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【英語表記】SDGs17個の目標とは?読み方や問題・解決策を学ぼう!

世界共通の目標である「SDGs」は、外国人との会話に出てきたり、様々な英語の試験に使われたりと、英語で使用される機会も多くあります。また、SDGsの原文内には、世界の様々な問題を考える際に必要な英単語がたくさん含まれています。そのため、SDGsについて英語で学んでおけば、英会話・英作文などで役に立つこと間違いありません。SDGsの17個の目標の英語原文を読みながら、問題点や解決策を一緒に学んでいきましょう。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。SDGsの英訳・意味とは?まずはじめに、SDGsとは何かについて英訳をしながら確認していきましょう。Sustainable Development GoalsSDGsは Sustainable Development Goals の頭文字をとったもので、〈サステナブル・デベロップメント・ゴールズ〉と読みます。それぞれ、sustainable は「持続可能な」、 development は「開発」「発達」、goals は「目標」という意味です。これらのことから、SDGsは「持続可能な開発目標」を意味します。・意味|SDGsとは「持続可能な開発目標」そもそもSDGsの「持続可能な開発」とは「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」のことで、国際連合にて定義づけされています。こういった開発を実現するために、世界全体で達成すべき17個の目標を定めたものがSDGsなのです。また、SDGsは「誰一人取り残さない(leave no one behind)」社会を掲げています。このことから、現代やこの先の未来、誰もが犠牲にならずに生きられる社会をつくるための目標がSDGsだと言えます。・別称|海外では「グローバルゴールズ」と呼ばれる場合もあるSDGsは、先進国・発展途上国ともに、すべての国が取り組むべき課題だとされており、「世界的なさま」「包括的なさま」を表す global を用いて「グローバルゴールズ」と呼ばれることもあります。SDGsの目標17原文で英語を学ぼうここからは17個の目標別に、英語原文を通してSDGsを見ていきます。Goal1.No Poverty1つ目の目標は “No poverty” 〈ノー・ポヴァティ〉「貧困をなくそう」です。 “poverty” は「貧しさ」「貧困」という名詞です。「貧しい」という形容詞 “poor” も合わせて覚えておきましょう。この目標は「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」ことを方針として掲げています。以下で具体的に見ていきましょう。・Goal1の問題“More than 70 million people still live in extreme poverty.”「いまだ7000万人以上の人々が極度の貧困状態の中で生きている。」“million” は「100万」を意味するので、“70 million” は「7000万」ということになります。世界にはまだまだ苦しい生活をしている人がたくさんいます。貧困状態から、個人の力だけで抜け出すのは非常に困難なため、国際社会全体で問題に取り組む必要があるのです。【その他の和訳】・“still”:「まだ」「いまだ」・“extreme”:「極度の」「極端な」・Goal1の解決策“Donate what you don’t use.”「使わないものは寄付する」私たちにできることのひとつが寄付です。1人1人の量は少なくとも、多くの人が寄付をすることで貧困に苦しむ人々を救う大きな力になります。身の回りの使わなくなったものを探し、寄付することから始めてみましょう!【その他の和訳】・“donate”:「寄付する」「寄贈する」Goal 2. Zero Hunger2つ目の目標は “Zero Hunger” 〈ゼロ・ハンガー〉「飢餓をゼロに」です。“hunger” は、「空腹な」という形容詞 “hungry” を名詞化したもので、「飢え」「空腹感」という意味を持ちます。一緒に覚えておくのがおすすめです。この目標は「飢餓に終止符を打ち、食料の安全確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する」ことを方針としています。以下で詳しく見ていきましょう。・Goal2の問題“A third of the world’s food is wasted, yet 821 million people are undernourished.”「世界の食料の3分の1が廃棄されているにもかかわらず、8億2100万人が栄養不良に陥っている。」栄養不足の人が多いことは、とても深刻な問題となっています。また、栄養不足となっている人々がいる一方で、多くのフードロスが起こっているというのも、格差問題を表していると言えるでしょう。【その他の和訳】・“waste”:「無駄にする」・“undernourished”:「栄養不良の」・Goal2の解決策“Waste less food and support local farmers.”「食べ物を無駄にせず、地元の農家を支援する。」私たちにできる解決策のひとつは、フードロスをなくすことです。フードロスは、生産にも廃棄にもエネルギーを使うものの、最終的には何にもならないという非常にもったいない行為です。適切な分だけを購入・消費することで、まんべんなくすべての人に食料がいきわたるよう気遣いましょう。ほかにも、地産地消を意識することで、地元の農家さんの持続可能な農業運営に貢献できます。Goal 3. Good Health and Well-Being3つ目の目標は “Good Health and Well-Being”〈グッド・ヘルス・アンド・ウェルビーイング〉「すべての人に健康と福祉を」です。“well-being” は「幸福」「健康」という意味で、身体的・精神的・社会的に満たされている状態をさします。「幸福」という意味を持つ類義語に “happiness”・“welfare”・“pleasure” などがありますが、 “well-being” には個人の内面に根ざした「持続的な幸福」というニュアンスがあります。この目標は「あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」ことを方針としています。それでは具体的に見ていきましょう。・Goal3の問題“As of May 2022, more than 80 per cent of people had received at least one dose of a vaccine in high-income countries but the proportion is only about 17 per cent in low-income countries.”「2022年5月現在、高所得国では80%以上の人がワクチンを1回以上接種しているが、低所得国ではその割合は17%程度にとどまっている。」健康を維持するために必要なワクチンを例にしていますが、国ごとに接種率が異なっています。この状況はSDGsの「誰一人取り残さない」という方針にも沿っておらず、誰もが摂取できるように仕組みを整えていく必要があります。【その他の和訳】・“dose”:「接種」・“vaccine”:「ワクチン」・Goal3の解決策“Vaccinate your family.”「家族でワクチンを打つ。」私たちにできることは、まず身近な人からワクチンを摂取するよう促すことです。この意識が世界中に広まり仕組みが整備されれば、すべての人がワクチンを摂取できるようになり、その他の健康福祉についても全員が享受できるようになるでしょう。Goal 4. Quality Education4つ目の目標は “Quality Education”〈クオリティ・エデュケーション〉「質の高い教育をみんなに」です。“quality” は「高品質の」という形容詞です。「品質」そのものを表す名詞として用いられることもあります。この目標は「すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ことを方針として掲げています。それでは以下で詳しく見ていきます。・Goal4の問題“617 million children and adolescents lack minimum proficiency in reading and mathematics.”「6億1700万人の子供と若者が、最低限の読解力と数学の能力に欠けている。」教育を受けられていない子供の多くは、貧困の家庭で育っています。貧困の中で親の仕事を手伝い教育を受けられず、結果として安定した職に就けないため貧困から抜け出せないというサイクルにいるのです。このサイクルを打破するには、質の高い教育を受けることが必要不可欠ですが、個人の力だけで解決するのは難しい問題です。そのため、国際社会全体で教育の機会を創出する必要があります。【その他の和訳】・“adolescents”:「青少年」「若者」・“proficiency”:「習熟度」「熟達」・Goal4の解決策“Help educate the children in your community.”「地域の子どもたちの教育に貢献する。」1人1人にできる解決策としては、地域の子供たちの教育活動に積極的に関わっていくことです。難しいことは教えられずとも、一緒に本を読んだり、簡単なお金の計算をしたりするなど、子供とのコミュニケーションの中で基本的な能力を伸ばすことが問題解決に繋がります。Goal 5. Gender Equality5つ目の目標は “Gender Equality”〈ジェンダー・イクオリティ〉「ジェンダー平等を実現しよう」です。“gender” は「性」「性別」という名詞です。生物学的な性を表す “sex” とは違い、社会的な性別を表します。“equality” は「平等」という名詞で、これを形容詞にしたものが「平等な」という意味の “equal” です。この目標では「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」が方針として示されています。以下で詳しく見ていきましょう。・Goal5の問題“1 in 3 women has experienced physical and/or sexual violence.”「女性の3人に1人が身体的・性的暴力を受けた経験がある。」1 in 3 で「3人に1人」「3人の中の1人」という意味です。Goal5の問題では、多くの女性が性的な差別を受けていることが分かります。性別に関係なく、すべての人が幸せに生きられる社会を構築していく必要があるのです。【その他の和訳】・“experience”:「経験する」・“violence”:「暴力」・Goal5の解決策“Empower women and girls and ensure their equal rights.”「女性と女児に力を与え、その平等な権利を確保する。」男女間で格差のある慣行が続いていたり、女性に不利なルールなども存在したりします。そういった慣行やルールを是正し、性別によらず平等な権利を保証することが解決に繋がるでしょう。【その他の和訳】・“empower”:「力を与える」「権限を付与する」・“ensure”:「保証する」「確保する」Goal 6. Clean Water and Sanitation6つ目の目標は “Clean Water and Sanitation”〈クリーン・ウォーター・アンド・サニテーション〉「安全な水とトイレを世界中に」です。“sanitation” は公衆衛生という名詞です。目標6では、「すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する」という方針のもと、公衆衛生をはじめとして、水に関わる幅広い目標が定められています。・Goal6の問題“Water scarcity affects more than 40% of the world’s population.”「水不足は、世界人口の40%以上に影響を及ぼしている。」深刻な水不足に苦しむ地域はたくさんあります。清潔な水が得られないことで、病気にかかる人も多くいるのが現状です。健康的に生活するには清潔な水が必要不可欠だということが分かります。【その他の和訳】・“scarcity”:「欠乏」「不足」・“population”:「人口」・Goal6の解決策“Avoid wasting water.” 「水の無駄遣いをしない。」私たちにできることは、無駄遣いを減らすことです。水道から出てくる水も、有限で貴重な資源だということを意識しましょう。【その他の和訳】・“avoid”:「避ける」「防ぐ」Goal 7. Affordable and Clean Energy7つ目の目標は “Affordable and Clean Energy”〈アフォーダブル・アンド・クリーン・エナジー〉「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」です。“affordable” は「手ごろな」「入手できる」という形容詞で、誰にでも手が届くというニュアンスを持ちます。“clean energy” というのは、エネルギーを作り出すときに環境に負荷がかからない「きれいな」エネルギーのことを指しています。この目標は「すべての人に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」ことを方針としています。以下、具体的に見ていきましょう。・Goal7の問題“Three billion people still lack clean cooking fuels and technologies.”「今も30億人の人々にクリーンな調理用燃料や技術が不足している。」“billion” は「10億」を意味するので、“three billion” は「30億」を表します。必要な分のクリーンエネルギーがたくさんの人々に届けられていないことは、とても重要な問題と言えます。また持続可能な開発のための再生可能エネルギーの生産も、まだまだ足りていないのが現状です。【その他の和訳】・“fuels”:「燃料」・Goal7の解決策“Use only energy-efficient appliances and light bulbs.”「エネルギー効率の良い電化製品や電球のみを使用する。」私たちにできることは、エネルギーを効率よく使うことです。効率の良い電化製品や電球を使うことで、その分のエネルギーを他の人に届けることができます。身の回りの電化製品を見直してみましょう!【その他の和訳】・“appliance”:「電化製品」Goal 8. Decent Work and Economic Growth8つ目の目標は “Decent Work and Economic Growth”〈ディセント・ワーク・アンド・エコノミック・グロウス〉「働きがいも経済成長も」です。“decent” は「よい」「適切な」という形容詞です。“Decent Work” には仕事を単なる労働としてでなく、人間としての生活を守るためのものという意味合いが含まれています。この目標では「すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディセント・ワークを推進する」ことが方針とされています。以下で詳しく見ていきましょう。・Goal8の問題“One fifth of young people are not in education, employment or training.”「若者の5分の1は、教育、雇用、訓練のいずれにも携わっていない。」“one fifth” は「5分の1」を表します。このように数字+序数(何番目かを表す数字)で分数を表すことができ、例えば “two thirds” では「3分の2」という意味になります。 世界の中の5人に1人が仕事に就けていないということがGoal8の問題によって分かります。これからの未来をつくっていく若者がその力を存分に発揮できていないと、持続可能な社会をつくっていくことは不可能です。働く場所や環境を整えていく必要があると言えます。【その他の和訳】・“employment”:「雇用」・Goal8の解決策“Create job opportunities for youth.”「若者の雇用機会を創出する。」若者が働きたいと思う環境を整備することが必要です。例えば、フレキシブルな働き方を許容したり賃金のシステムを見直したりと、これまでの環境を見直して新たな仕事形態を模索していくことが求められます。【その他の和訳】・“opportunities”:「機会」Goal 9. Industry, Innovation and Infrastructure9つ目の目標は “Industry, Innovation and Infrastructure”〈インダストリー・イノベーション・アンド・インフラストラクチャー〉「産業と技術革新の基盤を作ろう」です。“industry” は「産業」、“innovation” は「技術革新」、そして “infrastracture” は「社会基盤」という意味を持ちます。この目標は「強靱なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業を推進するとともに、技術革新の拡大を図る」ことを方針に定めています。以下、具体的に見ていきます。・Goal9の問題“Roads, water, sanitation and electricity remain scarce in many developing countries.”「道路、水、衛生設備、電気は、多くの途上国で依然として不足している。」産業を発展させるには、その基礎となるインフラを整備することが最低条件です。しかし多くの途上国ではこのインフラが整備されておらず、そのために産業も発達させることができていません。【その他の和訳】・“remain”:「依然として」「とどまる」・“developing countries”:「発展途上国」・Goal9の解決策“Fund projects that provide basic infrastructure.”「基本的な社会基盤を提供するプロジェクトに資金を提供する。」“fund” も “provide” も提供するという意味を持ちますが、“fund” は投資的な意味合いを持ち、“provide” はものやサービスを提供するという意味です。 インフラの整備不足を解決するためには、基礎となる資金を提供していく必要があります。結果として産業が発達すれば、資金を提供した側も取引先が増えることでメリットに繋がるのです。資金提供をすることで、お互いに持続可能な産業形態を構築することが出来ます。Goal 10. Reduced Inequalities10個目の目標は “Reduced Inequalities”〈リデューストゥ・インイクオリティーズ〉「人や国の不平等をなくそう」です。“reduce” は「減らす」という動詞です。“inequalities” は、目標5で紹介した “equality” に否定を表す接頭語の “in” を加えて「不平等」という意味になります。“equality” と合わせて覚えておきましょう。この目標は「国内および国家間の格差を是正する」ことを方針としています。以下で詳しく見ていきます。・Goal10の問題“The poorest 40% of the population earn less than 25% of global income.”「最貧困層の40%は、世界所得の25%以下しか得ていない。」世界の4割の人々の所得を足しても、世界全体の所得の4分の1にしかなりません。これは一部の高所得の人たちが、世界所得の大部分を占めていることも意味します。一部の人が富を独占するのでなく、世界中の人々が幸せに生活できるぐらいの富を共有できるように努力する必要があります。【その他の和訳】・“earn”:「稼ぐ」・“income”:「収入」・Goal10の解決策“Support the marginalized and disadvantaged.”「社会から疎外され、不利な立場に置かれた人々を支援する。」生まれながらに不遇な環境の中にいたり、障害を持っていたりするなど、社会の中で不利な立場に置かれている人は多くいます。どんな人でも平等に生活が出来るよう、精神的な面や金銭的な面で支援の輪を広げることが、平等な世界をつくるための第一歩になります。【その他の和訳】・“marginalized”:「社会的に無視された」・“disadvantaged”:「(社会的に)恵まれない」「不利な条件に置かれた」Goal 11. Sustainable Cities and Communities11個目の目標は “Sustainable Cities and Communities”〈サステナブル・シティーズ・アンド・コミュニティーズ〉「住み続けられるまちづくりを」です。“cities” は「都市」、“communities” は「地域社会」という意味になります。都市開発の面だけでなく地域社会という面からも、持続可能なまちづくりを考えていく必要があります。この目標は「都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靱かつ持続可能にする」ことを方針としています。以下で見ていきましょう。・Goal11の問題“9 out of 10 urban residents breathe polluted air.”「都市に住む10人のうち9人は、汚染された空気を吸っている。」“9 out of 10” は「10人中9人」を表しています。“A out of B” で「BのなかのA」と言う意味になるため覚えておきましょう!自動車から出る排気ガスなどにより、都市の空気は汚れています。このままでは健康を害し、その都市で持続可能な生活を送ることは不可能です。持続的に都市を発展させるためにも、都市環境について考える必要があります。・Goal11の解決策“Bike, walk, or use public transportation.”「自転車、徒歩、または公共交通機関を利用する。」自動車から出る排気ガスは空気汚染の原因のひとつです。代わりに自転車や公共交通機関を利用することで、都市環境を守ることができます。移動手段を徒歩にすることで自身の健康増進にもなるため、自分も周りも持続可能な生活を送ることができます。【その他の和訳】・“public transportation”:「公共交通機関」Goal 12. Responsible Consumption and Production12個目の目標は “Responsible Consumption and Production”〈レスポンシブル・コンサンプション・アンド・プロダクション〉「つくる責任 つかう責任」です。“consumption” は「消費」、“production” は「生産」を意味する名詞です。なじみのある関連語句として、“consumer”「消費者」があります。この目標は「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」ことを方針として掲げています。以下で詳しく見ていきましょう。・Goal12の問題“By 2050, the equivalent of almost three planets could be required to sustain current life styles.”「2050年までに、現在の生活スタイルを維持するために、ほぼ惑星3個分のエネルギーが必要となる可能性がある。」現代の生活では、地球だけでは足りないほどの大量のエネルギーを消費してしまうということです。これでは持続可能な社会とはいえません。早急に、「大量生産・大量消費」のような生活スタイルを見直す必要があります。【その他の和訳】・“equivalent”:「同じ」「相当する」・“require”:「必要とする」・“current”:「現在の」・Goal12の解決策“Recycle paper, plastic, glass, and aluminium.”「紙、プラスチック、ガラス、アルミをリサイクルする。」解決策の1つとして、資源のリサイクルが挙げられます。有限な資源をすぐに廃棄せずに繰り返し使うことで、持続可能な生産・消費に繋がります。その他にも不要な分はつくらない「リデュース」、繰り返し使う「リユース」など、資源を無駄にしない取り組みが必要となってきます。Goal 13. Climate Action13個目の目標は “Climate Action”〈クライメート・アクション〉「気候変動に具体的な対策を」です。“climate” は「気候」という名詞です。“climate change”「気候変動」という単語もよく使うので覚えておくといいでしょう。この目標は「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」ことを方針として掲げています。以下で詳しく見ていきましょう。・Goal13の問題“Global emissions of carbon dioxide (CO2) have increased by almost 50% since 1990.”「世界の二酸化炭素(CO2)排出量は、1990年からほぼ50%増加している」気候変動の主な要因とされている二酸化炭素ですが、現在も増加を続けています。このままではさらに二酸化炭素排出量が増え、地球温暖化をはじめとする様々な気候変動を止めることが出来ません。早急に具体的な対策をとることが求められています。【その他の和訳】・“emission”:「排出量」「放出」・“increase”:「増加する」・Goal13の解決策“Act now to stop global warming.”「地球温暖化を食い止めるために、今すぐ行動する。」多くの人が地球温暖化について知っていても、具体的に行動に移している人はまだまだ少ないのが現状です。具体的に行動すると言っても、これまでに紹介してきた持続可能な社会への取り組みが、そのまま地球温暖化を食い止める行動になります。「リサイクルをする」「自転車や公共交通機関を使う」など、小さな行動でもまず行動に移すことが重要です。【その他の和訳】・“global warming”:「地球温暖化」Goal 14. Life Below Water14個目の目標は “Life Below Water”〈ライフ・ビロウ・ウォーター〉「海の豊かさを守ろう」です。“below” は「~の下」などという意味合いを持つ前置詞です。直訳すると「水面下の命」というのが、「海の豊かさを守ろう」と意訳されています。この目標は「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」ことを方針としています。以下で詳しく見ていきましょう。・Goal14の問題“Continuing ocean acidification and rising ocean temperatures are threatening marine species and negatively affecting marine ecosystem services.”「海洋酸性化の進行と海水温の上昇は、海洋生物種を脅かし、海洋生態系サービスに悪影響を及ぼしている。」プラスチックの流入問題などもあり、2009年から2018年の間には、世界で約14%のサンゴ礁が失われました。海は世界の年間二酸化炭素排出量の約4分の1を吸収し、気候変動の緩和とその影響の軽減に必要不可欠なものでもあります。そのため、海の保全は持続可能な社会の実現に向けて重要な意味を持つのです。【その他の和訳】・“temperature”:「温度」・“marine ecosystem service”:「海洋生態系サービス」・Goal14の解決策“Choose certified ocean-friendly products”「海に優しい認定製品を選ぶ」天然水産物を示す「MSC認証」や養殖水産物を示す「ASC認証」など、海にやさしく持続可能な生産物であることを保証する制度があります。こうした認証制度を指針にして製品を選ぶことで製品の需要が増え、結果として持続可能性を意識した製品が多く生産されるようになります。私たちの製品選びが、海を守ることに繋がっていくのです。【その他の和訳】・“certified”:「保証された」「公認の」Goal 15. Life On Land15個目の目標は “Life On Land”〈ライフ・オン・ランド〉「陸の豊かさも守ろう」です。目標14と同様「陸上の命」が「陸の豊かさを守ろう」というように意訳されています。この目標は「陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る」ことを方針としています。以下、詳しく見ていきます。・Goal15の問題“Forest cover fell from 31.9  per cent of total land area in 2000 to 31.2 per cent in 2020, a net loss of almost 100  million hectares.”「森林被覆は2000年の総面積の31.9%から2020年には31.2%に減少し、ほぼ1億ヘクタールの純減となる。」世界では急激に森林の数が減少し、代わりに土地の砂漠化や荒廃が進んでいます。森林は二酸化炭素を吸収し地球温暖化を軽減する役割を果たすだけでなく、持続可能な世界を実現するための生物多様性を保証する場でもあるため、森林の保全は必要不可欠なのです。【その他の和訳】・“forest”:「森林」・“net loss”:「純損失」・Goal15の解決策“Plant a tree and help protect the environment.”「木を植えて、環境保護に貢献する。」森林を守っていくには、まず失われた木を植えるのが解決に繋がります。植林活動に力を入れる企業も増えてきています。一般の人でも参加できる植林活動も多く行われているため、参加してみるのもいいでしょう。【その他の和訳】・“environment”:「環境」Goal 16. Peace, Justice and Strong Institutions16個目の目標は “Peace, Justice and Strong Institutions”〈ピース・ジャスティス・アンド・ストロング・インスティテューションズ〉「平和と公正をすべての人に」です。“institution” は「制度」「機構」という名詞です。原文の直訳では「平和、正義、そして強力な制度」となりますが、日本語では意訳されており、平和と公正をすべての人に提供するための強力な制度について考える必要があります。この目標は「持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、全ての人に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する」ことを方針としています。以下で詳しく見ていきましょう。・Goal16の問題“In 2018, the number of people fleeing war, persecution and conflict exceeded 70 million.”「2018年、戦争や迫害、紛争から逃れた人々の数は7000万人を超えた。」戦争や紛争で苦しい生活を余儀なくされる人はたくさんいます。多くは法整備が整っていない地域であったり、人権について保証されていない地域で起こっているため、まずはその整備を整えることが重要です。・Goal16の解決策“Stand up for human rights.”「人権を守るために立ち上がる。」人権は誰にも保証されるべきものですが、人権が守られていない地域も多くあります。人権を守るために1人1人が声を上げることで大きな力となり、政府や市民社会が動くきっかけになるのです。【その他の和訳】・“human rights”:「人権」Goal 17. Partnerships for the Goals17個目の目標は “Partnerships for the Goals”〈パートナーシップス・フォア・ザ・ゴールズ〉「パートナーシップで目標を達成しよう」です。この目標は「持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」ことを方針に掲げています。以下で詳しく見ていきましょう。・Goal17の問題“The share of total SDG investment that went to least developed countries decreased from 19 per cent in 2020 to 15 per cent in 2021.”「SDGsの投資総額に占める後発開発途上国への投資の割合は、2020年の19%から2021年には15%へと減少した。」持続可能な社会をつくるためには途上国の発展が重要になり、そのためには先進国などの投資が必要不可欠です。しかし、現状ではその支援が減少しています。【その他の和訳】・“investment”:「投資」・Goal17の解決策“Join/create a group in your local community that seeks to mobilize action on the implementation of the SDGs.”「地域社会でSDGsの実施に向けた行動を喚起するグループに参加したり、グループをつくったりする。」個人がSDGsへの意識を高め世の中に発信していくことで、SDGsに積極的になるべきだという世論が形成されます。結果、政府がSDGsに向けた投資を増やす可能性を高めることができるのです。他にも、こうした行動が周りに伝播して、多くの人がSDGsに取り組むきっかけになります。【その他の和訳】・“mobilize”:「動員する」・“implementation”:「実施」「履行」SDGsを詳しく学べる「Socialgoo」がおすすめここまで英語でSDGsについて学んできましたが、「この目標ってどういうこと?」「具体的ににどんな取り組みがあるの?」と思った方もいらっしゃるかと思います。本サイト「Socialgoo」では、SDGsの細かい内容や具体的な取り組みなどを、様々な記事を通して発信しています。SDGsについてもっと知りたいと興味を持たれた方は、ぜひ「Socialgoo」をチェックしてみてくださいね!まとめ本記事ではSDGsの17個の目標を、英語の原文を通して学んできました。世界で共通認識されているからこそ、SDGsは話題にもなりやすく、英語で触れる機会も多くなります。SDGsを知るため、そしてグローバルな視点で物事を考えるための英語力を養うため、SDGsを英語の原文を通して学んでみるのはいかがでしょうか。【参考サイト】・日本SDGs協会・Home | Sustainable Development ・Home - United Nations Sustainable Development

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化粧業界が目指すSDGsゴールとは【10年後・30年後別】メーカーやブランドの取り組み例を紹介

化粧業界が目指すSDGsゴールとは【10年後・30年後別】メーカーやブランドの取り組み例を紹介化粧品業界に関連のある、SDGsのゴールをわかりやすく掲載!現在・30年後・100年後に分け、化粧品業界のSDGsへの取り組みやビジョンをわかりやすくご紹介します。アメリカ・中国に次ぐ化粧品大国「日本」。日本製は品質が良く安全性も高いため、海外でも大変人気があります。環境への配慮が求められている「化粧品業界」は、リユースできる容器の開発などのSDGsへの取り組みが行われているのです。有名メーカーやブランドで取り組んでいる内容もピックアップしているため、ぜひチェックしておきましょう!この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。化粧品業界に関連するSDGsゴールとは?化粧品業界に関連しているSDGsのゴールには、いったいどんな内容があるのかをわかりやすくご紹介します。製造~廃棄まで関連ゴールは「4つ」化粧品開発後、わたしたちユーザーの手元に製品が渡り、廃棄されるまでの流れのなかで、4つの関連するSDGsのゴールがあります。4つのゴールとはどんな内容なのかをこちらで確認してみましょう!5.ジェンダー平等を実現(画像: SDGs 17の目標 | unicef)化粧品業界は、日本のジェンダーギャップを縮めることに大きく貢献していることをご存知でしたか?多様性が求められる今、男性も女性もメイクを楽しめる製品の開発が進んでいます。12.つくる責任 つかう責任(画像::SDGs 17の目標 | unicef)消費財である化粧品は、必ずゴミが出ます。廃棄物の量を少しでも減らすために、化粧品をつくる人もつかう人も、商品を通して環境のことを考える必要があり、「脱炭素」「循環型社会」の実現を目指さなければなりません。14.海の豊かさを守ろう(画像: SDGs 17の目標 | unicef)海洋汚染は環境問題のなかでも特に深刻な問題です。使用済みの化粧品類をポイ捨てした場合、海へとシャンプーのプラスチック容器やビニール製のパッケージが流れ出てしまい、近い将来には、海の中は魚よりもゴミの量が多くなると言われています。海洋ゴミの中で最も多いプラスチックゴミを減らすために、化粧品業界ではどんなことができるかを考えます。15.陸の豊かさも守ろう(画像: SDGs 17の目標 | unicef)年〜2020年の30年間の間に日本の国土面積の約5倍に相当する森林が減少しています。そこで、森林を守るための取り組みの例として、・パッケージやパンフレットに使用する紙は環境へ優しいFSC認証紙を使用する。・オーガニック原料を使用し、土の中の微生物を化学肥料の被害から守る。上記のように森林や土の中を守れば、生き物の生態系と多様性を守ることに繋がります。【現在】化粧品業界が取り組むSDGsの内容商品選択や企業選択において重視されるようになり、SDGsに関連するゴールをもとに、業界内では環境に配慮した商品開発・取り組みがすでに進んでいます。こちらでは、化粧品業界が現在取り組んでいるSDGsの内容をまとめているので、ぜひどんな部分に力をいれているのかをチェックしておきましょう!開発1|容器・パッケージの環境配慮化粧品は消費財であるため、いつか必ず廃棄されます。そこで企業は、商品が廃棄される時に環境に与える負荷を考え、環境に配慮したパッケージの開発を盛んに進めています。詰め替え・付け替えを前提として開発・推進企業は、「リデュース」「リユース」「リサイクル」の3Rの視点から、プラスチック使用量の削減を目指しています。よって、プラスチック容器を減らす「詰め替え」、容器自体の環境負荷を抑えた「付け替え」商品の開発へ取り組んでいるのです。スマートホルダーなど新型容器(画像:【特長】「スマートホルダー」とはどんな製品なの?|花王)新たに開発された「スマートホルダー」は、詰替え用のシャンプー・ボディーソープを専用容器に取り付ける商品です。スマートホルダーは「詰め替えが楽」「最後まで無駄なく使い切れる」などの点でユーザーから絶賛されています。開発2|容器・原料を植物由来の素材を使用化粧品の容器や原料に、植物由来の成分を使うことで、機能に優れながらも環境への負担が少ない商品の実用化を進めています。植物由来プラスチック配合のパッケージを使用することで、環境負荷の高い新品の石油由来バージンプラスチックの使用量を削減することができます。回収|使用済みプラスチック容器をリサイクル(画像:資生堂、イオンにて化粧品の使用済み容器回収を開始|資生堂)化粧品業界は、使用済みプラスチック容器のリサイクルに積極的に取り組んでいます。例えば、使用済みプラスチックフィルムの回収・リサイクルの実証実験化粧品を取り扱う店舗で、プラスチック容器の店頭回収  など循環したプラスチックの流れの確立に取り組んでいます。活動|ジェンダー平等・女性活躍支援化粧品業界では、女性活躍の推進の一環として育児休業や育児時間制度を導入する取り組みが行われています。さらに、最近では管理職を目指す女性社員のための研修も実施。女性だけでなく男性でも手に取りやすい、ジェンダーレス・ジェンダーフリーの商品開発・発売を進めています。【10年後】化粧業界が取り組むSDGsのビジョン例2021年に日本の化粧品産業の発展を目指し、産学官が連携して「化粧品産業ビジョン」を策定しました。地球環境の変化に対応するため、10年後までに化粧業界が取り組むべきことを3つご紹介しているのでぜひチェックしておきましょう。1.環境に配慮した製品の普及プラスチックには、大きなデメリットが2つあります。1つ目は、廃棄するとき土に埋めても分解されずに残り続けること。燃やして処分しようとしても、二酸化炭素が発生し酸性雨や地球温暖化の原因となってしまいます。2つ目は、プラスチックを使用すると限りある資源である石油を消費してしまうことです。そこで、化粧品業界は環境に配慮した取り組みを公表することで、脱炭素社会を目指します。例えば、「炭素の足跡」とも言われるカーボンフットプリントを公表し、排出するCO2の量を「見える化」するツールが注目されています。また、プラスチック利用量の削減を具体的な目標として掲げています。2.エシカル消費の拡大エシカル消費には、「道徳上の消費行動」という意味があります。商品の高級感やブランド力、ネームバリュー、ブランド力などにとらわれず、地球環境に配慮することが求められています。そんなエシカル消費の目印となるのは、次のような認証マークです。エコマーク:商品の生産~処分まで環境保護商品と認められたマーク有機JASマーク:農薬や化学肥料に頼らずに生産されたマーク国際フェアトレード認証ラベル:国際フェアトレード基準を満たした商品のマークFSC認証マーク:持続可能な森林管理のもとで採られた木材を使用しているマークNATURE認証マーク:ナチュラル及びオーガニック成分が配合されたマークレインフォレスト・アライアンス認証:農園の環境や、土壌・水を含めた天然資源、生態系や生物多様性などを守っている農園のマーク3.「動物実験代替法」の確立動物実験は商品開発のために、化粧品分野を中心に研究開発が広まりました。しかし、動物福祉の観点から反対の声が多く、動物実験で安全性を確かめた商品でも、人が使用した時に薬害が起こることは度々起きてしまうことが問題になっています。医師・研究者などの専門家からも動物実験の過ちが指摘されているなか、「動物実験代替法」の確立を進めています。また、欧米では動物実験の行われていない化粧品には、ウサギのマークがついた「クルエルティフリー」認証をつける取り組みがされているのです。【30年後】化粧業界が取り組むSDGsのビジョン例 「化粧品産業ビジョン」では30年後に予想される世界の変化を挙げています。脱炭素を実現する循環型社会の到来「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて、日本は「2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロ」を表明しました。具体的には、プラスチック資源循環の取り組み「3R+Renewable※」があります。※Renewableとは、「再生可能な資源に替えること」を意味します。身近な例として、プラスチック製のパッケージなどをバイオマスプラスチック製に変えています。※日本では、2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入することが目標として定められています。科学によるエビデンスの重要度の拡大「日本の商品は高品質」というイメージを維持し続けるためにも、品質の高さを科学的・客観的なデータで示せるように、エビデンスの重要度が拡大しています。また、競合のメーカーやブランドとの差別化を図るために、研究開発を継続的に実施することが必要です。 そのためにも、エビデンスを正確かつ具体的に示すことで、説得力を強めることができるのです。SDGsへ取り組む化粧品メーカー例SDGs達成のために取り組む化粧品メーカーをご紹介します。コーセー(画像:グッドデザイン賞 雪肌精クリアウェルネス|GOOD DESIGN AWARD)KOSÉ(コーセー)は、人々や地球環境の未来をよりよいものにするために、「コーセー サステナビリティプラン」を決定しました。商品の容器にはバイオマスプラスチック・ガラス・アルミを積極的に使用し、プラスチック使用量の削減を実現しています。そして、環境にやさしい素材を使用した「雪肌精クリアウェルネスシリーズ」は2021年度にグッドデザイン賞を受賞しました。花王(画像:プラスチック容器の完全リサイクル化をめざして|花王)洗剤やシャンプーの詰め替え用パックを開発した「花王(Kao)」。そんな花王は新たに、薄いフィルムに空気を入れ、浮き輪のようにふくらませることでボトルのように使える新型容器を開発しました。フィルムボトルは100%リサイクルすることができ、プラスチック使用量を約50%も削減することができる、環境に優しい画期的なボトルとなっています。POLA(画像:未来に、次世代に環境をつなぐアクション|POLA)スキンケアアイテム、メイクアップアイテムおよび美容に関連する商品を展開しているメーカー「POLA(ポーラ)」。「未来に、次世代に環境をつなぐアクション」をテーマに、ショッピングバッグの原則廃止やデジタル化で環境負荷を減らすなどの取り組みを行っています。SDGsへ取り組む化粧品ブランド例SDGsに取り組む具体的な化粧品ブランドをご紹介します。LUSH(画像: 店舗一覧|LUSH)LUSH(ラッシュ)は、スキンケア・ヘアケア商品や、石鹸・バスボムなどのバスグッズが人気のブランドです。「地球に共存するすべてのものをハッピーにしたい」「エシカルバイイングポリシー」を理念に掲げるLUSHは、SDGsに積極的に取り組んでいます。最も象徴的なのは、商品を梱包しないで裸の状態で販売している部分。容器レス・ラベルレス商品をLUSHでは「ネイキッド」と呼んでおり、プラスチック使用量の削減に大きく貢献しているのです。ロクシタン(画像: L'OCCITANE)「豊かな自然そのもの」を理想と掲げ、原材料の生産段階から環境や生産者のことを考えている企業、L'OCCITANE(ロクシタン)。地産での原材料調達に努め、運送時の環境汚染を最小限にし、地域ビジネス、女性の自立の支援に取組んでいます。2025年までに1000種類の植物を保護することを目標としており、現在までに350種の保護を実現。商品に使用する自然由来の成分はおよそ200種類にも及び、その1/4がオーガニックの認証を受けています。KIEHL’S(画像: 内容詳細|KIEHL’S)科学・ハーブの知識をもとに天然由来成分を配合した、スキンケア商品を展開するKIEHL’S(キールズ)。「スキンケアからアースケアをはじめよう。」をフレーズに、独自の循環型エコシステムを確立しました。具体的には、リサイクルパッケージ商品の製造や、空き容器の回収などを行い、キールズは限りある資源を守るために紙製ショッピングバッグを有料化。さらに、エコバッグを使用した際のお買い物1回につき10円が、森林保全団体の「more trees」に寄付する取り組みを行っています。イヴ・サンローラン(画像:OURIKA COMMUNITY GARDENS | IVES SAINT LAURENT)YVES SAINT LAURENT(イヴ・サンローラン)では、SDGs活動として、女性支援・地球環境への配慮・肌への安全性の3つを掲げています。特に力を入れているのは、モロッコに立ち上げた自社庭園「ウリカ コミュニティ ガーデン」。200種以上の植物を育てながら、化粧品に使う植物原料の研究を行い、現地の方に教わった伝統的な農法やソーラーシステムの導入などで、地球環境に配慮した無農薬での植物栽培に取り組んでいます。SDGsを詳しく学べる「Socialgoo」がおすすめSDGsに関する活動をもっと知りたいという方におすすめな「Socialgoo(ソシャグ)」。ソーシャルグッド(社会にとって良いサービスや活動)に特化したメディアであり、プロボノやSDGsへの取り組み事例など様々な情報を掲載中です。ぜひ会員登録をして他の記事もチェックしてみてください!まとめ今回は化粧品を通じてSDGs達成に貢献する方法と、サステナブルなメーカーとブランドをご紹介しました。私達の生活に必要な化粧品だからこそ、サステナブルな意識を持ちながらSDGs達成に貢献することが求められています。まずは化粧品からSDGsについて考えていきたい方は、記事を参考に取り組んでみてはいかがでしょうか?

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【最新版】SDGsランキングと日本の課題とは?|日本国内の取り組みについて

こちらの記事では、SDGs達成度ランキングに見る日本の課題や、国内で行われている取り組みについてご紹介します。日本では政府や企業がSDGs達成のための取り組みを進めていますが、ジェンダー格差や環境破壊について多くの課題が残されているのが現状です。SDGsが目指す持続可能な社会を作るためには、私たち一人ひとりが日本の抱える課題について知る必要があります。ぜひこちらの記事を参考に、日本におけるSDGs達成の現状を把握し、私たち一人ひとりができる取り組みについて理解を深めましょう!この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。2022年版世界のSDGs達成度ランキングで日本は「19位」持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が公表した、2022年のSDGs達成度ランキングにおいて、日本は世界163カ国中19位でした。アジア諸国では1位となっています。このランキングではSDGsの達成度を100点満点中のスコアで示しており、2年連続トップのフィンランドが86.5点、日本は79.6点でした。アジアの中では高い評価を受けた日本でしたが、スコアで見るとヨーロッパ諸国に大きく差をつけられています。ここでは、SDGs達成度ランキングにおける日本の順位の推移と評価から、日本の課題を探っていきましょう。日本のSDGsランキングの推移SDGs達成度ランキングにおける日本の順位、そして達成度を示すスコアの推移は以下の通りです。2016年:18位(75点)2017年:11位(80.2点)2018年:15位(78.5点)2019年:15位(78.9点)2020年:17位(79.1点)2021年:18位(79.8点)2022年:19位(79.6点)2018年以降、日本の順位は低下し、スコアも最高点を更新できずにいることがわかります。この順位とスコアから見えてくる日本の課題は、2022年度時点でSDGs達成度について他国より遅れが出始めているということです。また、スコアが停滞している原因として、国内のSDGsへの取り組みが進んでいないということが考えられます。SDGsランキングにおける日本の評価SDGsでは持続可能な開発のために、経済・差別・環境など21世紀の世界が背負う課題について、17の目標を掲げています。SDGsランキングでは17の各目標について、「達成済み」「課題が残る」「重要な課題がある」「深刻な課題がある」の4段階で評価されました。それでは、日本の各目標の評価状況を確認してみましょう。【達成済み】目標4:質の高い教育をみんなに目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう目標16:平和と公正をすべての人に【課題が残る】目標1:貧困をなくそう目標3:すべての人に健康と福祉を目標6:安全な水とトイレを世界中に目標8:働きがいも 経済成長も目標11:住み続けられるまちづくりを【重要な課題がある】目標2:飢餓をゼロに目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに目標10:人や国の不平等をなくそう【深刻な課題がある】目標5:ジェンダー平等を実現しよう目標12:つくる責任 つかう責任目標13:気候変動に具体的な対策を目標14:海の豊かさを守ろう目標15:陸の豊かさも守ろう目標17:パートナーシップで目標を達成しよう2021年の調査で「深刻な課題」とされる目標は5つでしたが、2022年では、新たに「目標12:つくる責任 つかう責任」が「深刻な課題」に引き下げられました。また、2021年から引き続き、ジェンダー平等や環境関連の目標が「深刻な課題」のままとなっています。この評価から、日本が2023年度以降に優先的に解決するべき課題は、性別による差別や気候変動に与える影響、資源の使いすぎであることが見えてきました。日本の課題となっている6つのSDGs目標日本で「深刻な課題がある」と評価された6つの目標について、具体的な内容と日本の現状を見ていきましょう。目標5:ジェンダー平等を実現しよう目標5では、すべての人が性別に関わらず能力を最大限発揮できる社会を目指しています。日本で特に問題視されているのは、政治・経済面での男女格差です。2022年の日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中116位であり、企業の管理職や国会議員に占める女性割合の低さが低評価につながったと考えられます。目標12:つくる責任 つかう責任目標12では、資源の使いすぎとゴミの増加を防ぐことで、持続可能な生産と消費を目指しています。日本では食品ロスが特に大きな問題で、2022年には522万トンもの食品が廃棄されました。また、産業廃棄物のリサイクル率が他の先進諸国と比べて大きく下回っている問題もあります。目標13:気候変動に具体的な対策を目標13では、地球温暖化による気候変動の影響を軽減し、また気候変動による災害から復興する力を備えることを目指しています。2020年の日本の温室効果ガス排出量は11億5,000万トンで、世界ワースト5位でした。環境省によると新型コロナの感染拡大で排出量は減少しましたが、経済活動の回復とともに再び高まると見込まれています。目標14:海の豊かさを守ろう目標14では、水質の向上や海の生態系を保護するため、海洋汚染を防ぎ、海洋資源を持続的に開発することを目指しています。日本では、プラスチックなどの廃棄物による海洋汚染が問題視されています。環境省の調査によると、海洋ゴミの約3分の2が、漁具・発泡スチロール・ペットボトルなどのプラスチックであることがわかりました。目標15:陸の豊かさも守ろう目標15では、陸上の生態系の保護、また森林のような資源の持続可能な利用を目指しています。日本では地方の森林伐採がもたらす生態系の破壊が問題になっています。さらに林業の担い手の高齢化により、定期的に森林を管理できる人が減っているのが現状です。目標17:パートナーシップで目標を達成しよう目標17では、SDGsの実施手段を世界中でシェアし、国・政府・企業・自治体・個人の間におけるパートナーシップの強化を目指しています。株式会社アスマーク調べによると、日本ではSDGsに対する認知度がアメリカ・中国に比べ高いものの、情報収集や関連企業の応援には消極的という結果が出ました。企業は様々なSDGsの取り組みを実施していますが、政府との連携が不十分であるために情報が行き渡っていないと考えられます。日本国内におけるSDGsの課題解決に向けた取り組み日本の課題となっているSDGs目標を達成するために、政府・企業でどのような取り組みが行われているのか見てみましょう。政府のSDGs推進本部が策定した、SDGs実施のために政府や企業などが行う取り組みの具体的な方針をまとめた「SDGsアクションプラン」を参考に、取り組みをご紹介します。ジェンダー問題に対する取り組み「目標5:ジェンダー平等を実現しよう」達成に向けた取り組みを見ていきましょう。アクションプランでは、女性の積極的な登用・「生理の貧困」への支援・女性デジタル人材の育成など、女性の活躍をサポートする方針を取り決めています。厚生労働省厚生労働省は2016年に「女性活躍推進法」を施行しました。女性活躍推進法は、労働者数が301人以上の事業主に対して、採用者に占める女性比率や勤続年数の男女差を把握し公表するよう義務付けています。また2019年の法改正により、2022年からは、労働者数が101〜300人以内の事業主も対象となりました。日本IBM株式会社日本IBM株式会社は、女性の活躍を推進するため、1998年に女性社員を中心に「Japan Women’s Council(JWC)」を発足しました。JWCはこれまでに、以下のような取り決めを実行しました。・役員・理事以上の部門長は、後任候補に必ず女性を含める・女性管理職育成プログラムを実施する2018年時点でIBMの管理職の女性比率は14%であり、2024年末までにこの比率を22%にするという目標を掲げています。 持続可能な生産・消費に関する取り組み「目標12:つくる責任 つかう責任」達成に向けた取り組みを見ていきましょう。アクションプランでは持続可能な生産・消費を促進し、「食品ロス量を2030年までに489 万トンまで低減する」という具体的な方針を掲げています。消費者庁消費者庁は「食品ロスの削減の推進に関する法律(食品ロス削減推進法)」を2019年に施行しました。この法律は食品ロスを減らすために、国・地方公共団体・事業者・消費者の役割を規定しています。政府はこれに基づき、消費者や事業者に向けて食品ロスの現状を記したリーフレットの作成・配布に努めています。また、消費者庁は料理レシピサービス「クックパッド」に消費者庁専用ページを開設し、「食品ロス削減レシピ」の募集・提供に取り組んでいます。株式会社セブン&アイ・ホールディングス株式会社セブン&アイ・ホールディングスでは、食品廃棄物削減のためにバラ売りや量り売りを実施しています。顧客が必要な分だけを購入できるようにすることで、食品ロスの削減につながります。また、イトーヨーカドー・ヨークベニマルの店頭にペットボトル自動回収機を設置し、廃棄物のリサイクル率向上に貢献しています。気候変動や自然環境への取り組みアクションプランでは、環境問題に関わる次の3つの目標について、以下の方針を掲げています。・「目標13:気候変動に具体的な対策を」について2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること)を達成する、クリーンエネルギー分野に大胆な投資を行う ・「目標14:海の豊かさを守ろう」廃棄物を処理する過程でプラスチックゴミを回収することやリサイクルの徹底、海洋生分解性プラスチック(海の中で微生物が二酸化炭素と水に分解できるプラスチック)の開発・「目標15:陸の豊かさも守ろう」地方公共団体や森林所有者等が行う森林の整備や、植林・間伐に必要となる森林内の作業道の整備に対する支援環境省環境問題への取り組みとして、環境省は「地球温暖化対策計画」を2021年に閣議決定しました。具体的な取り組みとして、電気自動車などの次世代自動車の普及や、LEDなどの省エネにつながる機器の普及を挙げています。また、温室効果ガス削減の進捗管理を厳格に行い、3年ごとに計画の見直しを検討するとしています。株式会社SUSTAINABLE JAPAN株式会社SUSTAINABLE JAPANは海洋汚染を防ぐため、海洋浮遊ゴミ回収機「SEABIN(シービン)」の普及を進めています。「SEABIN」は海水を取り入れて機械の中で濾過し、マイクロプラスチックなどの海洋ゴミを一度の稼働で20キロも回収することができます。アート引越センター株式会社アート引越センター株式会社は、手書きの見積書をタブレットを使用して電子化することで、「ペーパーレス化」を進めています。また、燃費が良いクリーンディーゼル車の利用で、CO2排出削減を目指しています。パートナーシップに関する取り組み最後に「目標17:パートナーシップで目標を達成しよう」に向けた取り組みについてです。アクションプランでは、有識者・民間企業・国際機関などの関係者が集まるSDGs推進円卓会議を中心に、国内外のあらゆる関係者との連携を目指しています。また、国民一人ひとりがSDGsを自分ごととして捉えられるよう、政府と民間の連携を深めSDGsの認知度を高めることを目標にしています。公益財団法人 日本ユニセフ協会ユニセフは日本政府と連携して、公平性を掲げ格差の是正に取り組んでいます。政府はユニセフの要望で、SDGs実施指針にユニセフが重視する「子どもの貧困の削減」や「子どもに対する暴力の根絶」を含めました。関西大学関西大学は様々な企業や自治体と連携して、幅広いSDGsの目標に取り組む「関西大学SDGsパートナー制度」を制定しました。NPO法人Blue Earth Projectなどがこの制度に登録し、エコ啓発のイベントの共同開催などを通してSDGsの認知度拡大に努めています。目標達成のために私たち一人ひとりができること政府・企業が日本のSDGsの課題に対してどのような対策を実施しているかご紹介しましたが、目標を達成するためには私たち一人ひとりの行動も重要です。ここからは、個人ができる具体的な取り組みを見ていきましょう。SDGsへの理解を深めるこの記事でご紹介した政府や企業の取り組みはほんの一部に過ぎません。まずはアクションプランで政府が掲げる具体的なSDGsの方針を確認し、国内で行われている取り組みについて調べましょう。さらに、SDGsに取り組む企業や団体はSNSで活動を発信している場合もあり、個人でできる取り組みの参考になります。「いいね」やTwitter上の「リツイート」でこうした活動をシェアすることは、企業や団体への支援にもつながります。地域に貢献する地域社会に貢献することもSDGsの有用な取り組みの一つです。個人ができる身近な取り組みとして、ゴミ拾いがあります。街中で見かけるポイ捨てされたゴミは、街の環境悪化につながり、放置すると水路や河川を通じて海に流出することもあります。私たちがポイ捨てされたゴミを回収することで、「目標14:海の豊かさを守ろう」や「目標11:住み続けられるまちづくりを」の達成に貢献することができるのです。また、ポイ捨てされるゴミにはペットボトルや缶もあります。これらを収集してリサイクルにつなげることで、「目標12:つくる責任 つかう責任」を進めることもできるのです。ボランティア団体やNPO法人を支援するSDGsに関連する活動をしているボランティア団体やNPO法人は日本にたくさんあります。「子ども食堂」は地域や自治体が中心となり、子供たちに無料または安価で食事を提供する活動です。地域の子ども食堂に食材や調理器具、調味料などを寄付をすることで、「目標12:つくる責任 つかう責任」の課題解決に繋がります。また、NPO法人エコキャップ推進委員会はプラスチックゴミ削減のため、50,000社を超える企業・団体からペットボトルのキャップを集め、リサイクル製品に変えています。SDGsが掲げる、資源の持続可能な利用と海洋汚染の防止という二つの目標達成に尽力しているのです。こうした活動に参加することが難しい場合は、寄付という支援の形もあります。現在様々なボランティア団体やNPO法人がSDGsに関わる活動を展開し、個人ができる支援を公開しているので、気になる活動があるかチェックしてみましょう。SDGs活動に興味がある方は「Socialgoo」がおすすめSDGsに関する活動をもっと知りたいという方には「Socialgoo(ソシャグ)」がおすすめです。Socialgooは参加型メディアであり、ボランティア活動や地域貢献の情報共有ができます。日本が抱える課題やその解決のための取り組みについても紹介されているので、記事を参考にSDGsに関する理解を深め、個人でできる活動を探してみましょう。ぜひ会員登録をして他の記事もチェックしてみてください!まとめ2022年のSDGsランキングと達成度の評価から、日本にはいまだ深刻な課題が残されていることがわかりました。政府や関連団体はこの課題を解決するために、多くの取り組みを実行しています。私たちもSDGsの目標達成のため、日本の現状を把握し、個人ができる取り組みを実践していきましょう!

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【2022年SDGs達成度】ランキング上位国と日本の取り組み事例も紹介!

近年テレビ番組などでもよく見かけるようになったSDGsですが、日本ではどのような取り組みが行われているのでしょうか?そして、そもそも日本ではどのくらいの目標が達成できているのか気になりますよね。そこでこの記事では、世界のSDGs達成度ランキングを取り上げ、ランキング上位の国々の取り組みや、気になる日本の取り組み事例をご紹介します。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。2022年の日本は世界で19位!SDGs達成度ランキングとは?SDGs達成度ランキングとは、各国のSDGsの取り組みを100点満点で点数化し、ランキング化したものです。ランキングは、国際的な研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」が作成した「持続可能な開発報告書(Sustainable Development Report)」で発表されています。2022年度版のランキングでは、日本の順位は世界163カ国中19位、アジアでは1位でした。世界163カ国中19位と聞くと、それほど悪くはない気がしますよね。では、日本以外で上位にランクインしたのはどの国なのでしょうか?次の「達成度ランキング1〜20位」で20位までにランクインした国をご紹介します。達成度ランキング1~20位2022年度版SDGs達成度ランキング1〜20位は以下の国々です。1位 フィンランド2位 デンマーク3位 スウェーデン4位 ノルウェー5位 オーストリア6位 ドイツ7位 フランス8位 スイス9位 アイルランド10位 エストニア11位 英国12位 ポーランド13位 チェコ14位 ラトビア15位 スロベニア16位 スペイン17位 オランダ18位 ベルギー19位 日本20位 ポルトガル実は20位までにランクインしているのは、日本を除くとヨーロッパの国々だけです。このことから、ヨーロッパの国々はSDGsに高い関心を持ち、行動に移していることがわかります。とくに1〜4位に北欧の国々がランクインしたのは、北欧ではSDGsの取り組みが率先して行われているためだと考えられます。後ほど、「達成度ランキング上位の国の取り組み事例」でこれらの国々の先進的な取り組みをご紹介します。これまでの日本のランキング推移日本のランキングの推移は以下の通りです。2016年:18位2017年:11位2018年:15位2019年:15位2020年:17位2021年:18位2022年:19位日本の順位は近年下がり続けています。その理由は、いまだに多くの「深刻な課題」が残されているからです。日本が抱える「深刻な課題」について、詳しくは「日本は6つの目標に『深刻な課題』|目標別の対策事例」でご紹介します。世界全体の達成状況世界全体のSDGsの達成状況はどうなっているのでしょうか?世界各国の達成度の平均点を見てみると、2019年までは進展していたのですが、実は2020年以降は66点で停滞しているのです。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって経済が停滞しているため、貧困や経済成長が課題となっていたり、環境問題への取り組み具合が遅れていたりしています。また、ロシアによるウクライナ侵攻などの軍事衝突によって、安全保障やエネルギー価格の上昇なども懸念されており、さらに平和や格差問題に取り組むことが課題となるでしょう。世界全体でSDGsの達成状況が停滞しているなか、ランキング上位の国々はどのようなことに取り組んでいるのか、次にご紹介します。達成度ランキング上位の国の取り組み事例1位:フィンランド「世界一幸せな国」としても知られているフィンランドではこのような取組みが行われています。・SDGsスタートアップへの資金提供フィンランドでは、SDGsスタートアップがたくさんあります。SDGsスタートアップとは、SDGsに配慮した技術を活かそうとしている新興企業のことです。SDGsスタートアップがたくさん生まれる背景には、フィンランド政府直営の研究所「フィンランド技術研究センター(VTT)」があります。VTTが投資したり、研究機器を貸し出したりすることで、SDGsスタートアップが活発になっているのです。・レスポンシブルツーリズム(出典:Visit Finland)レスポンシブルツーリズムとは、「責任ある観光」と訳され、「観光に携わる人はその土地の環境や文化に与える影響に対して責任を持つべきだ」という考えです。国が定めた基準に則り、サステナブルな取り組みをしているホテルや旅行会社には「サステナブル・トラベル・フィンランド」という認証が与えられます。この認証があるかどうかで観光客の行動が変わるため、観光業界は環境や文化の保全に積極的に取り組んでいます。2位:デンマークデンマークは食のSDGsに力を入れています。・オーガニックフードの普及デンマークでは、オーガニックフードが学校給食でも使われるほどに広く普及しています。オーガニックフードは、強い農薬や化学肥料を使用しないため、土壌や河川に対する環境負荷が低いことが特徴です。・食品ロスの削減デンマークでは、食品ロスの削減に向けて、様々なサービスがあります。例えば、余った食品を専用のアプリからリーズナブルに提供するサービスや、他の店では廃棄される、パッケージ破損・賞味期限切れなどの食品のみを扱うスーパーがあります。3位:スウェーデン環境にも人にも優しい国を目指しているのが、スウェーデンです。・女性の社会進出のための法整備スウェーデンでは、例えば大臣の半数が女性であるなど、政治や企業の場で女性が多く活躍しています。また、育児休暇を取得した後も元の職場に復帰できるように法律に定められているため、女性の社会進出がしやすくなっています。他にも、父親のみしか使用できない育児休暇が90日分あるなど、男性の子育て支援にも国として取り組んでおり、男性の育休取得率は約8割に迫っています。(出典:内閣府)これらの取り組みにより、母親だけに任せることなく、育児をすることができる環境が整っています。・ゴミの再利用スウェーデンで出されるゴミの99%がリサイクルされたり発電に使われたりしています。ゴミがきちんと再利用されるとわかっているからこそ、積極的なゴミの分別にもつながっています。4位:ノルウェーノルウェーは環境に優しい街づくりを目指しています。・電気自動車の普及実は、ノルウェーの新車販売数に占める電気自動車の割合は2022年には79.3%にもなっています。同年の日本の1.4%と比べると、とても高い割合です。ノルウェーでは、電気自動車に対する税制上の優遇を行うなど、国として電気自動車を普及させようと取り組んでいることが、高い割合となっている理由のひとつです。(出典:ノルウェー|欧州代替燃料観測所|EU)(出典:燃料別販売台数(乗用車)|一般社団法人 日本自動車販売協会連合会)・「カーフリー」政策首都オスロでは都市部への車の出入りを制限する「カーフリー」政策が行われています。市内を走る車が少ない分、歩行者天国が多く、自転車専用レーンの整備もすすめられています。このような取り組みが評価され、オスロ市は環境改善に取り組む都市として、「欧州グリーン首都賞」を2019年に受賞しています。5位:オーストリアオーストリアは脱炭素政策が積極的に行われています。・再生可能エネルギーの使用オーストリア政府は以下の目標をかかげています。2040年までに温室効果ガス排出実質ゼロ2030年までに国内で生産される電力をすべて再生可能エネルギーで賄う実際に、全発電量のうち再生可能エネルギーが占める割合は、すでに80%近くに達しているのです。アルプス山脈やドナウ川など、水資源に恵まれているため、水力発電の割合が大きく、総発電量の60%となっています。水力発電を重視した政策が長年行われてきた結果、オーストリアは脱炭素先進国となったのです。(出典:2021年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報)|特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所)日本は3つの目標が「達成済み」|目標別の取り組み事例日本は、目標4・9・16の3つが「達成済み」とされています。これら3つの目標に関連のある、企業や団体の取り組み事例を紹介していきます。目標4「質の高い教育をみんなに」・株式会社リクルートリクルートが提供する「スタディサプリ」は、「教育環境格差の解消」をミッションに掲げています。場所や環境を選ばないオンラインでの学習サービスが広まることで、どこにいても高品質な教育を受けることができます。・SMBC 日興証券株式会社SMBC 日興証券は、各世代のニーズに応じた金融経済教育を行っています。金融経済教育の提供を通して、正しい資産形成、さらには健全な資本市場の実現に貢献していくことを目標としています。目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」・NTTインフラネット株式会社NTTインフラネットは、浸水情報をリアルタイムで知らせる浸水検知システム(GAIA FITS®︎)を提供しています。このシステムによって、現地に直接調査をしに行かなくても、浸水状況をリアルタイムで把握できるようになります。・長野県伊那市(出典:伊那市)長野県伊那市では、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しています。例えば、「ぐるっとタクシー」というサービスでは、乗合タクシーを使いたい住民が出発地と目的地を指定すると、そこまでの経路をAIが自動で計算し、配車します。この乗合タクシーが、免許証を返納し、移動手段がなくなってしまった高齢者の移動手段として生活を支えています。このほかにも、モバイルクリニックや、ドローン、自動運転等のテクノロジーを活用することで、誰もが幸福な生活を送ることができる「しあわせのまち」を目指しています。目標16「平和と公正をすべての人に」・株式会社飯島産業ユニフォームや制服の企画・製造を行う飯島産業は、「フェアトレード」に取り組んでいます。フェアトレードとは、途上国で作られる原料や製品を適正な価格で購入し、途上国に住む人の生活改善や自立を目指す公平・公正な貿易のことです。飯島産業は国際フェアトレード認証コットンを使用したユニフォームを供給しています。・日本航空株式会社(JALグループ)JALグループは2019年に「JALグループ人権方針」を制定しました。また人権への想いとして、ホームページに以下の文章を掲載しています。JALグループは、事業活動を通して、すべての人権が尊重され、安心して活躍できる社会の実現を目指しています。(出典:人権の尊重|サステナビリティ|日本航空株式会社)航空機内での人身取引の防止に努めているほか、ハラスメントや長時間労働のない職場に向けて取り組んでいます。日本は6つの目標に「深刻な課題」|目標別の対策事例「達成済み」とされた目標がある一方、以下の6つの目標は、日本が抱える「深刻な課題」とされています。これらの目標に対して、達成に向けてどのような取り組みが行われているのか、ご紹介します。目標5「ジェンダー平等を実現しよう」・エスビー食品株式会社エスビー食品は、人材の多様化を推進するために「S&Bポジティブアクション」を制定しました。その中では、労働時間の是正のために平均総実労働時間の目標が定められていたり、ジェンダー平等のために女性管理職比率や女性採用比率の改善などが定められたりしています。産休・育休取得者対象セミナーや事業所内保育園の設置など、育児と仕事の両立を支援する取り組みも多くあります。人材の多様化のために、誰もが働きやすい環境づくりを目指しているのです。(出典:組織の人材多様化推進|サステナビリティ|エスビー食品株式会社)・アクセンチュア株式会社アクセンチュアでは、ジェンダー平等を目指して、男性育休ロールモデルを社内報で取り上げたり、女性社員のキャリア意識向上のための研修をしたりしています。また、2006年に女性社員が最大限の能力を発揮して活躍できるようにするために、所属や役職を越えた組織である「Japan Women's Initiatives(JWI)」が発足しました。これらの取り組みの結果、2021年に日経WOMAN「女性が活躍する会社Best100」で総合1位を受賞しました。(出典:平等の文化のある職場環境を目指して|インクルージョン&ダイバーシティ|アクセンチュア株式会社)目標12「つくる責任 つかう責任」・株式会社ファーストリテイリングユニクロなどを運営するファーストリテイリンググループは、「服のチカラを、社会のチカラに。」をビジョンに、商品のリユース・リサイクル活動をしています。まだ着られる服は世界の難民・国内避難民などへ寄贈しています。着られなくなった服は、新しい服の原材料や、固形燃料などの産業用資材にリサイクルしています。(出典:サステナビリティ|株式会社ファーストリテイリング)・株式会社コークッキング株式会社コークッキングが運営するTABETEは、飲食店で余ってしまった食品を消費者である「食べ手」につなげるサービスです。売れ残りの食品は廃棄されることが多いですが、TABETEで呼びかけて買ってもらうことで、食品ロスを減らせます。TABETEでは値引きをしている飲食店もあるので、消費者もお得に食べられます。つくる側もつかう側もメリットを感じながら、SDGsに貢献できるサービスです。目標13「気候変動に具体的な対策を」・パナソニック ホールディングス株式会社(出典:パナソニックホールディングス株式会社)パナソニックは、2050年までに「創るエネルギー」が「使うエネルギー」を超えることを目標にしています。具体的には、脱炭素エネルギーの普及のため、3種類の電池を組み合わせた自家発電の実証に取り組んでいます。また使うエネルギーの削減のため、商品の省エネ性能の向上にも取り組んでいます。・ダイキン工業株式会社ダイキン工業は、オゾン層の破壊や地球温暖化を防ぐために、次世代冷媒の実用化を推進しています。冷媒とは、エアコンや冷蔵庫などに使われている、熱を運ぶガスです。かつて使われていた「HCFC」や「HFC」という冷媒はオゾン層の破壊や地球温暖化の原因になっていました。ダイキン工業はこれらの代わりに低温暖化冷媒である「R32」を採用し、地球温暖化防止に取り組んでいます。目標14「海の豊かさを守ろう」・株式会社商船三井商船三井は海洋汚染防止のため、船舶の廃棄物や不要な油を船内で分別・処理しています。またプラスチックごみを陸に持ち帰ることを徹底しており、海中のマイクロプラスチック(微小なプラスチック粒子)も、船舶に装置を搭載して回収しています。・シャボン玉石けん株式会社シャボン玉石けんは、企業理念として「健康な体ときれいな水を守る」を掲げており、無添加せっけんを製造しています。一般的な石けんには、合成界面活性剤や香料・着色料などの添加物が入っていることが多いです。しかし同社の無添加石けんは、排水として海や川に流れ出ても、微生物や魚のエサになる環境にやさしい石けんです。目標15「陸の豊かさも守ろう」・住友林業株式会社(出典:住友林業株式会社)住友林業は、高層建築への木材活用に取り組んでいます。実は国産材の供給量は、木の年間成長量の20〜25%に留まっており、森林資源の余剰分が年々増加しています。同社は、高さ350mの木造超高層建築物を2041年に実現する「構想W350計画」を2018年にまとめました。この計画では、同社の木造住宅の約8,000棟分に相当する、185,000㎥もの木材を使用します。木材を適切な量だけ使うことで、森林の状態をよくすることができます。そのためには、木材を高層建築にも活用していくことが求められています。(出典:街を森にかえる環境木化都市の実現へ木造超高層建築の開発構想W350計画始動|住友林業株式会社)・株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所ソニーコンピュータサイエンス研究所は、砂漠化が進んだ土地を回復させ、農地にする取り組みをしています。この取り組みでは、種と苗以外一切持ち込まず、植物の特性を生かして生態系をつくっていく「協生農法」という方法を実践しています。2015年から、アフリカのブルキナファソにある砂漠化した土地で協生農法を導入したところ、1年間で砂漠化を逆転させ、森林生態系の回復に成功しました。目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」・博報堂DYグループ×JANIC博報堂DYグループとJANIC(特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター)は、身の回りにあるお願いにSDGsに関する「ひとこと」を加えた、「ひとこと多い張り紙」を作成しました。例えば、目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」を題材にした張り紙には、「電気の使えない生活に想いを馳せながら 退室時には消灯してください」というメッセージが書かれています。(出典:ひとこと多い張り紙|SDGs理解促進ツール|JANIC)「ひとこと多い張り紙」は、SDGs理解促進ツールとして利用してもらえるように、JANICのホームページにて無償で公開されています。・ヤマハ株式会社ヤマハは、器楽演奏体験を提供する「スクールプロジェクト」をインドで実施しています。インドは人口が多く市場としても大きいですが、実は公教育のカリキュラムに音楽教育がありません。同社はプロジェクトを通して、インドの子どもたちが音楽にたくさん触れられるように取り組んでいます。SDGs活動に興味がある方は「Socialgoo」がおすすめSDGsに関する活動をもっと知りたいという方におすすめな「Socialgoo(ソシャグ)」。ソーシャルグッド(社会にとって良いサービスや活動)に特化したメディアであり、プロボノやSDGsへの取り組み事例など様々な情報を掲載中です。ぜひ会員登録をして他の記事もチェックしてみてくださいね!まとめ日本のSDGs達成度ランキングは19位でした。ランキング上位の国では、政府・企業・国民が力を合わせている取り組みが多く、皆で手を取り合って達成を目指すことが大切と言えそうです。また取り組みに直接参加しなくても、SDGsに取り組んでいる企業・団体の商品やサービスを積極的に選ぶことでも、SDGsに貢献できます。より多くの方がSDGsに関心をもち、購入や参加によってSDGsに取り組むことが、達成度ランキングの順位を上げるためには必要そうです。

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SDGs目標1「貧困をなくそう」の取り組み事例と私たちにできること

日本ではおよそ6人に1人が「貧困」状態にあると知っていますか?SDGsでは「誰一人取り残さない」という原則があるにもかかわらず、今の社会では格差が開いており、この原則からかけ離れた状態になっています。日本でも問題となっている貧困や格差をどのようになくしていくのか、一緒に考えていきましょう。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。SDGs目標1「貧困をなくそう」とは?SDGs目標1「貧困をなくそう」には「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」という目標が掲げられています。貧困は「発展途上国」と呼ばれている地域だけではなく、先進国にもあります。貧困には金銭的な貧しさのイメージがあるかもしれませんが、それだけではなく、教育や医療などのサービスが受けられていない、公正な権利がないといったことも含まれています。SDGsはこれら全ての貧困に終止符を打つことを目標としています。SDGs目標1で設定されている7つのターゲットSDGs目標1「貧困をなくそう」の7つのターゲットは次の通りです。1.12030 年までに、現在 1 日 1.25 ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。1.22030 年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。1.3各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。1.42030 年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。1.52030 年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。1.aあらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。1.b貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。(出典:外務省「持続可能な開発のための2030アジェンダ(仮訳)」)世界的には「1日1.25ドル未満で生活する人々」と具体的に定義された貧困を終わらせ、各国ではその国ごとの貧困層を半減させることが目指されています。ちなみに、この目標ができたときには1日1.25ドルだった基準が、物価変動によって、2015年10月には1日1.90ドル、2022年9月には1日2.15ドルに変更されています。また、目的を達成するために、必要な支援や保護を受けられるようにすること、経済的資源について平等な権利を与えること、災害時の脆弱性を軽減させることが求められています。貧困問題に対する世界や日本の取り組みこれらの目標に対して、実際にどのような取り組みが行われているのでしょうか?世界や日本の取り組みを見ていきましょう。世界の取り組み・グラミン銀行のマイクロファイナンスバングラデシュにあるグラミン銀行は、貧困層を対象にした比較的低金利の無担保融資(マイクロファイナンス)を行っています。通常の銀行だと、ある程度の資産がなければ融資を受けることができません。資産がほとんどない状態では、地主などから高い金利でお金を借りるしかなく、その利子のせいでさらに貧困になってしまうという悪循環に陥ってしまっていました。しかし、グラミン銀行は返済能力があるかわからない貧困層、特に女性に融資を行いました。定期的に銀行員が顧客のもとに赴き、融資や貯蓄の手続きをするだけではなく、顧客の生活も改善させていました。その結果、借金の返済が促されるため、グラミン銀行は利益を上げることに成功しました。グラミン銀行はバングラデシュの貧困層の生活を改善させるとともに、企業としても成功したのです。日本の取り組み・株式会社ジモティー誰かがいらなくなったものを、無料あるいは低価格でもらうことができるサービスで有名なジモティー。ジモティーのユーザー調査によると、日本のひとり親世帯の約45%(約65万世帯)が利用しているそうです。この調査結果を受けて、2020年にはひとり親家庭へ使っていないものを譲った方に対して、ギフト券を配布する「ひとり親家庭応援キャンペーン」を実施しました。また、2018年にはひとり親家庭を優先に物品の受け渡し会を開催しています。子どもたちの貧困をなくすことを目指し、ひとり親に対する支援を続けているのです。(出典:スタッフブログ|ジモティー)貧困に対して個人でできること先ほどご紹介した取り組みは、企業の取り組みでした。では、私たち一人ひとりが貧困に対して何ができるか考えていきましょう。貧困についての現状を知る貧困に対して何かしたい!と思っても、貧困の現状がわからないと何をすればよいか悩みますよね。何か行動を起こす前に、まずは貧困の現状を知るところから始めると良いでしょう。この記事でも後ほど、貧困について解説し、貧困問題の現状をご紹介するのでぜひご覧ください。支援団体への寄付や募金行動に移しやすい取り組みは、寄付や募金でしょう。しかし、支援団体がたくさんありすぎて、どこに寄付したらよいのかわからない方もいるのではないでしょうか?そこで、寄付や募金を行う支援団体の選び方をご紹介します。どんなひとを支援したいか一口に支援団体といっても、団体ごとによって目的とする支援先が変わります。例えば、難民を助ける会(AAR Japan)であれば世界中の難民の支援、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンであれば国内外の子どもたちの支援を主要目的としています。みなさんが支援したい人に支援をしてくれる団体を探してみましょう。今までの活動実績が公開されているか集められた寄付金や募金を、どのように使っているかが一番気になりますよね。公式ホームページやパンフレットなどで、具体的な活動報告が見られるところに寄付するとよいでしょう。特定非営利活動法人(NPO法人)や公益法人などの法人格を取得しているか最後に、その支援団体が法人格を取得しているかどうかを確認してみましょう。なぜ法人だと安心かというと、法人には明確な会計を行う義務があるからです。NPO法人は情報公開が前提でかつ認証も必要であり、公益法人も国が定める基準を満たした法人だけに認められるので、とくに安心出来ると思います。国際的に認められた特定非営利活動法人はNGOと呼ばれることもあります。ちなみに、例に挙げたAAR Japanは特定非営利活動法人(NGO)、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは公益社団法人です。これら3つの判断材料を頭に入れながら、みなさんの目的に合う支援先を見つけてみましょう。ボランティアに参加金銭的な支援だけではなく、自分で直接サポートしたいと考えている方には、ボランティアがおすすめです。実は、NPO法人の4割以上が後継者不足を課題としており、6割以上が人材確保や教育を課題としているのです。また、企業との共同事業や、専門家が自らの知識を活かしてボランティア活動を行う「プロボノ」が求められていることからも、専門的な能力を持つ人が足りないことがわかります。とはいえ、求められている分野は広報・IT・マーケティングなどであり、特殊な専門性が必要なのではなく、これらの分野で経験のある人が求められているようです。そのほかにも事務作業や現地での支援活動などもあるため、ボランティアをやってみたいという気持ちがあれば、ぜひチャレンジしてみてくださいね。(出典:令和2年度 特定非営利活動法人に関する実態調査|内閣府)フェアトレード商品の購入実は、みなさんがお買い物をするときにフェアトレード商品を買うだけでも、遠く離れた発展途上国の貧困に対して、取り組みが出来るのです。フェアトレードとは、直訳すると「公平・公正な貿易」で、発展途上国でつくられる原料や製品の生産者や労働者の労働環境・賃金を保障した貿易のことです。生産者に正当な対価が支払われることで、発展途上国の人々の貧困をなくそうとしている取り組みです。このフェアトレードの基準が守られて製造され、認証を受けた製品には「国際フェアトレード認証ラベル」が付いています。おもにチョコレート・コーヒー・果物・コットン製品などに付いているので、ぜひ探してみてください!「貧困」には2つの意味がある実は「貧困」には「絶対的貧困」と「相対的貧困」という二種類の貧困があります。絶対的貧困絶対的貧困とは、地域に関係なく、最低限の生活水準が維持されていない状態です。医療や教育等のサービスが受けられていないことが多く、必要な食料品や衣服等が買えないほどに所得が低い状態にあるのです。世界銀行は、2022年10月時点で「1日あたり2.15ドル」を判断基準とし、それ以下の所得の人々を絶対的貧困者としています。相対的貧困相対的貧困とは、その地域の大多数の人々と比較して貧しい状態のことです。可処分所得の中央値の半分以下の所得の人々のことを相対的貧困者と定義しています。地域内での所得水準と比較しているため、相対的貧困率はその地域の格差を表していると言えます。日本と世界の貧困問題の現状「絶対的貧困」と「相対的貧困」の違いがわかったところで、日本と世界の貧困問題をご紹介します。日本の貧困問題日本は相対的貧困率が高く、2018年時点で15.7%、つまり、およそ6人に1人が相対的貧困なのです。とくに高齢者やひとり親世帯に多いとされており、高齢者の治療費や介護費、子どもの学費などを払うことが難しくなっていることが問題です。日本では子どもの貧困が深刻で、大学などの高等教育への進学をあきらめたり、非行や暴力をしたり、虐待を受けたりする子どももいます。また、習い事をしたり、文化施設を見学したりできないことで、経験の格差も広がっています。(出典:相対的貧困率|データブック国際労働比較2022|労働政策研究・研修機構)世界の貧困問題国連開発計画が導入した「多次元貧困指数 (MPI)」は、健康・教育・生活水準という多次元の貧困を表しています。多次元貧困層が多いのは、サハラ以南のアフリカと南アジアで、全体の84.5%がこの2地域に存在することから、貧困には地域の偏りがあることがわかります。また、この2地域のなかでも国ごとに貧困率が異なっており、地域内でも格差が大きくあることがわかっています。さらに、ジェンダーによる格差も問題となっており、例えば南アジアのアフガニスタンでは、学校に行けない女子の割合が44.0%と、男子の24.8%に対し高い数値となっています。このように、金銭面だけではない多次元の貧困が問題となっているのです。(出典:2019年グローバル多次元貧困指数|国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所公式サイト)貧困が起こる主な原因とは?では、なぜ貧困は起きてしまうのでしょうか?貧困が起きる主な原因をご紹介します。食料が届かない発展途上国では、食料があっても、適切に保管したり、長期保存のための加工技術が十分でなかったり、適切に運ぶための手段がなかったりして、食料が届かないことがあります。また、需要が大きい国に食料が流れてしまい、供給されないこともあります。十分な教育を受けられない発展途上国では、労働力として使われていたり、学校が遠くにあったり、紛争地帯だったりして、教育が受けられていない子どもが多くいます。また、ジェンダーや民族による格差もあり、国内での教育格差につながっているのです。その結果識字率が低下したり、定職につけなかったりして、貧困に陥ってしまいます。紛争や内戦紛争地域に留まって巻き込まれた人々も、そこから逃れるために難民になった人々も、生活用品が不足したり職を失ったりして生活水準が下がり、貧困に陥ってしまいます。紛争や内戦の状態では暴力が横行し、衛生状態や医療環境が悪くなり、安全ではなくなってしまうのです。自然災害地震や台風、サイクロンなどの自然災害が起きると、経済損失が発生し貧困に陥ってしまうのです。例えば、干ばつによって農作物が育たなくなったり、地震によって建物が倒壊し、住まいや仕事場がなくなったりすることもあります。親が失業してしまった家庭では子どもが労働力として使われ、教育が受けられなくなることもあるなど、自然災害のせいで別の貧困の原因を引き起こしてしまいます。まとめSDGsの目標1「貧困をなくそう」は、あらゆる場所であらゆる形態の貧困をなくすことを目標にしています。世界には健康・教育・食料などが十分でないところも多くあり、絶対的貧困の状態でなくても、生活に困っている人がたくさんいます。そして、日本では相対的貧困率が高いことが問題となっています。このような現状を理解し、みなさんができることから取り組むことで、貧困を抱える人々の支援につながり、世界から貧困をなくすことに近づくのではないでしょうか。

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SDGsと動物はどんな関係がある?目標別の取り組みは?

持続可能な社会を目指してSDGsが世界中で取り組まれるようになり、私たちの身の回りでもSDGsが身近なものとなってきました。その中でも、ペットや家畜などといった「動物」と関わる目標が存在するのはご存知ですか?SDGsという言葉は知っていても、動物との関連については意外と知らないという方も多いと思います。そこで本記事では、SDGsと動物の関係や動物に関わる目標ごとの取り組みをご紹介していきます。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。SDGsと動物の関係性SDGs(Sustainable Development  Goals)とは2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」で、今も未来も満足できるような社会を実現するために、17の目標を掲げています。以下では、このSDGsと動物との間にどのような関係があるかについて解説していきます。アニマルウェルフェア動物とSDGsの関係の中で覚えておきたい用語に、アニマルウェルフェア(動物福祉)という考え方があります。アニマルウェルフェアとは、「動物の生活とその死に関わる環境と関連する動物の身体的・心的状態」と定義される考え方のことです。(出典:農林水産省)分かりやすくいうと、「動物が生まれてから死ぬまで、心身ともに健康的で幸福な生活を送れるようにしよう」ということを意味します。この考え方はペット・実験動物・家畜などの全ての動物に適用されますが、特にSDGsと関わりが深いのは畜産分野です。家畜の生育環境を整備することで持続的な畜産経営につながり、品質の良い畜産物の供給や働く人の労働環境の改善にもつながります。このようにアニマルウェルフェアの考え方を取り入れることで、SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」や目標12「つくる責任 つかう責任」などの実現に貢献できるのです。生物多様性生物多様性の面でも、動物とSDGsには深い関わりがあります。現在の地球環境は多くの生物の関わり合いによって形成されており、生物多様性を守ることが、持続可能な社会のために必須です。しかし現在、日本では3716種もの生物が絶滅危惧種に指定されているなど、その生物多様性が失われつつあります。(出典:環境省)このような背景から、SDGsでは目標14「海の豊かさを守ろう」や目標15「陸の豊かさも守ろう」という目標のもと、生物やそれを取り巻く環境を守る取り組みを推進しています。動物と関係あるSDGsの目標別取り組み事例ここまでは動物とSDGsにどのような関係があるのかを解説してきました。ここからはSDGsの目標別に、動物に関する企業の取り組み事例をご紹介します。目標12「つくる責任 つかう責任」(出典:JAたじま)アニマルウェルフェアの観点では、イオンの「平飼いたまご」が挙げられます。現在、私たちがスーパーなどで購入する卵の多くは「ケージ式」で育てられた鶏から生産されていますが、この「平飼いたまご」は自由に動き回れる「平飼い」で育てられた鶏から生産されています。鶏の生活の質を保証しているのはもちろん、実際に美味しいという声も多く寄せられていました。生物多様性の観点からは、JAたじまの「コウノトリを育むお米」が挙げられます。コウノトリは田んぼのドジョウやカエルなどをエサに生活しますが、農薬の使用などによってそのエサがいなくなり、一時期は絶滅危惧種になるほど激減しました。そこでJAたじまのある兵庫県豊岡市は、無農薬栽培で田んぼの生物多様性を守り、コウノトリが暮らせる環境の中で米を生産しています。また、コウノトリの人工巣塔を作ったり、田んぼに水がない時期にもエサを捕まえられるように湿地やビオトープを作ったりもしています。これらの活動は、地域住民とNPO、大学などの協力のもとで取り組まれています。どちらも動物や環境に配慮した生産方法で、「つくる責任」を果たしていると言えそうです。目標14「海の豊かさを守ろう」(出典:『海を守る選択!』サステナブル・シーフードを社員食堂から拡げる - サステナビリティ - パナソニック ホールディングス)この目標に関わるものとして、パナソニックの「サステナブル・シーフード」という取り組みがあります。これは、資源管理や環境・社会にも配慮した持続可能な方法で生産された水産物「サステナブル・シーフード」を、社員食堂に継続的に導入するものです。具体的には、「MSC認証」や「ASC認証」を取得した水産物を使用しています。「MSC認証」は天然水産物、「ASC認証」は養殖水産物を対象とし、持続可能な生産物であることを示すラベルです。持続可能な方法で生産された水産物を選択することは、結果的に海の豊かさを守ることに繋がります。目標15「陸の豊かさも守ろう」(出典:生物多様性の保全 | 環境保全への取り組み | 株式会社クボタ)この取り組み事例として、農業のトータルソリューションカンパニーであるクボタの「生物多様性の保全」が挙げられます。クボタは、企業活動におけるほぼ全ての工程において環境への影響を評価し、それが最小限になるような取り組みを行なっています。他にも、事業所内の緑化活動や植樹活動など、生物多様性の保全のために幅広い活動を行っているのが特徴です。目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」この目標と関わる取り組みとしては、横浜銀行の「〈はまぎん〉SDGs動物愛護私募債」が挙げられます。これは、私募債の発行金額の0.1%を動物愛護事業に寄付するというものです。この寄付金は、飼育放棄などによって不遇な環境で生活している犬や猫の飼育環境を改善するなど、ペットと人が暮らしやすい持続可能な地域づくりに役立てられます。また、多くの企業と関わりのある銀行でSDGsの取り組みを行うことで、SDGsの輪が広がっていくことも期待されます。SDGs達成のために私たちができることここまでは、動物に関わるSDGsの企業の取り組みについてご紹介してきました。しかし、企業だけでなく個人としてもできる取り組みはたくさんあります。ここからはSDGs達成に向けて私たち1人1人にできる身近な取り組み事例をご紹介します。地産地消を意識するその地域でとれたものをその地域で消費することは、その土地の陸資源・海洋資源を守ることにつながります。逆に地域外への出荷を増やそうとすると、森林伐採や乱獲などの弊害が生まれかねません。私たちが地産地消を心がけることで、こうした弊害を起こさないことにつながるのです。アニマルウェルフェアを意識した消費活動をする上でご紹介した「平飼いたまご」のように、アニマルウェルフェアを意識して生産された製品は増えてきています。私たちがそうした製品を積極的に選ぶことで需要が増加し、結果として多くの企業や農家がアニマルウェルフェアを意識した生産をすることにつながります。商品選択の1つの基準として、アニマルウェルフェアに配慮した製品かどうかを意識してみるのはいかがでしょうか。環境保全活動や殺処分を減らす取り組みに参加する現在では、個人でも参加できるような環境保全活動などがたくさんあります。植樹活動やゴミ拾いなどは生物が暮らす環境を整備する重要な取り組みですし、犬や猫などの預かりボランティアなども殺処分を減らす取り組みの1つです。活動への参加は自身の経験にもなるほか、新たな気づきや発見もあるため、ぜひ積極的に参加してみてください。SDGs活動に興味がある方は「Socialgoo」がおすすめここまで動物が関わるSDGsについての取り組みをご紹介してきましたが、他にも取り組むべき目標、そして私たちにできることはたくさんあります。「他にはどんな目標があるの?」「取り組み事例をもっと知りたい!」とSDGsに興味を持たれた方は、本サイト「Socialgoo」がおすすめです。「Socialgoo」では、SDGsの内容や具体的な取り組みなど、SDGsに関わる様々な記事を発信しています。SDGsについてもっと知りたいと興味を持たれた方は、ぜひ「Socialgoo」をチェックしてみてくださいね!まとめ本記事では動物とSDGsの関わりや、その具体的な取り組み事例についてご紹介してきました。日本は他の国と比べても、アニマルウェルフェアへの取り組みなどが遅れていると言われています。そうした全体の意識を変えるには、私たち1人1人の取り組みが必要不可欠です。今回ご紹介した取り組み事例を参考にしながら、動物に関わるSDGsにもぜひ取り組んでみてください。

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世界のSDGs取り組み事例5選と達成度ランキングTOP10を解説

国際社会で共通の目標とされているSDGsですが、世界ではどのような取り組みがなされているかご存知ですか?2015年にSDGsが採択されてから、これまで多くの国が独自の方法でSDGs達成に向けて取り組んできました。そうした取り組みを評価するために、世界193か国を対象としたSDGsの達成度ランキングも存在します。そこで本記事では、世界で行われている取り組み事例と、SDGs達成度ランキング上位10国について解説していきます。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。世界のSDGs取り組み事例5選ここでは、具体的に世界でどのような取り組みがなされているのかを、5つの国を例に紹介します。フィンランドの取り組み事例フィンランドは、最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギーのシェアを、2030年までに51%に引き上げる目標を掲げています。また、フィンランドには「ネウボラ」という育児支援制度があります。母子ワクチンがすべて無料になったり、いつでも子育てに関して助言を受けられたりと、母親が安心して子育てできる環境づくりに貢献しています。デンマークの取り組み事例(出典:SWECO)デンマークでは「UN17 Village」という取り組みが行われています。これは、17の目標をすべて達成できるようなビレッジ(村)を建設するというものです。リサイクル建材で建設され、水道や電気も100%再生可能エネルギーを使用、居住する住人も健康で多様性に富んだ生活が出来るよう考慮されています。2023年にコペンハーゲンに完成予定で、35000平方メートルの広大な敷地に800人以上が暮らせるようになる見込みです。スウェーデンの取り組み事例スウェーデンではゴミを100種類にも分別し、徹底的なリサイクルが行われています。その結果として、ゴミの約99%をリサイクル、またはエネルギー源として再利用するのに成功しました。またスウェーデン政府は、行政機関や国営企業に対してSDGsへの取り組みを報告するよう義務化しています。報告の義務化によって各機関の意識も高まり、大きな成果に繋がっています。ノルウェーの取り組み事例ノルウェーは、国内で使用する電力の約90%以上を水力発電でまかなっています。豊富な水と険しい山々という土地の特性をうまく活用した取り組みです。さらにノルウェーは、EV車の普及率が世界一です。EV車への税制度を優遇することによって消費者の需要が高まり、多くの人が利用するようになりました。オーストリアの取り組み事例オーストリアでは、生分解性以外のプラスチック袋の使用自体が法律で禁止されています。生分解性プラスチックとは、分解されて自然に還りやすいプラスチックのことです。またオーストリアでは、国だけでなく州や地域レベルで取り組みが推進されており、国民一人一人の意識が高いといえます。世界のSDGs達成度ランキングTOP10ここまでは海外の国の取り組み事例をご紹介してきましたが、なぜこの国々を例に挙げたのか疑問に思った方もいるかと思います。それは、世界的に見てもこの5か国が優秀な成果をあげているからなんです。2022年6月2日に公開された Sustainable Development Report 2022(持続可能な開発レポート)での達成度ランキング上位10か国を見てみましょう。1位:フィンランド2位:デンマーク3位:スウェーデン4位:ノルウェー5位:オーストリア6位:ドイツ7位:フランス8位:スイス9位:アイルランド10位:エストニアご覧の通り、上記で取り組み事例をご紹介した5か国は達成度ランキングのTOP5となっています。達成度の高いこれらの国も参考にしながら、さらにSDGsへの取り組みが進むといいですね。またTOP10の国に注目すると、上位10か国はすべてヨーロッパの国であり、ヨーロッパ全体としてSDGsへの意識が高いと分かります。ただしヨーロッパ各国でも、「12.つくる責任 つかう責任」「13.気候変動に具体的な対策を」などの項目では未達成な目標も多く、項目ごとで達成度に差があるといえます。経済成長と環境保護の両立への努力がまだまだ必要だといえそうです。日本のSDGs達成度順位は?この達成度ランキングでの日本の順位は19位で、2021年度のランキング18位から、1つ順位を落とす結果となりました。「4.質の高い教育をみんなに」「16.平和と公正をすべての人に」の項目では評価が高いものの、ヨーロッパと同じく環境保護に関する項目で伸び悩んでいます。加えて「5.ジェンダー平等を実現しよう」という項目が低迷しているのが特徴です。アジア全体としてもこの項目が低い傾向にあり、環境保護と同時にジェンダー間の格差についても是正していく必要があるといえます。海外企業のSDGs取り組み事例3選ここからは具体的に、海外の企業がどんなことに取り組んでいるかの事例を3社取り上げてご紹介します。自社で取り組むときの参考にしてみてはいかがでしょうか。Apple(出典:Apple)アップルは、製品に再生可能な素材を使用したり、リサイクルしやすい製品デザインを採用したりと可能な限りエネルギー効率が高い生産を目指しています。加えて再生可能エネルギーだけで企業運営していく目標を掲げ、二酸化炭素を減らすための取り組みといった様々な地球保護活動に投資も行っています。自社製品の工夫だけでなく、運営するためにかかるエネルギーを見直したり社外の取り組みに投資をしたりと、幅広い分野でSDGsに貢献している企業です。LEGO(出典:LEGO)デンマークの玩具メーカーであるLEGOは、2030年までにレゴブロックの材料全てを持続可能な資源からできたプラスチックに変えることを目標にしています。また、製品の内袋に使われるビニール袋もリサイクル可能な紙袋に変えるという方針も示しています。このように、素材を見直して環境にやさしいものに変えていくという取り組みを行っているのが特徴です。BMW(出典: BMW)ドイツの自動車メーカーBMWは、100%の再生資源使用率と100%のリサイクルを目標としています。そのための取り組みとして使用している素材は以下の通りです。・漁網をリサイクルした素材・サボテンから作られた繊維・100%再生プラスチック などこのほかに自動車メーカーという枠を超えて、生物多様性を守るためのミツバチの養蜂にも取り組んでいます。SDGsの達成期限である2030年までの課題ここまで海外での取り組み事例について解説してきました。SDGsは達成期限を2030年としていますが、これまでの取り組みを通して「できたこと」と「できなかったこと」の差が浮き彫りになってきたのがわかります。上でも述べたように、環境保護に関する項目で特に「13.気候変動に具体的な対策を」はほとんどの国で達成できていません。2030年の期限まで折り返し地点を過ぎた今、すべての国で「本当に具体的な」対策を打ち出すことが課題となってきます。まとめSDGsに関する海外の取り組み事例を解説し、今後の課題について考えてきました。これからは世界の国々全体でそれぞれの取り組みを評価し、「できたこと」は積極的に取り入れ、「できなかったこと」への対策を立てていくことが求められます。今回の記事をきっかけに、海外で行われている取り組みにも興味を持ち、自社の取り組みや自分の行動に取り入れてみるのはいかがでしょうか。

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企業のSDGs取り組み事例10選|個人でできる身近な例もご紹介

近ごろよく耳にするようになったSDGsという言葉。しかし、実際にSDGsに取り組みたいが具体的に何をすればいいかわからない、という方もいらっしゃると思います。そこで本記事では、SDGsに関する企業の活動例や個人でもできる取り組みをご紹介します。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。企業によるSDGsの取り組み事例10選ここでは、食品・自動車・報道関連などといった幅広い分野から、10の企業の取り組みをピックアップしてご紹介します。TBS:地球を笑顔にするWEEK(画像:地球を笑顔にするWEEK|TBSテレビ)TBSが2022年10月31日〜11月6日に行った「地球を笑顔にするWEEK」は、SDGsにまつわる発信を重点的に行うプロジェクト。ニュースやバラエティなど様々な番組でSDGsを取り上げることで、より身近に感じ、楽しく実践してもらおうという取り組みです。またテレビだけではなく、ラジオ・YouTube・Twitterなどでも積極的に情報発信をしていました。くら寿司:お寿司で学ぶSDGs(画像:出張授業 お寿司で学ぶSDGs|くら寿司|回転寿司)くら寿司は、回転寿司を通して水産業や食について考える、小学生向けの出張授業を提供しています。子供たちが体験型の授業を通して現状の問題点を学び、それをどう解決するかまで考えていくという内容です。将来を担う子供たちがSDGsについて考える機会にもなるほか、一緒に参加する親御さんに企業が行う別の取り組みを知ってもらう機会にもなっています。ハウス食品:みんなでエコにチャレンジ(画像:みんなでエコにチャレンジ | Come on House(カモンハウス) | ハウス食品グループ本社の会員サイト)マロニーちゃんでおなじみのハウス食品は、食に関連して親子で一緒に取り組めるエコな活動事例を紹介しています。普段の食卓で残さず食べることの大切さや、賞味期限とは何かについてなど、子供でも実践できるような取り組みを丁寧に解説しているのが特徴です。親子で一緒に考える機会を提供することで、身近なところからのSDGsの実践を促進しています。江崎グリコ:植物生まれのプッチンプリン(画像:植物生まれのプッチンプリン | 商品ラインアップ|プッチンプリン | グリコ)食品メーカーのグリコは、卵や乳などの動物性原料を使わず、植物性原料のみで製造された「植物生まれのプッチンプリン」を販売しています。動物性原料を使用しないことで、卵・乳アレルギーの人や動物性原料を避けている人でもプリンを食べられるようになりました。また、2022年に千葉県流山市立新川小学校で、この容器を文房具にリサイクルするという体験型の出張授業が行われました。資生堂:持続可能なパッケージ開発化粧品メーカーである資生堂は、独自の容器包装開発ポリシーを制定し、持続可能な容器の開発を進めています。容器の適正化や軽量化・容器に使う素材の吟味、「つけかえ・つめかえ」を促すデザインの設計などを行い、プラスチック使用量の軽減をめざす取り組みです。くわえて、空き容器のリサイクルや環境への影響を最小限にする原材料調達など、社外との関わりにおける取り組みにも力を入れています。イオン:持続可能なカカオの調達(画像:フェアトレード認証 | 環境への取り組み - イオンのプライベートブランド TOPVALU(トップバリュ))イオンは2030年までに、自社で使用するカカオすべてを持続可能であると裏付けがとれたものへ変更するという目標を掲げています。カカオ生産の多くはアフリカの発展途上国が占めていますが、安価な取引で生産者が収入を得られず、苦しい生活を強いられているのが現状です。そこで公正な価格で取引するフェアトレードを推進することで、生産者やその国の人々の生活が守られ、長期的な事業の運用に繋がります。キリン:スリランカにおける紅茶農園支援(画像:スリランカにおける紅茶農園支援 | 原料生産地と事業展開地域におけるコミュニティの持続的な発展 |キリンホールディングス)大手飲料メーカーのキリンは、スリランカの紅茶農園が持続可能な農園認証を取得するための支援と、農園の子供たちが通う学校に書籍を寄贈する活動を行っています。2020年には、持続可能な農園認証制度「レインフォレスト・アライアンス認証」を受けたスリランカの農園のうち、約30%がキリンの支援によって認証されました。また、書籍はすでに200校に寄贈され、子供たちの教育水準向上と農園の安定した運営に貢献することが期待されています。トヨタ:トヨタの森(画像:トヨタ | トヨタの森)トヨタは、多様な生物の暮らす里山環境を整備し、森の継続的な調査や自然を楽しく学ぶ教育活動を行っています。トヨタの森には動物400種以上・植物450種以上が生息し、中には絶滅危惧種に指定されている珍しい種も生息するなど、生物多様性の保全に貢献しています。さらに、多くの体験プログラムが用意されており、森に訪れる人が自然をより身近に感じられるような工夫もなされています。アクセンチュア:ジェンダーダイバーシティ大手コンサルティング会社のアクセンチュアは、「平等で多様性を受け入れる企業文化」を目指した様々な取り組みを行っています。中でもジェンダーバランスの取れた職場環境の構築に力を入れ、現在では27万人以上の女性が活躍しています。2021年には日経WOMAN「女性が活躍する会社Best100」で総合1位を受賞しており、この先2025年までに、社員の男女比を1:1にすることも目指しています。ソフトバンク:ダイバーシティの推進ソフトバンクは、多様な人材が個々の能力を発揮できる環境の整備に取り組み、公正な評価に基づく役職や処遇の決定を行っています。女性の活躍推進はもちろん、障がい者採用やLGBTQに関する取り組みなどを通して、会社全体としてダイバーシティの推進を目指しています。結果として女性活躍に関する取り組みが優良な企業と認定され、PRIDE指標(LGBTQに関する取り組みの評価指標)における最高位を2017年から6年連続で受賞しています。なぜ企業はSDGsに取り組むべきなのかここまで各企業の取り組みをご紹介してきましたが、そもそも企業がSDGsに取り組むのはなぜなのでしょうか。ここからは、企業がSDGsに取り組むべき理由を5つご紹介します。企業価値・企業イメージの向上企業の社会的責任(CSR)が求められている今、SDGsに取り組むことは、企業イメージを大きく向上させてくれます。世間の約7割の人が、企業の「SDGs」に対する取り組みを知るとその企業の好感度が上がると回答しました。(出典:カウネット)またSDGsに取り組むことで、上で紹介したアクセンチュアやソフトバンクのように労働環境が整備され、従業員のモチベーションアップにも繋がります。くわえて、SDGsに注力する企業に対して取り組みの効果を尋ねた調査では、企業イメージの向上が37%で最も多く、次いで従業員のモチベーションの向上が31%でした。(出典:帝国データバンク)このように、SDGsへの取り組みは企業価値を高める効果があります。ビジネスチャンスに繋がる環境省によると、SDGs によってもたらされる市場機会の価値は年間12兆ドル、2030年までに世界で創出される雇⽤は約3億8000万⼈との数値が出ています。また、環境(environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に配慮する企業に投資を行うESG投資が拡大しています。SDGsに取り組むことでこうした投資を受けやすくなり、より多くの資金の調達が可能になるのです。このように、SDGsに関する経済規模は大きく世界規模でマーケットが展開されているため、新たなビジネスチャンスとなりうるでしょう。さらに、SDGsへの取り組みをきっかけに新たな取引相手がみつかったり、新規顧客を獲得することができたりと、今までになかった事業を実現できるかもしれません。採用力の強化SDGsへの取り組みは、優秀な人材を確保するうえでも重要です。学生の約7割弱、20代転職希望者の約半数が、就職活動において企業がSDGsに取り組んでいることを知ると「志望度があがる」と答えました。(出典:株式会社学情)一方で「その中身が重要」との声もあり、取り組みの内容までしっかりと充実させることが求められています。事業継続に繋がる持続可能な社会を目指すSDGsの考え方を事業に取り入れることで、事業自体も長期的に継続していけるようになります。たとえば、先ほど紹介したイオンの「持続可能なカカオの調達」では、生産者を守ることで長期的な事業の運用を可能にしています。また、SDGsへの取り組みが他社との事業取引となる可能性もあり、こうした面でもSDGsに取り組むことは事業継続に繋がります。コスト削減企業全体で省エネルギーを推進することや、ペーパーレス化をすることなど、SDGsの取り組みをすることでコスト削減に繋がることもあります。また上で紹介したように、SDGsへの取り組みは従業員のモチベーションアップにも関わります。従業員のモチベーションを向上させることは離職率の低下にも繋がり、結果として新規人材採用や育成にかかる費用を抑えることができるのです。個人でできるSDGsの身近な例5選ここまではSDGsに関する企業の取り組みをご紹介してきましたが、個人でもできることはたくさんあります。では、具体的にどのようなことができるのか、身近な取り組みを5つご紹介します。節電・節水節電・節水は、電気や水を届けるために使われるエネルギーを削減して地球環境を保全することや、貴重な水資源を守ることに繋がります。具体的な取り組みとしては以下のようなものがあります。・テレビやパソコンを省エネモードにする・トイレの大小レバーを使い分ける・生活リズムを朝型にする・できるだけ複数人で同じ部屋を利用するこのように、生活を少し見直すだけでも節電・節水ができます。マイバッグ・マイボトルマイバッグやマイボトルを使用することで、レジ袋やペットボトルの使用量を減らし、その生産にかかる分も含めた環境への悪影響を大幅に削減することができます。実際どのぐらい使用しているかというと、日本人は年間で約300枚のレジ袋・約180本のペットボトルを消費していると言われています。個人でマイバッグやマイボトルを使用するだけで年間でこれだけの量を削減できるため、1人1つは持っているといいかもしれません。フードロス削減フードロスは、原材料を作るのにも調理するのにもエネルギーを使ったのに、さらに廃棄にもエネルギーを消費するという非常にもったいない行為です。あまり身近なことに感じないかもしれませんが、実はフードロスのうち47%、年間約247万トンの食品は家庭で捨てられています。(出典:農林水産省)買い物の前に冷蔵庫を確認して無駄な食品を買うのを防いだり、余った食品を捨てずに冷凍保存したりと、ちょっとしたひと手間でフードロスを減らしていけるといいですね。公共交通機関の利用公共交通機関は1回あたりの輸送人数が多いため、自動車に比べて環境効率がいいというメリットがあります。また公共交通機関というのは、自動車を持たない人の大切な移動手段であるほか、観光客にとっても必要なものであることから観光資源と考えることもできます。移動が困難な人を誰一人見捨てないという点や、住み続けられるまちづくりという点においても、公共交通機関はSDGsのためになくてはならないものです。長期的な運営のためにも、公共交通機関を積極的に活用していきましょう。家事の分担家での仕事をきちんと分担するだけでも、SDGsの取り組みになります。というのも、妻が家事・育児に費やす時間は約7時間半なのに対し、夫が費やす時間は約2時間と、かなりの差が出ていることが分かります。(出典:総務省)女性が家の仕事をするというジェンダー間のギャップを無くし、性別に関係なく仕事をするよう心がけるといいですね。そもそもSDGsとは?ここまでご紹介してきたSDGsの取り組みですが、SDGsとはなにか正直よくわからない、という方もいらっしゃると思います。SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年9月に国連サミットで採択された国際社会共通の目標のことです。世界全体で達成すべき17の目標を設定し、持続可能な世界の実現を目指しています。これまでにも多くの議論がなされてきましたが、そのなかでもSDGsは「誰一人取り残さない」ことを掲げているのが特徴です。また持続可能とは、「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」と定義づけられています。このように、今も未来もすべての人が満足できるようにするための世界共通の目標がSDGsだと言えます。まとめSDGsに取り組むためにはどうすればいいのか、なぜSDGsに取り組まなければならないのかを、企業例を中心に紹介してきました。企業としてSDGsに取り組むことは、企業のためだけでなく、企業に関わるすべての人、さらには世界全体のためになります。もちろん、個人としてSDGsに取り組むことも世界中の人に貢献することに繋がります。今回ご紹介した例を参考に、ぜひSDGsへの取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。

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服を通じてSDGs達成に貢献する方法とサステナブルなブランド6選

衣服は日々の暮らしに欠かせない要素です。だからこそ消費活動も盛んであり、その結果さまざまな問題を抱えているのをご存知ですか?環境問題・労働問題・エネルギー問題など、その影響は多岐にわたります。そこで今回は、服を通じてSDGs達成に貢献する方法とサステナブルなブランド6選をご紹介します。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。服を通じて私たちにできることSDGs達成のため、服を通じて何ができるのでしょうか。今すぐできる7つの意識づけをご紹介します。買う前に本当に必要か考える流行り廃りの早いファッション業界では、似たような色やデザインでも細かな違いが施されており、その点が購買意欲を刺激します。ですが購入する前に、その製品を買うことで得られる機能は果たして必要なのか考えましょう。すでに持っている服で事足りるのではないか?など、その服を買う必要性についてチェックすることが大切です。1着1着を大切に着る着なくなった服や流行りでない服をすぐに捨てていませんか?その服はまだまだ着られる上に、服としての機能は損なわれていないかもしれません。頻繁な買い替えを提起するビジネススタイルが一般的なファッション業界ですが、その広告に乗らず、今ある服を長く使うことを考えてみると良いでしょう。環境に配慮しているブランドで購入する環境に配慮した経営が重視される昨今ですが、ファッション業界でもその波が起きています。サステナブルな経営や地球にやさしい製法で作る衣料品を新たなブランドとして展開する企業も増えており、そうした製品を選ぶことでさらなる環境配慮への投資が行われるでしょう。5Rを意識する5Rとは、Reduce:発生抑制・Reuse:再使用・Repair:修理・Refuse(拒否)・Recycle:再生利用の5つの単語の頭文字をとったものです。衣服を購入してから廃棄するまでに、その衣服がリユースできないか、リサイクルできないかなど、5Rの観点から一度考えてみることがSDGs達成への取り組みにつながります。素材やブランドの背景を調べる衣服に使われている素材はどこのものなのか、どうやって調達されたのか、考えてみることも大切です。またそのブランドが培ってきた歴史において、労働環境は適切だったのかもよく考える必要があります。持続可能なビジネスには持続可能な素材と適切な労働環境が必要不可欠ですから、そうしたポイントについても注目してみましょう。使わない服はリサイクルや寄付に出す使わない服はリサイクルに出しましょう。そのリサイクル製品を原材料に、新たな製品を生みだしているメーカーもあります。またいらない服は捨てるのではなく、新たな使い手を探してみると良いでしょう。現代ではスマホアプリなどを通じて簡単に寄付を行うこともできます。洗濯方法を見直す服と切っても切り離せないのが洗濯です。洗濯方法ひとつとっても、環境負荷に違いが出るのをご存知でしょうか。洗濯する回数そのものを減らすだけでも節水効果があります。また1kgのTシャツを洗濯すると、約300mgものマイクロプラスチックファイバーが排出されるというデータもあり、こまめな洗濯はそれだけで悪影響を及ぼしかねません。また植物由来の洗剤を選んだりと、洗剤や柔軟剤のチョイスも慎重に行いましょう。サステナブルファッションブランド6選SDGs達成に尽力するファッションブランドをご紹介します。新しい服を買う時の参考にされてみてはいかがでしょうか。UNIQLOUNIQLOではTHE POWER OF CLOTHINGと題して、服作りにおけるサステナビリティ活動を進めています。「シンプルで、上質で、長く使える性能を持ち、あらゆる人の暮らしを豊かにできる服」を販売することで、世界を良い方向へ変えていけるという思想を元に、地球に負荷をかけない服作りを推進しているのです。ペットボトルからの服作りやリサイクル活動による衣料支援、さらに全商品をリサイクル、リユースする取り組みである「RE.UNIQLO」を進めています。無印良品無印良品ではESG経営(環境:Environment、社会:Society、ガバナンス:Governanceの3つの要素を重視する経営)のトップランナーを目指しています。創業以来​​「素材の選択・工程の点検・包装の簡略化」の3つの視点で、社会や環境に配慮したものづくりを続けており、社会や人の役に立つ商品作りを展開。すべての商品・サービス・活動のサイクルにおいて地球環境の負荷を低減すること、またプラスチック製ショッピングバッグの廃止、マイバッグ持参の推進、パッケージ素材・陳列素材の見直しなども行っています。パタゴニアパタゴニアのフェアトレードプログラム(途上国との公平・公正な貿易)により、66000人もの労働者が支援を受けていることは大きな話題となりました。同社は「ファッション業界は世界で最も低賃金な労働者を抱えている」と自ら指摘しており、その支援に尽力。労働者の危険な就労環境・低賃金・長時間労働・雇用差別の解決を目指し、労働者とそのコミュニティにおよぼす影響を分析・管理するための社会的責任プログラムを構築しています。バナナリパブリックバナナリパブリックは創業当初から世界を旅して集めた古着をモダンアレンジするという、サステナブルな経営方法を選択してきた企業です。その考え方は現在も引き継がれており、生産者の福利厚生を実現しつつ、持続可能性をより高める活動に注力しています。製造過程における環境負荷の削減を徹底しつつ、着心地やデザイン性も同時に追求しており、今後は2023年までにすべてのコットンを持続可能な方法で調達することが同社の目標です。H&MH&Mではファッション業界におけるバイオダイバーシティの問題を指摘しています。これは「地球上に生息するさまざまな植物・動物・微生物などが生み出す多様な生態系の状態」を指す言葉ですが、それがファッション業界によって崩されているのです。これまで生み出してきた有害な化学物質・化石由来のエネルギー源・使い捨てパッケージを一新し、水・空気・土壌の保護につながるビジネスプランを構築し、2040 年までに温室効果ガスを大気から削減するという目標を掲げています。アシックスアシックスでは人々の心と体を健康にすることを使命に掲げています。同社のランニングシューズ製品において約90%がリサイクル材を利用しており、また全ての製造委託先と独自の管理体制を敷きつつ、従業員の労働環境保護も達成してきました。将来にわたってスポーツができる地球環境を守るため、サプライチェーンの見直しや製品開発における環境負荷の低減を常に模索しています。サステナブルファッションとはサステナブルファッションとは何なのか、またエシカルファッションとの違いは何なのか。服からSDGsを考えるためにもおさらいしておきましょう。エシカルファッションとの違いエシカルファッションとは倫理的・道徳的なファッションと呼ばれます。人や地球に優しいファッションを指す場合に用いられますね。主に考え方や行動を表す用語であり、そうした服を着ることである種の意思表示にもなりえるでしょう。一方でサステナブルファッションは「衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて将来にわたり持続可能である」といった構造的特徴を持つ衣類を指すものです。両者とも地球環境に配慮するという点で同じですが、違いを知っておくことで企業がどんな活動をしているのかより明確になるでしょう。ファッション業界がSDGsに注目する理由なぜここまでファッション業界がSDGsに注目するのでしょうか。その理由を大きく2つご紹介します。大量生産・大量消費問題SDGsの目標12では「つくる責任・つかう責任」が掲げられています。これは持続可能な消費と生産のために設定されており、生産者から最終消費者まで責任を持った行動を提起するものです。現代社会は大量生産・大量消費が行われており、この過程で大量の廃棄が同時に起きています。背景には利益最大化のために、生産数を減らすより廃棄した方がコストを抑えられるという経済的合理性がありました。今後はこの構造を変えながら、より無駄を減らして地球環境に寄与する生産・消費が求められています。消費エネルギーの問題環境省による発表で、ファッション業界は製造にかかるエネルギー使用量が高いと指摘されています。2018年には原材料の調達から製造に至るまでに21億トンのC02が排出されていたといい、これは世界全体の4%を占める排出量なのです。しかもその量は毎年2%ずつ増えていくという試算もあります。また流行り廃りの早い業界であることから製品のライフサイクルも短いため、環境にかかる負荷が大きいと国際的な問題になっているのです。SDGs活動に興味がある方は「Socialgoo」がおすすめSDGsに関する活動をもっと知りたいという方におすすめな「Socialgoo(ソシャグ)」。ソーシャルグッド(社会にとって良いサービスや活動)に特化したメディアであり、プロボノやSDGsへの取り組み事例など様々な情報を掲載中です。ぜひ会員登録をして他の記事もチェックしてみてくださいね!まとめ今回は服を通じてSDGs達成に貢献する方法と、サステナブルなブランド6選をご紹介しました。日々の暮らしを彩る身近な衣服にだからこそ、サステナブルな意識づけをしながらの社会貢献が求められています。服からSDGsを考えていきたいという方は、記事を参考に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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【2022年版】SDGsの現状|日本と世界の達成状況はどれくらい?

こちらの記事では、2022年時点のSDGsの達成状況を日本と世界に分けてご紹介します。多くの個人や企業がSDGsに取り組んでいます。しかしその取り組みによって、SDGs(持続可能な開発目標)をどれほど達成しているのか、普段中々チェックしていないのではないでしょうか。本記事を読んで日本や世界でのSDGs達成状況を知り、これからの取り組みの参考にしてください。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。日本のSDGs達成状況「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」による2022年の報告では、日本のSDGs達成状況は163ヶ国中19位であり前の年より下がった順位でした。SDGsの17の目標のうち、達成度が高い目標がある反面、まだ大きな課題が残る目標も多数あります。達成度が高く評価された3つの目標日本のSDGs達成状況の中でも、特に高く評価されたのは以下の3つです。目標4 質の高い教育をみんなに目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう目標16 平和と公正をすべての人に目標4 質の高い教育をみんなに日本の質の高い教育は世界でも高水準で、ほぼすべての人が義務教育を受けており識字率が100%に近いのが特徴です。この背景には、日本国憲法で定められている「教育を受けさせる義務」があります。小中学校の9年間の義務教育期間に加え、高等学校も実質無償化の枠が広がっており、多くの子が高等学校までの教育を受けることを選択可能です。さらに奨学金制度の充実などにより、高等学校以降も保護者の所得によって教育の機会を諦める子を減らしています。学校教育の他、文部科学省の協力もあって教育プログラム、体験・出前授業も豊富です。しかし、経済格差、家庭環境、不登校などの理由によって十分な教育を受けられていない子がいるという問題があります。また、教員の負担が大きく、時代に対応した学校教育の実現も課題です。目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう日本は世界3位のGDP水準を誇り、産業面でも高く評価されています。交通インフラの整備や自動車産業の発展は、日本の発展を支えてきました。技術革新は便利なだけではなく、生活の質向上やLEDの研究による省エネ効果期待など他のSDGs目標達成にも結びついていきます。また、インターネット普及も拡大しており、新型コロナウイルスの影響を受け需要は急増しています。しかしインターネット普及が不十分な地域や業界との差もあり、インターネット格差は課題です。さらに、日本はアメリカや中国に比べてICT技術が遅れ、企業におけるICT導入率が他国より低い水準であるのが現状です。目標16 平和と公正をすべての人に日本は第二次世界大戦を経験し、世界で唯一の被爆国です。日本国憲法は平和主義を掲げ、戦争放棄を定めています。世界では、現在も紛争や戦争を行わざるを得ない国や地域がある中で、戦後一度も戦争をしていない日本の役割は重要であり評価されています。さらに、全国民に裁判を受ける権利があります。平和と公正は、戦争に限った話ではありません。横領や職権濫用、事業の不正などにペナルティを与え、適正に企業活動していくことが求められます。不正やトラブルがあったとき、誰もが平等に裁判を受けられるのは、公正性の確保に繋がっています。しかし、子どもへの暴力や配偶者へのDV、公務員の汚職といった課題は山積しています。日本で深刻な課題がある6つの目標目標のうち、日本では達成に向けた課題が残っているものがまだまだあります。特に深刻な課題があるのが以下の6つです。目標5 ジェンダー平等を実現しよう目標12 つくる責任、つかう責任目標13 気候変動に具体的な対策を目標14 海の豊かさを守ろう目標15 陸の豊かさも守ろう目標17 パートナーシップで目標を達成しよう目標5 ジェンダー平等を実現しよう日本では国会議員や管理職につく女性の割合が低く、リーダーは男性であるべきとのステレオタイプがまだ根強く残っています。さらに非正規雇用の割合は男性よりも女性の方が高く、結婚や妊娠・出産、介護などで仕事を離れる可能性が高いのも女性であり、ジェンダー間の賃金格差も大きな課題です。また、男女間の問題だけではなく、就職や昇進における性的マイノリティへの差別や偏見も強くあります。LGBTQ+の啓発活動が展開されているとはいえ、他の国と比べると性的マイノリティへの寛容な動きは大きく遅れています。目標12 つくる責任、つかう責任日本は産業が発展している一方で、ごみの排出が深刻であるとされています。特に携帯電話などから出る電子ごみや、日常生活で排出するプラスチックゴミの排出量は世界でもワーストクラスです。電子ごみやプラスチックごみは処理に手間がかかる上、自然に戻らないので環境汚染や生物への健康被害といった問題を引き起こしています。持続可能な資源利用のため、ごみの活用方法や環境に優しい製品への代替が必要です。目標13 気候変動に具体的な対策を日本は産業が進んでいることもあり、化石燃料の使用や二酸化炭素排出量が世界トップクラスであり、排出量削減に繋がっていないのが課題です。二酸化炭素排出量、温室効果ガス排出量が多いままであると、気温上昇や大雨の増加、農作物の不作や動植物の分布域変化を引き起こしてしまいます。火力発電から再生可能エネルギーや原子力発電に変えるなど、気候変動を抑えるための取り組みが求められています。目標14 海の豊かさを守ろう日本は海に囲まれた島国であるがゆえに、海に関する問題も山積しています。海岸には多くの海洋ごみが集まっており、特に多いのはプラスチックごみです。プラスチックごみは海洋生物の健康被害や生態系の破壊、漁業資源の減少を引き起こしています。海洋ごみの多くは、街中で捨てられたごみが海まで運ばれた結果です。海洋ごみを減らすためにポイ捨てをしないことはもちろん、海洋に負担をかけない商品を開発・使用することが求められます。目標15 陸の豊さも守ろう海だけではなく陸の豊かさも守っていく必要がありますが、生物多様性の損失や森林破壊、砂漠化といった課題は未だ解決されていません。日本でも林業従事者数の減少によって、森林の適切な維持が困難になっているのが現状です。自然環境が破壊されることで生物の生息地が不安定になり、絶滅の危機にある生物種も増加してしまいます。陸の豊かさを守るために日本は、森林の適切管理や湿地保護、世界と協力した環境活動をさらに展開していくことが必要です。目標17 パートナーシップで目標を達成しようSDGsを達成するためには、あらゆる国・地域の企業・個人・組織が協力することが必要です。日本政府はODA(政府開発援助)を実施し、発展途上国を支援しています。日本のGNI(国民総所得)に対するODAの割合は29か国中12位であり、ODAの金額は3位であるなど、アジア地域の各国を中心として経済活動の維持・活性化に向けた取り組みが活発です。さらに、発展途上国に存在する児童労働問題や低賃金問題を防ぐため、日本の消費者は児童労働を強いていない企業の商品を買う・フェアトレード商品を選択する、という行動を取ることが可能ですが、この動きはまだ普及しているとは言えません。世界のSDGs達成状況SDGsを達成に導くには、17の目標の達成状況を知った上で課題点を抽出し、各国ができることに取り組んでいくことが求められます。以下では世界のSDGsの達成状況を目標ごとに解説していきます。目標1 貧困をなくそう2019年から2020年にかけては低収入労働者の割合は20年ぶりに上昇し、さらに800万人の労働者が貧困へと追いやられました。 また2022年現在は新型コロナウイルス感染症の拡大やウクライナ戦争の影響が強く、貧困対策が停滞している状況です。またインフレの高騰や災害関連死増加の影響もあり、極度の貧困状態にある人々の数は減少の見込みが少ないのが課題です。目標2 飢餓をゼロに食料の安定確保と栄養状態の改善が掲げられていますが、世界では約3人に1人が食料を十分に得られず、約10人に1人が飢餓状況にあります。発育阻害の5歳未満児の数は約1億5,000万人にのぼり、早急な食料・栄養不足の状況改善が求められます。この背景にあるのは、主に以下の3つです。・新型コロナウイルス・紛争・気候変動特にウクライナ危機がきっかけで、有数の食料輸出国であるロシア・ウクライナの輸出が減少し、世界の最貧困層の食料不足に繋がっています。目標3 すべての人に健康と福祉を新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、世界中で医療サービスの混乱がおこっています。コロナ禍の最前線で働く多くの医療従事者の命が失われており、健康や福祉の維持は困難な状況です。また、基本的なワクチンを接種していない子どもの数が増加しています。さらに新型コロナウイルス感染症による死亡者数増加だけではなく、結核・マラリアによる死者数や不安症・うつ病の罹患率も増加し、グローバル・ヘルスが脅かされている状況です。目標4 質の高い教育をみんなにコロナ禍は福祉や経済に限らず、教育の質にも影響を及ぼしています。対面指導の半分以上を受けられない子どもが1億4,700万人にのぼるなど教育の不平等は悪化していることに加え、コロナ禍で教育から離脱した結果、復学できない可能性のある学習者の数は大きな課題です。対面教育の機会が危機にある反面、オンライン授業の普及という教育の質向上に向けた良い動きもあります。オンラインツールの活用によって、登校できない児童生徒や紛争地域にいる子どもたちに対しても遠隔で授業をおこなえるようになりました。さらに学校の再開に伴って、電気や飲料水を含む学校インフラの整備も進んでいます。目標5 ジェンダー平等を実現しようSDGsではジェンダーの平等達成を目指していますが、現在のペースでは女性と男性が国の政治的リーダーシップを平等に取れるようになるまでさらに40年かかる見込みです。女性は雇用全体の39%にとどまり、世界の失業者の45%を占めていることからも、男女が平等であるとは言えません。さらに女性の4人に1人以上がパートナーからの暴力を生涯で一度以上経験しており、女性の立場改善に課題が残っています。さらにジェンダーに配慮した予算編成が十分である国はまだ少なく、予算編成の強化が必要です。目標6 安全な水とトイレを世界中に世界の水に関する生態系は、驚異的な速さで劣化しており、300年で地球上の85%以上の湿地が喪失されました。7億3,300万人以上が水ストレスが高いか危機的なレベルで暮らしているにもかかわらず、少なくとも30億人が自分の使っている水質をよく知らないという危険な状況です。この危険な状況を改善し飲料水、衛生施設、手洗い設備の目標を2030年までに達成するためには、整備前進の速度を4倍にする必要があります。目標7 エネルギーをみんなに、そしてクリーンに電化の進歩は目覚ましいスピードを見せていましたが、近年はその速度が落ちています。電力を利用できていない人を利用可能にするための取り組みの困難さが、減速の原因の1つです。SDGsで定められている気候目標の達成のためにも、エネルギー効率の向上が求められます。しかし非効率的な調理システムを利用している人は依然多く、再生可能エネルギーに関する開発途上国向けの国際的資金フローは2017年から2019年にかけて2年連続減少している状況です。目標8 働きがいも経済成長も世界の失業率はコロナ禍の影響で高くとどまっており、さらにウクライナ危機によって世界経済を危機に陥らせ、状況の回復スピードを遅らせています。さらに世界の失業率は高まっており、少なくとも2023年まではコロナ禍前の水準を上回ったままとの予測です。一方、世界全体で10人に1人の子どもが児童労働に従事しています。世界全体では労働者の生産性は回復していますが、後発開発途上国では回復が見られていないのが課題です。目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう世界の製造業はコロナ禍で停滞し、その後回復の兆しを見せていますが、後発開発途上国は取り残されています。小規模産業のうち、復興に向けた資金援助を利用できているのは、わずか3社に1社のみで、ローテク産業はハイテク産業に比較して危機におけるレジリエンスが低い状況です。旅客航空業界をはじめ、多くの業界ではコロナ禍による壊滅的損失からの回復に苦戦しています。目標10 人や国の不平等をなくそうコロナ禍によって国家間の所得不平等が拡大し、2021年に命を落とした移民は5,895人にのぼり2017年以降最も犠牲者の多い年となりました。さらに、5人に1人は国際人権法で禁止された理由のうち少なくとも1つの差別を経験しています。世界の難民の数は過去最多を記録し、ウクライナ戦争によってさらに増加しているため、状況改善のための取り組みが求められています。目標11 住み続けられるまちづくりをスラムでは未だ10億人の人が暮らしており、誰一人取り残さない世界の実現のため、スラムへの重点的取り組みが求められます。さらにサハラ以南のアフリカでは、都市住民のうち公共交通手段への便利なアクセスが可能なのはわずか3分の1未満で、交通が発展しているとは言えません。その一方、都市では成長するに伴って、自治体のごみ処理問題が増加しているのが問題です。世界の都市人口の99%が汚染された空気を吸っており、住み続けられるまちづくりのために改善が必要です。目標12 つくる責任、つかう責任食品ロスの問題は深刻であり、毎日、小売市場に届く前の収穫・輸送や加工の段階で13.3%、消費者レベルで17%が廃棄されます。また、天然資源への依存度が高まっている一方で、使った後の電気・電子機器の廃棄物の大部分が安全に管理されていないという実態があります。目標13 気候変動に具体的な対策を気候変動は厳戒警報レベルに達しており、サンゴ礁の消滅や海面上昇、干ばつは深刻な危機を迎えています。さらに、気候変動によって中・大規模災害が増加傾向にあるため、生命の危機も高まっている状況です。エネルギー関連の二酸化炭素排出量は増加し、世界の気温上昇が続いていますが、気候変動対策資金は公約に届いておらず、対策の不十分さが目立ちます。目標14 海の豊かさを守ろう海洋はプラスチックごみで汚染され、一部地域では魚の乱獲もおこなわれており、海洋の生態系が危険な状況です。生態系の破壊は漁獲量の減少にも繋がり、コロナ禍で支援が必要とされている小規模漁業の漁師への影響が懸念されます。さらに、二酸化炭素排出量の増加によって海洋の酸性化が進展中です。酸性化は気候変動を緩和する海洋能力を低下させるため、地球環境に大きな影響を与える可能性があります。目標15 陸の豊さも守ろう毎年1,000万ヘクタールの森林が耕作地拡大や家畜放牧地確保のために破壊され、生物多様性の破壊につながっています。コロナ禍において、生物多様性への支援は後回しの状況にありますが、約4万の生物種は今後数十年で絶滅の危機のため、急速な取り組みが求められます。目標16 平和と公正をすべての人に世界平和を願う声は増加しているものの、今でも世界人口のうち4分の1が紛争地域で生活中です。さらに紛争の影響で、2022年時点で1億人が故郷を追われています。それ以外にも、夜道の危険性や殺人事件の発生率も、目標としているレベルの大幅ダウンにはつながっていません。企業社員や公務員の腐敗があらゆる地域で見られており、身近な社会から平和・公正を実現することが必要です。目標17 パートナーシップで目標を達成しようコロナ禍からの復興で、開発途上国では特に債務負担の増大が課題視されています。また、コロナ禍の影響を受けてODA総額は過去最高に達しており、外国直接投資額は回復傾向です。コロナ禍のコミュニケーション手段として、インターネット利用が加速したことで、パートナーシップ拡大に良い影響を与えることが期待されています。企業におけるSDGsの取り組みと問題点多くの企業がSDGsに取り組むことで17の目標達成に近づきます。実際の企業のSDGs取組事例と、SDGsに取り組もうとする企業が抱える問題点を紹介します。企業のSDGs取り組み例国内でもSDGsへの注目が高まり、SDGsに取り組む企業が増えています。産業機械メーカーのクボタは、製品の開発時に排気ガスに配慮し、世界で初めてCARB ULG排気ガス規制の認証を受けるなど、環境に貢献しています。航空会社JALは企業内環境を整え、テレワークシステムの導入や、育児や介護と仕事の両立を応援する両立支援制度を導入しています。また、スポーツメーカーのミズノは、地域での生涯スポーツへの参加、野球用品を修理するワークショップの展開など、スポーツを通してSDGsに取り組んでいます。このように企業がSDGsに取り組んでいく際に注目したいキーワードを3つ紹介します。ESG投資ESGは、以下の3つの頭文字を取ったものです。環境(Environment)社会(Social)企業統治(Governance)企業が環境に配慮した行動を取っているか、社会貢献しているか、企業内環境を改善に導いているか、ということを評価軸として投資する動きのことを意味します。SDGsを達成するためには、企業がESGを意識することが必須です。ESGは投資家からも注目されており、ESGを踏まえて投資先を選択することをESG投資と呼んでいます。ESG投資の恩恵を受けるためにも、企業がSDGsに向けて取り組んでいることを投資家にアピールするといった努力が重要です。SDGsの経営統合企業の経営そのものにSDGsを統合させることで、社内にSDGsの重要性を広め、企業が一丸となってSDGsに取り組みやすくなります。そのため、経営目標にSDGsの指標を加えたり、経営者が意識的にSDGsに関連した話題を提供したりすることが有効です。企業の規模にかかわらず、日々の業務でSDGsを意識することでSDGsへの取り組み効果が拡大します。取り組み内容の外部発信SDGsは企業内部の取り組みだけではなく、社外に向けた発信も重要です。取り組み報告を継続的におこなうことで活動実績を評価され、社会からの信用アップやESG投資家からの注目拡大につながります。さらに、外部からの評価を参考にすることで自社のSDGs達成度合いを客観的に判断でき、取り組みを効果的に改善可能です。SDGsに取り組む企業の問題点SDGsに取り組むことはメリットばかりではなく、中には問題点もあるので注意が必要です。企業がSDGsに取り組むときに生じる問題点を4つ紹介します。SDGsウォッシュSDGsウォッシュとは、実績がないのにSDGsに取り組んでいるように見せかけるうわべだけの状態のことです。企業にとって都合の悪い情報を隠したり取り組みを過度に強調して発信したりすると、SDGsウォッシュだと判断されることがあります。企業の状態がSDGsウォッシュであると疑われることは信頼を低下させ、社会から批判を集めるおそれがあります。小規模では目標達成が難しいSDGsは国際的な大きな目標を掲げています。SDGsに取り組もうとしても、新たに資金や人材を集める必要があり、小規模な企業や個人では取り組みにくいのが課題です。また取り組みを進めていても、SDGsの目標は地球環境や人々の生活を大きく変えることを定めており、小規模な取り組みでは達成が難しいと考えられています。事業をSDGs目標達成に活かせない企業としてSDGsに取り組もうとするとき、内容によっては既存事業をそのままSDGs目標達成に活かせないことがあります。しかしSDGsに取り組むために新たな事業を立ち上げるには資金や人材が必要となり、目標達成までに時間もかかります。さらにこれまでの事業ノウハウを活かせないので、立ち上げた事業に失敗するリスクも高く、慎重な判断が必要です。SDGs目標が抽象的で人それぞれSDGsの目標は全て定義づけされていますが、その定義が抽象的です。さらに経済状況や住んでいる国・地域によって、目標を理解するバックグラウンドが異なるため、抽象的な目標では解釈が人それぞれになってしまいます。企業という集団でSDGsに取り組むときは、目標への解釈や価値観を共有した上で、同じ方向性を持つことが重要です。SDGs活動に興味がある方は「Socialgoo」がおすすめSDGsに関する活動をもっと知りたいという方におすすめな「Socialgoo(ソシャグ)」。ソーシャルグッド(社会にとって良いサービスや活動)に特化したメディアであり、プロボノやSDGsへの取り組み事例など様々な情報を掲載中です。ぜひ会員登録をして他の記事もチェックしてみてくださいね!まとめさまざまな個人・組織がSDGsに取り組んでいる現在、日本では3つの目標が高く評価されている反面、6つの目標に深刻な課題があるとされています。世界のSDGs目標達成状況は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、多くの目標で停滞が見られています。このような状況でSGDsの目標達成に向けてさらに進んでいくためには、企業の取り組みが欠かせません。企業がSDGsに取り組むためにはESG投資や経営統合といったキーワードを押さえ、SDGsウォッシュなどの問題点をあらかじめ理解し対策することが重要です。本記事を読んで現在のSDGs達成状況を理解し、企業の取り組みの参考にしてください。

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SDGs目標7への取り組み9選【個人・企業別】現状と課題、5つのターゲットも解説

SDGsの注目度は年々高まっており、政府や企業のみならず、各家庭でも積極的な取り組みが求められるようになってきています。SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。2015年9月の国連サミットで、国連加盟193か国が2030年までに達成する目標として採択されました。本記事では、SDGsが掲げる17の目標のうち、目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」についてご紹介します。なぜSDGsが必要なのか、私たちにできることを考えていきましょう。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。SDGs目標7とはSDGsの目標7は「エネルギー」に焦点を当てています。私たちの生活に直結する、電気やガスなどのエネルギーに関する目標です。それでは、目標7が具体的にどんな目標なのかを深堀っていきましょう。ゴール7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」目標7のゴール「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」は、地球上のエネルギーに対して起こっている問題を解決するために採択されました。私たちの便利な生活には、電気やガスといった「エネルギー」が欠かせません。しかし、世界では数多くの人々が電気の使えない生活を送っていたり、電気の代わりとなるバイオマス燃料を捻出するための森林伐採が行われていたりします。目標7の「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」には、「世界中のすべての人が平等に安価に、地球にやさしい持続可能なエネルギーを使えるようにしましょう」という意味が込められているのです。「エネルギーをみんなに」の意味とは?私たちが普段当たり前のように使っている電気ですが、全世界では約7億3,300万人の人々が電気のない生活を送っています。(出典:持続可能な開発目標(SDGs)報告2022)電気を使えない人々は夜に明かりを灯すことができず、仕事や勉強も満足にできません。SDGsの目標7「エネルギーをみんなに」という言葉には、世界中の全ての人々にエネルギーを行き渡らせるという意味が込められています。「そしてクリーンに」の意味とは?SDGsの目標7でポイントとなる「クリーンなエネルギー」とは、太陽光や風力など自然の力を利用した「再生可能エネルギー」のことです。電力消費量の多い国で使われる石炭や液化天然ガスは、発電時に地球温暖化などの原因となるCO2(二酸化炭素)を発生させる点が問題視されてきました。さらに、石炭や液化天然ガスなどは化石燃料と呼ばれており、いずれ枯渇してしまうのではないかと考えられています。それらの問題点を解決するために、再生可能エネルギーが求められているのです。SDGs目標7のターゲットSDGsは項目ごとに分野が分かれており、17の目標と169のターゲットから構成されています。17の目標は2030年のあるべき姿であり、169のターゲットはゴールにたどり着くための具体的な目標です。こちらでは、目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」に定められた、5つのターゲットを紹介します。2030年までに5つのターゲット達成を目指すSDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」のターゲットは、次の通りです。2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率、および先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究および技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国および小島嶼開発途上国、内陸開発途上国のすべての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。(引用:国際開発センター公式サイト)世界中に安価かつ信頼できるエネルギーを供給させるには、再生可能エネルギーの技術を高める必要があります。そして、安定したエネルギー供給のためにさまざまな発電方法をバランスよく使うのがポイントです。さらに、国際社会が協力してエネルギー効率を改善させる技術や研究、インフラ設備への投資を行うことも欠かせません。SDGs目標7の現状【世界・日本】2015年9月の国連サミットで採択されたSDGs。国連加盟193か国が2016〜2030年までの達成に向けてさまざまな施策を行なっており、徐々にゴールへと近づいています。目標7における、世界の現状と日本の現状を確認してみましょう。世界|約7億3,300万人は電力が使えない国際連合広報センターによると、2010年の段階で約12億人の人々が電力を利用できていませんでしたが、2020年には7億3,300万人まで減少しています。電力不足が深刻な地域は、南アジアとサハラ以南アフリカに集中しており、世界人口の4人に3人が電力の使えないサハラ以南アフリカに暮らしている現状です。また、世界で約24億人の人々が、固形燃料(木材、石炭、木炭、糞、作物の廃棄物など)を用いたストーブなどの非効率的で危険な調理システムを使用しており、家庭内の空気汚染が問題となっています。日本|発電電力量が年々低下している日本の発電総量は、2010年以降徐々に低下しています。2011年度には、東日本大震災による節電意識の高まりなどから、さらに低下が進みました。また、製造業を中心に省エネルギー化が進んだことや、コロナ禍による企業の電力需要の減少も理由として考えられます。東日本大震災の影響で原子力発電の割合が低下したこともあり、日本のエネルギー自給率は約12%とかなり低い水準です。2020年度の日本のエネルギー供給は、主に海外から輸入される化石燃料に頼った火力発電が76.3%を占めています。SDGs目標7の課題【世界・日本】現在、全世界では約7億3,300万人の人々が電気を使用できていません。全ての人が安定した生活をおくれるように、開発途上国におけるインフラ拡大が求められています。また、日本が抱える課題には、海外輸入を中心とした化石燃料への依存度の高さが挙げられます。世界的に高まる電力需要の安定化を図るために、再生可能エネルギーの大幅な拡大が必要です。再生可能エネルギーの推進・活用世界の再生可能エネルギーの総消費量は、2010年から2019年の間に4分の1ほど増加がみられましたが、最終エネルギー消費量全体に占める再生可能エネルギーの割合はわずか17.7%となっています。(引用:持続可能な開発目標(SDGs)報告)また、日本国内で生産した再生可能エネルギーを活用すれば、国内のエネルギー自給率向上と安定性維持に繋がります。そのため日本では、2030年度の電源構成の目標として、再生エネルギーの比率を36〜38%にすることを掲げています。しかし、日本における2020年度の再生可能エネルギー発電の割合は19.8%となっており、さらなる取り組みが必要です。(出典:資源エネルギー庁)再生可能エネルギーとは?具体的な再生可能エネルギーには、以下のものが挙げられます。 水力発電:ダムや河川の流水、農業用水や上下水道をエネルギー源として発電風力発電:陸上や海上の風力をエネルギー源として発電バイオマス発電:動植物などの再生可能な生物資源(バイオマス)を焼却・ガス化させて発電太陽光発電:太陽光をエネルギー源として発電地熱発電:地下の地熱エネルギーを利用して発電有限な化石燃料と比べて、自然の力を利用する再生可能エネルギーは枯渇する心配がありません。カーボンニュートラル(脱炭素社会)の実現カーボンニュートラル(脱炭素社会)とは、地球温暖化の主な原因となるCO2(二酸化炭素)の排出をなくし、石油や石炭などの化石燃料から脱却した社会のことです。日本が掲げている目標には、「2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指すこと、さらに50%の高みに向け挑戦を続けること」とありますが、2020年度の日本の温室効果ガスの総排出量は、2013年度比21.5%減でした。(出典:外務省、環境省)日本では地域脱炭素ロードマップを基に、全国の企業や各家庭において、再生可能エネルギーの導入を促進させる対策が進められています。エネルギーの安定供給世界人口の増加と経済成長により、エネルギーの需要は高まることが予想されます。現在、世界のエネルギー供給を支えている化石燃料には限りがあるため、電力の安定供給のためには再生可能エネルギーの導入を急速に進めなければなりません。また、日本のエネルギー供給においても85%ほどが化石燃料であり、そのほとんどを海外から輸入しているため、世界情勢に左右されることが懸念されます。国内のエネルギー安定供給には、国内資源を利用して発電できる再生可能エネルギーの導入が必要不可欠です。ただし、再生可能エネルギーには季節や天候によって発電量が変動するものもあるため、発電方法の組みあわせ(電源構成)も重要になります。途上国内の電力不足解決をサポート電気を使うことのできない地域は、金銭的な貧困地域でもある途上国に集中しています。途上国でエネルギー供給が進まない背景には、既存の発電施設から遠く離れているため、送電線の長距離設置に巨額の費用がかかってしまうことが挙げられます。また、財政難によって供給設備などの建設費・維持費を政府が負担できないことや、国民が電気代を支払えないことも大きな要因です。私たちが設備費などの支援をすることで途上国の電力不足が改善し、地域格差も減っていきます。エネルギー効率の改善エネルギー効率の改善には、再生可能エネルギーの導入や省エネの促進が重要です。日本においては、2018年6月に国会で成立した「改正省エネ法」や、エネルギー効率を高めた新築住宅「ZEH(ゼッチ)」の普及など、徹底した省エネを進めています。クリーン・エネルギー技術革新再生可能エネルギーの発電コストは高く、クリーンエネルギー技術の開発がエネルギーの安定供給や環境問題の解決に必要不可欠です。過去には、国家プロジェクトとして太陽光発電の低コスト化と高効率化が進められ、一般家庭のみならず電力会社へも太陽光発電の普及が広まりました。ほかにも、水素を利用した技術の開発が進められており、家庭用燃料電池であるエネファームなどが浸透してきています。個人が取り組めるSDGs目標7への対策6選SDGsへの取り組みはますます活発になってきており、私たち一人ひとりが持続可能な社会に向けて取り組む必要があります。個人で取り組める、目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」の対策を実践してみましょう。再生可能エネルギーへの理解を深める自然の力を活用する再生エネルギーは、その土地の自然環境や資源に関連するため、地域の理解や協力なくしては開発が進みません。ご自身の住まいや土地に太陽光発電を導入したり、再生可能エネルギー関連事業への出資、導入企業のサービスを利用したりするのもおすすめです。公共交通機関や自転車を利用する自家用車よりも、電車やバスなどの公共交通機関や自転車を利用することで、CO2(二酸化炭素)の排出を減らせます。こまめな節電を心がける使わない部屋の電気をこまめに消したり、エアコンの設定温度を適切に保ったり、こまめな節電が地球環境を守ることに繋がります。電力会社の切り替え再生可能エネルギーを電源とした電力プランの提供も広がりをみせています。中には、電気料金の一部が地球環境のために活用されることもあるので、調べてみましょう。エネルギーの使い方を工夫するエネルギーの使い方を工夫すれば、効率がよくなります。例えば、電気カーペットを断熱マットの上で使用することで暖房効率が上がります。NGO・NPO団体へ寄付をする途上国へのエネルギー供給支援として、NGO・NPO団体へ寄付をする方法があります。目標7に関連する取り組みを行っている団体には「国連UNHCR協会」、「BHNテレコム支援協議会」、「一般社団法人グリーンピース・ジャパン」などがあり、それぞれの活動内容を確認して希望する団体へ寄付金を送りましょう。企業が取り組めるSDGs目標7への対策3選SDGs目標7を達成するためには、企業の先進的な取り組みが重要です。こちらでは3つの対策方法をご紹介します。節電に取り組む空調の設定温度の見直しや、LED照明を採用することで、節電効果が期待できると共に光熱費の削減にも繋がります。リモートワーク推進自家用車のCO2(二酸化炭素)排出を削減するために、リモートワークの推進、公共交通機関や自転車の利用がおすすめです。環境に良い再生可能エネルギーを選ぶ再生可能エネルギー由来の電力へ切り替えを行うことで、消費電力における再エネ率を上げることができます。SDGs目標7の取り組み事例SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」を達成するために、省エネできる技術の導入や太陽光発電設備の設置を進める企業が増えています。国からの融資や税制の優遇を受けられる、再生可能エネルギー事業支援を紹介します。再生可能エネルギー事業支援資源エネルギー庁の再エネガイドブックwebより、国の再生可能エネルギー事業支援施策や地方自治体の支援施策、及び条例などを確認することができます。再生可能エネルギーの導入を検討している事業者は、事前にチェックしておくといいでしょう。設備導入に関する税制や融資について、一部抜粋して紹介します。地域未来投資促進税制:地域経済牽引事業計画に従って建物・機械等の設備投資を行う場合に、法人税等の特別償却又は税額控除を受けることができます。再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置(固定資産税):再生可能エネルギー発電設備に対して、固定資産税を軽減する措置です。環境・エネルギー対策資金(非化石エネルギー設備関連):中小企業における非化石エネルギーの導入促進を図るため、非化石エネルギー設備を取得するために必要な設備資金を融資します。農林漁業施設資金(共同利用施設- バイオマス利活用施設):日本政策金融公庫が、バイオマスを活用する共同利用使用施設の整備について、長期低利の融資で支援します。地域脱低炭素投資促進ファンド事業:一定の採算性・収益性が見込まれる脱低炭素化プロジェクトに民間資金を呼び込むため、これらのプロジェクトに対し「地域脱炭素投資促進ファンド」から出資による支援を行います。このほかにも、多くの事業支援があります。積極的に活用し、SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」の達成を目指していきましょう。まとめSDGsの目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」は、私たちの生活を豊かにするエネルギーがテーマとなっています。世界には電力を使えない人々が多く存在し、安価で安定したエネルギー供給を実現させるためには、再生可能エネルギーの普及拡大が重要です。個人でできること、企業でできる取り組みを少しずつ増やして、2030年のゴールを実現させましょう。

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【企業・個人別】SDGsの取り組みで得られるメリット11選|デメリットやリスクなどを徹底解説

SDGsに取り組むべき理由や、取り組みで得られるメリット・デメリット、実際に企業が取り組んでいる事例をご紹介します。SDGsへの取り組みは企業にとって、ビジネスチャンスの獲得や優秀な人材とのマッチングに役立つものです。また個人では、新たな出会いの創出やスキルアップに繋がります。しかし、SDGsへの取り組みはメリットばかりではなく、費用や人手が必要となるデメリットもあるため、こちらの記事を読んでそれぞれの理解を深めてくださいね。この記事の監修者小田 勝宣(おだ かつのり)第6回SDGs検定取得。SDGsに関連したWebメディア記事執筆やブログの運営など実績多数。大学事務職員時代にSDGsに関する企画立案、運営業務に携わったことからSDGsに興味を持つ。現在はSDGs未来都市に選定された「岩手町」へ移住し、地域おこし協力隊として、地方におけるSDGsの取り組み強化に貢献している。SDGsに取り組むべき理由とはSGDsに取り組むべき理由について理解を深めていきましょう。立場が企業か個人かによって取り組むべき理由は異なりますので、ここでは分けて紹介します。企業|企業価値の向上に繋がるため企業が積極的にSDGsへ取り組むことで、企業価値の向上に繋がります。SDGsに結びつく環境や社会に優しい取り組みをしていれば、社会からの信頼アップにもなるのです。こうして企業のブランドイメージが高まれば、売上アップや社員のモチベーション向上、人材採用への好影響が期待されます。個人|SDGsの目標達成には必要不可欠なためSDGsの目標達成には個人の取り組みも必要不可欠です。取り組みの例として・エアコンの設定温度調整・エコバッグ持参 などそれぞれ小さな行動ですが、多くの人が取り組むことで環境負荷軽減に大きな影響を与えます。他にも個人でもできる取り組みは多くあり、その蓄積がSDGsの目標達成に繋がるのです。【企業】SDGsに取り組むメリット6選企業がSDGsへ取り組むことは義務ではありませんが、取り組むことで得られるメリットが多数あります。ここでは企業がSDGsに取り組むメリットを6つ紹介します。新たなビジネスチャンスを得られる大企業であれば社会貢献への取り組みをより広げることを、中小企業であれば大企業の経験をもとに他社が取り組んでいない部分を探せるなど、SDGsの課題解決に取り組むことで、それぞれの企業に合ったビジネスチャンスが得られます。SDGsの各課題に目を向けて問題解決のための新規事業に取り組んだり、SDGsに力を入れる他企業との協働を行うことで新事業への機会獲得が期待できるでしょう。新たに優秀な人材の獲得に繋がるSDGsに力を入れることで、優秀な人材確保が有利に進みます。ジェンダーの平等性確保をはじめSDGsを取り入れた職場環境を整えることで、優秀な人が働きやすい環境になります。大手企業だけではなく、中小企業においてもSDGsへの取り組みが就活生へのアピールに繋がるのです。また、企業がSDGsに取り組んでいることで、就活において社会貢献や課題解決を重要視している優秀な人材の目に止まりやすくなります。企業のイメージアップに繋がる世界全体で取り組むSDGsに取り組んでいる企業であるという事実は、社会から企業へのイメージアップに繋がります。地球環境に配慮し、社会が抱える問題の解決を目指した事業展開を進めることで、取引先や従業員、消費者などから高い評価を得られるのです。企業のイメージアップはそれだけでなく、社員のモチベーション向上や地域からの信頼獲得、売上アップ、新規事業への参入機会や資金の獲得といった各方面へ好影響を及ぼします。コスト削減効果に期待できるSDGsへの取り組みは、企業のコスト削減効果にも期待できるといったメリットがあります。例として「ペーパーレス化の促進」は森林資源の保護に繋がりつつ、企業内で使う印刷用紙を購入する費用の削減も期待できるのです。他にも「エアコンの温度設定調節」や「過度な照明の削減」などの省エネ策は、環境と企業コストの両面にメリットがあります。削減したコスト分を別の事業に投資できるので、企業の成長やさらなるSDGs促進に役立ちます。職場環境が向上するSDGsへの取り組みは、職場環境を向上させます。例えば、SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」を取り入れ、職場でのジェンダー格差是正や女性社員も活躍できる環境整備が進むと、より多くの人が働きやすい環境が実現します。さらにDX化を推進し業務を効率化することで、従業員が本来注力すべき業務に時間を割ける環境に近づきます。社員のモチベーション向上にも繋がる職場環境が向上することで、企業に所属する社員のモチベーションアップにも結びつきます。モチベーションが上がることで企業や仕事に対する愛着心が高まり、パフォーマンスの向上や離職率の低下へと繋がります。離職を防ぐことで新規人材募集にかかるコスト低減にも関わるため、会社にとって「社員のモチベーション向上」は大きなメリットと言えるでしょう。ESG投資に期待できる投資家の中で注目を集めている「ESG投資」とは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)を考慮した投資のことです。企業の利益や経済活動だけではなく、環境や社会へ配慮しているかどうかを含めて投資の判断基準とします。SDGsの取り組みは環境や社会に配慮しているため、ESGを意識している投資家からの評価が高いのが特徴です。以上のような理由から、SDGsに取り組むことは企業の資金調達の面でメリットが生まれます。中小企業の海外進出SDGsに取り組んでいる企業は、世界中で高く評価される傾向があります。事業拡大を目指している企業にとっては、SDGsに取り組むことで海外進出に繋がる期待が高まります。中小企業では上場企業と比較してまだSDGsの認知度が低くとどまっています。そのため早い段階でSDGsの取り組みをスタートさせることは、海外進出の面で他の中小企業との差をつけることに繋がります。【個人】SDGsに取り組むメリット4選企業だけでなく、わたしたち個人でもSDGsに取り組むことが可能です。個人がSDGsに取り組むメリットを4つ紹介します。人脈を築くことができる個人でSDGsの取り組みを行うことで、同じ志向を持った人と出会い、人脈を築くことができます。さらにサークルやボランティア団体などに加入すれば、積極的にSDGsに取り組む人たちと出会い、一緒にSDGsに関連する活動が可能です。出会った人たちとコミュニケーションを取り、SDGsに関する新たな考えを取り入れたり、さらに人脈が広がったりすることもあります。SDGsに取り組んでいる人との出会いや交流を楽しめるのは、個人がSDGsに参加するメリットです。幅広い世代との交流ができるのも良いところSDGsに取り組んでいるのは、幅広い世代の人です。そのためSDGsに取り組んでいると、自分とは違う世代の人との交流する機会が増えます。地域のボランティア団体には、大学生などの若者から高齢者、中には小さな子を連れた人も参加しています。普段特定の人としか接しない人でも、SDGsを通して幅広い世代と交流ができるでしょう。価値観や視野を広げることができるSDGsには17の目標と169のターゲットがあり、SDGsに取り組んでいる理由も人それぞれです。取り組んでいる中で他の考え方に出会い、価値観や視野を広げるきっかけも出てくるでしょう。学生であればこのような価値観や視野の展開は、就職活動でも役立つものです。学生でなくても価値観や視野を広げることで、今後広がる多様性の社会への理解を深めたり自身の考える力を高めたりすることに繋がります。スキルが身につくSDGsの目標達成に向けて具体的な行動を起こすことで、新たなスキルを身につけられます。集団の中での活動で身につくスキルの例として挙げられるのは、協調性や自主性、リーダーシップなどです。また、SDGsは環境や人権、経済など、幅広いジャンルの目標を設定しています。自分の興味があるジャンルを取り組み続けることでスキルを高められ、結果的に生活やキャリアに役立つでしょう。社会貢献に繋がっている実感を得られるSDGsの取り組みはすべて社会貢献に結びつくので、自分の行動が社会貢献に繋がっていると感じやすいのが特徴です。間接的な社会貢献も含みますが、「社会貢献に繋がっている」と感じることで、自己肯定感やモチベーションの向上に繋がります。SDGsに取り組むと悩まされるデメリットSDGsに取り組むことはメリットばかりではなく、デメリットも存在します。デメリットも理解しておくことで、事前の対策も可能です。ここでは、SDGsの取り組みで想定されるデメリットを3つ紹介します。成果がでるまで長期間掛かるSDGsへの取り組みは簡単にスタートできるものもありますが、はっきりとした成果が出るまでに長い時間がかかります。特に環境や教育の問題は、取り組みを進めても課題解決が見えにくいのが特徴です。成果が出るまで取り組み続けるためには、モチベーションを継続させ、取り組みにかかる費用の維持が求められます。本業と離れた取り組みをしている企業や仕事と別で活動している個人では、成果が出るまでの継続が難しく、挫折してしまうリスクがあるため注意が必要です。作業が増えるため人で必要になるSDGsに向けた取り組みを新たに始める場合、本業とは違う作業が生まれてしまうため人手が必要です。中小企業では最低限の人員で業務を回していることもあり、SDGs推進に向けた時間や人手を確保できない状況も考えられます。無理にSDGsへの取り組みを導入してしまえば、本業が疎かになってしまうだけでなく、負担を強いられた社員のモチベーション低下、最悪の場合は離職されてしまう可能性もあるのです。社員のモチベーション低下や離職を回避するために、新規人材を確保しようとすれば採用コストや人件費がかかってしまいます。推進するためのコストが発生するSDGsの取り組みが本業と完全に一致していない場合、物品の購入、新規人材の採用などコストがかかることがあります。さらに社員にSDGsを知ってもらうための研修実施や、社内環境を改善するための工夫にも費用が必要です。長期的に見ればメリットの方が大きくても、初期コストが大きかったり、毎月必要なコストが今より増えたりすることは、企業にとってデメリットと捉えられます。【企業・個人】SDGsに取り組む際の注意点SDGsに取り組む際に気をつけたい注意点があります。以下で紹介する3つのポイントを理解して、SDGsの取り組みを検討しましょう。SDGsはCSRやボランティアと同一ではないSDGsは、CSRとボランティアの2つと似た文脈で用いられる言葉です。CSRやボランティアは、企業が経済活動するうえで利害関係者や社会のために果たすべき責任として活動することなのに対し、SDGsは、企業が未来を見据えた経営のために主体的に社会問題に取り組む活動であることが違いとなります。したがって、企業がSDGsの達成を目指して取り組む活動がCSRとなることもあります。それぞれの違いを理解することで、社員同士や社会と同じ方向性を持ってSDGsに取り組むことができるでしょう。CSRとは「利害関係者の声に答えて信頼を得る活動」CSRとは「Corporation Social Responsibility(企業の社会的責任)」の略称です。そのため、利害関係者(取引先や消費者など)の信頼獲得のために意思決定を行う責任を「CSR」といいます。企業が選択したSDGsの取り組みが、利害関係者も求めているものであれば「CSR」としても評価されるのです。経営理念・指針と統合させる必要があるSDGsの取り組みを考えるとき、企業の経営理念や指針と統合させることが重要です。あまりにも2つの方向性が乖離しているとき、負担が大きく取り組み自体が困難である上、社員や社会からの不信感増大するリスクがあります。取り組む前に、SDGsをしっかりと理解したうえで経営理念や指針との統合を慎重に行うよう検討しましょう。SDGsウォッシュを防ぐSDGsウォッシュとは、うわべだけのSDGsの取り組みのことを指します。事業の一端だけを工夫したり、ホームページの文言を変えたりするなど、一見SDGsに取り組んでいるかのように見せるのは簡単です。しかし、SDGsウォッシュをしている企業だとわかれば、社会からの信頼が低下するリスクがあります。自分たちでSDGsへの取り組みが難しく、無理に取り入れてSDGsウォッシュになってしまいそうなときには、専門家に相談したり他社と協力したりして、無理なく進めていくことが重要です。SDGsに取り組む企業事例3選実際にSDGsに取り組んでいる企業事例を3つ紹介します。SDGsの目標と結びつけてどのような取り組みが可能なのか、参考にしてみてください。トヨタ自動車|トヨタ環境チャレンジ2050トヨタ自動車では、「トヨタ環境チャレンジ2050」としてSDGsに取り組んでいます。目標7の「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」や、目標12「つくる責任、つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」など、全部で6つの目標を意識したチャレンジを設定しています。それぞれを重点的に取り組むことで、地球環境問題に対して自動車の持つマイナス要因をゼロに近づけ社会にプラスをもたらすことが目標です。新車のCO₂ゼロを目指すなど、既存事業を活かしてSDGsに取り組んでいるのが魅力的ですね。イオンモール|ハートフル・サステナブル日本・海外で商業施設を展開するイオンモールでは、「ハートフル・サステナブル」として地域・社会に貢献・活性化する取り組みを展開。目標6の「安全な水とトイレを世界中に」や「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」、目標10「​​人や国の不平等をなくそう」に結びつく取り組みを行うため、プラスチック製ストローの削減や非常用電力・飲料水の確保、再生可能エネルギーの使用などの推進が具体的な取り組み内容となっています。定期的な防災訓練を実施し、地方行政と協力して防災に取り組んでいるなど、地域に貢献する防災活動にも力を入れています。旭化成|中期経営計画 2024 ~Be a Trailblazer~旭化成グループで策定した「中期経営計画 2024 ~Be a Trailblazer~」は、持続可能な社会への貢献を目指しているものです。グループが持つ技術や人財を積極的に活用して、エコなモビリティ、カーボンニュートラル、健康長寿社会などの実現に向けて取り組んでいます。SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標11「住み続けられるまちづくりを」、目標13「気候変動に具体的な対策を」に繋がります。中長期的なビジョンを掲げ、社会貢献だけではなく営業利益や資本効率も具体的に検討している点がSDGs達成に向け効果的です。そもそもSDGsとはここまで、SDGsに取り組むメリットやデメリット、企業の取り組み事例を紹介してきましたがそもそも、SDGsとはどんなものなのか、最後にチェックしておきましょう。17の目標で様々な課題解決を目指す取り組みSDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、国連加盟193か国が2030年までの15年間で達成を目指す、17の指標と具体的な169のターゲットを定めています。世界には、途上国に限らず多くの社会課題が存在しています。例えば、先進国と言われる日本でも貧困児童はまだ存在し、ジェンダーへの理解はまだ広まっていません。169のターゲットを、企業だけでなく個人でも意識して取り組みを続けることで、社会にある課題解決を目指していきます。SDGsについて学ぶなら「Socialgoo」がおすすめ出典:Socialgoo公式サイトSocialgooでは、本記事のようなSDGsに関する情報を発信しています。SDGsに関するキーワードや、SDGsに取り組んでいる企業の紹介をおこなっているため、SDGsについて知りたい情報が盛り沢山です。ぜひSDGsについてより深く学びたい方は、Socialgooを活用してみましょう!まとめ今回は、個人や企業がSDGsに取り組むべき理由から取り組みのメリット・デメリット、SDGsに取り組む企業事例を紹介しました。SDGsに取り組むことで、持続可能な社会を実現するだけでなく、取り組んでいる個人や企業にとってもメリットが生まれるのです。SDGsには17の目標と169のターゲットという広いジャンルに分かれており、取れる行動もさまざまです。SDGsの目標達成に向け、できることから取り組んでいきましょう。

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