。ファッション業界が気候変動対策に貢献するためには、まず企業が自らの環境負荷を把握することが必要です。そうすることで、温室効果ガスの排出削減や再生可能エネルギーの導入など具体的な目標を設定できるようになります。目標14: 海の豊かさを守ろうSDGsの目標14は、海洋における生物多様性や生態系の保全活動・復元活動の促進を目的としています。ファッション業界が海洋に与える影響は、主に生産工場からのマイクロプラスチックの排出や、海洋汚染物質を含む廃水の排出が挙げられます。これらの影響は、海洋環境に深刻な影響を与え、特に水産業や沿岸地域の生活に直接的な被害をもたらすことがあります。ファッション業界が海洋環境の保護に貢献するためには、まず各社が排出するプラスチックや廃水の量を減らすことが必要です。具体的には、製造プロセスを見直し、天然素材の使用促進が有効です。目標16: 平和と公正をすべての人にSDGsの目標16は法の支配・治安維持・司法制度の強化などを推進し、平和で公正な社会の実現を目指しています。アパレルブランドが安価な製造コストを求めて発展途上国に進出すると、現地では有名ブランドの服が安く手に入ることになります。ですがその一方で、現地のアパレルメーカーが価格競争力を失ってしまうことがあります。ファッション業界がこれらの問題を解決するためには、ブランドが率先して発展途上国の生産者に対する寄付や支援を行う必要があります。具体的には、発展途上国の生産者に対してフェアトレードを実施することが挙げられます。フェアトレードとは、発展途上国の労働者が適正な賃金や労働条件で製品を生産し、それを取引・貿易することで、彼らの経済的地位を向上させることを目的とした取り組みです。サステナブルファッションとは?ファッション業界はSDGsの目標ごとに解決しなければならない問題を多く抱えていることがわかりましたね。このような課題からファッション業界では「サステナブルファッション」が注目されるようになりました。サステナブルファッションとは、環境・社会・経済の問題を考慮しながら、ファッション業界の持続可能性を追求する取り組みのことです。サステナブルファッションのメリットサステナブルファッションを推進することで、実際にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。温室効果ガスを削減できるサステナブルファッションでは、持続可能な素材の使用やエネルギー効率の向上などにより、温室効果ガスの排出削減を目指しています。これにより、気候変動への貢献が期待できます。またサステナブルファッションでは染色方法を変えたり、製造プロセスの改善が行われたりします。こうすることで、水やエネルギーを節約することができます。労働者の待遇を改善できるサステナブルファッションでは、ファッション業界における労働者の権利を尊重し、安全で公正な労働条件の提示を目指しています。重視されるのは、適切な賃金・適切な労働時間・児童労働や強制労働の排除などです。これらを実現するためには、原材料の調達・製造・輸送・販売までのサプライチェーン全体で、倫理的な原則や価値観を設定する必要があります。具体的には、倫理基準を満たすサプライヤーとのみ取引を行うなど、透明性と責任のある取引が重視されています。経済的なメリットサステナブルファッションは、持続可能性に関連する新たな技術や素材の開発・効率的な生産プロセスの導入などを促進します。これにより、企業のイノベーション力、つまり技術開発力が高まり、競争力が向上するのです。また、消費者の間でサステナブルファッションが注目されるようになると、ブランドの価値にプラスの影響を与えることもあります。サステナブルな取り組みを行うことで、消費者からの支持を受け、ブランドの信頼性や魅力を高めることができるのです。サステナブルファッションは、ファッション業界におけるSDGsの取り組みを促進するために不可欠です。SDGsを推進するために、企業がどのように取り組んでいるのか見ていきましょう。SDGsに取り組むアパレルブランド10選SDGsに取り組むアパレルブランドは日々増えています。ここでは、SDGsに取り組むアパレルブランドの中から、注目すべき10ブランドをご紹介します。ぜひ環境や社会に配慮したアパレルブランドを選ぶときの参考にしてください。労働環境の改善に取り組むアパレルブランドここではSDGs目標8「働きがいも経済成長も」に取り組むアパレルブランド2社をご紹介します。H&M(エイチアンドエム)(画像:Let's be fair | 安全、シンプル、平等なファッション)H&Mは、サプライチェーンにおける労働環境の改善に力を入れています。2017年には主要なサプライヤー工場の従業員に対して、労働環境改善を促進する委員会や適正な賃金基準の導入を進めると発表しました。2018年にはサプライヤー工場の労働環境の調査を実施しています。また強制労働や児童労働を防止するため、厳格な方針を設けて全ての工場に適用し、2020年に児童労働を確認したケースは0件でした。アダストリア(画像:働く環境・福利厚生 | 株式会社アダストリア 新卒中途採用サイト)グローバルワーク・ニコアンド・ローリーズファームなどのブランドを展開するアダストリアは、女性の活躍に対する支援や、福利厚生の充実化を推進しています。そのために、独自の制度を導入して従業員の働き方改善に努めているのです。例えば、妊娠中の従業員が体調不良になった場合でも、産前特別休暇を利用できる制度があります。また、子供を持つ従業員が個々の子育て状況や家庭環境に合わせて働き方を選択できる制度も含まれています。アダストリアは、従業員が自身の生活の変化に適応しながら長く活躍できる環境を提供しています。サステナブルな素材を使用するアパレルブランドここではSDGs目標12「つくる責任 つかう責任」に取り組むアパレルブランド2社をご紹介します。Patagonia(パタゴニア)(画像:リジェネラティブ・オーガニック認証プログラム)パタゴニアはサステナブル素材を使用することで知られています。サステナブル素材とは、有機農法で栽培されたオーガニックコットンやリサイクルされたプラスチックなど、再生可能な資源から作られる素材のことです。サステナブル素材を使用して廃棄物の生成を減らし、環境への悪影響を軽減することで、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」に貢献できるのです。パタゴニアは1993年からペットボトルをリサイクルし、ポリエステルに転換する製造を進めており、アパレル企業として初めてゴミをフリースに変身させました。このポリエステルは速乾性のある軽量な素材で、ランニング用のトップスやヨガのタイツなど様々な用途で使用されています。OUTERKNOWN(アウターノウン)(画像:徹底的にサステイナブル。OUTERKNOWN for RHCによる心おどる5色のプルオーバー&スウェット)アウターノウンはロサンゼルス発のブランドで、“真のサステナビリティとスタイルを結びつける”をブランドコンセプトに掲げています。その取り組みの一つがサステナブル素材の使用です。2022年時点で、全商品の素材の90%が、農薬を使わず育てられたオーガニックか、廃棄物をリサイクル処理した再生素材です。さらに、全ての水着とトランクスにリサイクル可能な繊維が使用されています。地球温暖化対策に取り組むアパレルブランドここではSDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」に取り組むアパレルブランド2社をご紹介します。The North Face(ノースフェイス)(画像:ザ・ノース・フェイスのここがすごい!環境への問題意識が革新的な商品を生む)ノースフェイスは、地球温暖化対策に積極的に取り組んでいるブランドの1つです。ダウンウェアのリサイクルの実施、古着から回収された化学繊維を原料とする素材の開発など、環境に配慮した取り組みが進められています。さらに、南極の海氷減少などの環境問題を伝えるプロジェクト「THINK SOUTH FOR THE NEXT」に参加し、環境に配慮した特別モデルのウェアを発売しました。「THINK SOUTH FOR THE NEXT」の元になった1989年南極大陸横断国際隊をモチーフにデザインすることで、このプロジェクトのアピールに努めています。UNIQLO(ユニクロ)(画像:環境負荷低減への取り組み | 服のチカラを)ユニクロは2020年度、店舗のLED導入率93.8%を達成し、温室効果ガス排出量を2013年度比で38.7%の削減に成功しました。LEDは従来の白熱電球や蛍光灯に比べて、同じ明るさを出すための消費電力が少なく、寿命が長いという特徴があります。そのため、LEDに置き換えることで消費電力を減らすことができ、発電に必要な石炭や石油など化石燃料の使用量を削減できるのです。さらに、台湾にあるユニクロ3店舗に太陽光パネルの設置を完了し、今後も積極的な導入を進めています。海洋汚染対策に取り組むアパレルブランドここではSDGs目標14「 海の豊かさを守ろう」に取り組むアパレルブランド2社をご紹介します。Adidas(アディダス)(画像:創造力 VS プラスチック|サステナビリティ)アディダスは海洋汚染対策に取り組むブランドとして注目を集めています。2012年には、水を使わない染色方法「ドライダイ」の採用により汚水の減量に成功しました。従来の染色方法では、大量の水が必要になり、化学物質も排出されてしまうため、環境に悪影響を与えます。しかしドライダイは、水を一滴も使わず、化学物質も排出せずに繊維に染められます。また、アディダスは環境保護団体のParley for the Oceansと協力し、海洋破壊の原因となるプラスチック廃棄物に対処するため、新しいプロジェクトを進めています。海洋に流れるプラスチック廃棄物や、不法に放置された深海漁網を回収し、再利用可能な糸や繊維にリサイクルする革新的な取り組みです。TOM FORD(トム・フォード)(画像:大量生産可能な生分解性の代替薄膜プラスチックの開発を呼びかける──トム フォード・プラスチック・イノベーション・プライズの応募受付がスタート!)トム・フォードは2021年、環境保護団体ロンリー ホエール(LONELY WHALE)と協力し、「プラスチック・イノベーション賞」と呼ばれるコンペを開催しました。このコンペの目的は、大量生産可能な水に溶けるプラスチック(生分解性の代替薄膜プラスチック)の開発を促進することです。海洋汚染の原因となる薄膜プラスチックを削減するために、環境に優しい代替薄膜プラスチックの開発を呼びかけています。公正な社会の実現に取り組むアパレルブランドここではSDGs目標16「平和と公正をすべての人に」に取り組むアパレルブランド2社をご紹介します。Bombas(ボンバス)(画像:Sustainability)ソックスメーカーのボンバスは商品が一つ購入されるたびに、路上生活者の支援施設に靴下を1足寄付しています。これまでに寄付された靴下の数は2000万足以上に達していて、個人が簡単に参加できるプログラムとして注目を集めています。ボンバスはこの取り組みを拡大するため、2019年にはアメリカのデルタ航空との協力を発表しました。デルタ航空は、乗客が機内でボンバス製のソックスが入ったアメニティキットを受け取るごとに、別のソックスが支援施設に寄付されるという試みを進めています。People Tree(ピープルツリー)(画像:活動の歩み | オーガニックコットン、フェアトレード・エシカル ...)ピープルツリーは、フェアトレード・ファッションの世界的パイオニアとして知られています。既に説明しましたが、フェアトレードとは、発展途上国の労働者が適正な賃金や労働条件で働けるように支援し、彼らの経済的地位を向上させるための取り組みです。ピープルツリーは、現在16カ国・110団体と取引を行っています。直営工場を持たず、現地の工場を支援することによって、現場の意欲と自主性を最大限に活かすことができるのです。ピープルツリーはWFTO(世界フェアトレード連盟)に加盟し、フェアトレード団体として認証を受けています。そして、WFTOの指針でもある「生産者のキャパシティ・ビルディング(組織的な能力の向上・構築)の支援」に積極的に取り組んでいます。ファッションでSDGs!個人で取り組めること6選ここまでは、ファッション業界が抱える問題に対して、10社の独自の取り組みをご紹介してきました。ここからは、私たち個人でも出来ることを見ていきましょう。環境に配慮しているアパレルブランドで購入する環境に配慮した経営がファッション業界にも求められており、サステナブルな商品を提供するブランドも増えていますこうした商品がたくさん購入されれば、アパレルブランドも環境に配慮した商品をたくさん作れるようになります。個人で環境に配慮した商品を選んで購入することで、ファッション業界のSDGsに大きく貢献できるのです。素材やアパレルブランドの背景を調べる衣服に使われている素材はどこの国のものなのか、どのように調達されたのか、考えてみることも大切です。またそのブランドの製造過程において、労働環境は適切だったのかもよく考える必要があります。持続可能なビジネスには、持続可能な素材と適切な労働環境が必要不可欠です。今後はそうしたポイントについても注目してみましょう。買う前に本当に必要か考える流行の移り変わりが早いファッション業界では、似たような色やデザインでも細かな違いが施されており、その点が購買意欲を刺激します。ですが購入する前に、その商品がはたして本当に必要なのかを考えるようにしましょう。すでに持っている服で事足りるのではないか?など、その服を買う必要性についてチェックすることが大切です。洗濯方法を見直す服と切っても切り離せないのが洗濯です。洗濯方法ひとつとっても、環境負荷に違いが出るのをご存知でしょうか?洗濯する回数そのものを減らすだけでも節水効果があります。また1kgのTシャツを洗濯すると、約300mgものマイクロプラスチックファイバーが排出されるというデータもあり、こまめな洗濯はそれだけで悪影響を及ぼしかねません。植物由来の洗剤を選ぶなど、洗剤や柔軟剤のチョイスも慎重に行いましょう。3Rを意識する3Rとは以下の3つの単語の頭文字をとったものです。・Reduce(減らす)・Reuse(再使用)・Recycle(再生利用)衣服を購入してから廃棄するまでに、その衣服がリユースできないか、リサイクルできないかなど、3Rの観点から一度考えてみることがSDGs達成への取り組みにつながります。使わない服はリサイクルや寄付に出す使わない服はリサイクルに出しましょう。リサイクル製品を原材料に、新たな製品を生みだしているメーカーに寄付するのも手です。自分には不要な服でも、必要としている人がいるかもしれません。そのため、いらない服は捨てるのではなく、新たな使い手を探してみると良いでしょう。最近ではスマホアプリなどを通じて簡単に寄付を行うこともできます。まとめファッション業界はSDGsに関連する問題をたくさん抱えていることがわかりましたね。この記事でご紹介した10のアパレルブランドは、労働環境の改善や環境問題への対策など様々な形でSDGsの実現に取り組んでいます。私たち個人にもできる行動はたくさんあるので、彼らの取り組みも参考に、意識的な消費を心がけましょう。

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SDGsとプラスチックごみ問題の関係を徹底解説|深刻な現状と取り組みも

この記事では、SDGsとプラスチックごみ問題の関係についてご紹介します。生産されたプラスチックは、年間800万トンがゴミとして海に流出しているとされ、プラスチックごみ問題は大きな問題です。実は、このプラスチックごみ問題はSDGsとも関連があります。深刻な問題となっているプラスチックごみ問題とSDGs目標の関連について、ぜひこの記事を読んで理解を深めてください!この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。SDGsとプラスチック問題の関係まずは、SDGsについておさらいをしておきましょう。SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略称で、2015年に、持続可能でより良い社会を目指すための目標として国連サミットで定められました。17のゴールと169のターゲットで構成されており、全ての国が取り組むべきものとされています。このSDGs目標の中で、プラスチックごみ問題は、人の健康を守ること・責任を持ってゴミを処理すること・海の豊かさを守ることのトピックと関係しています。以下で詳しく見てみましょう。SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」目標3では、「すべての人に健康と福祉を」を掲げ、すべての人の健康的な生活を守り、福祉を促進することが目指されています。海に流出したプラスチックを誤って魚が食べ、その魚を人間が食べることで、人体への影響があるといわれています。例えば、がん・免疫力の低下など健康への影響が指摘されています。すべての人の健康を促進するために、プラスチックごみ問題への対処が必要不可欠です。SDGs目標12「つくる責任つかう責任」目標12では、「つくる責任つかう責任」を掲げ、限られた資源を有効活用し、持続可能な生産・消費をすることが目標とされています。プラスチックは地球の限られた資源で生産されています。持続可能な社会のためには、限られた資源を、リサイクルやリユースなどをして有効に活用する必要があるのです。SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」目標14では「海の豊かさを守ろう」を掲げ、海の生き物と環境を守ることを目的としています。先述の通り、年間800万トンのプラスチックが海に流出しているといわれています。プラスチックは海の生物に悪影響を及ぼしています。例えば、海の生物に絡みつき、身動きが取れなくなったり、魚などが食べ物と誤って飲み込んだりしてしまうのです。このようにプラスチックごみは海洋にも悪影響があります。プラスチックごみを正しく処理することは、海の生物や環境を守ることに繋がるでしょう。プラスチックごみ問題はSDGs目標とも関連があることが分かりましたが、現状はどうなっているのでしょうか?以下では、プラスチック問題の現状についてご説明します。プラスチック問題の現状プラスチックの生産量は増加しており、世界全体の生産量は年間3.8億トン(2020年現在)です。日本は、一人当たりのプラスチックごみの排出量がアメリカに次いで世界で2番目に多い国となっています。プラスチックは、ペットボトル・レジ袋・食品トレーなど使い捨て用品に使われることが多く、廃棄量が増加しているのです。実際、プラスチックゴミの内訳を見ると、パッケージングが全体の約半数を占めています。以上に加えて、プラスチックごみを処理する際にも問題が発生します。プラスチックごみ処理の問題ここでは、プラスチックごみ処理の問題点についてご紹介します。二酸化炭素の発生プラスチックは石油から作られているため、ごみとして燃やして処理する際、二酸化炭素が発生します。二酸化炭素は地球温暖化の原因となるため、排出量を抑える必要があります。他国を汚染するプラスチックごみは、リサイクルを目的に途上国に輸出されることが多いです。その中には、リサイクルできない有害物質を含むものもあり、放棄され、その国での環境汚染や健康被害につながります。特に日本は、世界有数のプラスチックごみ輸出国です。海洋汚染につながる生産されたプラスチックのうち、多くが海洋に流出しています。「SDGs目標14」の項目でも述べたとおり、海に流出したプラスチックは海洋環境の悪化に繋がります。海洋汚染については、以下で詳しく見てみましょう。海洋プラスチックごみ問題ここからは、プラスチックごみ処理問題の中で特に深刻な海洋プラスチックごみ問題について詳しく説明します。海に流出したプラスチックは波に打たれたり、紫外線に晒されることで小さな破片となります。そうして5mm以下の小さな破片になったものがマイクロプラスチックです。マイクロプラスチックは非常に小さいため、海の生物が餌と間違えて食べてしまいます。さらにマイクロプラスチックを食べ、体に有害物質を蓄積した魚を人間が食べることによって、人間も悪影響を受けるのです。つまり、プラスチックは海洋の環境を汚染するだけではなく、人間にも悪影響があるのです。ここまで、プラスチック問題について、SDGs目標との関連と現状をご紹介してきました。以下では、SDGs目標達成のための取り組みを見ていきます。SDGs目標達成に向けたプラスチック問題の取り組みSDGs目標達成のために各国でさまざまな取り組みが行われています。ここからは、アメリカ・EU諸国・ドイツ・イギリスでの取り組み事例をご紹介します。アメリカで行われている州・自治体ごとの規制初めにアメリカで州・自治体ごとに行われている規制をご紹介します。カリフォルニア州2019年からは顧客に要求されない限り、プラスチックストローの提供が禁じられています。また、2024年以降、宿泊施設において、プラスチック製のアメニティボトルの使用も禁止されます。サンフランシスコ市カリフォルニア州のサンフランシスコ市では、2007年に全米で最初にプラスチック製のレジ袋を禁止しました。また、飲食店でのプラスチックストローの使用の禁止や、サンフランシスコ国際空港内でのペットボトルの販売禁止など、プラスチック問題への取り組みを積極的に展開しています。ハワイ州ハワイ州ではより厳格な規制が行われています。飲食産業に対して、使い捨てのプラスチック製品や発泡スチロール製の容器やカトラリーの購入・配布・販売・使用が禁止されているのです。2025年以降は、対象が全ての産業・個人に拡大されます。これに先駆けてホノルル市では、2022年よりカトラリーやカップなどのプラスチック容器を禁止する条例が可決しました。EUの欧州プラスチック戦略EUでは、欧州プラスチック戦略を掲げ、EU全体でプラスチック問題に取り組んでいます。欧州プラスチック戦略では、2030年までに、EU域内で使用されるプラスチック製品をリサイクルまたはリユース可能なものにし、使い捨てのプラスチック製品を削減することを目標としています。これを実現するために、EUでは以下の5つの目標を掲げています。企業にとってプラスチックのリサイクルが利益となるようにする。プラスチックの廃棄を抑制する。プラスチックごみの海洋投棄を阻止する。問題解決に向けた投資とイノベーションを促進する。世界各地で同様の変革を促す。この5つの目標に基づき、EU諸国ではプラスチック問題に対処するための政策が行われているのです。次に、実際にヨーロッパの国々で行われている方策を、ドイツ・イギリス2カ国の事例から見ていきましょう。ドイツの使い捨てプラスチック禁止ドイツでは、2021年から、使い捨てのプラスチック製品の使用を全面的に禁止しています。対象は、カトラリー、皿、飲料用カップや食品容器などです。原料に石油などの化石燃料を使用しているもののみならず、植物由来のものや生分解性のものも対象となっています。イギリスのプラスチックフリーへの取り組みイギリスのスーパーマーケットでは、プラスチックパッケージを取り除いた、プラスチックフリーの製品のみを販売するエリアを設置しています。野菜・パン・穀物類などの食品や、洗剤・石鹸などの生活用品からプラスチックが除かれました。また、プラスチックフリーやゴミを出さないことを目標とした、ゼロウェイストの店が近年増加しています。日本におけるプラスチック問題の取り組みそれでは、日本ではどのように対策が行われているのでしょうか。以下では、3つの事例をご紹介します。レジ袋の有料化ご存知の通り、2020年よりプラスチック製のレジ袋を有料にすることが義務付けられました。これにより、消費者の意識が変化したと言われています。環境省が行った意識調査によると、93%の人がマイバッグを持ち歩くようになったと回答しています。(参考:環境省「令和2年レジ袋使用状況に関するweb調査」)循環型社会形成推進基本戦略環境省により、2000年に「循環型社会形成推進基本戦略」が公布されました。これは、循環型の社会を形成するために、国民・事業者・市町村・政府の役割が明確化された法律です。これに基づき、再生可能な資源を使用し、再利用を推進することが掲げられています。海洋プラスチックごみ対策アクションプラン環境省は、2019年に「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」を策定しました。ここでは、プラスチックごみの回収や適切な処理を行い、海洋を汚染しないための対策が定められています。また、海洋に流出したとしても、汚染しないよう、素材を転換することも盛り込まれています。まとめこれまでご紹介してきたように、プラスチック問題の現状は非常に深刻で、各国が協力して取り組むべき喫緊の課題です。この記事では、プラスチック問題とSDGs 目標との関連をご紹介しました。目標12の「つくる責任、つかう責任」では、有限な資源を再利用することが目指されています。また、日本をはじめ、各国で行われているさまざまな対策を見てきました。私たち一人一人が生活の中で、プラスチック削減のために小さなことから行動することが大切です。

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SDGsとゴミ問題は関係している?関連するSDGs目標やプラスチックゴミの削減方法

SDGsとゴミ問題にはどんな関係があるのか地球では今、ゴミ問題が深刻です。世界中で大量生産と大量消費が繰り返されており、地球が1つでは足りなくなってしまうと言われています。そこで、地球を守るためにSDGsの17個の目標が策定されました。ゴミの処分の仕方はもちろん、ゴミを発生させないために私たちができることについても一緒に考えていきましょう!この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。SDGsとはSDGsはSustainable Development Goalsの略で、2015年の国連サミットで採択されました。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すために、17個のゴールと169個のターゲットから構成されています。誰一人取り残さずに、私たちの暮らす地球を守ることがSDGsが目指す未来です。ゴミ問題とは大量生産・大量消費によって社会は成長し、便利な生活ができるようになりました。しかし人口の増加と急速な経済成長の代償に、大量のゴミが発生しているのが現状です。昨今、ゴミ処理場の不足・石油資源の枯渇・海洋汚染など、多くの問題を抱えています。このままゴミ問題を放置してしまうと、地球温暖化や環境汚染の加速で地球にさらなるダメージを与えてしまうでしょう。プラスチックゴミ問題ゴミ問題の中でも、プラスチックゴミ問題は特に地球への悪影響が懸念されています。石油から作られているプラスチックは、他の素材と比べても軽い・丈夫・加工しやすいことから、私たちの身の回りにある使い捨ての商品に多く使用されてきました。しかしその反面、プラスチックは人間の手で焼却処分を行わない限り、自然界に残り続けてしまうのです。また、焼却処分を行うときには温室効果ガスである二酸化炭素を発生させてしまうため、地球温暖化までもが進行します。ゴミ処理の問題ゴミ処理の段階でもたくさんの問題を抱えています。1つは、ゴミ処理場・埋立地の不足です。2022年に環境省が発表した情報の一般廃棄物の排出及び処理状況(令和2年度)では、ゴミを埋め立てる最終処分場の残余容量は9.984万㎡とされています。これは、あと22. 4年でゴミの埋立地がなくなってしまうことを示しているのです。現在は、焼却処分したゴミは埋立地に最終処分されていますが、もし埋立地がなくなってしまうとゴミの処分ができなくなってしまいます。もう1つは、ゴミの焼却時に発生する二酸化炭素の問題です。二酸化炭素は地球温暖化に最も大きな影響を与える温室効果ガスであることをご存知でしょうか。(気象庁:展示室1 温室効果ガスに関する基礎知識 より)この二酸化炭素を大量に排出してしまうゴミの処理は、地球温暖化をさらに加速させていることになります。ゴミ問題と関連性の高いSDGsの目標3つ深刻なゴミ問題を解決するために、SDGsの具体的な指標があります。ここでは、ゴミ問題と関連性の高いSDGsの目標を確認してみましょう!目標11「住み続けられるまちづくりを」(画像:SDGs 17の目標)目標11では、「住み続けられるまちづくりを」というゴールを目指しています。ゴミ問題によって深刻化している地球温暖化と環境汚染について考え、私たちにできることを考えましょう。そのなかで、「2030年までに大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。」と示されており、一人ひとりの意識が問われています。地球温暖化の進行は、ゴミを焼却する際に発生する二酸化炭素も原因の一つなのです。そして、多くのポイ捨てや不法投棄によって、山や海の環境が破壊されています。安全でキレイな住み続けられる地球を守るために、ゴミの処理方法について考えてみましょう。目標12「つくる責任つかう責任」(画像:SDGs 17の目標)目標12では、大量生産・大量消費の今の社会で、ゴミを減らすためにできることを考えるために、11個のターゲットが設定されています。ターゲットの一つに「2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。」と示されており、ゴミを増やさない仕組みに注目してみましょう。3Rの「Reduce(リデュース)・Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル)」を意識したり、エコバックやマイボトルを使用したりすることで、ゴミの削減に直接貢献することができるのです。「ゴミの原因になるものをそもそも作らない・買わない」という意識に変えていくことが必要とされています。目標14「海の豊かさを守ろう」(画像:SDGs 17の目標)目標14では、海洋汚染を進行させないことなどを目指しており、「2025年までに、海岸堆積物や富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。」と示されています。環境省の発表したデータによると、海洋プラスチックゴミの発生量ランキングでは、人口密度・経済状態などを国別に推計した結果、1〜4位は東・東南アジアの国でした。また、近い将来には海にいる魚の量よりも、海中のゴミの量のほうが多くなるといった発表もされています。プラスチックは自然に分解されることはなく、半永久的に残り続けてしまうため海中のゴミ問題は深刻です。なかでも、微細なプラスチックごみはマイクロプラスチックと呼ばれており、下水処理場のろ過装置で拾うことができず回収が難しいと言われています。人間が排出するゴミによる海洋汚染を防ぐために、私たちができることを考えましょう。世界や日本が実践しているゴミ問題への対策ゴミ問題は、世界中の国が直面し対策を迫られています。特定の国だけではなく、世界が一丸とならなければゴミ問題は解決することはできません。ここでは、世界でどのような対策が行われているのか確認してみましょう!世界の対策世界では年間2億7200万トンのプラスチックゴミが排出されていますが、このうち700万トン強のゴミが海に流れ出ているとされています。(アメリカ大使館公式マガジン:プラスチック汚染削減に取り組むアメリカ より)この状況を改善するために行われている、各国の対策を確認してみましょう。【アメリカ】アメリカでは、プラスチック汚染の削減に取り組んでいます。2021年までに、問題のある包装や不必要な包装をリスト化し2025年までにそれらを除外することが目標の一つです。さらには、2025年までにプラスチック包装の再利用率を25%以上にすることも目指しています。【中国】中国では、使い捨てプラスチックを全国規模で削減する計画が行われています。具体的には、非分解性の袋の使用を2020年末までに主要都市で禁止、2022年までにすべての都市で禁止にしました。さらに、外食産業の使い捨てストローの使用も2020年末までに禁止しています。【イギリス】イギリスでは、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにすることを法制化しました。また、レジ袋の有料化やマイクロビーズ使用の禁止、使い捨て飲料容器のデポジット返金制度の導入を行っています。さらには、リサイクル率30%の最低基準を満たしていないプラスチック包装には新たな税が加わるようになりました。日本の対策日本の1人あたりのプラスチック容器包装の廃棄量は、主要な地域・国の中で2番目に多いと言われています。また、大阪湾に沈むレジ袋の量は300万枚とも推計されていて、プラスチックの使用量を削減する必要がありました。そこで、日本では2020年7月1日にレジ袋の有料化を開始しました。有料化になったことで、コンビニでのレジ袋の辞退率は有料化前に比べ3倍以上に増えたというデータも見られます。(参照:レジ袋の有料化 効果あった?)さらに、2022年4月1日から「プラスチック資源循環促進法」が施行されました。この法律の施行によって目指す社会は、「環境・経済・社会の三方よし」です。プラスチック資源循環促進法は、3R+Renewableを基本原則とし、プラスチックのライフサイクル全体を通じて資源循環を促進していきます。そして、事業者・消費者・国・地方公共団体などのすべての関係する主体が一丸となって環境整備を進めていくことが重要です。(参照:プラスチック資源循環)私たちができるゴミの削減方法大がかりな方法でなくても、私たちの日常生活のなかでゴミの削減に貢献できることはあります。ここでは、5つのゴミの削減方法をご紹介します!この5つの方法が頭の片隅にあれば、自然と私生活の過ごし方や考え方が変わってくるかもしれません。3Rを意識する環境保護の取り組みの1つの3Rは、「Reduce(リデュース)=ゴミの発生を減らすこと」「Reuse(リユース)=くり返し使うこと」「Recycle(リサイクル)=資源として再生利用すること」の3つの「R」を略したものです。例えば、詰め替え商品を選んで容器のゴミを出さないようにしたり、リサイクルショップやフリーマーケットを活用して物を大切に使ったり、ゴミは正しく分別して廃棄することが、3つのRを意識する取り組みとして挙げられます。3Rは日常のちょっとした心がけで実践できる内容ばかりです。小さなことを積み重ねて、大きな成果を発揮しましょう。エコバッグやマイボトルを持参するプラスチックゴミ削減のために、エコバッグやマイボトルの使用が推奨されています。レジ袋の有料化に伴いエコバッグを使用する機会は、有料化前と比べ非常に増えました。また、ペットボトル商品を購入せずにマイボトルを使用する人も増えており、最近では企業や自治体が設置する「給水スポット」が多く見られます。マイボトルを持参することで、無料で給水を行うことができるため注目されているのです。必要なものだけを買う買ったはいいものの、実際はほとんど使っていない洋服や物で収納が溢れていませんか?一度購入する前に、「本当に必要なものなのか」「すでに似たようなものを持っていないか」考えてみましょう。最近では、気軽にネットショッピングで購入することができますが、その分「限定」や「安い」という言葉につられてしまう機会も増えています。購入を即決せずに一度立ち止まって考えることで、ゴミを減らすことにもつながる上に、節約にもつながるでしょう。食品ロスを減らす食品には賞味期限や消費期限があるため、買いすぎて消費しきれなかったら、すべてゴミとなってしまいます。そこで、買い物に行く前には冷蔵庫の中を確認して本当に必要なものをメモしたり、カゴの中に入れる前に本当に消費しきれるかを一度考えてみましょう。また、すぐに食べる商品は、陳列棚の奥から賞味期限や消費期限の長い商品を取り出すのではなく、陳列順に手前から購入することが食品ロスを減らすポイントです。清掃ボランティアに参加する自分の住む街が、きれいで住みやすい街であり続けられるように、まずは地域の清掃ボランティアに参加してみるのはいかがでしょうか?ポイ捨てされたゴミを拾うことで、自分の中の環境への意識も変わるかもしれません。また、地域の人との新しいコミュニケーションのきっかけとなるかもしれませんね。SDGsを詳しく学べる「Socialgoo」がおすすめSDGsに関する活動をもっと知りたいという方におすすめな「Socialgoo(ソシャグ)」。ソーシャルグッド(社会にとって良いサービスや活動)に特化したメディアであり、プロボノやSDGsへの取り組み事例など様々な情報を掲載中です。ぜひ会員登録をして他の記事もチェックしてみてください!まとめこの記事では、ゴミ問題とその対策についてご紹介しました。ゴミ処理方法やプラスチックゴミの問題についても理解が深まったかと思います。SDGsの目標にも、ゴミを増やさないための目標や、海の環境を守るための目標が含まれています。地球を、これからもずっと安全に住み続けられる状態で未来に残せるように、私たちの日常生活での環境に対する意識はとても重要です。できることから、少しずつでも環境のために行動してみましょう!

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ホテルのSDGs取り組み事例をご紹介!今すぐ始めるべきサステナブルなホテル経営とは?

ホテル業界にとって、SDGs(持続可能な開発目標)に取り組むことはとても大切です。SDGsは2030年までに国連が掲げた17の目標で、環境や社会の課題を解決するために世界中で協力して行動することを目指しています。近年では地域文化や環境に配慮した観光である「サステナブル・ツーリズム」への期待や需要が高まっており、それにともなってSDGsが注目されています。本記事では、ホテルがSDGsに取り組む意義や方法、日本のホテルで行われている取り組み事例をご紹介します。ささいなことや身近なことから取り組めるので、ぜひ参考にしてみてください!この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。SDGsは今のホテル業界に必要不可欠!ホテルがSDGsに取り組むことは、ホテル業界にとって今や必要不可欠なことです。ホテル業界は水・食品・アメニティなどを多く使うため、多くの資源を消費し、環境に対する負荷が大きい業界と言えます。そしてホテルは多くの人々が訪れる場所であり、地域社会や観光業とも密接に関わっています。そのため、ホテルがSDGsに取り組むことで、地球環境の保護・地域の活性化・人々の幸せに貢献できます。さらに、サステナブルなホテルを目指すことで、お客様・従業員・地域社会・行政などのステークホルダー(利害関係者)からの信頼や評価を高められます。つまり、サステナブルなホテル経営は経済的・社会的・環境的な面でトリプルウィン(三方良し)の効果を生み出すことができるのです。また、環境や地域社会に配慮した取り組みを行う前に、SDGsに関連する政策や法律、認証を確認しておくこともホテル経営に必要となります。SDGsと関連する政策・法律・認証ホテルがSDGsに取り組むことは、政策や法律、認証などの観点からも必要です。ここでは、日本政府観光局の政策・プラスチック資源循環促進法・サクラクオリティの3つをご紹介します。日本政府観光局(JNTO)日本政府観光局(JNTO)はポストコロナの観光を見据え、2021年6月に「SDGsへの貢献と持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)の推進に係る取組方針」を策定しました。この方針に基づき、JNTOは以下のような取り組みを行っています。組織運営やプロモーション活動における環境保全への配慮持続可能性を体現する観光コンテンツの海外向け情報発信先進事例の国内向け情報提供責任ある観光(レスポンシブル・トラベル)の奨励ユニバーサル・ツーリズムに関する情報発信JNTOはサステナブル・ツーリズムを推進することで、日本と世界の持続可能な発展に貢献しています。プラスチック資源循環促進法プラスチック資源循環促進法とは、2022年4月に施行された法律で、プラスチック製品の節約や有効利用を促進し、ごみの削減を目指すものです。とくにホテル業界では、歯ブラシ・くし・カミソリなどが当てはまり、そうしたプラスチック製品の再利用・削減・代替素材への転換に取り組むべきでしょう。サクラクオリティ出典:サクラクオリティサクラクオリティとは、ホテルや旅館などの宿泊施設の品質認証制度で、申請のあった宿泊施設が「安心・安全・誠実」であるか第三者が評価し、品質の高さを認証する仕組みです。また「サクラクオリティグリーン(Sakura Quality An ESG Practice)」という認証制度もあり、これはSDGsやESGに関する取り組みを評価するものです。ESGとは企業が持続可能な社会づくりに貢献するために重視すべき3つの要素であり、以下のような内容となっています。環境(Environment):温室効果ガスの排出削減や自然エネルギーの活用など社会(Social):人権や労働条件の改善や多様性の尊重などガバナンス(Governance):コンプライアンスやリスク管理や情報開示などサクラクオリティグリーンは、これらのESGに関する取り組みを評価する項目や基準を設けており、それらに適合した宿泊施設に対して認証を与えています。 これら2つの認証を得ることで、ホテルがSDGsや安全性に配慮していることを宿泊客に伝えられます。上記3つの政策・法律・認証は、SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」・目標13「気候変動に具体的な対策を」・目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」などに関係しています。ホテル業界がSDGsに取り組むことは、今後ますます重要性を増していくことでしょう。ホテルができるSDGsの取り組みホテルがSDGsに取り組むためには、環境に配慮した運営や食品を大切にする取り組み、地域社会との協力、そして多様性の尊重が必要不可欠です。ここでは、ホテルでできるSDGsの取り組みについて、具体的な事例を紹介します。環境に配慮した運営ホテルが環境に配慮した運営を行うことは、SDGsに取り組むうえで非常に大切なことです。具体的には、エネルギーや水の節約・環境に優しい設備や備品の導入・廃棄物の削減やリサイクルが挙げられます。これら3つの取り組みは、SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」・目標12「つくる責任、つかう責任」・目標13「気候変動に具体的な対策を」などに対応しています。エネルギー・水の節約ホテルでは、エネルギーや水の節約にも力を入れることが大切です。近年増えている取り組みは、連泊時の簡易清掃の呼びかけです。連泊するお客様に対して、タオル交換のみの簡単な清掃をお願いすることで、清掃時の電力や水の消費を減らせます。他にも節電や節水のために、外出時に部屋の電気やエアコンが自動で切れるセンサーを導入したり、シャワーヘッドを節水仕様のものにしたりするのも良いでしょう。環境に優しい設備・備品の導入ホテルで使用されるアメニティや設備も、環境に配慮したものにできます。例えば、ミニボトルを人数分用意するのをやめ、詰め替えポンプのシャンプーや石けんを置くことで、プラスチックの使用量を減らせます。廃棄物の削減とリサイクルペーパーレスのチェックインや、食事の残りを持ち帰り可能な容器に入れることで、廃棄物を削減することができます。また、リサイクルシステムを導入することで、廃棄物を再利用することもできます。食品を大切にする取り組みホテル業界において、食品を大切にする取り組みも増えています。具体的な取り組みとして、食品ロスの削減・ローカルフードの活用・オーガニックフードの提供が挙げられます。これら3つの取り組みは、SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」に当てはまります。食品ロスの削減ホテルのビュッフェスタイルの食事では、食品ロスが発生しやすいです。そこで、大皿からお客様によそってもらう形式をやめて、小皿料理に変更することで、食品ロスを削減することができます。これは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対策にもなるため、取り組んでいるホテルも多いようです。また、余った食材を寄付する取り組みも行われています。ローカルフードの活用ホテルは地域に根ざしており、地産地消を推進して地元の生産者を支援することで、地域経済に貢献できます。また、地元の特産品や新鮮な食材を生かしたメニューを売りにすることも可能です。さらに食材の輸送に伴う二酸化炭素の排出を減らせるため、環境面にも配慮できます。オーガニックフードの提供オーガニックフードは化学肥料や農薬を使わずに栽培された食品で、目標15「陸の豊かさも守ろう」などにも関係があります。近年、消費者の健康意識の高まりや環境問題への関心から、オーガニックフードの需要が増えています。ホテルがオーガニックフードを採用することで、消費者に健康的で安全な食品を提供でき、環境にも優しい取り組みとなります。地域社会への貢献ホテルが地域社会へ貢献する方法には、地元の文化や産業の紹介・ボランティアへの参加・エコツーリズムなどといった取り組みがあります。これらの取り組みはSDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」や目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」などに関係しています。地元の文化や産業の紹介ホテルで地元の文化や産業を紹介することで、地域社会に貢献できます。例えば、ホテル内に地元の特産品を販売するショップを設置したり、地元の料理を食事に取り入れたり、地元文化の体験プログラムを提供するなどの取り組みがあります。地元商品を多くの人に知ってもらえるため、生産者にとってもメリットがあるほか、その地域のブランド力も高められます。また、地元文化に触れられることで他のホテルとの差別化を図り、宿泊客の満足度やリピート率を向上できます。このように、ホテルが地域社会に根ざした取り組みを行うことで、地元の文化や産業の振興につながるとともに、ホテル自身のブランディングにもつながります。ボランティアへの参加ホテルがボランティアに積極的に参加するのも良いでしょう。ボランティアに参加することで、ホテルが地域社会の問題や課題に対して積極的に関わり、解決に向けて取り組む姿勢を見せられます。例えば、近くの観光地の清掃などのボランティア活動に参加することで、観光地の魅力アップにも繋がり、ホテルの利用者の増加も期待できます。また、災害や事故などが発生した際に防災備蓄や避難場所の提供をすることで、ホテルが被災者支援のための施設としての役割を果たしています。ホテルがボランティアへの参加を積極的に行うことで、地域社会との結びつきを強め、地域住民や観光客からの信頼・評価を高められます。また、社会的責任を果たすことで、企業としての信頼性やブランド価値も高まるでしょう。エコツーリズムエコツーリズムとは、自然保護や環境保全を目的とした観光のことで、SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」や目標15「陸の豊かさも守ろう」に当てはまります。具体的には、ホテルがエコツアーや野鳥観察ツアーなどの自然体験プログラムを企画したり、地元の自然や文化を感じられる場所を紹介しています。また、観光客に環境保全の重要性を伝えることや、地域のエコな取り組みに参加することもあります。これらの取り組みは、地域の自然や文化を守るだけでなく、観光客に貴重な体験や学びを提供できます。さらに、地域の経済にも良い影響を与え、持続可能な観光産業の発展につながります。多様性の尊重ホテルがSDGsに取り組む際に重要なのは、多様性の尊重です。ジェンダー平等・異文化理解・障がいを持つお客様への配慮など、誰もがホテルで快適に過ごせるような取り組みが必要となります。さらに「すべての人が楽しめるよう創られた旅行」を意味する「ユニバーサル・ツーリズム」の実現に向けて、どんな人でも利用しやすい環境づくりが求められています。例えば、お年寄りや身体が不自由なお客様でも利用しやすいような部屋を用意すること、フロントなどの共用部分の段差を減らすことなどです。多様性を尊重することは、SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」・目標10「人や国の不平等をなくそう」・目標11「住み続けられるまちづくりを」に対応しています。以上のように、環境に配慮した運営・食品を大切にする取り組み・地域社会への貢献・多様性の尊重の観点から、ホテルはSDGsに取り組めるでしょう。日本のホテルで行われている取り組み事例をご紹介!今までご紹介したSDGsの取り組みは、実際にはどのように取り組まれているのでしょうか。ここでは、日本でSDGsを推進するホテルの事例を2つ紹介します。コンフォートホテル四日市三重県四日市市にあるコンフォートホテル四日市では「Your Sustainable Journey-未来をつくるホテル-」をコンセプトに、SDGsに取り組んでいます。例えば地産地消にこだわった朝食メニューが提供されていたり、三重県産の間伐材でできた家具や、伝統工芸品のアート・食器が取り入れられたりしています。また使用している寝具は、使わなくなった羽毛製品を洗浄・精製加工し、 新しい羽毛製品として再生させる「Green Down Project」によってリサイクルされたものです。さらに館内はオール電化しているうえ、中部電力の水力発電を利用したCO2フリー電気「三重 美し国 Greenでんき」を導入しています。同じく「三重 美し国 Greenでんき」を導入しているグループホテルの「コンフォートホテル鈴鹿」と合わせて、年間約113トンものCO2排出量を削減しています。(出典:SDGsへの取り組み|コンフォートホテル四日市)帝国ホテル(東京・大阪・上高地)帝国ホテルは「ラグジュアリーとサステナビリティの両立」を掲げ、以下の施策を実施しています。脱炭素ロードマップの作成CO2排出量の削減や再生可能エネルギーの活用などにより、2050年までにネットゼロ(温室効果ガス排出量と吸収量が同じになること)を目指しています。脱プラスチック対策プラスチック廃棄物の削減・リサイクル・代替品導入に取り組んでいます。例えば、客室のアメニティやレストランのストローなどをプラスチック製から紙製や竹製などに変更したり、従業員食堂で使い捨て容器やカトラリーを廃止したりしています。食品廃棄物の削減や有効活用レストラン・宴会場で出る食品廃棄物を乾燥させて再資源化し、パートナー企業を通じて野菜栽培用の肥料にしています。その肥料を使って生産された野菜を「環境循環型野菜」としてレストランの一部メニューで使用しています。上高地帝国ホテルのサステナビリティ推進による環境保全や地域貢献「上高地を美しくする会」に参加し清掃活動などを定期的に行うことで、上高地の環境保護に協力しています。同ホテルは、これらの取り組みの成果が認められ、全国で初めて「サクラクオリティグリーン」という認証制度で最高評価を取得しました。(出典:帝国ホテルのサステナビリティ推進活動)SDGsに興味がある方は「Socialgoo」がおすすめここまでSDGsとホテルの関係や、ホテルで行われているSDGsの取り組み事例についてご紹介しました。この記事をきっかけに、SDGsについて興味を持たれた方には「Socialgoo」がおすすめです!ソーシャルグッド(社会にとって良いサービスや活動)に特化したメディアであり、企業の取り組み事例などSDGsにまつわる様々な情報を発信しています。ぜひ他の記事もチェックしてみてくださいね!まとめ今回は、ホテル業界がSDGsに配慮することの重要性と、実際にホテルができるSDGsへの取り組みについて解説しました。環境に配慮した運営・食品を大切にする取り組み・地域社会への貢献といったさまざまな取り組みがありますが、これらは全てSDGsにつながるものです。ホテルがSDGsに配慮することで、ホテルの利益につながるうえに、旅行者や地域社会にも良い影響があります。小さな工夫や取り組みでも環境や社会への貢献に繋がることを忘れずに、今後のホテル運営に取り入れていきましょう。

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LGBTはSDGsとどんな関係があるの?LGBTQの意味や日本が抱える課題を探る

この記事では、LGBTについて、定義やSDGs目標との関連性、日本の現状がどうなっているかについてご紹介します!近年、LGBTという言葉を耳にすることが多くなってきました。LGBTとSDGsには、深い関わりがあることをご存じですか?ぜひこの記事を読んで、LGBTとSDGsとの関連性についても理解を深めてください。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。LGBTとはまず初めに、LGBTという言葉が何を表すのか確認しておきましょう。LGBTとは、セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の総称であり、「Lesbian(レズビアン)」「Gay(ゲイ)」「Bisexual(バイセクシャル)」「Transgender(トランスジェンダー)」の4つの英単語の頭文字を合わせたものです。ここでは、それぞれの言葉の意味について詳しく見ていきます。Lesbian(レズビアン)自分で認識する性が女性であり、恋愛感情や性愛感情が女性に向く人を指します。(女性同性愛者)Gay(ゲイ)自分で認識する性が男性であり、恋愛感情や性愛感情が男性に向く人を指します。(男性同性愛者)Bisexual(バイセクシャル)自分で認識する性別にかかわらず、恋愛感情や性愛感情が女性と男性の両性に向く人を指します。(両性愛者)Transgender(トランスジェンダー)生まれながら定められる生物学的な性と、自分で認識する性(性自認)が一致しない人を指します。LGBTQやLGBTQIA+の意味LGBTのほかにも、性の多様性を表すために、LGBTQやLGBTQIA+という言葉も使われます。LGBTQやLGBTQIA+は、LGBTに、“Q”、“I”、“A”、“+”を加えたものです。それぞれの意味を確認しましょう。“Q”:Queer(クィア)/Questioning(クエスチョニング)Queer(クィア)とは、LGBTに当てはまらない性的少数者や、全ての性的マイノリティを広く含む言葉として使用されます。Questioning(クエスチョニング)とは、自分自身の性的指向や性自認が定まっていない、もしくは意図的に定めていない人のことを指します。“I”:Intersex(インターセックス)Intersex(インターセックス)とは、内性器や外性器・染色体・ホルモンの状態などが、先天的に生物学上の性別とは異なっており、女性・男性の両方の特徴をもち合わせている人のことを指します。“A”:Asexual(アセクシャル)Asexual(アセクシャル)とは、どの性に対しても恋愛感情を抱かない人のことを指します。“+”+(プラス)は、特定のセクシュアリティを指すものではありません。セクシュアリティは多様であることを踏まえて、上述のLGBTQIAのどれにも当てはまらない人がいることを表しています。LGBTと関連性の高いSDGsSDGsは、Sustainable Development Goalsの略称で、持続可能でより良い世界を目指し、2015年の国連サミットで定められました。SDGsでは「誰1人取り残さない」ことを掲げ、全ての国が取り組むべき目標として定められています。男女差別をなくす取り組みは国際的にも注目を集めており、SDGsの17個の目標のうち、教育・ジェンダー平等・基本的人権の尊重などのトピックと関連づけられているのです。それでは、LGBTなどのセクシュアル・マイノリティ(性的少数者)との関連性が高いSDGsの目標を詳しくみていきましょう。目標4 質の高い教育をみんなに目標4では、「質の高い教育をみんなに」を掲げ、誰もが公平に質の高い教育を受けられることを目標としています。途上国の一部では女子への教育が軽視されている地域があり、先進国においてもジェンダーに配慮した教育施設が少ないのが現状です。全ての人が質の高い教育を受けることで、貧困や飢餓、ジェンダーといったあらゆる問題解決への糸口が開けるようになります。目標5 ジェンダー平等を実現しよう目標5では、「ジェンダー平等を実現しよう」を掲げ、社会的な男女差別の撤廃を目標としています。「男性はこうあるべき、女性はこうあるべき」のような、無意識に決めつけている性別の違いがジェンダーです。ジェンダー平等を実現することで、LGBTを含めた性差別がなくなり、全ての人が平等に活躍できる社会になります。目標8 働きがいも経済成長も目標8では、「働きがいも経済成長も」を掲げ、全ての人が公平な雇用で、働きがいをもって仕事ができる環境が目指されています。現状は、男女のキャリアに違いがあり、ジェンダー平等な雇用の機会が与えられているとは言い難い社会です。また、LGBTを理由に職場で差別されるケースもあり、深刻な社会問題となっています。目標10 人や国の不平等をなくそう目標10では、「人や国の不平等をなくそう」を掲げ、人と人、国と国の格差をなくすことを目標としています。そのためには、差別的な法律や政策を見直し、人々に平等な機会が与えられることが重要です。現在、同性婚が認められていない国は数多くあります。このことは、セクシュアル・マイノリティの人に対して平等に結婚の機会が与えられていないため、不平等であるといえるでしょう。LGBTの人々が日本で直面する課題男女の格差を国別に比較した「ジェンダーギャップ指数」によると、日本は146カ国中116位でした。(2022年現在)このことから、日本は世界的にみても男女の格差が生じていることがわかるでしょう。SDGsの目標にもなっているジェンダー平等を推進し、LGBTへの理解を促進するために、教育・仕事・医療において日本が抱えている課題をご紹介します。教育ジェンダー教育があまり行われてこなかった日本の学校では、LGBTへの理解不足によるいじめや差別が起こりやすいです。さらに、「女子はスカート、男子は学ラン」という指定の制服に精神的な苦痛を感じるLGBTの生徒もいます。性的マイノリティへ配慮した教育要領や、LGBTの生徒に対するサポート体制を整えることが重要です。仕事企業の採用面接中にLGBTであることを告げたところ、面接を中断されたり、内定を取り消されたりするという事例もあります。また、同性のパートナーやその子供が家族として認められず、扶養手当・家族手当・育児休暇などが受けられないこともあるのです。日本の企業では、ジェンダー差別や偏見が残っていることも多く、異性愛者前提の社内制度になっています。LGBTへの適切な理解と職場環境の改善により、全ての人が平等に働けるようになるでしょう。医療同性のパートナーが入院したときに病院から家族として認めてもらえず、面会ができなかったり、病気に関する詳細を教えてもらえなかったりすることがあります。また、「男性か、女性か」を問われること自体がトランスジェンダー当事者にとっては精神的な苦痛です。保険証の性別や診察に対する不安により、患者の足を医療から遠のかせ、症状を悪化させてしまうでしょう。LGBTの患者が安心して医療を受けられる環境づくりや法律の整備が求められています。ジェンダー平等への取り組みジェンダー平等のための取り組みとして、どのようなものがあるのでしょうか?国や企業などによる、さまざまな日本国内の取り組み事例を見ていきます。国の取り組みパワハラ防止法(労働施策総合推進法)は、セクシュアル・ハラスメントを含むパワーハラスメントを防止するための法律です。SOGIハラスメント(相手の性的指向や性自認に関する侮辱的な言動)や、アウティング(相手の性的指向や性自認を本人の許可なく暴露すること)もハラスメントと定義されています。企業にはこれらを防止する義務が法律で定められているのです。自治体の取り組み同性パートナーシップ証明制度は、同性のカップルに対して、「結婚に相当する関係」だと証明するために、自治体が証明書を発行する制度です。この制度は、東京都の渋谷区や世田谷区などで導入されており、病院で家族として扱われる、公営住宅への同居が認められるようになります。このような制度によって、LGBTの人々の権利を守ることが不可欠です。企業の取り組み国だけではなく、企業単位でもさまざまな取り組みが行われています。LGBTの人々が安心して働けるための企業の取り組みを見ていきましょう。パートナーシップ制度|任天堂株式会社任天堂株式会社は、2021年にパートナーシップ制度を導入しました。この制度は、婚姻関係に相当する同性パートナーがいる社員を、婚姻と等しく扱うものです。加えて、性的指向・性自認に関する差別的発言や、アウティングを明確に禁止しています。LGBT ALLY(アライ)の啓蒙活動|株式会社神戸製鋼所株式会社神戸製鋼所は、LGBT ALLY(LGBTなどの課題に対して自分事と捉え、主体的に行動する人)を増やす活動をしています。この活動に加え、ファミリーシップ制度の導入や社員研修の実施もおこなっています。その結果、LGBTQなどのセクシュアル・マイノリティへの取り組みを評価するPRIDE指標で、最上位の「ゴールド」を2年連続で受賞しています。私たちにできることジェンダー平等な社会を作るために一番大切なことは、性別に関係なく個人を尊重することです。家庭や職場などにおいて「女だから、男だから」と無意識に決めつけている行動を見直してみましょう。例えば、共働きの夫婦間で女性に家事の負担がかかっていたり、大きな仕事は男性がトップに立って指導するものと思い込んでいたりするかもしれません。また、LGBTなどの多様な性があることを学び、理解することも大切です。知識や理解がないと、「結婚しないの?」や「どのような異性が好き?」など、相手の性的指向を決めつける質問をしてしまうことがあります。自分の周りにもセクシュアル・マイノリティ(性的少数者)がいることを意識して行動しましょう。まとめこの記事ではLGBTとは何かについて確認し、SDGs目標との関連をご紹介しました。SDGs「目標5 ジェンダー平等を実現しよう」では、社会的な男女差別の撤廃を目指しており、LGBTに対する差別をなくすことも含まれます。さらに、日本でLGBTの人々が直面している課題から、私たちが取り組むべき内容を深掘りしました。全ての人々が安心して暮らせる差別のない社会を作るために、LGBTへの理解を深めて、個人を尊重する行動をとったり環境を整えたりすることが大切です。

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